8.《ネタバレ》 とりあえずデリヘル事務所の顛末は単純に面白かった。派遣先での「ボケー!」の台詞も心に残る(笑った)。
ほか全体的なことに関しては、まずはいかにも頭の悪そうな人物が予定通り堕落していく話になっている。部外者としては目を逸らして見なかったことにするだけの相手であり(こっち見るな!)、おれは関係ない、で終わりである。
また途中で頭のいい人物が出て来て深淵な哲学を語りそうな雰囲気だったので、これは自分などの理解を絶した世界かと思っていたが、実際は普通の言葉でわりと簡単に説明できそうなことを難しくしただけで、結局最後は誰でも想像できる範囲に収まった感じだった。普通に生きることが難しい境遇だったとしても、そこを何とかカバーする知性をこの人物は備えていたはずで、その点で父親の行動はまだしも理性的な範囲にとどまっていたと思われるが、こういうのは性別によっても違うと言いたいのか。
以上の2人に関しては、こうなったことにもそれなりの事情があったらしく、全てが生来の体質によるものともいえないところがあるが、少なくとも次に生まれ変わった時には別の人生が期待できるわけで、その際は例えば修行して悟りを開いて仏になることを志したりするのもいいかも知れない。
そのほか警視庁の刑事には単純に失望した。劇中には全般的に変な連中が多いが、この人物は特に職業と人格の関係、また家庭環境に関する設定が支離滅裂である。またこの映画では三者三様のヘアヌードが出て、見た目でいえば胸の大きさの違いが明らかな特徴になっているが、この人物は中庸であって個性の表現にはつながっていない。別にそんな点は評価項目にならないのでどうでもいいわけだが、頭の良し悪しと胸の大きさに負の相関関係があると主張していたのであれば問題がある。多分そんなことも言ってないだろうが。
なお個人的には、この映画を見ながら大岡越前守の逸話と伝えられる「灰になるまで」の話を思い出したりしたが、それは関係ないか。何にせよあまり深入りしたくない映画だった。