621. 旅愁(1950)
イタリア観光名所案内を兼ねた不倫メロドラマ。そんな都合良くいく筈無いでしょ!展開へのツッコミは、美男美女カップルの色気と、御大フランソワーズ・ロゼー、ジェシカ・タンディの名脇役ぶりと、ウォルター・ヒューストン御自らの歌唱「セプテンバー・ソング」とラフマニノフピアノ協奏曲第2番フィナーレに封殺されました。しょうもないハナシを秀作に仕上げたプロデューサー ハル・B・ウォリスに拍手。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-29 21:12:56) |
622. モンスター(2003)
《ネタバレ》 ドキュメンタリー番組の肉食獣のような人物が女性であるのが特異ですが、実録ものとして手堅い造りの作品です。お腹すいた客引きして金稼いでこいと仄めかすセルビーにこの女は最後に裏切ると確信。ジョン・ヴォイトに見えて仕方なかったシャーリーズ・セロンが信じた者に裏切られる思いがどれほどのものか示す演技力はオスカー受賞に相応しいものでした。真のモンスターを演じるクリスティーナ・リッチの好演も光ります。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-28 18:16:44) |
623. 足ながおじさん
展開は予定調和でダンスはアステア作品では通常運転。撮影中に愛妻が病死し周囲の励ましで降板を回避したという、何時も以上に素敵に感じた笑顔の裏に隠されていた事実に胸が詰まります。フレッド・クラーク&セルマ・リッターの名バイプレーヤーぶりも心地よい良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-28 17:35:25)(良:1票) |
624. サムソン 神に選ばれし戦士
ルトガー・ハウアー目当ての鑑賞は彼でなくても良い役柄で印象に残らず空振りでしたが、「ペーパーチェイス」のリンゼイ・ワグナーの枯れたお姿に接し感慨に浸りました(+1点)聖書上の知識ない身にとって気持ち高ぶる事の無い物語でした。肉体の強さに比例していない精神力のサムソンが「苦しいときの神頼み」を何回も行い、何十年経っても成長していない姿に「何じゃこりゃ」白けてしまうところです。中途半端なデリラの存在意義も謎であります。 [DVD(字幕)] 4点(2020-11-27 01:22:27)(良:1票) |
625. 絹の靴下
アステアが霞んでしまったシド・チャリシーの魅力に尽きます。白眉はレッド・ブルース。元バレリーナならではの身のこなしで軽やかに翻るスカートにクラクラしました。傑作のリメイクも傑作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-24 01:40:00)(良:1票) |
626. パリの恋人
58歳アステアのエンターテイナーとしての輝きは健在で28歳ヘプバーンとのロマンスも違和感はそれほど感じる事も無く。ヘプバーンのカフェでのダンスを目にするアステアは自分の時代の終わりを感じていたのではと思わされます。ツッコミどころ満載のストーリーながらも2人の歌に踊りにファッションに充分楽しませてもらえた良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-22 23:46:32) |
627. THE PROMISE/君への誓い
ヒトラーによるジェノサイド以前にオスマン帝国によるアルメニア人ジェノサイドが行われていた事を初めて知りました。90,000,000㌦の大半を出資したアルメニア人大富豪カーク・カーコリアンの想いの丈を感じるところです。一方でナゴルノ・カラバフ戦争を続けるアルメニアに本作での描写(或いはそれ以上)同様の加害者・被害者模様を想像させられます。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-20 09:41:08) |
628. 大いなる罪びと
《ネタバレ》 ドストエフスキー「賭博者」(未読)を脚色したという本作。作家フェージャが列車内でポーリーヌと出会った事がきっかけで、カジノに触れ、小説の取材からのめり込み堕ちてゆく姿が描かれています。グレゴリー・ペックが見せる小説家の内面が実に生々しく依存症の恐ろしさを見せつけられる絶品演技でありました。神に救いを求める姿は「意志弱き私にお力添えを賜りますように・・・」度々願う私には身につまされました。脇を固めるキャストが贅沢でウォルター・ヒューストン、エセル・バリモア親子、カジノオーナー メルヴィン・ダグラス、死神の如き質屋 アグネス・ムーアヘッド それぞれ重厚で、中でもエセル・バリモアの立ち往生ならぬ座り往生は迫力満点。惜しむらくはエヴァ・ガードナー。華のある美しさなのですが、台詞回しに感じる薄さがキャストの中で浮いていました。賭博依存症を描いた傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-19 00:54:33)(良:1票) |
629. 風雲児アドヴァース
《ネタバレ》 終わってみれば、ドン・ルイスが誕生したアドヴァースを修道院の門前に遺棄するまでが本作の見どころでした(+2点)。成長したアドヴァースの血沸き肉躍る活躍にいやが上にも期待が膨らんだのですが。都合良過ぎる展開に於いてキャストの青臭い芝居をダラダラ長時間見せられた果てのしょうもない結末に開いた口が塞がりません。一体これのどこが風雲児なのか問い詰めたい邦題にも呆れるところです。いくら超絶男前であっても本作のフレデリック・マーチはダメでした。 2021.3.23 追記 「かなりのコケ具合」作品の中にあってドン・ルイスだけはその憎たらしさが妙に印象に残っていました。クロード・レインズだったというのが先ほど分かりました。「エーッ! 本当に?」と言うことで再見。「本当や!」あの少しかすれた感じの声(WW1従軍時のガス攻撃で右目失明と共に声帯が傷ついたそうです)はまさしく彼のもの。 憎ったらし~さが活かされていない脚本がやはり残念ですが、「損はしていないかな」と言うことで3点追加です。 [DVD(字幕)] 6点(2020-11-17 01:04:04) |
