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道(1954) - hitomiさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 道(1954)
レビュワー hitomiさん
点数 10点
投稿日時 2021-03-09 18:34:16
変更日時 2021-03-09 18:34:16
レビュー内容
「道」は60数年もの時を超えてなお変わらぬ輝きを放っている。この作品の普遍的価値と魅力は枚挙にいとまがないだろうが、自分が引き込まれた理由の一つは人間と人生についての深い洞察にある。理屈では説明しきれない屈折した心理、人生の岐路において先を見とおせないままに誤って不幸に向かう道を選択し、混沌を突き進み、間違いに気付いても後戻りはできない、そんな復路のない人生の非情さ厳しさを俯瞰させてくれる。重苦しい内容だが芸術的な映像と全体を包み込む叙情的トーン、女主人公の心洗われる素朴さに救われる。矛盾や不条理を突き詰めることなく解釈は観客に委ねるが如く淡々とストーリーは展開する。それゆえ見る側の人生経験によって受け止め方も違ってくる。それがこの映画の奥の深さではないだろうか。主な登場人物それぞれが矛盾を抱えている。ジェルソミーナは自分を虐げるザンパノから逃れ再起可能のチャンスを何度か得たにも拘らず男の元へとどまる。それは無知な従順でも一途な愛でもなくイル・マットとの出会いで自分の存在意義を悟ったからであろう。逆に相手に精神的に依存していたのは女を突き放す言動しか取れない男の方であったかもしれない。ザンパノとは対照的に彼女に理解と思いやりを示しあの珠玉のセリフを語ったイル・マットは英知と善の象徴かと思いきや彼の意味不明の挑発的からかいがザンパノの憎悪を募らせて悲劇的結末を招いてしまう。ザンパノは倫理観の欠落した野蛮人であるがジェルソミーナを捨てる場面では人間性の片りんをみせる。彼なりに苦渋の選択であった。ラストシーンは自分の喪失体験と重なった。当時私は母を亡くして間もなかったので滂沱の涙。砂に突っ伏し慟哭するザンパノの姿は私自身であった。かけがえのない存在を失った時の喪失感、孤独、絶望、後悔、自責(母が大好きだったのに私はわがままだった)一筋の救いの光もない暗黒の海辺に私も置き去りにされた様に感じた。永遠に取り返しがつかないことがあることの認識それが報いだ。うずくまった状態から立ち上がり報いを背負ったまま残りの道を歩き始めるまで数年を要した。そのプロセスにおいてこのラストシーンはカタルシスの役目を担ってくれた。
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投稿日付邦題コメント平均点
2021-03-09道(1954)107.91点
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