4.《ネタバレ》 原作のあまりの強烈さに打ちのめされた後に本作を見ました。
小説の映画化作品を先に原作を見てしまうと映画にがっかりすることが多いのですが、本作はうまく原作を映像化して時間も120分に収めることに成功できた例だと思います。
シュウジとエリの思いである「誰かとつながりたい」「殺して欲しい」を描く上で、シュウジ、エリ、宮原(兄)にスポットを当ててまわりの人間関係の表現はかなり思いきって省略をしたのですが、なかなかうまい処理だと思いました。
また、彼らをそこまでも追い詰めた運命の数々も表現を抑制した結果、原作にあった強烈さよりも悲しみの表現を深めてくれています。
それに見ていて私の神経が耐えられる範囲だったと思います。
10代の子供にこのような運命を背負わせたのは、大人のせいでした。本作は子供の心が壊れたことが原因でしたが、運命が壊れる原因は事故のようなものでもありえることです。
幸せを失う恐怖、将来を失うという絶望、それらを突きつけている本作にはずいぶん考えさせられました。キャスティングについてもかなりイメージにぴったりで、特にトヨエツはこのような影のある役柄をやると本当にすごく光りますね。
それにカメラワークというか構図もセンスがあるなと思いました。見てよかったです。