ミリオンダラー・ベイビーのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ミリオンダラー・ベイビー

[ミリオンダラーベイビー]
Million Dollar Baby
2004年上映時間:133分
平均点:6.91 / 10(Review 323人) (点数分布表示)
公開開始日(2005-05-28)
公開終了日(2005-10-28)
ドラマスポーツものスポコンもの
新規登録(2005-01-14)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2024-04-09)【イニシャルK】さん
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監督クリント・イーストウッド
助監督ロバート・ロレンツ
演出バディ・ヴァン・ホーン(スタント・コーディネーター)
キャストクリント・イーストウッド(男優)フランキー・ダン
ヒラリー・スワンク(女優)マギー・フィッツジェラルド
モーガン・フリーマン(男優)エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス
ジェイ・バルチェル(男優)デンジャー
ブライアン・F・オバーン(男優)ホーヴァク神父
アンソニー・マッキー(男優)ショーレル・ベリー
マイケル・ペーニャ(男優)オマー
ベニート・マルティネス(男優)ビリーのマネージャー
ジュード・チコレッラ(男優)ホーガン(ノンクレジット)
樋浦勉フランキー・ダン(日本語吹き替え版【ソフト】)
本田貴子マギー・フィッツジェラルド(日本語吹き替え版【ソフト】)
坂口芳貞エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス(日本語吹き替え版【ソフト/テレビ東京】)
真殿光昭デンジャー(日本語吹き替え版【ソフト】)
三宅健太ビッグ・ウィリー(日本語吹き替え版【ソフト】)
根本泰彦ホーヴァク神父(日本語吹き替え版【ソフト】)
加瀬康之ショーレル・ベリー(日本語吹き替え版【ソフト】)
小宮和枝アーリーン・フィッツジェラルド(日本語吹き替え版【ソフト】)
園崎未恵マーデル・フィッツジェラルド(日本語吹き替え版【ソフト】)
瑳川哲朗フランキー・ダン(日本語吹き替え版【テレビ東京】)
朴璐美マギー・フィッツジェラルド(日本語吹き替え版【テレビ東京】)
楠大典ビッグ・ウィリー(日本語吹き替え版【テレビ東京】)
宮本充ホーヴァク神父(日本語吹き替え版【テレビ東京】)
桐本琢也ショーレル・ベリー(日本語吹き替え版【テレビ東京】)
脚本ポール・ハギス
音楽クリント・イーストウッド
カイル・イーストウッド(追加音楽)
作曲クリント・イーストウッド“Blue Morgan”
編曲レニー・ニーハウス
挿入曲カイル・イーストウッド"Boxing Baby" and "Blue Diner"
撮影トム・スターン〔撮影・照明〕
スティーヴン・S・カンパネリ
製作クリント・イーストウッド
ポール・ハギス
トム・ローゼンバーグ
アルバート・S・ラディ
ワーナー・ブラザース
製作総指揮ゲイリー・ルチェッシ
ロバート・ロレンツ
配給松竹
ムービーアイ・エンタテインメント
美術ヘンリー・バムステッド(プロダクション・デザイン)
リチャード・C・ゴダード
衣装デボラ・ホッパー
編集ジョエル・コックス〔編集〕
ゲイリー・ローチ(編集補)
録音クリストファー・ボーイズ
その他レニー・ニーハウス(指揮)
アンジェリカ・ヒューストン(スペシャル・サンクス)
あらすじ
ボクシング・ジムを経営する一人暮らしの老人フランキー(イーストウッド)にとってボクサーたちは家族同然。その彼のもとに、貧困家庭出身で三十過ぎまで我流でボクシングを学んだ女性マギーが現われる。「女にボクシングはさせない。」とマギーをつっぱねたフランキーも次第にその熱意にほだされ、苛烈さでは男同士の戦いに勝るとも劣らない女子プロ・ボクシングの世界にいつしかのめり込んでいた。汗と血にまみれることも現代のシンデレラが夢を果たす手段なのか・・・。脇役陣の存在感とカメラワークも光るアカデミー賞受賞作品。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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12
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22.《ネタバレ》 前半は女性ボクサーのサクセスストーリーで、後半はクリント・イーストウッドらしい重厚な展開。
敬虔なキリスト教徒である主人公が、愛する弟子(女性)の命を奪うという決断には心を打たれると同時に、人間の尊厳とは何かを考えさせられる。
何の目的もなくただ漫然と生きるよりも、ほんの一瞬であっても最高の輝きを放った人生の方が素晴らしいと言えるのかもしれない。
アクアマリンさん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-12-23 19:57:04)
21.《ネタバレ》 最初に見たのは10年以上前。それからずっと心に残ってました。意を決して2回目の視聴。至高のラブストーリー。届かない思い。胸が張り裂けそうなほど辛い話ですが、こんなに美しい映画は他にありません。
Keytusさん [DVD(字幕)] 10点(2018-08-15 09:59:54)(良:1票)
20.《ネタバレ》 厳選された台詞と場面。余計なものも足りないものもない、映画として完全です。

