|
タイトル名 |
タクシードライバー(1976) |
レビュワー |
Yuki2Invyさん |
点数 |
4点 |
投稿日時 |
2020-02-04 21:04:32 |
変更日時 |
2020-02-07 00:48:43 |
レビュー内容 |
ひたすらトラヴィスの孤独な日常を追っていくこの映画に入り込むには、肝心の主人公への共感が不可欠である(それを前提としている映画なのは明白である)。そしてそれは、本来比較的容易であるはず(「病める」ベトナム帰還兵で学も無いトラヴィスには、判官贔屓的に視聴者は味方に立てるはず)なのだが、個人的にはとにかく女の子をポルノ映画に連れてった挙句フラれて逆ギレして押しかけるという一連の流れで、「馬鹿じゃねーのコイツ」とトラヴィスの好感度が0になってしまうので、結論この映画は個人的に全然ピンと来ない(現代日本人は流石に70年代アメリカンと一緒にはできないってのもある)。そこから先は完全にイっちゃってるヤバい奴な訳だが、個人的には最早どうでもよくて上滑りでサムいだけであり、それは(やや視聴者のトラヴィスへの評価を改善させそうな)ジョディ・フォスターとの絡みを経ても大して変わらない。要は全編サムいだけの映画というのが個人的結論。
ただ、こういう良い所の無い、愚昧かつ頭のオカシイヤバい奴(というか痛い奴)が主人公と言うのが、そもそも非常にアメリカン・ニューシネマ的であり、その意味(=普通の映画には出て来ない人が出て来るという)ではある種貴重な作品なのだろう(監督の意図したことからは幾分ズレると思うのだが)。しかし、ド腐れ外道とは言え(客はそこまでとは言えないと思うが)、計画的に4人も殺して無罪放免になるというのは有り得る(もしくは有り得た)のか?個人的に映画人生最大の疑問の一つ。
もう一つ、日本人の「自己責任論調」が本作の受取り方に影響している可能性が無くはないかとも思う。アメリカ含む諸外国では、これほどまでに頭の狂ったトラヴィスも、その原因の一端が社会秩序の混乱(この場合はベトナム戦争)にあるという理由で「悪いのは社会で、トラヴィスは被害者だ」という方向に共感が流れていくのではないかとも感じる。私は前述どおりトラヴィス自身に諸問題の根源があると感じて共感に至らないのだが、もしかするとそれってグローバル基準では「ズレた」感覚なのかも、とも感じるのだ。 |
|
Yuki2Invy さんの 最近のクチコミ・感想
タクシードライバー(1976)のレビュー一覧を見る
|