176.親の死、葬式という儀式の中での人間模様を極められた映像、語りで描写されている。 この表現力において、並ぶもの無し。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-05-15 12:29:54) |
175.《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて久しぶりに鑑賞。○60年以上も前なのに、そして戦後たった8年後の作品なのに今見ても胸打たれるのはテーマの持つ普遍性ゆえだろう。○血の繋がっていない紀子が一番親切にしてくれるという皮肉だが、この紀子が自分のことを全く良い人間だなんて思っていないところがまた良い。本当に思っていないんだろうな。だからこそ周吉から感謝を述べられ、嫁に行っても良いと言われても「私、ずるいんです」と言って涙する。○一方で周吉も周囲から見れば子供が立派に育っていると褒められるのに粗野に扱われる始末。旧友との飲み会で吐露した本音が印象的だった。その後酒を断つと言っていたのに泥酔し結果的に子供たちに迷惑をかけてしまうのが心苦しかった。○子供たちを演じた杉村春子や山村聰らは決して悪人ではない、でも少し冷たい感じが絶妙だった。○こんなテーマの多い監督だが、定期的に観たく成る作品群である。 【TOSHI】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-03-26 17:38:58) (良:2票) |
174.夫を亡くしてもなお夫の両親や親族に献身的でいい嫁を演じる原節子さんに感情移入できないのは、自らの当時の空気に寄り添う姿勢の欠如でしょうか。登場人物の人間関係を把握するのに時間がかかりましたが、それにしても長男・長女役とそれほど年も違わない笠智衆さんの老け方は見事でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-01-24 12:12:14) |
173.今回は辛口です。いい映画なのはわかるが、あまり感動はない。 というのも、登場人物たちがあまりに現実味がないから。原節子さんが筆頭。こういう日本人がいいと洗脳されるようなもの。 【mhiro】さん [地上波(邦画)] 6点(2016-01-19 06:28:27) |
172.《ネタバレ》 原節子さん死去を聞き、哀悼の意を込めて名作と名高い本作を観ました。 ほのぼのジワジワって感じの映画です。 話はゆっくり、今の映画ならば3〜5回掛け合いして次のシーンへと行くようなところでも、10分くらい割いたりします。 タイトルから想像して東京観光の話かと思ってましたが、そうでは無く東京という都会の環境が人を変える、そんなものを込めて名付けたのでしょう。 特に東京や時代を批判するわけでもなく、しょうがないことのような描き方です。 そこに好感が持てました。 【たんたかたん】さん [インターネット(字幕)] 9点(2015-12-26 10:15:27) |
171.《ネタバレ》 家族は、どういう関係にあろうが、一番身近な存在である。戦後まもない高度経済成長前の日本の家族の様子を、夫婦、実の親子、義理の娘といった関係を通して、丁寧に描いている。子供とはいえ、すでに独立して別の家庭を営んでいることもあり、肉親との関係でも、一見気を使っているが、どこかよそよそしい。実の親だからこそはっきり言えるようにも感じる。逆に、血のつながっていない義理の娘は、遠慮があるのか、むしろ、より優しさをもって親と接している。末の娘は、正直に兄や姉を批判するが、義理の姉は、年齢を重ねると悟ることとなる心境を諭す。一方で彼女は、義理の父には、複雑な自分の気持ちを正直に話もする。家族を構成する各人の思いと葛藤が、物語の進行にあわせて、少しづつ観る者の心に染み渡ってくる。深く静かな印象が心地よい。実生活をベールに包み、男たちの夢とあこがれを壊すことなく、映画の中のイメージを守り通した、原節子の女優魂に乾杯。と言う訳で、世の男達のほとんどは、結婚するならば原節子の演じたタイプの女性を夢見るだろうな。でも、現実は甘くない。運が良ければ、しかも、奇跡的な運の良さを持ってしても、せいぜい三宅邦子タイプだな。そして、ほとんどの男は杉村春子タイプと一緒になってしまう。働きもしないで太っている杉村春子タイプだな。 【パセリセージ】さん [地上波(邦画)] 10点(2015-12-12 14:19:43) |
