29.《ネタバレ》 アイディアと演技とやる気さえあれば、金を掛けなくても良作を撮れるという一例だ。
完全にフィクションと分かっていても、ドキュメントと勘違いしてしまうような臨場感や設定を評価したい。
夜襲などはあったが、下手にイベントやストーリーを付けずに、“得体の知れないもの”に対する恐怖感のみで、90分程度を乗り切った演出の努力も認めたいものだ。
目に見えるものを描くのは簡単なことだが、目に見えないものを描くのは、それほど簡単なことではない。
訳の分からないオチの付け方も逆に良いのではないか。
あれよりマトモなオチの付け方も考えにくい。
“訳の分からなさ”が鑑賞後にも、尾を引くように計算されていると思われる。
もし、仮にラストでウイッチが実体を表して、彼らを襲うというようなオチを描けば、恐らく興が醒めていただろう。
最初から最後まで、いっさい実体を表さないのは悪くないアイディアだ。
きちんとした実体を描くのがどちらかといえば“アメリカ式”(具体例:殺人鬼・ゾンビ)であり、こういった実体を描かない手法は、イメージとしては“東洋式”(具体例:幽霊・呪い)のような気がする。
日本ではこういった手法による恐怖は好まれるかと思ったが、意外と評価が低いのは意外だった。
低評価をした人を非難するつもりは全くないが、ぶち切れるほどの酷さや手抜き感、オフザケ感は感じられなかった。
カメラの揺れが生理的に合わないという点もあるのだろうか。
「凄い凄い」と騒がれて、ブームに乗って鑑賞したら、「なんじゃこりゃあ~!」という内容だったので、拍子抜け感や裏切られ感が強かったのかもしれない。
ミニシアターで「知る人ぞ知る作品」として本作としては扱われた方がよかっただろう。
メジャーになるべき映画ではなかったかもしれない。