Menu
 > レビュワー
 > keiji さんの口コミ一覧
keijiさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 86
性別
自己紹介 特になし

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
ホラーだというのに画面はいっつもピーカン照りというか、暗い照明のシーンなんて皆無。それで、その明るさでもって恐怖感をかもし出させるような演出であり、やっぱりただ事ではない作品なのだと思う。   あらためて、伝説になっているジャック・ニコルソンの怪演などよりも、恐怖におののくシェリー・デュヴァルの演技の恐ろしさに釘付けになってしまい、全部観終わったあとにその部分だけ(ジャックの原稿を読んでしまい、ジャックに追いつめられて階段を後ろ向きに上って行くシーン、それからジャックがドアを斧でぶち割る背後で恐怖に叫ぶシーン)二度見してしまった。すっごい!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-11-22 12:35:01)
2.  チャイナタウン 《ネタバレ》 
 観終わっての印象はやっぱり、この「脚本」のすばらしさに圧倒されるところがあるのだけれども、場面によっては、その脚本が絵をリードしすぎているように感じるケースもある。でもわたしはラストのシーンでの三人の男、警官のひとりが去って行くフェイ・ダナウェイの車に発砲しようとして、それを脇にいたジャック・ニコルソンがまずは止める。するとその脇の警官がニコルソンのとなりに出て来て、そこから車に発砲する、このシーンの演出が大好きである。どこか、「歌舞伎」の世界の所為を思わせられたりもする。‥‥そう思うと、この作品でのジョン・ヒューストンという強烈な存在がまた、まるで舞台空間のなかの世界を思わせてくれる気がした。みごとな映画である。   フェイ・ダナウェイが保護していた女性が彼女の「娘」であり「妹」なのだという告白のあたりで涙がこぼれ(ここのニコルソンの反応がいいんだ~ただひっぱたくだけだけれども~)、その、例のラストのセリフ、「忘れろ、ここはチャイナタウンだ」でまた泣いてしまった。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-07-05 10:57:29)(良:1票)
3.  扉をたたく人 《ネタバレ》 
撮影が良かった。いろいろなエンディングの可能性がある中で、かなり渋いところに着地させた作品。甘くしてしまえば「そんなものではない」と抗議されるからね。‥‥わたしもかつてはフェラ・クティの音が好きだったので、そのあたりで惹かれてしまった。主人公は西洋音楽(クラシック)~亡き妻への追憶~をおいて、まさにアフロ・ビートに目覚めるわけだ。彼の書いている論文もまた見直されることだろう。原題の「The Visitor」のダブルミーニングが、この邦題では消えてしまったのが残念。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-02-14 15:42:34)
4.  カプリコン・1 《ネタバレ》 
宇宙飛行士のひとり、サム・ウォーターストンの逃亡中のひとりごとがすばらしい。「屋根の上」が「崖の上」につながるというオチ。‥‥意外とカメラとかがんばっていて、思いもかけない長回しとかクローズアップに惹き付けられてしまった。むかしのハリウッドは意欲的だったんだなあという感慨。ヘリコプターのオペレーションとかも、観ていても「そりゃあ危険だろうが」というギリギリのところをやってる感じで、この「ヤル気」には感銘を受けた。カレン・ブラック、ブレンダ・バッカロ、そしてテリー・サラバスらの客演もみごと。脚本でいえば、エリオット・グールドは(本来ならば)もっとかんたんに抹殺されちゃうことが想像できるからアレだけれども、皆さんに不評のラストは、コレでいいんだと思ってます。 
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-17 16:55:11)(良:1票)
5.  アルゴ 《ネタバレ》 
 冒頭から、ニュース映像みたいなドキュメンタリー・タッチで「事件」の経過を追って行くわけだけれども、「これは訪イラン中の<映画>のロケハン部隊、ということにしよう」という<荒唐無稽>とも思えるアイディアが提出され、コレが採用される。ここで、実在のハリウッドのメイクアップ・アーティストのジョン・チェンバースが登場する。この役をジョン・グッドマンが演じているわけで、それまでの「あまり見たことのない人たち」の「リアル」な映像から、まさに、この作品自体もが「映画」へとシフトしてくれる。つまり「映画俳優」ジョン・グッドマン(大好きな俳優さん)の登場によって、ダブルミーニングで「これは<映画>なのだ!」ということになる。見事だと思った。   こういう「仕掛け」もあって、後半のケレン味たっぷりの演出にしても、「許せる」というのか、「映画なんだから」みたいな気分で楽しめた。さいごに作戦がみごとに(映画らしくもギリギリのところで)成功したそのあと、そのジョン・グッドマンが、「<アルゴ>? ポシャったよ!」というところまで、すっかり楽しませていただいた。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-03 10:37:36)
