5.ディザスタームービーが好きである。災害による極限状態の中での群像劇における感動が好きなんだと思う。
今作のローランド・エメリッヒ監督作「インデペンデンス・デイ」は宇宙人襲来を軸にしたSF映画であったが、描かれるパニックの中での群像劇が見事で、大好きな映画だ。
エメリッヒ監督作品の良いところは、莫大な予算をかけつつも醸し出される良い意味での「B級映画」的な軽妙な“ノリ”にあると思う。
「アメリカ万歳!」「英雄万歳!」という安直なテイストの全肯定こそ、この娯楽映画監督の最大の売りだろう。
今作においても、「世界の滅亡」という最大のディザスター(災害)の中で、彼らしい軽妙さは健在で、絶大な映像力で世界の終末を描き切った様には、問答無用の迫力があったと思う。
ただし、絶対的な”終末”を描く中において、やや爽快感には欠けていたとも思う。
その最大の要因として、“ヒーローの不在”が挙げられる。
ジョン・キューザック演じる主人公の父親は、家族を救うために超人的な活躍と運の良さを見せるが、そのキャラクター自体に魅力がないというか愛着が持てない。
この手の群像映画には、脇役キャラクターの妙も欠かせないところだが、それぞれのキャラクターに今ひとつパワーがないことも、映画としての爽快感の無さに繋がっていると思う。
ディザスタームービーとしての醍醐味やお約束はくまなく押さえ、充分に見応えのある娯楽映画と言える。
しかし、「好き」な映画として認識されるには、もう一つ”好感度”が足りなかったようだ。