170.原節子さんをしのんで観賞。 映画として、かなりの出来だと感じる。この世界観は普遍的なものだろう。それでも、作品の出来が良いとしても観る時の心理状態と合うかどうかが評価のポイントになってしまう。 泣けそうで泣けなかった、それが気になる。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-11-28 19:38:09) |
169.《ネタバレ》 見る人によって受取り方が違って来る映画らしいが、個人的感覚でいえば、劇中の長男・長女の対応はごく自然に見える。また次男の元妻は、いわば嫁の立場として極めて誠実に対応していたようでご苦労様だった。 この長男をはじめとした子どもらもいずれは両親と同じ立場になり、最後には老夫婦だけが家に取り残されることになるのかも知れない。現代だけでなく、この映画の時代や前近代においても跡継ぎ以外は全員家を出るのが当然だったわけで(劇中の三男もそういう感じ)、昔と今が違うとすれば跡継ぎさえも残らないことだが、それは人情の問題というより家という観念の希薄化である。老いた親を見守るためなら誰か一人が地元に残るだけでも十分であり、劇中の末娘なら適任だったかも知れない。 老夫婦としても、この境遇をまあ幸せだと納得しようとしていたようだが、ほとんどの人間にとってもこのあたりが納得のしどころではないか。次男は別として、生きている子は既にそれぞれの社会的地位や家庭を築いており、自分らの生きた証はちゃんとこの世に残っていく。決して慰めなどではなく、本当に幸せだったではないですか、と自分としてはこの老夫婦に言ってやりたい気がする。 なお次男の元妻に関しては、いくら昔の人とはいえ作り笑いが過ぎるのではと思いながら見ていたが、最後になって本音を言ってもらえたのはよかった。 ところで末娘は可愛らしく見えるので女学生かと思ったら教員とのことで、道で会った児童は頭を下げて挨拶し、教室での様子を見てもきりっとした立派な先生である。しかし社会的にはそういう立場でありながら、兄から見れば子ども扱いなのか大事な家族会議にも入れてもらえず、また姉からは小間使いのように使われていた。古い家族観が崩壊すればこういう理不尽な扱いもなくなるのかも知れない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-08-03 23:58:11) |
168.《ネタバレ》 あのラストは、京子と紀子の会話から含めて印象的なのです。京子は、とみの死後に見せたしげたちの言動に嫌気をさします。実母が亡くなった直後というのに、あれやこれやと無遠慮に形見を欲しがったり、さっさと帰路についたりして、なんと薄情なのだと、なんと無頓着なのだと嘆くのです。しかし、紀子は、そのしげたちの言動に対しフォローを入れます。「大人って、だんだん親から離れていくものじゃないかしら」。大切なはずの人を亡くしてもすぐに割り切るしげたちの言動を、紀子は肯定して、京子をなだめるのです。この、紀子が年下の京子をなだめる姿は、一見、大人の強かさが現れているようにも映ります。しかし、親の死の無頓着を否定しなかった紀子自身も、未だ亡き夫の死を引きずって生きているわけです。夫の死に無頓着になりつつある自分に、罪悪感を抱いていました。京子にはあんなことを言ったのに、自分の場合は「大人って、だんだん夫の死から離れていくものじゃないかしら」と割り切れないずるい自分。親の死の無頓着を肯定しても、夫の死の無頓着は否定したい紀子。そんな彼女に、亡き夫の「親」である周吉が、その無頓着を肯定するのです。新しい男(ひと)を見つけてもええよ、と。そして、亡き妻の形見を、血縁でもない紀子に無頓着に授けます。そうして、夫の死の呪縛から開放された紀子の涙。これが、感謝と安堵に満ち溢れていて、感動的なのです。 【Jar_harmony】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-05-11 03:51:43) (良:3票) |
167.もっともっと期待してたけど、21世紀の今これが公開したと考えてみるとまぁこんな感じかな。 |
|
166.《ネタバレ》 昔の映画だし、やっぱり地味な印象を受けるのは致し方ない。が、戦後間もない当時の日本を描いた内容は、現在の日本にも大いに通じるところがありある意味何か普遍的なものを感じます。海外での評価の高さも伺えるとても素晴らしい作品でゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-06-28 08:42:19) |
