1.《ネタバレ》 コンラッド原作の映画化では恐らく最良ではあろうが、如何に名匠キャロル・リードと言えど、原作を凌駕するには至らない。しかも原作自体にも後進国への蔑視が溢れているのだから、いくら完成度が高くとも絶賛する気にはなれないのも或る意味当然。主人公ウィレムス(トレヴァー・ハワード)の救いようの無いダメ人間ぶりに説得力が今イチ不足している。役者に問題がある。70年代ならデ・ニーロ辺りが演じそうな感じ。トレヴァー・ハワードには(熱演は分かるが)ギラつく狂気や辛気臭さ、愚劣さを体現するには些か上品に過ぎた。しかし、当時のモラルを考えると案外これがギリギリの線だったのだろう。寧ろ、51年当時でコンラッド原作の映像化に挑んだリードの心意気を評価すべきかも。