201. ハリケーンアワー
《ネタバレ》 大規模自然災害で孤立。最愛の妻は出産中に急死。人工呼吸器が必要な早産で生まれた赤ちゃん。停電、食料と薬剤の枯渇、発電機の操作のために休憩はおろか一睡もできない。救助隊が来ないどころか殺気立った暴徒が乱入…。 我が子と二人、そんな八方塞がりの状況に放り込まれてしまったら、誰だって父親の自覚どころじゃない。混乱あるのみ。さりとて娘の命は何としても守り抜かねばならない。頭を巡らせ極限まで身体を酷使し、只管発電機のハンドルを回し続ける。保育器の中の娘に語り掛け、思い出の中の妻に語り掛け、人間らしさを失うことなく、それどころか命に代えても娘を守り抜く父親の姿へと一歩ずつ歩んで行く。 老朽化した機器の充電能力の低さ故の時間的制限による繰り返しで、展開が次第に単調になってしまうのかと思いきや、迷い込んで来た救助犬との交流でホッと一息つくことが出来たり、救助隊ならぬ暴徒の襲来を躊躇うことなく撃破する主人公の逞しさに胸をなでおろしたり、短めの尺の中にも変化に富んだ展開で一気に物語は進みます。 そして、身も心もボロボロとなりながらも出生後48時間が過ぎ人工呼吸器が不要となった我が子の姿に安心し、力尽きた主人公が崩れ落ちた時、救助隊の到着によって娘ともどもストレッチャーで運ばれて行く時の父娘の眩しいばかりの姿。(しかも、件の救助犬の働きによって救助隊が呼び寄せられるなんて泣かせる。実はシャーロックの生死を心配してました) 感動的でした。一言で言えばソリッドシチュエーションパニックサスペンス(一言でもないか)なのでしょうけれど、それはあくまでも手段というか設定であって、若き父親の成長を描くストレートなヒューマンドラマとして受け取りました。 ポール・ウォーカーさんの遺作となってしまった本作。アクション中心の作品ばかりではなく、様々なジャンルの作品にもっと出演して欲しかったと思わずにはいられない佳作でした。 追記:DVDのジャケットは勘弁してください。劇中グロック持ってるのは暴漢だけですから。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-11-20 00:30:36)(良:1票) |
202. メカニック:ワールドミッション
《ネタバレ》 無敵のヒーローが主役の作品でも、大抵は主人公は窮地に陥りますね。捕まってしまったり、瀕死の重傷を負ってしまったり、etc. ところが、この作品では人質こそ取られてしまうもののジェイソン様はほぼ無傷。只管強い。無茶苦茶強い。 でも、それでいいのだと思います。仮令ストーリーに深みがなかろうが、んなこと出来る訳ねーだろ!的なアクションの連続だろうが構いません。だって無敵のジェイソンを観たいだけなんだから。 なので無理無理タイトルを「メカニック」にしないでも良かったと思います。「メカニック」の続編を標榜するがあまり「メカニック」であって欲しい、あるべきだ、という思いに駆られてしまうから。 ジェイソン大好き人間とは言え、その部分は減点要素。けれど、ジェイソン以上にあまりにジェシカが好き過ぎて高得点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2022-11-14 21:17:00) |
203. サンズ・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 まるでアウトドアやサバイバルが似合わない一人の女性とスーツ姿の男ゾンビのロードムービー。これは新しいですね。 頭空っぽ、やることなすこと見事なヘタレっぷり。そんなヒロインだから始めの30分ぐらいはイラつくことイラつくこと、まるっきり感情移入なんか出来ません。倒すチャンスは何度もあったのに、ゾンビを従え只管歩くモリー。 でも、時が経つにつれモリーの感情に変化が。砂漠の中、ゾンビと二人きりで歩く途方もない道のり。愛息チェイスとの想い出に浸りつつ、答えがないと解っていつつもゾンビのスモールに語りかけずにいられない。