165.《ネタバレ》 世界でも有名と評判の小津監督の代表作。「どうせ、甘ったるくて古臭い映画だろ」「有名だから信奉されてるだけさ」。●違った。人間を優しく冷たく、そのまま表現している映画と思う。もちろん映画だから嘘だらけだし、わざとらしいけど。●孫より子供が可愛いというのが、正直過ぎて笑えた。実際、孫なんてさ、幼児なんてさ、可愛いもんじゃない。馬鹿でわがままだしさ。●大人になるとは、妥協して無視すること。家族でも、親子や兄弟を無視するのが現実。絆は虚構。●悲しくて、冷たくて、優しくて、現実っぽい映画。古くならない映画だと思う。■1950年代の「名作」は厳選されてるから、現代の映画より高品質だと思う。「古いけど面白い」と書いてる馬鹿がいるが、「古いから面白い」ことに気付けと思うな。★10点 【激辛カレーライス】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-06-15 05:57:00) |
164.《ネタバレ》 故郷の尾道から離れ、大阪や東京で生活する兄弟たち。 そこでの生活は彼らにとっては切ろうにも切れないものであり、 環境に染まっていくにつれて、次第に家族同士の絆や故郷への思いも薄れていく。 現代社会でも十分にあることですね。ただ、寂しさを感じます。 その中でも、登場人物達と家族同士の縁がそれほど深くない紀子の気遣いは 本当に輝かしいものです。家族の絆って何だろうなと考えさせられます。 この映画は故郷を離れ生活している、若い方々に観て欲しい映画ですね。 いや、日本人なら是非とも観て欲しい映画作品の一つです。 【功聖良】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-04-03 19:53:39) |
163.《ネタバレ》 誰が見ても文句無い大傑作 外国でも評価が高いのがわかる 当時の日本の住宅事情や温泉旅館、アパートや病院、美容院、居酒屋、お葬式、古い町並みを横切る蒸気機関車、すべてが興味深い 日本人ですらノスタルジックなのだから外国でも評価が高いのがわかる わかりやすいローアングル引き気味のカメラ 人物を中心に据えたバストショットは抜群の安定感 この時代から言われ始めた核家族の問題をいち早く捉えた映画だ 長男長女はいたってさばさば 今となっては普通かもしれないな wikiを見ると「家族という共同体が幻想でしかない悲し過ぎる現実」と書いてあるが、そこまで重く無く、いたって普通の家族の様に思える、今となってはむしろ幸せな夫婦の老後と私には思えたのは私がシニカルなせいだろうか 家族と義理の家族の機微の違いなども活写しているのは『歩いても 歩いても』等よりもわかりやすい 杉村春子の演技も判りやすく、相対する原節子の芝居においては今はこのタイプの女優はいないと言い切れるぐらい時代がかっている 今となってはむしろ斬新だった 笠智衆はこのときすでに爺さんで始終にこやか 私はこの笠智衆しか知らない この人の抜群の笑顔でこの映画が優しい印象になった 笠智衆は本当にうまくて、妻が長く無い事を知ったときの顔は、絶望とはこういう顔なのかと思った エンディングでは、最後まで残って世話を焼いてくれた次男の嫁も帰ってしまい、一人になったときに見せた横顔が何気ないが妙に哀しくて何故か涙が出た 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2014-03-15 15:01:56) (良:1票) |
162.《ネタバレ》 壮絶な映画でした。わざわざ田舎から出てきたのに迷惑がられる両親には共感せざるを得ません。家族ではなくても、友人関係や社会との関わりで二人と同じ気持を味わうことはあると思います。その二人に親切に振る舞い続ける唯一の存在である紀子さんには、強い思い入れがどうしても出来てしまいます。その中でのクライマックスには激しく心を揺さぶられました。隠してきた本心を告白する紀子と、それを受け入れた上で彼女の未来を心配し激励する父・周平。やられました。僕のような人生経験の少ない若輩者でもこうなのですから、今後人生経験を積んでいく中で、この映画を見るたびに心に響くところが変わっていくのではないかと思います。これぞ映画。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-09-05 01:26:39) (良:1票) |
