362.《ネタバレ》 ずっーっと前に1度観てたのに評価をしなかったのは、
もうかなり前の記憶でしたのとオチもわかっていたから・・
「ハンニバル」をまだ未見でしたのでこの機会に両方観ることに。
まずこちらから2度目の観賞ですが・・
前に観たときはよくできた映画だとは認めてはいたものの、
正直ソツがなくて今ひとつだったと記憶していました。
が・・この作品がなぜアカデミー賞を総ナメしたのか(この特殊なジャンルであるのに!)
ようやくわかったような気がします。
心理描写が深いこととやはり哲学性を感じたから。
そして何よりも主演二人の演技が素晴らしい。
ホラーにも属されるかもしれない危ういサスペンス娯楽でありながら、
こんなに深い描写をしていたんだなぁ・・
前に観たときには犯人である連続殺人犯がやけにマヌケに見え、
「悪魔のいけにえ」と同じじゃあないかと思っていたのですが、
これはああいう系ではなかったんですよね。
主題はまさにクラリスのトラウマ救済とレクターの好奇心です。
ジョディは体格も小柄でいて中性的な魅力を感じるし、
表情もあどけなくもあり色気もあります。
その賢明さ聡明さは観ていて力強くもあり、
怪奇殺人の犯人のほうが似合うホプキンズと正面から演技合戦をしても、
全く互角以上の真剣さです。
彼女の演技は客観的には観れないくらい入り込んでいます。
幼い頃の羊をかかえ逃げる彼女は救えなかったことが自分のトラウマになっています。
そしてそのトラウマと向き合うことをアドバイスするホプキンズ。
そのまんま犯人の井戸に隠した誘拐された女の悲鳴となるのです。
この単純なのに深層心理をついている脚本は見事です。
猟奇殺人をもとにした刑事ドラマでは「セブン」のほうが好きですが、
この作品も二重の舞台のトラウマと演出で上手に作られています。
なにしろホラー要素もあるサスペンスなのに品さえ感じられるのも、
やはりジョディ・フォスターだからでしょうか。
意思の強さと気弱さとあっけらかんとした陽気さ・・
見事な演技でしたね。