58.本当に恐ろしいものとはなんなのだろうか。たくさんのホラー映画を観てきたが、いまだにそのことについて考える。 病院でリーガンが検査のために血を抜かれ、機械に挟まれる場面は直接悪魔は関係していないのに、辛く恐ろしい。苦しそうな娘をなすすべもなく見つめる母親は一体どんな気持ちなのだろう? 彼女の視点で見ていると、グロテスクな映像もまた見る目が変わってくる。もしあれが、自分の娘だったら?(若い自分には想像の範囲内でしかないが) 悪魔と対決する神父は、同時に心に抱える罪の意識と闘うことになる。嫌がる母親を病院に収容させ、看取ることもできずに寂しい最期を迎えさせてしまった過去と向き合う。彼もまた、大切な人が苦しんでいるときに何もできない辛さを知っている。 だからこそ、神父は心が折れそうになったとき、母親の「娘は死ぬの?」という言葉を聞いて立ち上がることができた。そしてためらわずに命をも捨てた。悪魔なんかよりも、愛する人の死のほうが遥かに恐ろしいと知っていたから。 恐怖とは大切なものの喪失から生まれる感情だ。その大切なものとは自分の命であったり、あるいは他人の命だったりする。もし後者を題材としたなら、それは恐怖の物語であると同時に愛の物語でもある。 ホラーにしては気品がある美しい映像で、内容もまた単なるショッカーではない深みのあるドラマとなっている。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-03 12:09:25) (良:4票) |
《改行表示》57.このころ”エクソシスト”や”フレンチコネクション”や”恐怖の報酬”を観たわたしにとって、ウイリアムフリードキンは、私の子供心に、とても人間だとは思えなかった、というか、なぜか、フリードキンというひとは実在せず、架空の人物なんだと思っていた。そのくらい、こどもの私にとって、このころのフリードキンって監督は人間離れしていた。という、思い出。パンフレットの写真をみて、あっ 人間だ!と思った。 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-11-06 01:44:06) (良:1票) |
56.《ネタバレ》 未曾有の恐怖体験をした映画としては超1級です。(でも10点はつけられません。)この映画は映画館で友人と観ました。見終わったとき、すぐには立てませんでした。完全にスクリーンに呑まれて恐怖に凍て付いていました。そこへ隣の友人から一言、「ぜんぜん面白くなかったなぁ~、帰ろ、」この言葉に我に返り、「こ、こいつ、今、同じ映画を見ていたはずなんだが...」、しばし放心状態のままでした。 【杜子春】さん 8点(2004-06-13 11:52:28) (笑:1票) |
55. チューブラベルズを聞くとメリン神父が聖水と十字架を入れたボストンバックを提げて、悪魔払いにリーガンの家に訪れて、しばし、家の前で佇む場面が蘇る。 【くるみぱぱ】さん 8点(2003-07-06 06:31:51) (良:1票) |
《改行表示》54.《ネタバレ》 小学生の頃から時間を置きながら何度も観ている作品です。私にはホラー映画の原点みたいな位置づけになっています。観るたびに違う感想が浮かびます。現在の自分が考えていることに対して何らかの答えを返してくれる、奥が深い作品なのだと思います。 今回の感想は「やはり神はいない」ってことでした。 悪魔祓いはカトリックの宗教儀式で、現在は世界中から人を集めて講習をやるほどに普及しているようです。それを特集したNHKの番組を見たことがあるけど、セラピーの一種と云った様子でした。でも、様式があるだけで神が助けてくれる訳じゃない。対応するのは人です。 本作では神に仕える二人の神父が犠牲になって少女を救います。それは「神の力」ではなく「人の力」だと思います。神が何らからの威光を示したシーンはありません。その「人の力」は信仰を拠りどころ生まれたものかも知れませんが、ラストでリーガンを殴りながら「俺に乗り移ってみろ!」と叫ぶカラスに感じるのは、ボクシングなどで鍛えた体力に裏打ちされた意思の強さです。