この辺りの彼女の感情の移ろいがしっかりと描かれてます。下品で如何にもお馬鹿なキャラでスタートしたモリーが、物語が進むにつれ時として美しく、時として可愛らしく見えて来ます。 命の恩人でもあるスモールとの悲しい別れを経てやっと辿り着いた空港なのに、結局はチェイスへの思いから独り残るという道を選んだ彼女。愛息の救出に向かうためクルマのキーを捜すべくゾンビが潜む部屋に入って行く時の力強さ。そして。チェイスを守り抜くという強い意志を抱きゾンビに立ち向かうラストシーンでは、逞しい闘う母親の姿へと変わっていきます。 ブリタニー・アレンさん、いいですね。ゾンビ・ホラーにヒューマンドラマを上手く組み込んだ佳作に7点献上します。 邦題の意味がイマイチ解らないのが残念です。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-11-04 00:31:10) |
204. シャーク・ショック(TMV)
《ネタバレ》 何でしょう、この画面全体から滲み出る70年代感は?2017年の作品なのに色調も登場人物たちも一昔前の雰囲気です。 まぁそれはそれとして、物語的には、貧しき人々vs金持ちの悪徳地主という設定に高圧電流を帯びた巨大ザメの恐怖という、ある意味オーソドックスなサメ映画路線なんですが、なにせ登場人物の行動が無茶苦茶。一番まともそうな主人公はトレーラーハウスでの暮らしを豊かにしようと電力泥棒に走るし、高圧電流だっていうのに川の中に入っちゃって電線握って闘ってるし、そもそもあの小規模な風力発電で高圧電流?だし。カウボーイおじさんは巨大ザメにわざわざ愛馬で突っ込んだくせに愛馬食われて嘆き悲しんでるし。おねえさん感電して踊っちゃってるし。6メートルの巨大ザメに無駄にいろんな小物を投げつけて後で困ってるし。 そもそもあのサメはなんで遡上して来たのか?堤防決壊したなら海に押し戻されてるんじゃないのか?だいたいからして6メートル級のサメが水深2メートルもなさそうな川で泳げないだろうし、思うように泳げないから酸素切れで死んじゃうだろうし、ヒレだけのカットではいかにも模型の潜水艦みたく直線的に泳ぐし、時折り映るカットではマグロみたいな造形だし。 まあ色々書いたらキリがないですし、あの不衛生さ炸裂な汚水の中で演技した役者さんたちに敬意を表して(感染症対策は大丈夫だったんでしょうか?)3点献上です。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-11-01 11:39:22) |
205. ウィジャ・シャーク/霊界サメ大戦
《ネタバレ》 低予算映画の悲しさか、それともそれを楽しんで製作しているのか、手作り感十分なサメが合成感に溢れる映像の中で暴れ?ます。 登場人物はヒロイン以下全員が果たして役者さんなのかどうか疑ってしまう雰囲気。そして、ヒロイン以下登場する女性が概ねボリューミーなのは監督の好みなのか?(占い師だけが例外?) ヒロインの父親は、困惑する愛娘に「我が家はオカルトの家系」と言い放ち、オカルト一家ならではの戦いをしろと突き放す。それどころか占い師から水晶玉を奪った挙句幽霊ザメを呼び寄せて食われてしまう。そして、霊となって空高く舞い上がった彼は、幽霊ザメが口から放つエネルギーボール?をオカルト戦法ではじき返してサメ粉砕。この段階で完全にコメディと化した感があります。 ヒロインは襲い来る幽霊ザメを撃退すべく結界に使っていた筈のウィジャボードをショットガンで破壊。最初からやれよ!と突っ込みたくなります。あれ?ちなみに幽霊ザメは何匹いるの? 挙句の果てに、ウィジャボードの元の持ち主ことアメリカ政府のエージェント?は他にもボードを所有していて、大統領から直接指示を受け兵器として幽霊ザメを開発しているという結末。なるほど最初から複数匹いるわけですね。 終わってみれば何とも壮大なお話。なんと言っていいのやら。しかも続編が公開予定だとか。なんだかんだ言いつつ、配信されたら観てしまいそうだなぁ… [インターネット(字幕)] 3点(2022-11-01 11:09:59) |