「骨にまで達する傷の、出血を止めることはできない」

◆ヒラリー・スワンクについて
マギーという役は、役者にとってかなり面白い役なのではないでしょうか。
もっとひねりを効かせて前に出ることも出来たでしょうに、スワンクは最もシンプルな形でマギーを演じているように思います。
それがマギーのファンタジー性を高めている。
なぜボクシングを始めることになったのか?フランキーがマネージメントするまではどうやって前座試合を取ってきたのか?ボクサー人生の背景がまったく語られないマギー。しかも遅咲きの彼女の圧倒的な強さは、才能とか努力だとかだけでは説明がつかないほどのものです。
画面に一度も登場しないフランキーの娘、ケイティはおそらくマギーと同年代。
マギーは償いを求めるフランキーの前に現れた天使のようにも見えます。
◆モーガン・フリーマンについて
元カットマンのフランキーと元ボクサーのスクラップ。現在では立場が逆になり、スクラップがフランキーの女房役となっています。マギーに対しても、父親役がフランキーなら、ジムを守り、見てないようでちゃんと見てる母親役がスクラップ。
フランキーの理解者、代弁者として、近作で一番の熱演だと思います。
「俺はトレーナーじゃないが・・・」
往年の名ボクサーでありながら、なぜかトレーナーではなく雑用係としてジムにいるスクラップ。
彼にとってトレーナーとして後続を育てることは、リングを降りることを意味するのかもしれない。
片目を失い、老境に達しつつも、彼はあくまでもボクサー。

◆クリント・イーストウッドについて
監督イーストウッドが作品をがっちり捕らえているのに対して、役者イーストウッドはまずフリーマン、スワンクありきで、流れのままにフランキーを演じているような気がする。
今までのイーストウッドにはあり得ないくらいエモーショナルな演技。

