1.ジョン・ウェイン主演の戦争映画、と来ればどんな大作かと思いきや、これがどうにも要領を得ない内容でして。ただ、この作品、日本との戦争の最中に作られたタイムリーな作品、なんですよね。だもんで、日本人は容赦なく徹底的に悪者として描かれ(蔑称“ジャップ”も連発され)ており、考えようによっては、時代の空気をしっかりと刻みつけた非常に正直な作品とも言えるかもしれません。例えば、指示に従わぬ民間人を吊るし首にする残虐な日本人将校。後日の反撃で捕えられると、早速彼も吊るされてしまうというあたりの、実にストレートな判りやすさ。善vs悪の構図を装いつつ、実際は、やられたらやりかえせ、のノリ。いや、ホントに正直だと思う。上述の「要領を得ない」と言うのは、後半の戦史を無理やり追いかけるような性急さもそうだけど、本作のキモであるハズの“バターン死の行進”が、意外にアッサリ描かれていることでして、これでは何だか局所的偶発的な残虐行為のひとつ、みたいな感じ。要するにこういった「要領を得ない感じ」というのも、もしかして、「当時としてはコレで十分に伝わる」ということだったのかな、と。戦後に作られた戦争スペクタクル映画と比較すると戦闘シーンもかなり貧相だけど、「当時としてはコレで十分盛り上がった」のかな、と。と言う訳で、いささか完成度の高い作品とは言いにくく、またそれだけに、「心しておかなければイケナイ事が世の中たくさんあるのだ」と言う事を感じさせる作品でもあるます。まあ、そういう中で、アメリカ人の活躍ばかりではなく、フィリピン人ゲリラの勇姿を取り上げている点は、―――アメリカがフィリピンを植民地にするのはOKなのかよ、とか言うツッコミはあるかも知れませんが―――映画に幅を持たせるという点に関しては、注目に値しますかね。