4.《ネタバレ》 まずは、テーマ曲のモダンさに度肝を抜かれた。続いて冒頭の横移動長回しにびっくり。なかなかすごいです。一方お話はというと、おもちゃに共感できません。男に対抗しようとして男と同じことをする。フェミニストと称する方たちが、「男女同権」を叫んで同じことを主張していました。しかしそれこそが、「世の中は男中心である」という前提に立っているのではないかと思われます。結局おもちゃは、「女には持てない、男ならではのもの」によって報復を受けるわけですが、それは男の猿真似をした報いではないかと感じました。
さて最後、一見すると芸者批判というか、こうした職業に対する問題提起をしているようですが、少なくとも本作では、そういうことでまとめていいものかどうか。梅吉が捨てられたのも、古沢本人は梅吉のためを思って離れていったのに、梅吉が未練たらしくしたという経緯があるだけに、素直に同情できません。それは芸妓ということに関係ない、男女間の問題を含んでいると思います。ですが、本作でそれが意識されたかどうかは、疑問が残ります。
ということで不満はありますが、溝口監督の演出テクニックは見ごたえがありました。