18.「間」がとにかく命。気まずさというものをかなり感じるんだけど、その中にほっと和む場面があったり、くすりと笑えるシーンがあったり、粋な映画です。 山下監督の自主製作である前二作品を観てからこれを観ると、作品の描く「範囲」というものが格段に広がったことを感じますし、それがリンダリンダリンダから始まる新たな山下ワールドへとつながっていくことになるんだなぁと感心しました。 外国人にこの間はわかるのかな? 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-06-02 00:19:44) |
17.《ネタバレ》 何か大きな事件が起きるわけではないけれど、描かれている人間のリアルさと、散りばめられたシュールな笑いだけで最後まで観れてしまう。初対面の二人組が牽制しつつ微妙な距離感を少しずつ縮めながら旅をしていく様子がよい。そして、そこに突然訪れる謎の女性。この女性によって二人組にどんな化学変化が起きるのか・・。何かが起こりそうで大して起こらないのがまたよし。この監督の魅力は、台詞と台詞の「間」にあると思う。この「間」の取り方が絶妙。数秒ずれただけで、その場面の面白さは半減する。三谷幸喜監督が台詞の面白さで勝負する監督だとすると、山下監督は余白部分である「間」で勝負する。演出力が試されるのは、圧倒的に後者だと思う。 【konkon】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 12:26:53) |
16.日本特有の間、敬語の使い方、他人とのきまずさを網羅した巧妙かつ穏やかなコメディ。登場人物のやりとりはリアルすぎて笑えます。この抑えたテンションを最後まで持続させながらも退屈を感じさせないってのは見事。盛り上がりはないけども。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-11-11 18:13:58) |
15.《ネタバレ》 なにげなく観賞してしまいましたが、意外なほどハマってしまいました。題名にまで掲げリアリズムを追求できる監督の力を感じました。シュールな笑いのとり方や間は、北野監督の雰囲気をさらに淡々と描いている印象、なかなかの心地よさ最後まで楽しませてもらいました。どことなく物悲しい町も雰囲気よく、悲しく滑稽な人間に対する監督の愛情を感じました。 【ポテサラ頂戴】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-08 09:53:15) |
14.物語としてはすっからかんですが、コントとして観ればなんとか観れる。 公開当時劇場で観て、びっくりするぐらい聞き取りにくい箇所が多かった作品として記憶に残ってる。 【カラバ侯爵】さん [映画館(邦画)] 4点(2007-07-15 08:00:00) |
13.山下監督の作品の中に短編で『子宮で映画を撮る女』という作品があり、それはドキュメンタリーだと思っていました。自己中心的な女の映画監督とスタッフの間で本気の喧嘩が起きています。しかも、それが妙に笑えました。が、しかし、観終わった後、監督が「これフェイクです」と仰った。ようするに全部が嘘、脚本通りだったそうです。山下監督の中のリアリズムとは、限りなく現実に近く、それでいて現実とは遠い存在の人間たちを描いておられます。なぜこんなにも口調が自然で、その動きの一つ一つにリアリティーがあるのだろう。この作品でも、登場人物にちょいちょいおかしな人間が出てくるものの、その一人一人の何気ない動作や口調などは、身近にいてもまるでおかしくないほどの親近感を持っています。山下監督の作品はどれも一様に同じリズムと同じ演出方法で作られ、僕はその全てに魅力を感じずにはいられません。この独特の世界観とリアリティー。孤高の天才!素晴らしい。 【ボビー】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-02-03 00:09:33) |
【NIN】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-01-22 06:01:40) |
