《改行表示》60.《ネタバレ》 実話。歴史。戦争。冷戦。ソ連。東ドイツ。スパイ。こーゆーキーワードがセットになった映画はなかなか見る気がおきません。しかも長尺。いつもだったらスルーなんですが、スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスの組み合わせに惹かれて見ちゃいました。 やっぱりというかさすがというか、ちゃんと映画になっていました。 ただ事実を淡々と羅列しただけの作品ではなかったです。そこには人の感情があり、生活があり、危機がありました。緊張感と感動を感じられる作品でした。こーゆーストーリーを事実を捻じ曲げることなく、誰が見ても面白いものと感じられる水準にまで高めているのが素晴らしいです。 会社からの命令でソ連のスパイの弁護をさせられることに。アメリカ中を敵にまわす、まさに最大の貧乏クジをひかされたジム。しかし最後にはアメリカの敵からアメリカの英雄へ。アメリカの英雄は言い過ぎかもしれませんが、少なくとも人々の評価は大きく変わったわけです。列車での人々の視線のビフォー・アフターが良い。ちょっとしたカタルシスを感じることができます。 奥さんも良かったですね。急にイギリスに行くことになったと言う夫に対し、何かを感じ取る妻が、無事に帰ってくると約束してというシーンがとても好きです。 また、本題とは関係ありませんが、『あ、多分石が投げ込まれるな』って雰囲気ですぐにわかっちゃったシーンで、石どころか銃が撃ち込まれたのにはびびりました。これも実際にあったエピソードなのでしょうか。嫌がらせで銃を撃ち込む。やはり銃社会が容認されている国は恐ろしいですね。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-12-28 05:37:10) |
《改行表示》59.保険会社がクライアントであれば冷徹に被害者を人数ではなく事件の件数で片づける。 アベルというソ連スパイがクライアントになればその最善策を講じる。 仕事人間として最高である。 家族も理解ある古き良き家族像で、理想のアメリカだったのではないでしょうか。 色がほとんどない寒々しい東ドイツ、ロシアの描き方と西側、アメリカの色合いなどにも目が行きました。いい比例だったと思います。 トム・ハンクスはさすがのアメリカのおやじ、でした。疲れ切って2階にいるシーンも印象的でした。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-07-23 13:08:15) (良:1票) |
《改行表示》58.《ネタバレ》 主人公をアメリカの良心として政権批判やナショナリズム批判するあたりはハリウッドの共和党嫌いを感じさせる。とは言っても、アメリカが世界の正義である事は変わりはなく、東西の描き方は過剰なまでに対照的に描かれる(実際にそうだったのかもしれないが)。「塀の乗り越え」対比の演出もあざとい印象を受けるが、こういうわかりやすさも「自由と平和のすばらしさ」のアピール上、必要悪と考えるべきなのだろうか。 冷戦時代の国際政治の歴史を題材とした娯楽作品としては出来は悪くはないので、若い人が色々と考えるきっかけになるのであれば、こういう作品にも価値はあるのかもしれない。尚、主人公の弁護士はニュルンベルク裁判で検事をやったそうなので、この点をどう評価すべきなのか?という課題は残る。決して人権派ではないだろうし、所謂「正義感」の塊などではなく、単なる仕事として粛々と任務を遂行しただけなのかもしれない。その辺の心情変化や葛藤等も描写されていると、人間ドラマとして面白くなったと思う。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-14 04:25:53) (良:1票) |
《改行表示》57.”映画”らしい作品。さすがスピルバーグ、ということか。 全体的に多少間延びした感じが漂う。それを風格ととるか、退屈ととるか、評価が分かれる可能性がある。そういう意味では、玄人受け、ということか。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-08-08 22:57:07) |
《改行表示》56.コーエン兄弟にスピルバーグ、名優トムハンクスと内外から豪華な作品。 らしさがよく出ていてスパイものだけどド派手さは無く、冷戦時代ならではの駆け引きが見所。 飽きさせない展開と実話が調和してバランスが良い。 スパイアクションのほうが好みだがたまにはヒューマンドラマに寄ったスパイ映画も悪くない。 |
