2.《ネタバレ》 駄作だと思った「ペリカン文書」よりもさらにリアリティが無い。センスが良いのはオープニングのみ。大仰なだけでリアリティの無いストーリー展開と、アクション映画によくあるご都合主義、序盤から顔を出しまくる意外性ゼロの黒幕、はっきりしないままの陰謀の全貌と、とにかく見ているのが苦痛だった。無駄に時間が長いのもそれに拍車を掛けてくれる。
何度も捕まっては簡単に脱出したり、主人公ひとり捕まえるのに大げさに武装した集団を送り込んだあげく、たった一人の素人もまともに捕獲も出来ない無能っぷりとか、さらに危ないところで「悪の組織」を追う国家機関の手助けがあったりと、とにかく全編通してあまりにも突っ込みどころやご都合主義が多過ぎる。
パラノイアな主人公についても洗脳されていた事実があるとは言え、その突飛なキャラに感情移入はしにくい。そのくせ、そんな主人公の言う事を一方的に信じる、やたら理解があるヒロインがいたりするのも不自然。
特に終盤、逃げるヒロインがレーザーサイトで狙われるシーンで、急に間に入り込んできた仲間(?)を撃ってしまい、ヒロインに逃げられるというシーンにはもう笑ってしまった。いくら映画にはご都合主義が付きものとは言え、もう少し何とかならんかね。
結局ラストは典型的な勧善懲悪みたいな安っぽいオチになっちゃってるし。
その他、説明不足のまま終わっている部分も多く、単に「説明すべき情報」を小出しにしている事で生じているだけの複雑さであり、脚本構成はお粗末。見ている間、サスペンスとしての訴求力を感じなかったのも当然。
とにかく、この手の「国家レベルの陰謀に個人が巻き込まる系サスペンス」って、どれも面白くない。「ご都合主義の連続宙返り」を持ってこないと、ただの一個人が組織の陰謀に対抗するような展開が成立しないからだろうけど、この作品が典型のように、ここまでリアリティを犠牲にしなくては話が成立しないなら、始めからやらないで欲しい。突っ込みどころが気になって素直に楽しめないから。