4.ヒロイン、シャーロット(ユマ・サーマン)は“なにも企んでません”といったキョトンとした顔のときに、かえってすごく怪しく見える。ヘンリー・ジェイムズの世界って、いつもアメリカとヨーロッパがお互いを探り合っているような関係が底にあり、本作でもイタリア男に代表されるヨーロッパがアメリカを手玉にとってるようでもあり、真実手玉にとったのはアメリカの父娘だったようでもあり、結局したたかだったのは誰でしょう、ってナゾナゾみたくなる。ヨーロッパを発つときに精一杯の見得を切る弱さもあれば、新聞に載る写真では生き生きと輝いている強さもあって、何重もの屈折が仕組まれているよう。企みを秘めた社交って設定、あっちの人は好きね。