4.《ネタバレ》 冴えない男がダッチワイフ(リアルドール)にはまって、それをひた隠しにする話かと思いきや、プッツンして彼女(ダッチワイフ)が生きているかのように接し、周りの人にまで紹介してしまうというオープンなお話だったということにまず意表をつかれました。
雰囲気が全然アメリカっぽくなくて、笑わせ方も静かで気持ちよい。シュールな絵面には、何度かふき出してしまいました。特にダッチワイフと子供のツーショットは強烈。
他方人間ドラマとしてもなかなかしっかりできており、周りの人々の困惑や優しさが一見滑稽だが、なかなか素敵です。みんなに生きているように扱われた命なきダッチワイフは、それぞれ人々の頭の中で命は吹き込まれ、そんな彼女から何かを学ばされることもあると言い切ってしまった周りの人々の鷹揚さに感動(ココがあることによって、話が個人的なものじゃなくなっているのが巧い)。
不自然な話の割りに最終的な話の持っていきかたはワリと自然で丁寧で、心を閉ざしがちな人(俺か?)にはなかなか共感できるところがあると思います。結局自分で作った殻ってのは、人に迷惑をかけたり、助けてもらったりして保護されているから成り立っているわけで、やっぱ最終的には自分からブチ破らないとイカンのですよね。ただ、それにはやはり、異常ともいえるステップが必要だったりもするので、頭ごなしに否定しないでやってください。要するに、引きこもりやその家族に見せるべき映画か。いや、僕は違いますが。