1.ヤン・シュヴァンクマイエル作品としては、相当な異色作。
基本的にヤン・シュヴァンクマイエルはグロテスクなアニメーションをむやみに多用するので、好きな監督ではない。
しかし、本作はバッハの荘厳な調べにのせて、廃墟の映像をめまぐるしく画面を切り替えて見せてくる。
アニメーションは少しだけ使われてはいるが、別にグロテスクさも感じず、それでいてヤン・シュヴァンクマイエルらしさも出たものである。
バッハの音楽と廃墟の断片的な映像を観ているだけで、芸術とクラシカルな音楽世界に没頭できるだけの厳かな力を持った神秘的な作品である。