1.ホラーというよりは、カトリック異端史というか、バチカン陰謀ものというか…。教会から「破門」された者の魂を救う“罪食い”の存在をめぐる、むしろ「薔薇の名前」に近い、一種の形而上学的ミステリーといったところか。「恐怖」度は↓の方がおっしゃっている通りほとんどないし、カトリックの教理だとかに縁のないぼくたちにとって、「いったい何がオモロイねん?」てな声も聞かれそうだ。が、宗教的な部分を超えて、これを「主人公が、愛する者のために、自ら異端の刻印を受ける(ケガレ)存在となるまで」のドラマとして見ることも可能じゃあるまいか。そして、そうすることで、この映画は、ひとつの「(アンチ・)スーパー・ヒーロー誕生譚」であり、何より「宿命」の残酷さ悲しさを隠喩としたミステリーとして、極めて知的かつ興味深い作品たり得ていると思う。映像的にも、廃虚然とした教会内部の1階と2階をひとつの画面で捉えた構図など、かなり面白いことをやっています。消してすべてに成功している映画ではないけれど、ぼくは高く買いたい。