1.重い主題も含みながら、後には気持ちよい清涼感を残す一篇。
第一作の『ドウロ河』を舞台としており、その陽光に映える川岸の情景がとびきり美しい。石畳、階段通り、向い岸の街並みののどかな叙情。画面の中を渡る車、船、列車も充実している。
序盤で、主人公の少年が車の往来を間一髪ですり抜けていくシーンのどことない危うさは、密航未遂、崖から線路への転落事件へと繋がっていく。
罪悪感に囚われた少年が自分の影に追われる夜の遊戯シーン、夜中に少年が屋根伝いに少女の部屋の窓辺へと向かう一連のシーンと、夜のシーンの照明も素晴らしい。
そして、素直さから強かさまで、まるで芝居臭さを感じさせない子供たちの個性的な表情と動きが断然良い。照れ、気取り、愛嬌等々の極めて自然な表現。少年少女三人がショーウィンドー内の人形を一心に覗き込むショットなど、とても微笑ましい。
粋な雑貨屋店主もいい味を出している。