《改行表示》55.《ネタバレ》 冒頭に"based on"ではなく"inspired by"とあったので、ほぼフィクションなのかと思って観てました。鑑賞後に確認したら、裁判結果も2対1の交換に成功したのも事実だったんですね。ということは、結果以外の交渉過程がほぼフィクションということなのかな? まあ国家機密に当たることなので もちろん暴露することなど出来ないし、制作陣も元から知らないってことでしょう。 で、これも当たり前だけど、ソ連と東独はひたすら悪く描かれる。米国側の暗部も一応描かれているけど まあ全体的には「米国は正義」ってなっちゃいますよね、そりゃ。 この事件自体を知られたこと、また俳優陣の良演技で 満足感は得られました。(ドイツ語・ロシア語?部分が全く字幕なしだったのはちょっと不満) 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-22 09:56:57) |
54.冷戦下の息詰まるスパイ戦、実話ならではの緊張感が伝わってきます。その時の状況次第でコロコロ変わるのが民意というものなんでしょうが、ダブルスタンダードによるご都合主義に陥らない主人公の信念と行動が眩し過ぎます。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-04 23:50:23) |
《改行表示》53.最初の方でトム・ハンクス演じる主人公が、5人ハネたって1件は1件だ、とか言ってて、このセリフがあまりにもストレートに後半の展開に繋がるもんで、正直ちょっとどうかとも思うのですが、ある種、このストレートさがこの主人公のキャラクターの一部でもあるワケで。弁護士として優秀なのかどうかはワカランこの人、しかももともと保険関係を担当してたことからすると、それこそトンデモない世界へと足を踏み込んでいくことなる。スパイが一般人に紛れているのとは反対に、一般人がわけもわからないままスパイの世界に紛れ込んでしまったような不安の中、最後に頼りになる(かもしれない)のは、この人のストレートな一本気。 クライマックス、闇に包まれた橋が光に滲む。『宇宙戦争』も闇と光の映画だったけど、そういう派手さはなくって、都合3名の「人質」交換がひっそりと行われるのみ。その事実は闇に溶け込んでいく。 と、映画の方もひっそりと終わってもよかったのかも知れないけれど、蛇足めいたエピソードが続いて、でもこれが、蛇足と切り捨てるにはもったいない絶妙のユーモア、後味のよさに繋がってます。中盤、周りから白い目で見られた(ような気がする)電車の中で、今度は称賛の眼差しを浴びる(ような気がする)。これらのシーンの間には、夜の車窓から虐殺を目の当たりにした、暗い夜の列車のシーンがあって、だからこそラストの明るさが印象的、なんですな。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-03 20:54:09) (良:1票) |
《改行表示》52.《ネタバレ》 ベルリンの壁を乗り越えようとして撃たれるシーンと、最後にアメリカの子供たちが近所の塀を乗り越える平和なシーンの対比が、戦争がいかに民衆の生活を犠牲にするかを物語っているように感じた。 ルドルフが、何があっても淡々と、平然としているところは、さすがプロのスパイ。心配していないのか?と聞かれても「それが訳に立つか?」と。確かに多くの場合、くよくよ悩んだり心配する事は、事態の解決には結びつかない。そして殴られても立ち上がる「ストイキー」な男・・・ドンパチや筋肉ムキムキのアクション映画ではないが、男の強さとは、という事を考えさせられた。 【チェブ大王】さん [地上波(字幕)] 8点(2019-03-30 15:47:13) |
《改行表示》51.深刻で緊迫した話を期待していたのですが、一貫して軽い感じで描かれています。「シンドラーのリスト」というより、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に近い感じ。いかにもアメリカ人の正義の象徴、という印象のトム・ハンクスによるワンマンショーの様相です。 ではつまらないかといえばそうでもなくて、あっという間に時間が過ぎていました。監督がいいのか脚本がいいのかはわかりませんが、こういうノウハウはさすがだなぁと思います。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-03-23 02:53:55) |