「どうしたらいいのかわからない」
フランキーは常に、どうしたらいいのかわからない。
教会へ足は運んでも、真剣に祈りをささげることはできない。
実の娘ケイティに宛てた手紙が戻ってきてしまうなら、他のアプローチもあったはず。でもしない。
努力しているふりで、実は全てを先送りにしていたフランキー。マギーに出会うまでは。
kikaさん [映画館(字幕)] 10点(2009-10-11 18:01:42)(良:3票)
19.この映画を否定する人はこの映画から何を学んだかを考えるべきだと思う。イーストウッドは監督としてもすばらしいと改めて感じました。
トニー・モンタスキューさん [DVD(字幕)] 10点(2009-05-10 02:03:48)
18.《ネタバレ》 まるで水面に落ちた一滴の水が、ゆっくり爆ぜてミルククラウンになって、すそへ広がり輪を表現するようなピアノの一音は、クリント演じる所の彼の人生を走馬燈のように語っていて、凄すぎる作品だと想います。
成田とうこさん [映画館(字幕)] 10点(2007-01-07 15:36:21)
17.《ネタバレ》 尊厳死の是非だとか問責だとか断罪だとか、そんなのは私の中では全く論点じゃない。そんなものはあくまでも、副次的なものなんじゃないだろうか。そんなものは本来の主題に従属する付随的なものでしかないんじゃないだろうか。物語の終章はいつだって、それまでの章に全て隠されている。終焉なんて、過程に追従する従属物でしかない。大切なのはいつだって過程じゃないか。これは、苛烈で凄絶で凛然たる、そして純然たる、至高のラブストーリーじゃないか。正直なところ、私は愕然としてしまった。記憶を総動員しても無理だった。私は多分、ここまで高みに達してしまったラブストーリーを他に知らない。
ひのとさん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-28 22:10:09)(良:2票)
16.《ネタバレ》  しかしまた骨太な映画を作ったものです.これをみたとき,「カッコーの巣の上で」を思い出しました.人間の尊厳とは?人が生きる意味とは?いままでたくさんの映画がこのテーマに果敢に挑み,ある者は成功しあるものは敗北しました.このテーマを描くには,いろんな演出や技巧が必要とされる,それにご都合主義的によい者は報われるし,悪者はその報いを受ける,そういうもんだ,と僕も思ってました.
 でもこの作品は,人間に尊厳なんてもともとないし,生きること自体に本来意味なんてない.因果応報なんてことはなく,人間ただ生きるという事実があるのみだということを強烈に思い知らされる,そんな映画です.映画としてそれがいいかどうかはわからない,誰がこの映画を見て楽しめるんでしょうかね?
 しかしやはり,現実とはこういう悲惨で陰惨でまったく救いもないことが平気で起こるからこそ,尊厳を感じ,生きることに意味を見いだせることがいかに現実の中で輝くのか,貴重であるか噛み締めることができるのでしょう.
take1さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-05 22:23:44)
15.容赦のない映画だった。それでこそ現実がリアルに描かれている。人間にはそれぞれ、生きる権利もあり死ぬ権利もあると思う。全身麻痺で、家族はもともとクズで、舌を噛んでまで死のうとしたマギーに対して、「でもいいから生きろ」というのはあまりにも彼女の気持ちを無視したものだと思う。あの神父はただの偽善に思えた。それに対してフランキーは誠実に向き合った。彼女の「殺してくれ」という頼みに対して、誠実に答えるには、フランキーのように殺すか、「刑務所とかめんどくさいしそこまで関わるのが嫌だから」と断るかのどちらかである。「生きることに意味がある」とか言うのは自分に対する言い訳であり、その上偽善である。
Sleepingビリ-さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-02 00:15:56)
14.《ネタバレ》 最後は衝撃的でしたね。自分がクリントイーストウッドの立場だったら、どうするだろうって考えると、答えが見つからないです。
