2.第二次世界大戦末期、ベルリン墜落に至るヒトラー最後の時間を映像化した作品。
今作のタイトルからはヒトラー1人の生き様だけを描いたように連想されますが、
内容はヒトラーによって人生を破壊された被害者達を丁寧に描き、
戦争の無意味さと命の価値を問う素晴らしい内容でもありました。
その事を踏まえた上で、ヒトラーという狂気が、何百、何千万の死者を生み、
半世紀を超えても尚、哀しみを刻み続ける点にも重きを置いた価値ある作品だと思います。
同時に、この映画は、今一度改めて世界は狂気を知るべきだと提唱しているようにも感じました。
私自身はポーランドにあるアウシュビッツ、
チェコでは世界初のナチスによる絶滅収容所へ行き、心が凍る地を感じてきました。
そして、ドイツで出逢った20代のドイツ人青年の「過去を恥じる」と語った言葉から、
戦後60年以上経ち、ヒトラーによってどれだけ多くの人が苦しんだか胸が詰まった思い出があります。
この映画を見た後、ドイツ人青年のその時の何とも言えない寂しい表情を思い起こしました...。
1945年、第二次世界大戦末期のドイツを余す事無く繊細に描き切っているリアルな映像と、
すぐ目の前で息づかいが伝わって来るようなキャストの演技力にも驚かされます。
ワイツゼッカー元独大統領の言葉にもある「過去を思い起こす事が平和を作り出す」の意味を、この映画は見事になし得てもいます。
評価は文句無しの満点を付けさせて頂きます。