79.映画の冒頭、カメラが捉えるのは線路脇に建てられた小さな十字架群。 日本映画『ビルマの竪琴』が日本人犠牲者のみを弔うように、英米映画『戦場にかける橋』が悼むのは、当然ながら欧米人犠牲者のみである。 元来がこの泰緬鉄道自体英国の計画なのだから、日本も英国も同じ穴のムジナでしかないのだが。 この悪名高い突貫工事に従事させられ最も犠牲となったのは、日本軍・連合軍捕虜以上にタイ・ミャンマー・マレーシア・インドネシアの膨大な労働者達だが、「自惚れ鏡」たるフィクション映画にそれを描く義務など当然ないし、それを描写しないから駄目な映画であるとも限らない。 が、観る側が戦争の具体的イメージを欠落させている限りフィクション映画は一面で有効な「汚点隠し」あるいは「責任回避」としても機能してしまうのも確かだろう。 日本国側にとっては「理性的」戦争犯罪行為を、英国側にとっては元来の「理性的」植民地政策を。映画は案の定、口当たりの良い「madness」へと一般化し、その免罪符と共にラストの俯瞰の視点へと逃げ込む。 この映画が小状況としての日英の友好を描こうとしたとしても、両軍が橋の建造を「協働」する具体的な画面はほぼ絶無といって良い。あるのは協力しあったという意味・記号だけだ。それは映画ではない。 ウィリアム・ホールデンらに随行するのが現地の娘たちであることには故がある。 現地男性の不在。その見えない部分にこそ、この映画の題材の本質的問題性がある。 だからこそ、「不可視」の戦争論は、映画論とは区別しなければならない。 強いてこの映画で「戦争の虚しさ」なるものを突きつけるシーンを挙げるなら、爆破工作員らがあっけなく射殺されるのを、彼らに好意を抱いていた現地女性たちが目撃する2つのカットである。 【ユーカラ】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-04-30 19:23:57) |
78.勇気という言葉に酔いしれているウィルソン大佐、というウィリアムホールデンの言葉が最も印象に残った。まさにその通りで、彼の行動を賞賛する気にはまったくなれない。人間らしく生きることが一番大切だ、というウィリアムホールデンこそが人間らしく生きた人だ。奴隷にならずに軍人として生きることは大切かもしれないが、人間として生きることが一番大切なのだ。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-04-26 12:49:04) |
77.いい映画だという方が多いのはわかります。ただ今観てみるとやはりストーリーの中身の割には長いかな。 【東京ロッキー】さん [DVD(吹替)] 6点(2010-08-11 14:42:16) |
76.本当にラスト数分にすべてが集約されていて、それまでの長丁場はなんだったんだ…なんて。この監督は長尺の作品が多いですね。日本人の立場では複雑な見方をせざるをえなかったのが残念です。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 6点(2009-10-12 19:06:29) |
75.この時代は、戦争をこういう描き方をしても説得力があったのだろうか。ウォーデン達が、現地の美人にマンツーマンで世話をされてジャングルを移動するあたりも、今じゃあ、フェミニストでなくとも、鼻白む。最後のシーンは、当時としては、斬新だったのだろうけれど。 【みんな嫌い】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-17 00:02:01) |
74.ラストシーンが秀逸。正直そこまでが最高にテンポが悪く退屈すぎて仕方がないのですがラストシーンのためにあったと考えればまあ最悪ではないと思います。儚さ、虚しさをたった数分のラストシーンで描いています。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-02 19:57:22) |
73.撮影、美術、そして音楽関係の凝りようには唸らされますが、内容的には、同じようなシーンが繰り返されたり、2分で済む描写を5分ぐらいかけたりというのが続いていて、えらく長く感じました。台詞だけを聞くといろいろ緊迫した状況のはずなのに、画面全体からそのような追いつめられた空気が感じられなかったのも残念です。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-02-29 03:47:22) |
72.名作ということで予備知識なしにみて、見終わるまで非常に苦労したという印象。 大して必要もないと思われるシーンがまったりとテンポ悪く進む印象で、中だるみの一歩手前が延々続くような感じだった。しかしながらあの切ないラストはやはりすばらしかった。どうしても深読みしてしまうラストだが、本当はそれほどの意味はなかったのかも。 【Jane.Y】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-09-08 07:01:02) |
