1.《ネタバレ》 美空ひばりの初主演映画てことらしいけど、これは凄い。何が凄いって?映画としての完成度や面白さ以上にまずは何と言っても美空ひばりの歌唱力の凄さ、上手さに驚かされる。とても12歳とは思えない大人顔負けの既にもうこの時から後の大物歌手としての貫禄みたいなものが見られるのが凄い。しかも、ただ歌が上手いだけでなく子供らしく演技しているのもこれまた驚きである。見た目は明らかに子供、体型は完全な子供なのに中身は大人である。しかし、それでいながら子供らしさを全く失ってないところも凄い。初めて菅井一郎と津島恵子の二人と出会う場面でのあの子供らしさ、二人に拾われる形で共に生活をしていく中で見せる表情から何まで子供なのに大人のようである。それでいて、子供らしく二人に対して接する姿などはやはり子供そのものである。津島恵子が踊るシーン、ここで歌う美空ひばりの東京ブギブギも楽しい。話が進むに連れて何だか湿っぽくなったりと不満もあるものの、そんな中でもやはり美空ひばりのあの存在感はただ者ではない。麻薬密売グループに連れ去られた津島恵子を追う時の涙、ラストの酒場でのタキシード姿に帽子、そして、映画のタイトルにある「悲しき口笛」を歌う場面などは日本版マレーネ・デートリッヒのようである。美空ひばり演じるミツコを探し求めていた兄との再会シーンでの「お兄ちゃん~~~」の絶叫、涙などは正しく子供そのものであり、これは美空ひばりの存在無くして有りえない映画と言って過言ではない。ところで、徳大寺伸と津島恵子の二人を見ていたらまた川島雄三監督の「とんかつ大将」が見たくなってしまった。そういや、美空ひばりも川島雄三監督の「お嬢さん社長」に出ていたなあ!