4.《ネタバレ》 明らかに「バッドボーイズ」(1995年)が元ネタであり、途中までは「最終絶叫計画」のようなパロディ映画かと思っていたのですが……
終わってみれば、しっかりとオリジナルの魅力を備えた映画でしたね。
刑事物のバディムービーとして考えても、女装ネタのコメディ映画として考えても、充分に楽しめる出来栄えでした。
前者に関しては「主人公達が喧嘩して仲直りし、絆が深まる」というお約束の魅力を描いているし、銃撃戦の際には、意外とシリアスで恰好良い雰囲気になったりもするんですよね。
この辺の「切り替えの上手さ」って、コメディタッチの刑事物では凄く重要ですし。
そこがしっかりしているというだけでも、もう拍手を送りたくなっちゃいます。
後者に関しても、女装ネタならではの可笑しみを感じる部分が色々あって、大いに満足。
「女装した主人公が男に迫られ、窮地に追い込まれる」っていうお約束ネタも、しっかり描いてあるし……
本物のウィルソン姉妹の方を「女装した男」だと思って取り調べする場面なんか、特に可笑しかったですね。
ここ、普通ならウィルソン姉妹が可哀想で笑えなくなりそうなんだけど、序盤にて彼女達の「嫌な女」っぷりを描いてたから、素直に楽しめちゃうんです。
この辺りのバランス感覚は、本当に見事でした。
女装して女の子達と仲良くしている内に、何時しか性別を越えた友情が生まれていく流れも、凄く好み。
最後に正体を明かした後も、彼らの友情はずっと続いていくって示すハッピーエンドであり、後味爽やかなんですよね。
彼らには性別以外にも、年齢やら人種やら、色んな壁があるはずなのに……
そんなの関係無いとばかりに「仲間」として笑い合う姿が、とても眩しく思えました。
一応、欠点も挙げておくなら、女装したマーカスに迫るラトレルが色々頑張ってて、憎めないキャラだったのに「結局は嫌な奴だった」ってオチになるのが、微妙に思えた事。
女装した二人が周りから「美女」と認識されてるのに違和感を覚えた事。
後は……女子トイレでの一幕とか、下品で笑えないネタも幾つかあった事くらいかな?
でも、こうして色々振り返ってみても「ダンス対決が面白かった」とか「喧嘩ばかりしてた同僚と、土壇場では熱いやり取り交わすのが良い」とか、長所の方が数多く浮かんできちゃいますね。
ウェイアンズ監督の代表作といえば、世間的には「最終絶叫計画」となるんだろうけど……
個人的には、こちらをオススメしたいです。