206. 私はゴースト
《ネタバレ》 結末について考えさせられる作品。かなりの低予算の中で製作されたようですが、美しい映像と深みのある脚本に惹き付けられました。 幽霊視点の作品というのは決して珍しいものではないと思いますが、多くは死者が生者を見つめる物語。この作品は、そうではなくて死者が自分自身を見つめる(流れの)作品です。自らの死について考え、そこから見出した答えによって未来(死後の世界があってこその未来ですが)を導き出す物語ですね。 霊媒の語り掛けによって自らの死の真相とそこに至るまでの悲しい記憶をたどるヒロイン。彼女はそれによって救われる筈だった。しかし、結末はより悲しいものになってしまったようです。 彼女の別人格(あるいは彼女に憑りついていたもの)は救われ、主人格である筈の彼女は闇に飲み込まれて行く。悲しく救いのない結末と捉えるべきなのか、それとも別人格である筈の狂暴性を秘めているかのような男が、実は主人格(あるいは憑りつかれていた者)であって救われたと捉えるべきなのか、短めの尺の中で深みのある物語となっていると思います。 冒頭紹介されるエミリー・ディキンソンの詩「霊は墓や家だけでなく人の心にもとり憑く」。随分な意訳に思えますが、この翻訳がこの作品のテーマを言い得ているのですね。彼女について深くは知らないのですが、ヒロインの名前と言い、この作品の根底に流れているのは彼女の詩の世界なのでしょう。 何となく鑑賞した作品ですが、想像以上の佳作に出逢えました。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-10-26 10:31:55)(良:1票) |
207. ランドシャーク/丘ジョーズの逆襲
《ネタバレ》 知る人ぞ知るマーク・ポロニア監督による超絶Z級サメ映画。DVDのジャケットに燦然と輝くコピー「陸海喰!」には微笑まざるを得ません。配給元も楽しんでますね。 何より主役のサメの手作り感が堪りません。 全身像は中学か高校の文化祭で教室に水族館を作ろう的なノリ。頭部のアップは明確なハンドパペット。しかも、つぶらな瞳とまーるい歯がキュート。そして、殺人ザメを本格稼働させるためには人間の知能が必要と、サメの血清を自らに打ち遂には半魚人化してしまった博士の被り物。 そしてそして、サメそのものではありませんが極めつけはレーザー銃。一体どこで買って来たのか?ハンズ?ドンキ?これは手造りではなさそう。殺人ザメを撃ち殺してしまうほどの強力な武器。ん?それがあれば殺人ザメ要らないんじゃね? 狂暴な陸ザメとの闘い、その後のサメ人間との闘い、二段階で迫り来る恐怖のストーリー。どこか懐かしい香りのする作品でもあります。 トンデモ映画のようでいて大真面目に製作したに違いないとも思わせてくれる作品に3点献上します。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-10-24 10:50:36) |
208. スノーシャーク/悪魔のフカヒレ<OV>
《ネタバレ》 大規模な地震によって、太古の昔から地中に眠っていた?サメが解き放たれる。雪の中を自在に泳ぐ雪ザメ。まさか雪原にサメがいるとは露とも知らない人間たちは、次から次へと食い殺される。 何という発想!何というチープな映像と演出!そして殆ど台詞を与えられたエキストラ的な出演者たち!超低予算作品のようですね。主役?の雪ザメにも特別にCGなどは使われていません。手造りのサメ、サメ、サメ!そして、ヒレ、ヒレ、ヒレ!体力勝負で撮影を頑張ったとお見受けします。 邦題のサブタイトルからして、配給元はコメディとして位置付けているようにも思えますが、作り手は雪原を自在に泳ぐ人食いザメというアイディアに真面目に取り組んでいるように感じました。 が、結果は付いて来なかったようで、いくら奇想天外なアイディアであっても、多少の論理性というか説明は必要だったかなと。 それでも作り切ったことと、何だかんだ言ってこのチープさが結構好きなので3点献上します。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-10-24 10:03:20) |