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《改行表示》50.アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。 敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。 太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。 橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。 そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。 そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-05 14:57:01) |
《改行表示》49.《ネタバレ》 さすが大物監督だけあって、いつものことながら画が重厚で時代考証も怠り無い。旧東ベルリンの光景などはセットとは思えないリアリティで、これもまた「スピルバーグ謹製」の信頼感は揺るがない。ああ、映画を観た!という充足感を常に提供し続けるのだから、やっぱりスゴイ人であろう。 ただお話はちょっと舞台セット負けの感がある。 常連のトム・ハンクスは安定の演技力で、こちらを不安にさせることはないのだけど、脚本が実在の弁護士その人の考えに迫り足りない感じです。 旧ソ連と東ドイツを相手に一人で、しかも米国政府の後ろ盾の無い「民間人」としての立場で交渉に臨むのである。こりゃ不安ですよ、普通。よっぽどの戦略家であるか、交渉の切り札を持っているか。いつその手管が炸裂するかと期待したけど、なんかトム・ハンクスは一貫して頑なに「二人対一人」の交換を言い続けるだけなのだった。これでは巧みな交渉術というより、頑固者である。 「もっと何かあるはず」と観続けて、結局何も無かったという、ちょっと肩透かしの展開でありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-16 13:39:10) (良:1票) |
《改行表示》48.《ネタバレ》 このレビューを投稿する時点で、平均7.22点という高得点にもかかわらず、10点を付けている人がゼロという事実がすべてを物語っているように思う。不出来な映画ではない。ストーリーは適度の屈曲を混ぜ込んで織られているし、トム・ハンクスをはじめ俳優陣も好演している。見て損したという気にもならない。演出にも破綻はない。 なのだけれども、では突き抜けた満足感があったかと聞かれれば、「No」と答えざるをえない。そこそこ面白い映画、そこそこ満足する映画、そんなところが当てはまる感じだ。そう感じてしまう原因の一つは、どこまでいっても結局は「アメリカ万歳」という限界にある。たしかに裁判のシーンでは感情的に暴言を吐くアメリカ人が描かれ、地下鉄のなかではドノヴァンを短絡的に睨みつけるアメリカ人が描かれている。けれども、そうしたつくり方も計算されたアリバイなのだ。 善なるアメリカと悪なるソ連。ヒューマニズムをどこまでも貫くのはアメリカ人。多少アメリカのネガな部分が散らしてあっても、行きつくところはやっぱ、そこかという印象が拭えない。そして、それは本作の限界であると同時に、アカデミー賞の好みの限界でもあるように思う。 【delft-Q】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-09-24 23:10:16) |
《改行表示》47.《ネタバレ》 交渉の達人がソ連のスパイの弁護士を引き受ける。理論武装した口八丁の人間は好きではないが、味方にすれば頼りになるタイプ。 1対1の人質交換を2対1にした手腕は、失敗すれば責任を取りきれないようなとんでもないリスクを背負ってのことだったので、余計に光った。 「心配じゃないのか?」と聞かれる度に「それが役立つのか?」と超然としている老スパイの言葉が耳に残る。どれだけの修羅場を潜り抜ければああいう言葉が吐けるのだろう。 実話の基づく映画は、事実に偏りすぎれば散漫で淡々としたものになったり、フィクションを入れすぎれば実話の意味が薄れたりするけれど、この映画はその辺りのバランスがよく面白かった。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-09-01 22:06:34) (良:1票) |