カマデラコーントッピングさん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-27 21:54:05)
13.♪~これも愛あれも愛きっと愛たぶん愛~♪・・・でもこんな愛もあるんですね。フランキーがマギーに下す決断は余りにも非情だけど、俺には何と言うか崇高な英断にすら感じてしまいました。誰にも愛される事の無かった二人が、出会いそこで初めて絆と愛を互いに感じ合うそしててその感覚に酔い痴れる様に勝ち続けレモンパイを一緒に食べるこんな何気ない行為が二人にとっては最上の幸せだったからこそ、それを永遠にする為にあの行動にフランキーは出たんだと思います。悲しくて残酷で辛いだけの映画ではないと自信を持って言い切れます。大した事の無い俺の映画人生ですが、この作品は間違いなく俺の新しい映画人生の始まりを告げるそんな映画に出会えた様な気がしました。イーストウッド、あなたは俺にとって父親の様な存在です(まっこんなレビュー見ないだろうけどさ)。
一番星☆桃太郎さん [映画館(字幕)] 10点(2005-08-14 00:10:25)(良:1票)
12.重たかった~。映画鑑賞して、こんなにズッシリをきたの初めてです。
虎ノ門虎之介さん [映画館(字幕)] 10点(2005-07-13 01:05:34)
11.・・・この映画を観て以来、レビューが書けなくなっちゃったのよ。仕方ないのとりあえず代わりにイーストウッドの別の作品に書き込みしたけど、う~ん、ダメだ。と言うわけでワタシしばらく沈黙しておりました。とにかくタマラン映画でした。この状況を打開するため、何か書いてみよう。そうだ、思い切ってケチをつけてみよう。気になったのが、試合のシーン。「強いパンチより効くパンチ」なんてこと言っときながら、やっぱり大味なファイトシーン。ボクシングの試合を見慣れた目には、やはりどうにも嘘臭く見えてしまう、オーバーアクション。あるシーンなど、観ててホントに笑っちゃったよ。いや確かに全体的には、他のどの映画にも負けない熱っぽさのある迫力ではあるのだけど、やはり映画の描写としてはこの辺りが限界なのか・・・(ロッキーよりもよくできてるって?まああれは怪獣映画なので・・)。 とか何とか言いつつ。私の無謀な言いがかりもこの辺が限界か。私の負けは決まってる。妻と映画を観に行けば、帰途は映画についてアレコレ馬鹿話するもんだけど(照れもあるので)、でもこの日ばかりは二人とも無口になってしまいました。映像の陰影とか、喧騒と静寂の交錯とか、映画を冷静に分析できたらカッチョいいなとは思いつつ、今回はいきなり断念、ただ「泣いちゃった」、これに尽きます。あと、弦楽器による控えめな音楽がとても魅力的で、担当は誰だろうとクレジットに注目してたら、なんとこれもイーストウッド? ちょっとショックでした。アンタ、ほんまエライわ。参りました。では、最後にちょっと独り言。≪ちょっとネタバレ≫・ラストシーンの意味、あれは「フランキーがついにレモンパイの店を買い占めたのだ」という説もある(?) ・病院でのマギーの姿に、かつての北斗晶の姿を見た気が。もしこの後彼女がフランキーと結ばれれば、間違いなく「鬼嫁」になったハズ! ・失礼しました。
鱗歌さん [映画館(字幕)] 10点(2005-07-04 23:14:35)(良:1票)
10.最悪で最高。最高で最悪。一生忘れないだろなーという映画を久しぶりで観ました。
RTNEE USAさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-25 23:00:42)
9.イーストウッド監督の『ミステッィク・リバー』は、個人的には良く思わなかったので、この作品も期待はありませんでした。
しかし、『ミリオンダラー・ベイビー』この作品の持つ静かさ、自然な佇まい、語り口がとても気に入りました。
普段の振る舞いはさりげなく、ごく自然に見えます。
その合間に垣間見られる、負い目、葛藤、ジレンマなど。
抑えた演技ですが、実に見事な演技だし演出だと思いました。
一級品です。

