1.《ネタバレ》 剛柔流空手の達人の名悪役ワン・ロンウェイ監督、『プロジェクトA』の海賊役でお馴染みの名悪役ディック・ウェイ主演のコラボレーションで送るノワールモノ。邦題からしてヤクザや抗争がどうのこうのといった黒社会モノを連想しがちですが、中国大陸本土からの密入国犯罪者を示し差別的なニュアンスを含む造語“大圏仔(たいひんちゃい)”が何度か登場。当時の香港の社会情勢を的確に反映した意外に社会的な内容でした。
主人公は大陸人で行方不明の妹を探すため、香港の警察に捜索依頼をするのですが、この警官が案の定大陸人にはろくな奴がいないという偏見持ち。
このように映画は単なる警察と犯罪組織の対立に終わらず、結構様々な要素が存在している内容ではあります。
ですけどエピソードの積み重ねが悪いのか、その要素がうまく噛み合っていないというかさらりと描かれすぎ。
最後は主人公が組織を壊滅させ、大陸人にもいい人がいるという結末で終わりますが、妹を殺された主人公にとって組織の壊滅はごくごく当たり前の成り行きなので、あまりにも軽すぎです。
銃撃戦もそこそこ派手ではありますけど、いささか単調気味でスリリングさは殆ど皆無に等しい。
最後まで飽きずに見られたし、決して悪くはない出来ですがが、さしたる面白さも感じられなかった。
じゃやっぱ駄目か?…駄目なんだろうなぁ…。