11.山下監督の画に対するこだわりはすごい。とくに海の映像は本当に美しくて、思わず見惚れてしまうほどだ。この鮮烈な映像とくだらない内容のギャップがまた面白い。 出演者インタビューによると主人公らはいちおう成長しているらしいのだが、男二人がちょっと仲良くなっただけにしか見えない。たぶん、普通の青春ものの主人公たちの五十分の一くらいしか成長していないのだろう。 誰もが共感できるのに誰もが忘れてしまうような些細なできごとを記憶しておいて、決してドラマチックではない日常からドラマを紡ぎだす。日常から物語を紡ぐのは小説の世界でいえば女流作家の領域。野暮ったい男の映画ではあるが、その実よっぽど鋭敏な感性を備えていなければできない芸当ではないだろうか。 ひたすらかっこ悪くて汚くて現実的、それなのにときどきはっとするほど美しい光景が広がる。不思議な味わいの作品。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-02-18 22:40:30) |
★10.民家のようなボロイ宿は笑えました。お風呂とか、わー、こんな汚いの映すか?と思いました。他に類を見ない感じの映画ですね 【サイレン】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-11-22 20:21:39) |
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9.ジャガーさんのいない『ピュ~と吹く!ジャガー』。もしくはピヨ彦とハマーさんだけの『ピューと吹く!ジャガー』。そんな感じ。ツボだったのは「うどん屋」と「貧乏民宿」でのシーン。あの2つは反則。 【魚】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-04 16:48:50) (笑:1票) |
8.《ネタバレ》 冒頭のあの何とも居心地の悪い電話シーンから、いきなり「俺童貞ですから」とか無意味に告白をする件は笑いました。しかもその後もずっとそこを突いてくる友人が面白い。そうそう現実ってこんなものだよな~、そんな映画みたいに出会った瞬間からヒョイヒョイ友達になれるわけがない、と切に感じたり。それから確かにこの映画は小津やカウリスマキの持つ独特のテイストと似たようなものがありますが、僕としてはこの監督は更にそこから自分のスタイルを作り上げているように思えました(と言ってもこの人の作品はまだこれ一本しか観ていないので何とも言えませんが(汗)。作風自体はとてもユニークだけど、特別「凄い!」と思った箇所などは無いので平均の7点。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-17 21:41:04) |
7.「くりいむレモン」を観てしまったこともあり、評判が良かったんでこれにも挑戦してみましたが、思った通り私はダメ。「間」に笑うとか「そうそう!」と共感する前に、私はこいつらにムカついてしまう。とてもじゃないけど、こんな苛立たしい奴らが旅のお供なんて真っ平御免です。それに【木戸萬】さんご指摘の様に、若手芸人のシュール系ショート・コントみたいなエピソードを羅列してあるだけで、それらが一つの物語を構成してないと思うし、ロード・ムービーには登場人物に何かしらの成長がないと面白くない。アキ・カウリスマキの映画にだって、ちゃんと結論はありますよ、4点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-08-11 00:09:02) |
6.単純な面白さで言うと山下監督のデビュー作『どんてん生活』のほうが面白かったんですが、こちらの作品のほうがさらに共感できるものになってます。知ってるだけで友達まではいかない関係の二人が距離を置いたまま、ぎこちない空気の中でそれでもぎこちなくないようなフリをしながら、でもやっぱりぎこちない関係をうまく見せていて、その行動や言葉や表情や静かな間にいちいち共感する。山下映画の間は独特であってもけして不自然ではなく日常の間なのです。で、一人の謎めいた女が加わることで二人の間にあった空気が飛躍的に動き出す。ここでもドラマチックな演出はせず微妙な空気の変化を映像で見せる。笑いのとりかたも自然でいい。最後の宿は一歩間違えばホラーです。箱根広記さんのレビューにある布団の中での会話は誰もが笑うことを保証します。それほどに面白いんだけど、けして作られた笑いじゃなくてあくまで日常で経験する笑いです。それを映画でやっちゃうから凄いんです、この監督は。 【R&A】さん 7点(2005-03-24 14:58:31) (良:2票) |
