119.《ネタバレ》 馬上槍試合にて、敵を倒すと同時に槍が砕け散るシーンの迫力が凄い。
もう、それだけでも(観て良かったなぁ……)と思えたくらいでしたね。
平民の主人公が貴族達を次々に倒していくというストーリーも、非常に分かり易くて、好印象。
普通の歴史物なら首を傾げたくなるような「リアリティの無い場面」があっても、本作に関してはあんまり気にならないって点も、大きな長所だと思います。
なんせ冒頭にて「中世の人々が、二十世紀のバンドであるクィーンの曲を合唱している」という奇抜なシーンを挟んでいるくらいですからね。
それによって「時代考証云々と五月蠅く言うようなタイプの映画じゃないよ」という作り手側のメッセージが伝わって来た為、リラックスして楽しむ事が出来ました。
特訓シーンも全然辛そうじゃなくて、仲間達と一緒に遊んでいるようにしか見えないくらい、明るく楽しそうに描いているというのも、この映画らしい特色。
如何にも「高嶺の花」といった感じのヒロインに、とことん嫌味で憎まれ役なライバルが出てくる辺りも、単純明快な魅力がありましたね。
後者に関しては、主人公のウィリアムが金髪の美男子であるのに対し、ライバルとなるアダマーは黒髪の優男ってルックスな辺りが(日本の作品とは逆だなぁ……)と思えたりもして、興味深かったです。
父子の再会シーンも感動的に仕上がっているし「We Will Rock You」を聴いたら「We Are the Champions」も聴きたくなったなと思っていたら、最後にしっかり後者を流してくれる辺りも、嬉しい限り。
どちらの歌詞も映画の内容と合っていましたし、素晴らしい主題歌の存在が、映画の面白さを何倍にも高めてくれていた気がします。
で、難点としては……そんなエンディング曲の後に挟まれる「オナラの大きさを競う勝負」にドン引きしちゃったと、その事が挙げられそう。
いくらなんでも下品過ぎると思うし、折角クィーンの曲で感動していたのに水を差される形になっており、非常に残念でした。
主人公の仲間が口にする「私の小説に登場させ、最低のクズとして描写してやる」って脅し文句は格好悪いとか、愛を証明する為に試合に負けるよう要求するヒロインには魅力を感じなかったとか、他にも細かい不満点は色々あったんだけど、それら全てを忘れさせるだけの威力が、クィーンの曲にあった訳ですからね。
折角「エンディング曲による感動」で映画本編の不満点を忘れさせてくれたのに、その後また「オマケ映像」で感動を台無しにしちゃうという、二重の上書き感があって、凄く勿体無い。
ちなみに、地上波放送版では上述のオマケ部分がカットされている代わりに、クィーンの曲もフルでは流れないという仕様みたいで、本当に痛し痒しですね。
せめて、もっと無難な内容のオマケであったならば「好きな映画」と言えそうだっただけに、惜しくなる一品でした。