209. シャーケンシュタイン
《ネタバレ》 DVDのジャケットが全てを物語っています。この超Z級サメ映画は、どう考えてもストーリーのトンデモなさ、脚本のトンデモなさ、サメの造形のトンデモなさ、演出のトンデモなさ、どこをとっても敢えて製作者がそれを意図しているとしか思えないです。 そう考えればこれはコメディ。サメ映画フリークスが製作したコメディとして捉えれば多少は納得出来るかと。ナンセンス・サメコメディと言ったところでしょうか? 実際、途中で放棄したくなるどころか、結構笑えました。犠牲者1号の食われっぷりを見て笑えるかどうかが、この作品を全編鑑賞出来るかどうかの分かれ道ですね。 私は思わず吹き出しました。なので最後まで観ました。お約束通りの結末まで。 ちなみに邦題は、原題のままよりも以前の「フランケンジョーズ」の方が良いと思います。英語的ダジャレとしては「シャーケンシュタイン」はなかなかのものだと思いますが、日本人的にはフランケンシュタインは「シュタイン」より「フランケン」の方が馴染みがあるかと。昔見た怪物くんの登場キャラのイメージが強過ぎるからかも知れないけれど。 [インターネット(字幕)] 2点(2022-10-13 11:15:28) |
210. クロール -凶暴領域-
《ネタバレ》 思いがけない佳作に思わず高評価です。 予備知識なしでの鑑賞だったので、縁の下でワニが出た時には正直ビックリ。でも、そりゃそうだね。増水している川岸の家、しかもフロリダ。そりゃワニ大量発生も止む無し。 ワニの使い方が上手い。ワニの横顔が通過していくあたりは「ジュラシックパーク」で見たティラノやラプトル的な恐ろしさ。声もたてず足音もたてずに移動しているところがやたら怖い。ヒロインに嚙みついてローリングするなんて相当現実味がある。 確かに都合が良すぎる展開や演出はあるけれど、その一方でヒロインの行動や言動、感情の動きはやたらと現実味に溢れている。 都合よすぎる展開と、都合が悪すぎる(現実的な)展開のバランスが素晴らしい!じっくり見入ってしまいました。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-10-09 20:19:00)(良:1票) |
211. ライフ・アフター・ベス
《ネタバレ》 最初から最後までイライラさせられた作品。 最初のうちは主人公の行動・言動にイライラ、その兄の行動・言動にもイライラ。両親の行動・言動にもイライラ。そして、恋人が復活した後にはそのイライラは更にパワーアップ。登場人物の殆ど全てがイライラの対象。ただし、それだけイライラさせられてもストーリーは意外とシンプルで解り易い。 ただ、肝心なことだけれど彼女って一般的に理解されているゾンビじゃないような?普通に暮らせちゃってますから。それでも、死んでるんだから時とともに劣化していくわけで、ゾンビ映画としては初出ではないものの挑戦的なアプローチとも言えるかも。観終わった後であーでもないこーでもないと語り合える要素はあります。 決して心に残ると言うようなタイプの作品ではありませんが、面白くないと言い切れるものでもなく、やや標準を超えた5点を献上します。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-10-08 00:04:45) |
212. ダーケストアワー 消滅
