本作「ハイウェイの彼方に(原題:Adopt a Highway)」は、人によっては地味な映画に見えるかもしれません。しかしなぜか私は非常に奥深い映画だと感じ入ってしまいました。それはおそらく人として不変的であろう親子の愛を描いているからに他なりません。赤ちゃんがフューチャーされた予告動画を見ただけではこの映画の本当の内容は理解できません。両親の墓前で「思うような人生ではなかった」と告白する男、20年の刑期を終えインターネットすら使ったことがない40代の独り身の男が乗ったバスの向かう先に、この男の新しい人生が待っています。
ちなみに「三振法」とは1990年代にアメリカで実際に州法として運用が開始された法律で、前科が2回以上ある者が3度目の有罪判決を受けた場合、犯した罪の重さにかかわらず極刑(スリーストライク=アウト)となる非常に厳しい法律。 また、原題である「Adopt a Highway」は、Adopt-A-Highway Program というアメリカの州間をつなぐ幹線道路をそれぞれ関わっている州が分担して清掃やメンテナンスなどを行うプログラムのことを指しており、各州が道路の一部区間を「養子」として引き取って面倒を見るという意味合いから、捨て子を養子として引き取りたい主人公の心情を掛け合わせた題名となっています。「ハイウェイの彼方に」ではこういった深い意味合いまでは汲み取れていないようです。 ラストで人生を取り戻せと託された「チリアン・プラム(切手)」ですが、これは非常に高価な物で評価額が15万ドル以上(今の日本円で2,000万円近くにもなる!)の非常に貴重なものだそう。主人公(イーサン・ホーク)の目で訴えかけるような渋い演技も含め、とにかく本当に素晴らしい映画でした。これがビデオスルーだなんて信じられません。