1.《ネタバレ》 テレンスマリック監督の作品はどれをとっても映像が美しい。
しかし独特の作風のため評価は分かれる。
説明的なことは極力省き視聴者の感性にゆだねる姿勢は過去の5本の監督作品すべてで一貫している。
それぞれの作品は時代も場所も設定も違うが彼の映像美は一貫している。
底にあるテーマも同じだ。
自然をいつくしむ心、自然への畏怖、人間もその自然の一部である、ごく当たり前の人間の生活、それは何十億年かけて誕生進化してきた生物の営みそのものなのだ。
そしてどこか宗教的、哲学的な表現。 大学で哲学を学んだから表現がそうなるのか。
The Tree of Lifeは特にそれが顕著に出ている。 もともとストーリーが明確に説明されない映画を撮る監督だが、今回もその例にもれず登場人物がどんな人なのかを説明するようなわざとらしいセリフはほとんどない。
1950年代初頭か、アメリカのごく普通の一家族の物語を中心に話は地球誕生、生命の誕生、その進化にまで及ぶ。
初見ではやや混乱したが、2度目に観た時はかなりわかりやすい編集なのではないかと感じた。
恐らく多くの人が同じ感想を持つのではないかと予想するがスタンリーキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」を思い起こす映像がかなりある。 内容的に感覚的で視聴者に思考を求めることも似ているがそれ以上に具体的な映像で相似のものがあるのだ。 極めて効果的に使われている。
また気を引いたのが長男が淡い恋心を抱くクラスメートの女の子。 くっきりした顔立ちのキュートな子だがThe New Worldのポカホンタス役の子になんとなく似ている。 Days of Heavenに出ていた女の子も似ているし、Badlandsのシシー・スペイセクも似た雰囲気だ。 監督の好みが出ている