《ネタバレ》 設定自体は決して目新しいものではありませんが、短い尺の中でコンパクトに纏まった作品だと思います。 SFに限らず、パニック作品やディザスター作品にありがちな、実際のところとんでもない大問題なのに小さな地域やグループで決定的な解決に至ってしまうという、あるある的な展開ではあるものの、スピーディな展開と迫力の視覚効果で思いの外のめり込むことが出来ました。 もう少しは生き残って何か役割を果たすだろうと予想していた登場人物が、意外とアッサリ灰になってしまうあたりも飽きさせない展開に繋がっていると思います。 細かいことをいろいろと考察してしまうと「んな訳ないだろ!」みたいなポイントが相当数ありますが、気軽に鑑賞出来るエンタメ作品として佳作だと思いました。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-10-03 16:35:27) |
213. レフト・ビハインド
《ネタバレ》 もうすぐ製作後10年を迎えようとしている本作。ニコラス・ケイジさんの作品は殆ど観ていた筈なのに何故か未見でした。そして、出来れば未見のままが良かったのかも知れません。 「神」による現象と言い切られてしまえば、何であろうとそこで終了です。科学的とか物理的とか哲学的とか、凡そ万人に通じる合理的説明は不要となってしまう。観客はお手上げです。 一瞬にして数多くの人々が消失。今目の前にいた人が、今話していた人が、今抱いていた我が子が。そんなことがあれば誰であろうとパニックを起こすでしょうが、それにしたって街の混乱は異常。神に置いて行かれた愚かな人間なんぞは、自己管理も何も出来ないから一瞬にして制御不能になってしまってハイお終い。と言うことなんでしょうか? けれども、機長さんや愛娘さんはそれぞれに過去の過ちを悔い、神に赦しを求めたから助かった?他の乗客はついでに助かった?赤ん坊は全員合格だとか、牧師でも信心深くなければ落第だとか、消失するしないの基準もイマイチ曖昧。原作未読(読む予定なし)だから尚更に理解不能です。これは観たい人だけ、つまりは原作としている終末論を信じる人だけが観れば良い作品。一般公開には適さなかったのではないでしょうか? 荒唐無稽な不時着劇だけは、呆れつつもツッコミながら、と言うかツッコムことを楽しめたので2点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2022-10-02 00:33:38) |
214. チャッピー
《ネタバレ》 ロボット警官を題材にした他の有名作のような暗く陰惨とも言えるような世界観ではなく、犯罪や犯罪者を描きつつも明るくカラッとした雰囲気を感じさせ、演出的にもコメディ要素を随所に散らばせることで、クライムサスペンス的内容でありながらヒューマンストーリーに仕立て上げられていますね。 よくよく考えれば元々ロボットであるチャッピーは別として、人間であるディオンとヨ―ランディは非業の死を遂げているのですから、その精神がこの世に形を変えて残ったとしても果たしてそれが幸せなのかどうかは難しいところだと思います。と言うか、それがこの作品の最大のテーマなのかなと。 肉体が死して後も脳だけが生き続けるとか、霊として現世に影響を残し続けるとか、様々な表現をもって描かれてきた死後の世界の在り方のひとつ。製作者の意図はそこではないかも知れませんが、個人的には痛快なSFアクションを楽しんだ後に、ふとそんなことを考えさせられた作品でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-10-01 10:29:01) |
215. マー/サイコパスの狂気の地下室
《ネタバレ》 作品のテーマやプロットに反して終始明るい画面で描かれているため、単純に怖さや不気味さがありません。なので、ジャンル的にはホラーとも思えるのですがホラー感は感じられないような。そんなイメージで観始めてしまったので、内容的には陰惨な復讐劇なのにあまり衝撃を受けることなく観終わってしまいました。 邦題の副題もいただけないと思います。スー・アンはサイコパスとは言えないのでは?中盤あたりから内に秘めた狂暴性が顔を出し始めはしますが、一連のそういった行動だけでは彼女がサイコパスとは言い切れず、恐らく命名した担当さんは「サイコパス=サイコキラー」のように理解しているのかも。この副題は本作の内容に馴染まないように思いました。 