161.《ネタバレ》 小津映画ってのは“家族愛”を謳い上げたものでは決して無いのですよね。高い評価を耳にして家族の繋がりって素晴らしい的な思いをしようとこの作品に臨んだら強烈な目にあいますな。半世紀以上も前の作品にしてこの普遍性、リアリティ。「それを言っちゃあおしまいよ」な生々しい家族の姿を小津監督は全く遠慮なくさらけてくるわけで、誰でも作中の誰かの気持ちが手に取るようにわかるのでは。杉村春子演じる茂子、この長女が特筆ものの存在で、彼女のあまりのドライさに末娘が憤慨。そこへ義姉の原節子がおっとりと諭すのです。「でもね、大人になると仕方のないことなのよ」。若い純粋な憤りも尊いけれど、原節子の理屈にも、ひいては茂子たちの態度にも一理あり。特に長女にしてみれば、酒癖の悪い父親にうんざりしてきたりと、若い妹の知らない苦労もあったかもしれず、ほんと家族など一言で断じることは難しいものでしょう。熱海の海岸で、並んで背を丸くして座っている老夫婦の姿が美しく、泣けてくるほどでした。 【tottoko】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2013-08-04 01:03:07) |
160.まず驚くべきはこの時の笠智衆さんは49歳だったという事。お爺ちゃん歴ながっ!!いま観ても遜色無い、いや逆に更に核家族化し親戚づきあいの減った現代の方がしっくり来るお話かもしれませんね。この作品は若いうちに観てもピンとこないだろうが、親が死にうる歳であったり、子供が手を離れてきたあたりの方には感慨深いと思う。映画の中で冷たく見える実子だけれど、多少デフォルメされてても実際あんな感じなんだろうな。事実、私も4人兄弟の長女でありますが、実親には細かくてキツイ性格の娘だと言われ、義親には正直で優しい嫁だと言われています。そんなものでしょう。孝行したい時に親は無し、、、か。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-04-01 21:54:35) |
159.はるばる田舎から出てきたのに、実の子供に敬遠される夫婦気の毒。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-03-22 13:39:40) |
158.この映画がもてはやされるのに、どこか引っ掛かってました。終盤の「母の死」という事件が、映画の中であまりに大きな転機になっていて、これは通俗性の表れだろう、と思ってました。だから世界中で受け入れられたんだろうと。しかし本当にこの作品が小津作品の真骨頂みたいな扱いで、良いのか、と。……しかし、自分にも子供が出来て、子供の事を「何か頼りないなあ」とか「でもまあ頑張ってるよなあ」とか言う立場になってから、改めて観た時、本作はどうにもタマラン映画なのでした。背中を丸めた年老いた親、その親を邪険にする子供たち。いや別に邪険にしている訳ではなくて、いわば空気のようなアタリマエの存在だからこそ、なのかも知れないけれど、血の繋がらない人たち(原節子とか中村伸郎とか。それこそ東野英治郎とか)の方が余程フレンドリーな描かれ方をすることで、子供たちのよそよそしさが目立つことに。しかし、親としては、子供たちが順調に育ってくれて(当時は「戦死」で息子に先立たれるなどという理不尽もあった訳で)、家庭を持ち「自分たちの世界」を持ってくれれば、それで良いのだな、と。孫より子供の方が可愛い、という、無限の愛情、それが一方的なものとなってしまうのは、やはり必然なのか。医者になった息子に最期を看取ってもらえる、というのが、幸せであり、また幸せの限界でもあるのか。妻の死を目前に静かな表情で「そうか、いけんのか」「そうか、おしまいかのう」とつぶやく笠智衆。感情を露わにしてくれた方が観てるこちらにも救いがあるのに、「どうしてそういう言い方するのよ」と悲しくて仕方がない。まあ、脚本に書いてたとか監督に指示されたとかいうのがその理由なんでしょうが(そう思わなきゃ、やってられませんわ。笑)。この静かな表情からは、「自分たちは役割を終えた」という諦念がにじみ出て、映画を通じて登場する背中を丸めた座り姿とともに、忘れられないものとなりました。しかし彼にはまだ、最後の「役割」が残っている、それは、自分の子供たちだけではなく、すべての子供たちにかける言葉。未来があり、自由があり、しかしそれを行使し切れずにいる、原節子への言葉。やがては子供たちの世代もいずれは孫を持つ世代となり、すべてが繰り返されていく訳で、永遠のテーマですなあ。そしてこれも変わらぬ、尾道・浄土寺。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2013-02-22 04:13:20) (良:1票) |
157.《ネタバレ》 お父さんが先の方が良かったって・・・、それは言うたらあかんやろ。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-02-15 17:24:34) (良:1票) |