1.《ネタバレ》 後妻が主人公というのは、家族モノの中でも比較的珍しいと思う。テーマに興味を感じて鑑賞した。
愛を貫いての結婚だったはずなのに、なぜか万事がうまくいかないと感じる主人公のもどかしさには共感できた。一筋縄ではいかない先妻の子供、ヒステリックな態度を取る先妻、いつも子供の側に立って自分を詰る夫。それらの存在の集積が彼女を苛む。なぜ自分の努力が報われないのか?そう感じて周囲に攻撃的な態度を取ることで、更に孤立していく彼女の姿は観ていて痛々しかった。そして、その焦燥感の根っこにあるのは、生後数日で亡くなった彼女自身の娘の存在である。彼女の死を乗り越えられず、常に後ろ向きの思考をしてしまうから、周囲との関係もうまく行かないのだ。地味だが、俳優陣の演技や丁寧な脚本に救われ、なかなか見応えのある展開である。
ただし、先妻の協力により贖罪が果たされる終盤の展開はやや安易に感じた。主役のエミリア自身が努力することで壁を超える展開の方が、もっと感動的だったような気がする。主演のナタリー・ポートマン自身が製作に関与しており、キャストも好演している力作ではあるが、エンターテイメント性やストーリーの奥深さの点でやや劣ると感じた。