成功物語に見える前半も見事ですが、がらっと変わった後半は忘れることが出来ません。
主人公二人きりだからこそ、心情がこちらに迫ってきました。
ヒラリーさんの涙、真実に見えました。
私はマギーほど強くないですが、叶えられない悔しさには共感しました。

作品も素晴らしいですが、パンフレットもまた秀逸です。
最近では珍しく縦書きで、企画も文章も構成も上質です。
大林監督と大橋美加さんの文章を読めたのも、収穫でした。
いつもこのレベルのパンフレットを作って欲しいと思います。
たんぽぽさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-20 22:32:30)(良:1票)
8.《ネタバレ》 ■かつてイーストウッドがヒーロー=正義の味方だったことがあっただろうか?彼は、いつも飲んだくれていたり、家族をないがしろにしたり、やたらと女性にちょっかいをだしたり、盗みを働いたり、あげく人を躊躇なく殺すことすらしてはいなかったか?どちらかといえば、彼は、負け犬の味方、いや実は負け犬そのものだったのではないか!(最近はやりの意味じゃなくてね) 
■愛するものにとって、相手が自分のために苦しんでいるのを見ることほど辛いものは無い。それが人生の中で唯一愛したひとであればなおさらだ。彼あるいは彼女は、ウィンクひとつで愛する相手が何を望んでいるのか立ち処に理解してしまう。そこに世間の倫理は意味をなさない。愛するものができることは、ただ相手の望みを叶えてあげること。 
■とはいえ、彼と彼女のとった行動に、正直私は泣けなかった。(泣けるわけがないだろう!)それと、ラストショット(まぶぜ氏にまるで落語のさげのようだと言ったのはこの私です)。この映画に最初から漂っていた「終わること=死への希求」の気配は、じつはイーストウッド一流の罠で、我々観客は彼にまんまと一杯食わせられたのではないか?なぜなら、窓越しからのレモンパイに舌鼓を打つ彼の背中は、私には、まるで次の罠を考えながらひとりほくそ笑んでいるペテン師の不敵な姿にしか写らなかったのだから。 
■それから、まぶぜ氏が本作の異様さについて語っているが、それは本作に限ったことではなく、処女作『プレイ・フォー・ミスティ』の頃から既に顕著だった気がする。フォードやホークス、あるいはヒッチコックのように軽々と映画を撮りながら、画面に否応なしに現れてしまう“異様さ”。だが、それはイーストウッドだけの特徴ではない。思えばそれは、リュミエール兄弟が列車をラ・シオタ駅に到着させた頃にはもう既に現れていたはずだ。現実をありのままに撮りながら、現実とは違う“異様さ”への変貌、すなわち映画そのものに!?  
■最後に、ゴダール、リベット、ロメール、そして我らが清順と、映画の最先端をひた走っているのが、なぜか老人ばかりなのは、映画の現状が正に『スペース・カウボーイ』的状況だからか?(ニガ笑) ならば、私は彼にこう言おう。「イーストウッドよ、オリベイラに負けるな!」
なるせたろうさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-13 19:55:24)(良:1票)
7.「ミリオンダラー・ベイビー」はそのタイトルからくるイメージとは程遠い、実に重みのある作品だった。もちろん途中までは、確かにアメリカン・ドリームを実現しようと奮闘する、いわゆるウエルメイドな痛快篇であることには違いないが、人生、好事魔多しで、奈落の底へ叩き落とされた途端、ドラマは後半急速に深刻さを帯びてくる。実の娘あるいは家族への想いが届かないもどかしさに、人生のほろ苦さを味わうフランキーとマギーは実の父娘以上の、まさに運命共同体である。そんな戦友とも言える二人が見た束の間の夢は、残酷な形で跳ね返ってくる。それはたまらなく悲惨で、ひたすら重苦しく、ほんの僅かな望みさえ奪われてしまう二人の無念さが、胸に迫ってくる。本作で表現される光と闇は他で類を見ないほど巧みであり、暗い情念の世界がスポットライトを浴びているファイトシーンとの対比で、悲惨さをより際立たせるには実に効果的だったと思う。そしてフランキーが応急処置のスペシャリストでもあることが、図らずも皮肉な形となって表れるのが終盤のシークエンス。その一部始終を暗闇から見届ける親友のスクラップの眼差し。神に背いて究極の選択をするフランキーに対し、スクラップのその眼差しは、まるで沈黙する神のようである。自らの運命を宿命として受け入れるスクラップの生き方に対し、見るに見兼ねてひたすら行動に移すフランキーのイメージは、「許されざる者」のマニーの姿とだぶる。そして、生きることに絶望した人間に一縷の望みを叶えてやるという魂の救済の物語としては、「ひとりぼっちの青春」のM・サラザンとJ・フォンダの関係に重なり合う。まさしくフランキーは“廃馬を撃った”のであるが、マギーの微笑と一滴の涙がすべてを物語るように、彼自身の魂をも救済されたと思いたい。これが本作が究極の愛の物語と言われる所以であろう。人間とは哀しく生きることは苦しいという使い古されたテーマが、これほど切実に心に響く作品も滅多にお目にはかかれない。どうやらアカデミー会員は最良の選択をしたようだ。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-08 18:36:39)(良:3票)
