10.群衆心理の浅はかさを描いた起承転結は職人監督らしい造りですが、手堅過ぎて大佐(ウォルター・ブレナン)同様に醒めた目で眺めている自分でありました。ただ、エドワード・アーノルドの貫禄たっぷりでのゲジゲジ野郎振りが通常運転で遺憾なく発揮されており、血圧300位にさせられた雨中の集会シーンだけは心に残ります。 |
9.多少お説教くさい気はしないでもないが悪くない。ジョン・ドーに込められたキャプラの思いが伝わってくる。隣人愛と言葉にしてしまえばきれいごとになってしまうが実践はとても意義あるものだと思う。彼を純粋に支援する人たちの心に感動を覚えるし、何と言ってもラストが感動的だった。それにしてもエドワード・アーノルドの悪役ぶりには恐れ入る。キャプラの映画には欠かせない人だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-12-03 22:52:32) |
《改行表示》8.娯楽映画ながらも、「スミス都へ行く」にも通ずる社会派ドラマの要素も含んだ作品。 思わぬ展開を見せるシナリオの出来はもちろん、アイデアが抜群に面白い。 多少オーバーぎみなお話の流れも、テーマが非常にいいので、あまり気にはならなかった。 主人公役の男優さんもいいが、女性記者役の女優さんがとても美しく、理屈抜きで楽しめる逸品。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-06-07 11:49:27) |
7.いきなりとある新聞社のプレートが外されるシーンから始まり、社員が次々とジェスチャーでもってクビを宣告され、宣告された一人の女性が上役にかけあい懇願し落胆し憤慨するその傍らで、その間中新たなネームをドアに書き入れる職人が邪魔に邪魔され続ける様の流れるような見せ方が実にスムーズで且つ面白い。キャプラの楽しい映画が始まる。しかし思いっきりコメディな冒頭部から徐々に社会派色が色濃くなってゆく。それでも男が群衆に祭り上げられてゆく展開そのものはコメディそのものだし、随所にユーモアを散りばめた演出もあって傑作の臭いまで漂ってきたのだけど、終盤はえらくブラックな展開が待ち受けており、社会派は残ったままコメディは消え去り重く暗いヒューマンドラマで締めくくる。重い暗いと言ってもそれがダメなんじゃなくてむしろ群衆にバッシングされるシーンの雨の中の孤立無援ぶりの凄まじさは強烈な画として印象深くすごくいいと思う。ただ、最後の最後。感動的なのはいいのだが、その重さ暗さをひきずってるのがどうも。なんとか笑ってお終いにしてほしかった。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-11 17:21:23) |
6.キャプラの映画は好きですが、これはどうも理屈先行で作られた「頭でっかち」の映画という印象が否めません。架空の理想の人物に人々の支持が殺到し、そのギャップから一度は転落するも、最後は大衆の支持で救われる、と絵にかいたようなキャプラ的展開ですが、この映画の場合、ジョン・ドゥーに熱狂的支持が集まる理由も、最後に再び支持される理由も伝わってきません。「大衆はマスコミに扇動される」とア・プリオリに決められているような描き方ですね。当時に身を置いていれば、また違うのかもしれませんが、リアリティが感じられません。新聞社の経営者が代わったくだりの描き方や、クーパーの役を野球選手と設定して、シャドープレイで暇つぶしをしているシーンなどは味わいがあってよかったんですがねぇ。 【satoshi】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-08-21 13:24:34) |
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5.フランク・キャプラらしい、善良な作品ですが、主人公自身も悪い事をしてるという気持ちから迷いがありました。 【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-03-13 00:05:27) |
4.虚構が大衆を騙し、権力者達の私腹を肥やす。またその虚構が一人の男と真に理解のある大衆を奮い立たせ、権力者達の脅威となる。なんとも面白い話でした。 【maemae】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-22 10:22:54) |
《改行表示》3.見応えたっぷり、キャプラ・ワールド全開、怒涛の傑作群の中でも印象深い作品で、 映画を観ているこっち側にどんどんボールを投げ込んでくる。時には流されたり見過ごしたり、それでも心にそれぞれの"ジョン・ドー"を抱え、絶対に譲れないところで勝負する。僕たちが生きることの諦めちゃいけないって普遍の魂、そう感じます。 苦悩するゲーリー・クーパー、美しく、演技めちゃめちゃ巧いバーバラ・スタンウィック、そしてキャプラ作品の常連、エドワード・アーノルド。配役も見事。 【よし坊】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-07-01 20:41:22) |
2.ううーん、僕は「素晴らしき哉、人生!」でフランク・キャプラにぞっこんLOVE(←死語。というより、古語)してしまったクチなのですが、この作品は、ちょっとひねりすぎではないかなー、と思ってしまった。女性新聞記者の意図がいまいち掴みづらかった感じがしたし(後から分かってきたけど)、ちょっと設定が無茶すぎる感じがしました。「隣人愛」がテーマっていうのはいいんですけどね(もし今、キャプラが生きていたら、どんな映画を作るんでしょうね。ちょっと興味があります)。(6点)<2005.6.3追記>最近観直したのだけれど、これって実は「恐い」映画だ。恐くて、危うくて、過激で、挑戦的。多分、前に僕が観た時に感じた違和感は「素晴らしき哉、人生!」的なものを期待してたというのと、あとこの作品の中の「善意」というものの描かれ方にあったのだと思う。思うに人の「善意」というものほど当てにならなくて脆いものはない。それにその善意が純粋であればあるほど「狂気」や「暴力性」に転化する(特にムーブメントと結びついた時には良くない方向に進む事も少なくない、というのは、例えば宗教の歴史や一部の市民運動などを見れば明らかだ)。そういう意味で善意は悪意より厄介なものかもしれない。しかし!絶望的な中、主人公のジョン(すなわちキャプラ)は訴える。確かに世の中は腐ってる、かもしれない。人間なんて弱いし愚かだし、キレイゴトで片付かない問題だってあるよそりゃあ。んでもさ、そこで安易にニヒリズムに陥っちゃったってしょーがないじゃん。このまま負けを認めたってつまんないじゃん。てか、ささやかな善意すら信じられなくなっちゃったら、そもそも生きる値打ちなんてないじゃん。だから、も一回信じてみようじゃないか!と(←こういう台詞がある訳ではなく、あくまで僕にはそう聞こえた、という事です)。そういえば、貧しい移民の子であったキャプラは若い頃、詐欺師とまではいかないまでもそれに近い事もやっていて、映画界に入る時も、最初は監督としての契約金だけ貰ってトンズラするつもりだったらしい。それが後年人間の善性を訴える作品を次々と生み出す事になるのだから、ある意味ジョン・ドーはキャプラ自身なのかもしれないな、と思う。「素晴らしき~」ほど知られてないけど、これはまさに「裏・素晴らしき哉、人生!」。皆様是非是非観てみて下さいませませ。 【ぐるぐる】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-03 19:53:07) |
1.マスコミがでっち上げた偶像であり、人々の感動を誘った"一般市民ジョン・ドー"。その大衆の偶像である彼を演じるゲイリー・クーパーの素晴らしい名演技を堪能することが出来る一作。ただ、一番問題なのは当時の時代背景が理解できないせいか、今が平和すぎるせいかは分からないが、"ジョン・ドー"に共感と感銘を覚える一般市民の心情が理解できないことと、そのためかストーリーが強引に感じてしまうこと。 【A.O.D】さん 7点(2005-01-28 19:11:36) |