意地悪な言い方になるけど、神がいたら神父たちは死なずに済んだはずですよね。 余談ですが、私は「信仰を拠りどころにした行為」を肯定する気になれません。歴史が示すように必ずしも良いことばかりだった訳では無いし、現代的には胡散臭さを覚えるものも少なくない。宗教は他者に何かを施すより自身の内面を救うことに存在意義があると思っています。無神を気取る私も初詣は大好きで、少額のお賽銭で自身の内面を救っております。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(吹替)] 8点(2018-01-26 23:09:50) |
《改行表示》53.社会現象になりみんな着メロはエクソシスト、ブリッジで物真似。そんな学生時代もあった。 ホラーと言うと狙ってはないけど失笑を誘うワンシーンは付き物だがこれには無い、リアルな描写。 ホラーイコールB級としては見れない一本だと思う。それほど完成度が高い。 |
《改行表示》52.《ネタバレ》 「嫌な予感」を描く映画である。冒頭のイラクの遺跡発掘現場からして嫌な予感で満ち満ちている。失明したおっさん、野犬の喧嘩、やかましいツルハシのリズム、そしてなにより嫌な予感がする”振り子時計の振り子が止まる”。 母は異常な娘を、様々な医療機関に連れていく。そのときの診察方法が痛々しく描かれている。これは重大な主張であろう。悪魔祓いという前時代的なトピックと、医学という現代のトピックとの対比。白衣をまとう医師たちは、母に対し小難しい医学用語満載で説明する。だんだん母は医学不信になっていく。これも嫌な予感。怖がらせる映画、グロい映画ばかりがホラー映画ではない。上品で高尚なホラー映画だ。怖くてグロい映画見たければ、どっかその辺のおもちゃ映画を見たほうがよい。 |
51.《ネタバレ》 公開翌年生まれのわたしがこの映画を観たのは10歳くらいの時かな?とてもじゃないけどホラー映画として楽しめるような代物ではなく、震え上がって観たのを覚えています。なんていっても娯楽性がなく(今観ればエンタテインメント性もしっかりあるのはわかるんですが当時はそれどころじゃなかった(笑))、神父と悪魔の壮絶な戦いに恐れ戦くばかり。しかも神父ふたりの命と引き換えにようやく追いだしたあたり、とてもじゃないけどハッピーエンドとも思えず、この映画の怖さは長年にわたってわたしのココロに残ってしまいました。きっと機種交換のたびに携帯の着信音を『エクソシスト』にしてしまうのはわたしに棲みつく悪魔の仕業でしょう。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-07 18:38:40) |
50.ブリッジで階段駆け下りてくるシーンとかばっか取り沙汰されるから、もっとぐちゃぐちゃな死霊のはらわた的なスプラッタ・ホラーをイメージしてたんだけど全然正反対でした。アメリカ映画とは思えない凄く丁寧なホラー(オカルト?)映画です。人間ドラマを丁寧に描いてるあたり和風ホラーに近いと思う。それでいて日本にはない「悪魔」って素材を使って和風ホラーともスプラッタ・ホラーとも一線を画してると思います。怖いと言うよりは気持ち悪い?気味の悪さ?が前面に出ている感じ。話は淡々と進むからたまに出てくるああいう演出とかメイクとかでぐいっと引き込まれ見入ってしまいます。怖くない、の一言で切り捨てるには勿体ない映画。 【ケ66軍曹】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-05-17 03:56:14) |