6.■「モ・クシュラ」という謎の言葉、レモンパイを出す店、スクラップ、それらの配置はいかにもハリウッドの文脈にのっていて、そこからはずれることはない。この映画のラストを、ハリウッド映画一流のさげ、と評してもおかしい話ではないし、「ウェルメイド」な物語が現実と程良く折り合っている、と批判したって構わないとさえ思える。演出は完璧だし、フォード的、ホークス的な疑似家族は私たちを心地よく映画の世界に引き込んでくれる。■しかし、そう言いきれない居心地の悪さ。妙なズレ。■それは例えばマギーの口にねじ込まれるボールペンであり、片足の無いシーツのふくらみであり、がらんとした部屋で詰られるマギーの姿である。それは「残酷な現実をクールに描く」というものでもない。また「多様な現実を並列に配置している」わけでもない。■「現実」ではなく「映画」が要請しているから描いただけ、イーストウッドにとって「現実」とは「映画」なのだ、と思う。「映画」が世界の有り様をねじ曲げていくのだ。現実ではなく「映画の倫理」の中でしか、イーストウッドは生きていない。■だから、「マギーの選択の是非」「イーストウッドの決断の是非」を問う言葉、あるいは、「感動した」「マギーの家族がステレオタイプ」「後味が悪い」などの評に、賛否を問わずことごとく違和感を感じるのは、それらの言葉が常に現実を参照しているからだ。現実との距離を計測し、自分と映画の立つ位置を定める言葉。それらはこの異様なる傑作を前にして、すべて無効となる。■しかし、それらの言葉は当然と言えば当然ではある。映画は常に現実の模倣であり、あるいは現実との不断の闘争の場である。ところがイーストウッドはそれをすんなり乗り越える。軽いフットワークで現実を凌駕する。「映画」が世界の有り様をねじ曲げていくのだ。しかもハリウッドの文脈の中で。凄すぎ。■でもね、クリント、そんなのよくわかんないすよ。だから私はただ途方にくれ、ただ泣くしかない。その完璧なスタイルの中で繰り広げられる異様な事態を見続け、これが「映画」だと、ああ私は今まさに「映画」を観ている、凄い何か、異様な何かが目の前で進行している、と思う以外にない。
まぶぜたろうさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-06 11:37:16)(良:4票)
5.《ネタバレ》 何ともやりきれないラストではあるのだが、感動も並ではない。しかも爽やかな余韻さえ感じられる。この矛盾したような感覚はなぜなのだろう。不幸な生い立ちの中、唯一尊敬できる人間にめぐり会え、そのボスの教えを守りボクシングに人生をかけるマギー。「自分を守れ」。努力は報われ、チャンピオンと人生の勝利に手が掛かりかけたが、不運が彼女を襲う。エディは失明した最後の試合にこだわりがあり、フランキーは娘や宗教との関係にこだわりがある。マギーは母親との確執とこのまま年齢を重ねることへの葛藤がある。それぞれが持つ苦悩は、人間としての尊厳をどう守るのかと言う、自分自身との戦いでもある。尊厳へのこだわりは、「自分を守る」ことなのだろう。マギーの最後の涙は、最後に人間としての尊厳を守ってくれたのが、最愛の人であった感動の涙なのかもしれない。
パセリセージさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-04 10:01:15)(良:2票)
4.《ネタバレ》 「タフなだけではだめだ」「人の逆をつけ」「自分を守れ」、、繰り返されるボクシングの教訓は、そのまま登場人物の人生そのものと重なります。ボクシングは体に沁みついてしまうスポーツのようで、スクラップやデンジャーのようにそこから離れられない(そこにいるしかない)者もいる。けれどフランキーとマギーの二人がそこに戻ってくることはない。マギーの母が一言「よく頑張ったね、誇りに思うよ」と言ってくれたらどんなに救われただろうかと思うと、そしてフランキーの映画には描かれないそれまでやこれからを考えると、、悲しすぎる孤独や絶望に、心が沈みこんでしまいそうです。これは映画なのだからと自分に言い聞かせてみても、受けてしまった衝撃は当分薄れそうにありません。それでも観て良かったとも思います。マギーの頑固で気高い魂や、彼女を守ろうとするフランキーの葛藤が、深いグリーンの色調の中で美しく息づいていました。イーストウッド監督の演出も演技も音楽も、円熟という言葉では足りないほどの凄みがあり、他の映画をかすませるような残酷ささえ感じました。
あまみさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-03 13:31:11)(良:3票)
3.《ネタバレ》 母親に家を贈ったものの、「こんなものより金をよこせ!」と毒づかれたヒラリー・スワンク演じるヒロイン。傷心の彼女は故郷からの帰り、イーストウッドの老トレーナーに「あたしには、もうあなただけ」と言う。ふたりは、老トレーナーが大好物のレモンパイが美味しい店に立ち寄る。そしてひとくちほおばった彼は、「もう死んでもいい…」とつぶやくのだ。