630. キューリー夫人
小学生時分に偉人伝として読み偉い人だという認識はありました。部活時代に言われた「出来なきゃ出来るまで千回でも万回でもやるんだよ」をそのまま体現する姿に、大発見はポンと閃いたのではなく執念の果てだったのを初めて知る事に。ご主人と支え合う姿と併せて只々ひれ伏すばかりです。グリア・ガースンはベストなキャスティング。彼女以外には考えられない好演でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-11-10 02:48:44) |
631. 春の珍事
珍妙な題名通りの珍作。野暮なツッコミは封印して観れましたので、楽しいひと時を過ごさせてもらえました。何より全編を通してのギスギスしていない大らかさが心地よい良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-08 19:29:33) |
632. トップ・ハット
人違い勘違いラブコメ。ベタな展開はじれったいけれど、そこに文句をつけるのはアステア作品では野暮の骨頂と言い聞かせる。元気をいただけるものではなかったけれど、華麗で優美なステップに魅入ったひと時でありました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-07 15:21:25) |
633. 砂漠のライオン
カダフィ大佐が3500万ドル出資したという(驚)史実に基づく力作を襟を正しての鑑賞でした。ムクターの信仰心はすんなり胸に入るものでした。アンソニー・クイン、オリバー・リードの熱演が光ります。ラフ・ヴァローネの役どころが中途半端なのは残念でありました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-04 02:19:41) |
634. パパが遺した物語
25年後のケイティとジェイクの接点が無いのがずっと引っかかっており、喉のつかえがとれて納得できましたが、彼女が荒んでゆく過程が抜け落ちている脚本と、時間の行き来の演出は物足りません。名場面に流れる Close to You はカレンの声で聴きたかったですね。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-11-04 01:57:06)(良:1票) |
635. ドント・ウォーリー
《ネタバレ》 他人を赦す、自分を赦す。難しくて出来そうもありませんが、出来たジョン・キャラハンの姿が眩しく映りました。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-11-01 03:17:19) |
636. 鬼軍曹ザック
朝鮮戦争時に於いて戦況・作戦の説明は皆無でひたすら生死紙一重の戦闘模様が描かれています。米軍の多様な人種のごった煮部隊の各エピソードは戦闘で勲章を得たというサミュエル・フラー監督が実際に見聞きしたものなのかと思わされるものです。無骨なザックが無骨に見せる情の厚さに胸熱に。戦災孤児ショートラウンドはどこかで聞いたことある名前・・・・・「インディジョーンズ魔宮の伝説」で活躍する中国人少年でした。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-31 01:58:13) |
637. SF核戦争後の未来・スレッズ<TVM>
《ネタバレ》 SFではなく、各分野の世界的権威者の監修によるというBBC制作シミュレーション作品。政治家は一切登場せず、英国シェフィールド市民が核を被弾してから辿る十数年間。他国の援助はないのか疑問ですが、核の応酬という事なので他国も同様なのだと考えます。最後の最後まで1ミクロンの希望もない世界は、現在においてもボタンを押せばこのようになり得る現実味を感じ身の毛がよだちました。二度と見たくないけれど1度は観ていただきたい傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2020-10-29 16:31:55)(良:2票) |
638. 晴れて今宵は(1942)
《ネタバレ》 アステアの歌とダンスは通常運転で流石の一言。リタ・ヘイワース24歳、美し過ぎる容姿に目が釘付け。デュエットシーンでの二人の笑顔に、肉体的にきついはずだろうに、必死な顔を一瞬たりとも見せないのに感じ入りました。この二人以上に圧倒的な存在感であったアドルフ・マンジューの憎めない傍若無人ぶりが印象的。八方丸く収まるエンディングの心地良さに+1点。 [DVD(字幕)] 8点(2020-10-28 01:59:13) |
639. グリーン・カード
展開と結末がほぼほぼ予想通りでコメディでもないのでこすっからい二人に白けたままで観終わりました。とりわけ鼻持ちならないブロンティに虫唾が走る。最後の最後に見せてくれたジェラール・ドパルデューのシラノ・ド・ベルジュラックを彷彿とさせる切ない佇まいに点数の全てを。 [DVD(字幕)] 4点(2020-10-27 02:27:07) |
640. ホテル・アルテミス 犯罪者専門闇病院
私より1歳年長ジョディ・フォスターの老けっぷりに絶句。鑑賞後老けメイク(+1点)と分かりホッとします。婆さんであっても男前な人物は彼女の持ち味が良くでています。 近未来(といっても今から8年後ですが)の闇病院という舞台設定は怪しげな雰囲気が印象的。お目当てバティスタはいかにもな役どころでアクションも陳腐なもの。代わってソフィア・ブテラの見惚れるプロポーションでの大立ち回りが素晴らしい(+1点) なかなか豪華な俳優陣でありながら思わせぶりなだけの脚本がお粗末に過ぎるところがとても残念です。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-26 02:30:56) |