《改行表示》49.《ネタバレ》 なかなか面白い。 アメリカ人には薄気味悪いという概念が無く、そういった怖さは伝わりにくい。というようなことを他の映画の解説か何かで読んだが、この映画も十二分に薄気味悪いではないか。なんだかよく分からない恐ろしげな存在が、超常的な徴をいろいろなところに残す事実は登場人物だけでなく、受け手にも十分な恐怖感を与える。 痛そうな行為やメイキャップ自体など、飛び道具も出てはくるが結局正体が分からないという、なんだかんだ言って卑怯な手にはまんまと最後まで怖がらされてしまった。この古典的でB級な「正体が分からない怖さ」というやり口はあまり好きではない。結局上手な着地点を最後まで考えつかなかった(かはじめから考えていない)という、作り手の戦術的退却が最も上手くいきすぎているのが癪に障る映画ではあるがそこが逆に気に入っているポイントでもある。 そのためにこの映画以降、作者が懸命に創り出した恐怖の具体を「恐怖の正体が分かっちゃったら怖くない」とか、「画面に出してしまったらありがたみが無くなる」とかいう論調が出現した事が伺える。それを言ってる評論家の比較対象がどうもこの映画であろう事が匂うからだ。しかし常識的に考えると、正体を明らかにした上でどのように帰結するか、具現化や登場をしてしまった上でどう展開するかしないか。という部分が物語としての技量の重点であろうから、そこを隠したまま雰囲気だけでおもいおもいに想像させるというのはちょっとずるい。 ずるいが巧いから成立する。だからよく言われる「それが結局あかされないから怖いのだ」というのは違うと思う。怖がらせる技量が飛び抜けて巧いということがこの映画の核心であり、だからインターネットが無かった時代に死ぬほど怖かったのである。 【黒猫クック】さん [地上波(吹替)] 8点(2010-05-08 23:04:18) |
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48.《ネタバレ》 ロザリオで少女を陵辱してみせる不敬な悪魔に身を挺して立ち向かう二人の神父は、使命を帯びた賢者の如し。40代半ばのマックス・フォン・シドー扮する老境のファーザー・メリンの重厚さ、彼の絶命により自らの迷いを打ち砕くファーザー・カラスの気迫が圧巻。宗教色の強い映画は好まないがこれは例外といえ、現世では比喩的な意味しか持たぬであろう憑依という事物をかように具象化してみせた、これもまた芸術と呼ばねばなるまい。結尾のリーガンの接吻は彼らへ捧ぐ。 【レイン】さん [地上波(吹替)] 8点(2010-05-08 06:00:04) |
47.《ネタバレ》 昔話になりますが、この映画は公開当時の騒ぎが本当にすごかった。当時中学生だった私は友人たちと日曜日に銀座に観に行ったのですが、午前中に着いたのにすでに劇場を3重に取り囲む行列で観るのをあきらめました。そしてその週の平日に授業が終わってから部活をさぼってまた銀座に行き、ようやく観られたという思い出があります。当時メディアでは大々的に取り上げられていて予備知識は豊富に持っていたのですが、実際に観ると想像をはるかに超えた内容で、劇場内も自分を含めて観客みんな体がかたまったような反応だったのを覚えています。見直してみて思ったのは、意外と悪魔の能力が慎ましい(?) ような感じを受けます。カラス神父から母親の旧姓を言ってみろと要求されても答えなかったり、神父から聖水だと言ってただの水道水をかけられてもだえ苦しむなど、本当にこいつは悪魔なの?と感じる部分もあります。CG全盛の最近の映画は、この手の悪魔や悪霊がやらかす悪事が映像的にどんどんエスカレートしており、かえって怖さがなくなっているのではないでしょうか。冒頭で悪魔が復活したことを暗示するシーンの場所はイラクの遺跡発掘現場ですが、そもそもイラク近辺は成立以来キリスト教がもっとも普及しなかった地帯でしょう。つまりこの映画では悪魔を宗教的な存在として語るよりも、普遍的に存在するがそれまで人類が認知できなかったエイリアンのような(?)ものとして表現する意図もあったのではと思っています。悪魔払いをする二人の神父はカトリックのイエズス会所属ですが、米国ではカトリック信仰自体がマイノリティで時には差別の対象でもあることも忘れてはなりません。そういうことがこの作品を単なるホラー映画をはるかに超越した傑作にしていると思います。 【S&S】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-07-05 02:26:15) |
46.悪霊バズズがインフルエンザのごとく、開いた窓から侵入しリーガンに感染(?)する様がなんとも・・・またリーガンに取り憑いた理由も説明不足。しかし名作だけあってそれなりに楽しめました。 |
