3.CGを介してアニメに近づいていく実写映画と、同様に実写に近づいていくアニメ。
本作における人物やメカニックの動作も照明と陰影のかけ方も、
いわゆるリアリズムが志向されており、アニメ的なデフォルメされたアクションや
構図は時折に差し挟まれるといった感が強く、
正直のところ(CG)アニメーションであることの必然性や戦略は見えづらい。
ビル爆破、核爆発、サイボーグの特殊能力といったCGスペクタクルも、
現在なら十分に実写画面に加工することが可能なわけで、
そこをあえてセルアニメーション風でやるからには、アニメならではの特性がもっと欲しい。
そして、作中の核爆発などが単に小奇麗な光とスピード感による
スペクタキュラ―な見世物でしかないのはかなり気になる。
人間不在のカタストロフィでは何の感慨も起きようがない。
平和やら善やらを語りながら、そこに焼かれる人間の痛みも悲惨も
まったく描けていないのは、CGアニメという手段の問題ではなく
視点と想像力の問題である。
記憶の操作に関するあからさまな説明台詞など、脚本も無駄が多い。