6.かつては有能な外交官だった。野望を持ちながらも紳士然としている。しかし孤独な盲目の男と、
かつてはロシアの由緒正しき家柄出身の元伯爵夫人、今は上海でタクシーダンサーで生計を立てる女。
1930年代、戦火が目前に迫った上海で、それぞれの過去を手放して生きる2人が出会うロマンス。
レイフ・ファインズはこういう役が本当に良くはまるし、
ナターシャ・リチャードソンも同じく。本作の数年後には若くしてこの世を去ってしまったのが惜しまれます。
関東軍の思惑で暗躍していたのであろう日本人、マツダをスマートに演じた真田も印象的。
アメリカ、ヨーロッパの列強に日本。それぞれの思惑が入り乱れる当時の上海の雰囲気がよく出ていたし、
主要キャストもこの時代のこの世界観にうまく溶け込んでいます。中盤以降、急速に時代が風雲急を告げる。
混乱する上海で、押し寄せる戦争の時代の荒波にもまれるそれぞれの人生ドラマはなかなかの見ごたえがある作品です。