5.ほとんど面識の無い2人が繰り広けるロードムービーと言うかなり非日常的な世界であるのにも関わらず、物語の世界はとても日常的な香りが漂い、いい間を掴んでいるので、シュールで有り得ない出来事も、あるかもしれない独特の笑い生んでいる。ただショートコントを羅列してる様な流れがありすぎ、前フリがラストをキレイにサゲる、みたいな部分が欲しかった(童貞の恋~女子高生)これがひょっとしたらそうなのかな。だとしたら、いまどきオチにならないし、弱いよねえ。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2005-02-19 14:31:56) |
4.話の内容が最初から解りやすくて、おもしろかったです。「間」については後半飽きてきましたが全体的には良作だと思いました。ラスト間際、布団内での二人の会話には一緒になって笑ってしまいました。「くりいむレモン」再見する価値ありそうです。 |
3.山下監督という人は、アキ・カウリスマキやジム・ジャームッシュと比べて語られる事が多いようですが、僕からすると、例えば本格的なインドカレーやタイのカレーも美味しいけど、やっぱしハ○スバーモンドカレーとかが口に合うよねえってな感じで、あと歳が近い事もあるのか、結構親しみを感じます。【シネフィルと愉快な仲間たち】さんのおっしゃるように、相手が年上か年下か気にする風潮とか(学校を卒業してからも「同い年だけど学年は一個上」とか言いますもんね)、脱いだかどうかの基準は乳首が見えてるかどうか、とか、いわゆる外国人が日本に求めるのとは違う日本の文化というか風土が描かれてて面白い(個人的に、こっそり女性下着のカタログを見てる男の子がツボ)。ただ残念なのが話の構成というか尾野真千子の使い方。中盤せっかく彼女が出てきて画面が「絵的に」華やかになるのに(彼女が雪の上を歩くシーンは凄く素敵)、またどっかへ消えてしまって、話がどんどんショボくなってしまうのは、ちょっと盛り上がりに欠けるような・・・。勿論そういう「しょぼさ」とか「やるせなさ」が山下監督の持ち味ではあるのだろうけど、そろそろ違う一面も見せて(=魅せて)欲しいなあ 、と思います。 【ぐるぐる】さん 7点(2004-12-24 18:41:15) (良:1票) |
2.映画館でこんなに笑ったのは久しぶりというか、ないかもしれない。あと、鉛色の空が印象的。つげ義春から逸脱して青春映画に変えた監督さんは見事だと思う。さてところで、カウリスマキの映画ってとても面白いのだけど、フィンランド人が見たらもっと濃い密度で楽しむことができるのだと思う。と、このように国で映画を区切るのは映画のあり方からしてナンセンスな気がするが、それでも反対にこの日本映画である「リアリズムの宿」の笑いをフィンランドの人が日本人が笑うように笑うのは不可能な気がする。私たちは助詞助動詞を自然に使いこなす(自分はそんな自信はまったくないけど)ものだが、だからといって英語の前置詞は簡単にはマスターできないように、言語にはなかなか超えられない見えない壁がある。だからこそ映画という存在があるのだが。遠くの国で小津映画が賞賛されている現実がまさにそう。そしてこういった言語の壁を埋めるのは戸田奈津子のような人たちなわけだが、フィンランドの翻訳者はこの映画をどう翻訳するのだろう。ま、どうでもいいか。言いたかったのは、日本にもカウリスマキがいたということです【追記】カウリスマキはさすがに言い過ぎたか・・・ 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 7点(2004-12-10 18:07:10) (良:1票) |
1.なんともいえない“間”、いやいや笑いました。顔ぐらいは知っていた男2人がやむなく旅をすることになって、生み出される空気。そこに加わる女1人。その3人が、低温で微妙な関係を保ちながら、日常の延長のようなだらだらとした旅を続けます。長回しの会話で生み出される独特の間、長塚圭司と山本浩司の会話の間は、監督と2人の役者とが入念に築きあげた信頼関係から生まれる、即興的な部分もかなりあるような印象です。「異邦人」のタイミングにも笑いました。3人そのものがその宿では異邦人的なのですが、歌う山本浩司を異邦人でも見るかのように見つめる2人がまたおかしいですね。また彼らが泊まる宿が、風変わりな宿ばかり。笑わしてくれます。なんともけだるくアンニュイで、見る者を心地いいまどろみに引き込む、鳥取ロードムーヴィーです。 【彦馬】さん 8点(2004-07-05 22:29:06) (良:1票) |