71.アレック・ギネスの名演ぶりに十分惹き付けられた。昔の戦争映画は緊張感があったのでくだらない作品が少ないので良い。 【あるまーぬ】さん [地上波(吹替)] 8点(2007-08-29 01:40:44) |
70.昔は、こういう物語として良くできた映画があったなあ、とつくづく思わされます。一応戦争映画なんですが、個人的には「組織のあり方とは何か?」ということを色々考えさせられた作品です。組織を動かすためには明確なゴールと強烈なリーダが必要で、ホールデンのような組織プレーを邪魔する者を排除してでも前に進み、誤ったゴールであることに気付きにくく、だれを敵とみなし、だれを味方とみなすのか、正しく判断するには何が必要なのか…。何度観ても答えはないのだけれど、自分が年を取るに従って、観終わった後に感じることも微妙に変わっていることが感じられ、そこがまた楽しいのです。 【かねたたき】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-08-18 15:46:51) |
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【山椒の実】さん [地上波(吹替)] 5点(2007-08-16 23:42:40) |
【甘口おすぎ】さん [地上波(吹替)] 6点(2007-03-24 22:30:03) |
67.スケール、質実ともに文句なしの名作です。でも利己的個人主義米軍少佐を演じたウィリアム・ホールデンのファンとしては、彼にこの役柄を演じさせた事は非常に納得がいきかねます。実際「サンセット大通り」「麗しのサブリナ」「ピクニック」「慕情」と50年代ハリウッドを快調に飛ばしていたホールデンが、これ以降の作品歴がどうもパッとしなくなってしまう。ホールデン凋落のきっかけになったこの大作で、純英国人デビッド・リーン監督がアレック・ギネス扮するニコルソン少佐の厳としたイギリス人気質に肩入れするのは当然として、当時女優岸恵子を公然と追い回していたという逸話を残す彼が、斎藤を通して日本人論を語りたかった理由もよくわかる。結局割りを喰ったのは報われない敵役を引き受けてしまったアメリカ人のホールデンというわけか。う~ん・・・なんだかなあ。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-03-24 13:06:46) |
【えいざっく】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-03-23 17:49:19) |
65.無意味と思えるほど反抗的な米兵。アメリカの捕虜映画は大抵こんな感じ。当然のように悪役の日本兵よりも、傲慢にも映らなくもない。まあ、日本の扱いを割り引いてみても、そこそこ楽しめる映画ではあった。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-05-16 18:35:54) |
64.名作だとは思いますが、正直言って最後まで見るのに骨が折りました。特に前半。大佐が捕虜をいたぶるシーンなど見ていてつらかったです。ナレーションもなく、淡々と進んでいくところに「大脱走」と似たような雰囲気を感じました。【ういろう】さんと同感です。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-01-09 09:21:35) |
【H.S】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-25 00:13:31) |
62."What I've done?"この一言で全てまとまっていた気がします。自らの軍の誇りと表し、必死で作り上げた橋を大佐自身の手で壊してしまうことになるとは何とも虚しいラスト!同時に戦争というものの虚しさを訴えかけているようにも思えました。 【maemae】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-19 13:07:01) |
61.これはこれでヘンテコな日本描写の連続なんだけど、不思議と『ラストサムライ』の時のような不快感はなかった。日英両国のプライドをかけて建造させた橋があっという間に爆破されてしまうこの虚しさ。一般市民や兵士をやたらと殺しまくるだけが戦争映画ではないと教えてくれた、貴重な作品です。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-22 21:20:52) |
【すごろく】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-04-24 02:22:48) |