《改行表示》45.こんな小さな子供に乗り移り宙に浮いたり箪笥を動かしたりブリッジで階段を下りたり首をぐるぐる回したりと、まるでかくし芸か大道芸みたいで、悪魔ってけな気で可愛いね。 また夏休みTVでよくやる心霊特番のお祓いコーナーを思い出してしまう。 しかし映画としての完成度はかなり高いと思う。 ◎もし良ければ僕の描いたイラストも見てください http://www016.upp.so-net.ne.jp/konekoneko-dou/image228.jpg 【こねこねこ】さん [DVD(吹替)] 8点(2009-06-02 21:00:09) |
《改行表示》44.(たぶん)初めて観ました。それほど恐怖は感じなかった。ホラー映画と言うより、ヒューマンドラマにホラー要素があると言った印象。リンダ・ブレアの鬼気迫る演技は良かったと思う。 ただ、悪魔バズズがなぜリーガンに取り憑いたのかが全く分からなかった。その点はオーメンは分かりやすい。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-04-30 00:55:00) |
《改行表示》43.単なるホラー映画として見るよりもヒューマンドラマの中にホラー要素が あると思って見るとなかなか見応えがある。悪魔祓いの結末はかなり衝撃的。 女の子の演技力はズバ抜けてるのにこの後は出演作に恵まれなかったようで残念。。 【映画大好きっ子】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-16 01:17:35) |
《改行表示》42.ホラー映画としてはドロドロさも少なめで見慣れた人には物足りないかも。 ラストの結末は「まさかこんな終わり方とは!」と驚いた。 音楽、映像とも 古さを感じさせないホラー映画の名作。 【Jane.Y】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-01-27 08:11:55) |
41.最近のホラーにあるようなスプラッターとかグロ的なものはないけれども、再現ドラマを見ているようなリアリティがあって、はっきり言ってめちゃめちゃ怖かったです。 【憲玉】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-10-22 01:27:51) |
《改行表示》40.エクソシストの恐怖は映画館で見た再放映のCMから始まった。 ホラー独特の曲調で煽りつつ、「もう辞めてくれ!!」と叫びたくなる様なチカチカした目に焼きつくCM。 DVDの特典に入っている「フラッシュ」ってヤツだ。 初めて見た時は異様に長く感じたが、改めて見てみるとフラッシュシーンが1分しかなく、思ったより短い。 しかし、気が狂いそうになるほど怖く、そして長く感じたのは今の所このCMしかない。 内容の方もCMに劣らず印象に残るシーンが非常に多い。 個々のエピソードを元に一本作れる(実際パクられて数多く作られている)位のネタが満載で、 全体的に格調高く、オカルトゴシック映画の中では今でも最高傑作だと思っています。 特にリンダ・ブレアの演技や例の音楽など…何度見ても、何度聞いても飽きません。 本編だけでも感じますが、DVD特別版の特典を見ると異常なほど作り込まれているのが解ります。 個人的にはディレクターズカット版に追加されている、狙いすぎて不自然なスパイダーウォークなど必要ありません。 当時の編集は正しかったと思います。 【oO KIM Oo】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-09-13 12:06:26) |
《改行表示》39.遠い昔に見たので記憶が曖昧ですが、「ただのホラーではない」と 思ったことは覚えています。 怖さ云々よりも、信仰と不信と弱さの間で揺れ動くカラス神父の葛藤が 心に残りました。 蛇足ですが、原作がかなりの傑作です。(TV) 【なみこ】さん 8点(2004-08-31 23:45:34) |