《改行表示》46.《ネタバレ》 ドノバンの自宅に銃弾が撃ち込まれた際、彼を詰る警官に向かって「自分の仕事をしろ」と一喝する姿に、自分の職責は感情抜きで果たす意志を持つ人物であり、アベルにも共通するところで、二人の心が通い合うのも理解できます。米、東独、ソ連の交渉の綾を見たかったのでハッピーエンドにも物足りなさを感じました。 自分の身を案じてくれる「(死の)不安は感じないのか?」の問いかけに対するアベルの「役に立つか?」いう台詞。 私の心の支えとなっています。映画は生きる糧の一つなのです。 |
45.カメラ、照明、美術なんかは、もうまさに安定のスピルバーグで、画面の構成を見ているだけで140分がまったく退屈しない。加えて、そこに存在するだけで場の空気感まで変えてしまうマーク・ライランスの名演も見事(後半ほとんど登場しないのが残念ですが、話の構造上仕方ないか)。なんだけどそれでもなぜか食い足りない印象が残ってしまうのは、高水準の、そして手際の良い再現ではあっても、その中で登場人物があまり動いてないというか、呼吸してないんです。演出側の計算は全部反映しているんだけど、その計算の範囲からまったく外れていないというか・・・。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-06-23 01:47:54) |
《改行表示》44.《ネタバレ》 ソ連、東ドイツとの交渉、その後のキューバとの交渉においても、相手側がジェームズ・ ドノバンという人物を信頼できる人物と認めたため、交渉が成立した。 ソ連、東ドイツ、キューバがなぜ、ジェームズ・ドノバンを信頼したかについて、 アメリカ国民の反感に臆せずアベルの弁護を続けた様を映し、説明した映画です。 交渉において、相手がその人を信頼することが大事。 映画としては、もう少しドラマ性を持たせても良かったかもしれないが、 本作のように、淡々と映すやりかたも悪くない。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-05-03 11:20:18) |
43.《ネタバレ》 うーん、スピルバーグ&トム・ハンクスのコンビにしてはかなり平凡な出来の映画としか言いようがないんです。史実を淡々と追ったストーリーですけど、コーエン兄弟が参加したとは思えないひねりの脚本じゃないでしょうか。ハンクスが、事故の対象者を限定させて会社の利益を守っていた損保専門の弁護士なのにスパイ交換とは無関係の学生の釈放を東独と交渉することになる皮肉や、あまりに違いすぎるソ連と米国のスパイ容疑者に対する扱いなど、ストーリーテリング上の工夫は確かにうかがえますけどね。考えてみるとスパイ交換は米ソの政府が決めたことで、コートを盗まれたり東独の警察に一晩泊められたリの苦労はあったとしても、ハンクスがベルリンでしたことは単なる政府・CIAの代理人(あくまでパワーズの釈放に限ってですけど)としか見えなくて、彼の交渉術のどこが優れていたのかは判りにくかったです。でもオスカーを受賞したマーク・ライランスの演技だけは確かに良かったと言えます。彼の淡々として全編にわたって表情を変えない演技は、顔が似ているというわけじゃないけどなぜか國村準が思い出されてしょうがなかったです。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-21 21:59:44) (良:1票) |
42.《ネタバレ》 約5ヶ月ぶり2度目観賞。ラストの橋上での人質交換に向けて物語が進む。互いに言い分を主張し、大国同士の威信を賭けた交渉は難航。トム・ハンクス好演の国境をまたいで奔走する重厚な米弁護士と、米アカデミー助演男優賞受賞のマーク・ライランス名演の誠実なソ連スパイ容疑者。「不安か?」「役に立つか?」。最終盤でもつれた糸を解いたのは二人の信頼関係。不調の今年前半で、唯一の傑作。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-02-12 04:26:47) |
41.《ネタバレ》 亡命であったり祖国から逃げられることの国にとってのデメリットが分かった気がします。しかし、ソ連がなくなり、ベルリンの壁が崩壊した時代に生きているのはすごいことですよね。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-17 23:26:25) |