それは、もちろんレモンパイの美味しさに対してのつぶやきではあるだろう。けれどぼくたちは確信する。それが、「あたしには、もうあなただけ」というヒロインのひと言に呼応するものであったことを…。

イーストウッドはこれを、「父と娘のラブストーリーだ」と言う。つまり、それぞれ相手の中に「父親」と「娘」を見出していく主人公たちの“精神的な絆”と、その精神的な「愛」を描いたものだ、ということか。けれど映画を見終わってぼく(たち)は思うのだ。いや、違う。これは、「父親」のような男と「娘」のような女の「ラブストーリー」以外の何物でもない、と。「女がボクシングなんて!」とまったく相手にされなかった彼女が、それでもこの老トレーナーだけを頼りにした時から、すでにふたりは愛しあっていた。だから彼女は、まるで生を燃焼し尽くすように戦い続けたのだ。自分のためじゃなく、老トレーナーのために。彼のため、一刻もはやく「年老いる」ために! 

…年老いることを、「死を目前にした肉体と精神」あるいは「死へとなだれ込んでいく状態」と定義するなら、全身マヒで寝たきりになった彼女は、もはや老トレーナー以上に「年老いた」存在に他ならない。そして彼女は、ある意味こうなることを望んでいたのではないか。何故ならこのふたりは、そういうかたちでしか「愛」を成就できなかったからだ(「父」と「娘」ではなく、ひとりの「男」と「女」になるための試練…)。確かにそれは悲劇的で残酷な結末かもしれない、けれどその時、誰がこのふたりを「不幸」だなどと言えるだろう。

ゆえに、最後に老トレーナーがとった行為は、決して社会的倫理的に“許されざるもの”ではあり得ない。あれは、まさしくひとつの、絶対的な「愛の行為」であり、ふたりが“ひとつ”になった瞬間なのだ。

そう、これは74歳のイーストウッドだからこそ撮れ、演じ得た、唯一無二のラブストーリーである。ただただ、素晴らしい。
やましんの巻さん [映画館(字幕)] 10点(2005-05-31 14:06:03)(良:8票)
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【点数情報】

Review人数 323人
平均点数 6.91点
030.93%
151.55%
230.93%
3134.02%
4144.33%
5288.67%
63912.07%
78125.08%
87021.67%
94513.93%
10226.81%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.33点 Review27人
2 ストーリー評価 7.08点 Review49人
3 鑑賞後の後味 5.20点 Review49人
4 音楽評価 6.89点 Review38人
5 感泣評価 6.60点 Review46人
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【アカデミー賞 情報】

2004年 77回
作品賞 受賞 
主演男優賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 
主演女優賞ヒラリー・スワンク受賞 
助演男優賞モーガン・フリーマン受賞 
監督賞クリント・イーストウッド受賞 
脚色賞ポール・ハギス候補(ノミネート) 
編集賞ジョエル・コックス〔編集〕候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2004年 62回
作品賞(ドラマ部門) 候補(ノミネート) 
主演女優賞(ドラマ部門)ヒラリー・スワンク受賞 
助演男優賞モーガン・フリーマン候補(ノミネート) 
監督賞クリント・イーストウッド受賞 
作曲賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 

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