そんなこともあって、事前に予想していた内容や展開と大きく異なり、何となく肩透かしを食った感じです。何故、今復讐劇が始まったのか?マギー母娘が帰郷して対象者が揃ったから?何故、当事者優先ではなく子息への復讐に念入りになったの?愛娘の病弱さは楽しい学校生活を送らせないために彼女が毒を盛っていることによる?それとも自分と同じようなイジメに遭わせないように軟禁している?謎は多いです。 出演陣の確かな演技に救われていますが、それだけに勿体ない感が拭い去れない残念な作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-29 10:40:31) |
216. モンスター・パーティ
《ネタバレ》 サラっとB級ホラーかなと思いつつ観始めたら、衝撃の展開で引き込まれました。 死亡フラグが予想しにくい。ヒロイン?の彼氏はいきなり惨殺、ヒロイン?と思ってた3人組の中で一番常識派と思われた彼女も結局絶命。生き残るのはまさかの3人。いや、豪邸の奥様は生き残るかと思いましたけど娘までとは。 キャスパーの立ち位置が微妙でしたけど、彼は寧ろパーティに参加したメンバーと同じ側の人間だったのですね。日本刀を手にした彼は見事に殺人依存症的な存在感を見せつけます。彼がこの物語の本当の主人公。カジノに踏み込み父親を救出する姿は痛快です。 そもそもはTVシリーズ「メンタリスト」のロビン・タニーがお目当てで観た本作。グロイのはあまり好みませんが予想に反して楽しめました。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-27 18:47:06) |
217. バスドライバー 史上最強の運転手
《ネタバレ》 正直なところ一言で言えばヒーローに「華がない」です。 元エリート軍人が訳あって軍籍を離れ、地味な仕事に就いて細々と生きている。ところが目前に危機が迫り、身に着けた能力を駆使して敵を駆逐する。ありがちですね。既視感満々。 でも、それはそれとしてヨロシクないとは言いません。ありがちな物語も脚本や演出、或いはキャスティングによって大化けすることはあると思うのです。ところがこの作品は大化けする要素に欠けているのですね。 一番の原因は冒頭に書いたヒーローに華がないこと。兎に角地味。そして、最初のワンシーンだけ無敵ですが、直後にはヘタレてしまう。何で?アンタもっと強いでしょ?急に弱くなり過ぎじゃありません?そんな感じを受けました。 引率教員のキャラも馴染めませんでした。滑りっぱなしのギャグ?で作品がコメディなのかサスペンスなのか分らなくなりそうです。 生徒たちも問題児って言われるほど問題を起こさないし。敵キャラも強いんだか頭悪いんだか良く分かりません。 登場人物が全てそんな感じですから、作品がどうにも締まりません。 ラストに出て来る将軍?も、某有名作のラストシーンを思い出させるだけで付け足し感があります。 短い尺なのでラストまで鑑賞出来ましたが、これが長尺だったら辛いでしょうね。もし、万が一、続編を製作するようなことがあるのなら、もう少しヒーローに華を持たせていただきたいものです。 [インターネット(字幕)] 2点(2022-09-27 16:20:16) |
218. アド・アストラ
《ネタバレ》 テーマそのものは決して批判すべきものではないと思うのですが、何せ宇宙での様々な事柄が非現実的過ぎ。宇宙工学等々に関しては全くの門外漢ですが、いくらなんでもやり過ぎなのでは?寧ろアニメだったら良かったかも知れないです。もっと受け止めやすい表現が可能だったのではと思えてしまいます。実写だからこその「んな訳ないだろ!」感がハンパない。詳細は皆さんが既に書いてらっしゃる通りです。 そのことがあるので、本来のテーマがすんなり入って来ない感じがします。主人公の行動についつい否定的になってしまう。つまりは感情移入出来ないのです。説明不足ということも言えるかもしれません。 キャスティングが違って予算もうんと少なかったら、どうにもならないB級以下作品になっていたでしょう。でも、ある意味その方が割り切れて楽しめたかもしれません。 名優を揃え予算も潤沢だからこそ、よろしくない部分ばかりが浮き立ってしまったのかなと思えてしまう、何とも勿体ない作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-26 00:34:28) |
