2. 物語の前半部にて語られる
「何時か僕が年上になってやる」
「彼女は町一番の美人だった」
「貴方が必要なものは、特製のヘアカラーです」
等の何気ない台詞の数々が、後半にて伏線となっているのが、実に見事。
レイ・ブラッドベリの著作といえば「霧笛」を目当てに購入した「ウは宇宙船のウ」くらしか読んでいなかったりするのですが……
本作のストーリーラインも、非常に秀逸だったと思いますね。
主人公の子供が遊園地で不気味な体験をして、自宅まで追い詰められる事になるという点では「ヘンダーランドの大冒険」の元ネタなのかも?
「後の展開の為に必要な部分だったとはいえ、前半を観ている間は、やや退屈」
「大人になった主人公の回想形式である為、最後は無事に生き延びると分かってしまう」
等の欠点もあるかも知れませんが、それらを補って余りある魅力を感じられました。
特に後者に関しては、さながら途中から主人公が交代したかのように「主人公の父親」の方にスポットが当てられており
(もしかして、主人公の身代わりとなって親父さんが死んでしまうのでは?)
とドキドキさせられるという、巧みな仕掛けが施されている形。
逆回転する木馬に乗る事によって、大人が子供に若返るという、とても幻想的でグロテスクな場面も良いですね。
程度の差こそあれど、大人なら誰しもが抱いていそうな「子供に戻りたい」という願望。
そんな願望を刺激して、心の隙間に潜り込んでいく悪魔の姿が、実に恐ろしく描かれている映画でした。