1.《ネタバレ》 あの絶望的な状況からの生還劇が実話と言うのは凄いと思うし、極限状態での選択や諦めずに運命を切り開く姿に、人生の教訓を見出すことも出来ましょう。舞台となった雪山の人を寄せ付けない峻厳で荘厳な威容も恐ろしくも美しい。ただ申し訳ないけど、私も心情的には【斜藥】さんと同じ感想を持っちゃいました。
まず生還した登場人物が「いや~、アレは大変でしたよ」とか「もうダメかと思いました」と語る構成ってどうなんでしょ?もう助かってるワケだから、作中でどんなに絶望的な状況に陥っても、「でも助かるんでしょ?」と妙に冷めた目(というと言い過ぎだけど)で見てしまう。
そのため、劇的に変化する天候の無情さや、迫り来る暗闇と雪の圧迫感はヒシヒシと伝わってくるものの、肝心の取り残された孤独感や絶望感、恐怖感がイマイチ伝わってこない。もし自分が雪山で遭難した時に役に立ちそうなマル特情報も無し(w。
そもそも前人未到・難攻不落の雪山に挑戦するわけだから、命の危険があるのは当然だし、それを覚悟の上で挑んでるんでしょ?そりゃ、どんな状況になっても、それは自らの意思で選び取ってきた必然的な結果に他ならない。それを後から「いや~、アレは大変だったな~」とか、「そんな状況から生還したんっすよ、スゲーでしょ」みたいな事を語られてもなあ、と言うのが本音。いや、凄いとは思うけど、ほとんど自慢話と変わらないじゃんと思ってしまう。誰に頼まれたワケでもない、自分が選んだ道なんでしょ?なら、失敗談を自慢げに披露すべきじゃない。
ラストで再び登山に出掛けるようになってからも、この二人からはまさに作品のテーマであるべき「運命を選び取る覚悟」が感じられなかった。