219. アオラレ
《ネタバレ》 昨今話題の煽り運転。「煽る」とか「突き上げる」なんてのは昔から実態としてはあったけれど、最近は実際に命にかかわるような重大事件が起きたり、人様の体験を動画で目にする機会が増えたりと、正常な感覚でハンドルを握るドライバーにとっては、我が身に起こり得る危険として受け取らざるを得ない状況になってしまいました。そんな時代背景があるからこその邦題ですね。 ただ、この作品で犯人が繰り返すのは所謂煽り運転ではなく、クルマを凶器としたより直接的な暴力ですね。本来の気質に薬物依存も相まって、生身の相手を殴りつけるようにクルマでクルマごと傷めつける。だから当然、クルマから降りれば今度は生身の相手を直接傷めつける。作品全体を観る者にイメージさせるには、部分的に内容を言い表している「アオラレ」よりも、原題の「Unhinged」(狂気、錯乱)の方が適当かも知れません。ラッセル・クロウさんの鬼気迫る演技に繋がって行くような気がします。あんな目で睨まれたら二つ返事で謝ってしまいそうです。 それにしてもヒロインには感情移入出来ない。どう考えてもトムは異常で狂暴で、やることなすこと全く肯定出来ないけれど、フレッドに書かせたレイチェルへの手紙の文面だけは的を得ていて、彼女は自分勝手で我儘でだらしなくて、みっちり躾が必要な大人。だから彼女が「何なのよ、一体?」という言葉を口にする度に「アンタこそ何なのよ!」と言いたくなりました。 という訳で、スピーディな展開と適度の緊迫感、そして何よりラッセル・クロウさんの鬼気迫る演技に圧倒されて、飽きさせられることなく一気見出来るものの、少し深みには欠ける感じがする作品でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-25 23:31:08) |
220. オキュラス/怨霊鏡
《ネタバレ》 呪われたアンティークの鏡。それは手にした者の心を歪ませやがて死へと追い込んで行く。というストーリー自体には特に目新しさを感じませんが、過去と現在を同じタッチで描きつつ交錯、或いは混同させるという演出は面白いと感じました。 子どもの頃に両親を死に追いやられ、しかも母は父に、父は弟に殺させるという惨い仕打ちを受けたケイリーが、必ずいつか「鏡」の秘密を暴きこの世から葬り去ることを決意して生きていくという設定は十分に理解できます。 医療施設で長期にわたるカウンセリングを受けたティムが忌まわしい事件を合理的に解釈しようとする姿と、全ては鏡のせいだと断定し、異様なまでに執着するケイリーの姿を対比すると、実はカウンセリングが必要だったのは姉の方で、鏡は彼女の心を捉えたまま敢えて自由に生かしておき、復讐のために帰ってきたところを改めて死に追いやり、ティムには改めて汚名を着せ苦しみを与え続けるという「鏡」の意志を感じてしまいます。 なんだか作品解説みたいになってしまいましたが、要するにストーリー自体は非常に解り易く、意外性やどんでん返しは無いと言って良い内容であり、時間軸が交錯して行く中で観客が混乱していくという演出上の試みが中心になっている作品のように思えました。 ちなみに題名はラテン語の「眼」あるいは「丸窓」ですね。鏡に憑りついている悪霊(鏡の犠牲者であり死して後も魂を捉えられている者たち?)の「眼」がまさにそのように表現されていますが、そのことの意味するところは全く語られていないのは何故なのでしょうか?解らず仕舞いでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-21 11:38:05) |