6.ウディ・アレンの出世作とも評される本作は「僕はこんな奴なんだよ」「ハリウッドになんて行かない。僕はここ(NY)で映画を撮り続けるんだ」実に分かりやすいウディ・アレンの決意表明のようなものを感じる映画です。
冒頭から自身のハゲを話題にした自虐ネタに、NYへの愛を感じる一方でLAへのシニカルな台詞、ユダヤとは、セックスとは・・・その後のアレン映画でもお馴染みのアレン・ワールドがお得意の小気味いいテンポで展開されていきます。
表明だけ着飾ったインテリの描写も面白い。アレンの幾つかの作品で感じられるフェリーニ愛。序盤の映画を待つ列の後ろでフェリーニ批判を繰り広げる男を登場させることで、そんな似非インテリ批判と共に自身のフェリーニ愛を感じます。また、着飾った会話とは裏腹に裸の心の声を字幕にするくだりもアレンらしい楽しさがあります。ユダヤに関してはアニーから「あなたってやっぱりユダヤ人なのね」みたいなことを言われて一言「ありがとう」と返すくだりも実に分かりやすい。
頑なにNYを出ることを拒んだ彼が今ではハリウッドよりもっと遠いヨーロッパを拠点にしているのも皮肉というか、面白いです。そう言えばヨーロッパに行く少し前に「さよならさよならハリウッド:原題hollywood ending」という映画と撮ったりもしていましたね。色んな意味で彼の原点を感じる大好きな作品です。