6.  三十四丁目の奇蹟(1947) 《ネタバレ》 
‥‥こんな点数をつけると、「なんて心の貧しいヤツ」とかいわれてしまうそうだけれども、イヤな映画、だった。単に、資本主義の論理、ヒエラルキーを補強するために「伝説」を利用しているだけではないのか。まあクリスマスというものがどうして今のようなかたち(商業的に利用されるだけ)になってしまったのかという、その根本のところは理解出来るようではある。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2013-12-29 09:42:01)
7.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
日本でも、京都とかで、ああいう「ニセ観光ガイド」がいたりしたら面白れえなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-24 09:15:07)
8.  武器人間 《ネタバレ》 
予告を観ていなければスルーしていただろう。期待はしていたが、期待以上の面白さだった。フランケンシュタインの末裔と、ナチスと、ソヴィエト軍との絡み。どいつが生き残ってもろくなことになりゃあしないというあたりの設定がいいし、結末には軽く笑わされた。監督はポール・バーホーベンの映画や「ホビット」などにも関わられているらしいが、これが監督第一作。CGをいっさい使用しない「手づくり感」がすばらしい。死体と武器とを縫合、結合させて、「シザーハンズ」で「ロボコップ」な、「鉄男」しているゾンビ軍団が、いっぱいいっぱい登場する。監督は「鉄男」の大ファンでもあるらしい。エイリアンのスペース・ジョッキーとしか思えない造形も一瞬登場する。堪能した。
[映画館(字幕)] 8点(2013-11-17 18:46:26)(良:1票)
9.  アザーズ 《ネタバレ》 
さいしょのシーンからして、ニコール・キッドマン、すっごい熱演だなあ、と思う。これ、ぜったいに「回転」のデボラ・カーの演技を研究してるよね、そういう感じ。演出のアレハンドロ・アメナーバルもまた、「回転」のジャック・クレイトンを研究してるに決まってる。きっと、子役のふたりも「回転」を観せられてるんじゃあないんかしらねえ。だってこれ、とっても良く出来た「続・回転」なんだから、って思う。ああ、また「回転」が観たくなった!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-23 12:07:00)
10.  カラーパープル(1985)
 ‥‥まあまあ、ことごとくポイントをはずした、デティールだけのもったいぶった演出の連続で、それでただヒロインの半生記をそれなりに映像化すればいいのかよ、という感想にはなる。スピルバーグはこれでこりずにこのつぎにはあの「太陽の帝国」なんていうのを撮ってしまい、またまた「それなりに映像化すればいいのかよ?」という疑問を、ふたたびみるものに抱かせることになるわけだ。 製作のクインシー・ジョーンズがやりたかったポイントというのもわかるけれども、だって、スピルバーグはそういうことのわかる人、できる人ではないじゃん。 
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-05-11 12:27:33)
11.  ウィンターズ・ボーン 《ネタバレ》 
 原作というのか脚本というのかが秀逸で、これってつまりはむかしのギャングものの「フィルム・ノワール」なストーリー展開なんだけれども、これをうまいことげんざいのアメリカ南部(ミズーリ州)の白人貧困層のもんだいに移植している、という印象。「ファミリー」はもろそのまんま「ファミリー」だし、「おきて」も「おきて」。みょうに芝居っけたっぷりな連中がいっぱいでてくるけれども、そういうなかではやはりヒロインのジェニファー・ローレンスというコの存在感は大きい。あとはティアドロップという人物を演じているジョン・ホークスという俳優さん、かつてのサム・シェパードだとか、デニス・ホッパーみたいな存在感がある、なんていうとあまりにほめすぎになってしまうか。でもよかった。  それと音楽。南部の伝承歌をさりげなくライヴ感覚で取り入れているところは、それだけで涙がでそうになる。ついつい、ここで唄っていたMarideth Cisco という人の名まえをメモして、ネットで検索してしまった。‥‥どうやら、この映画だけでフィーチャーされた方らしい。そういうこともまた、映画製作のあり方として賛同してしまった。バンジョーの取りいれ方に拍手したい。いい映画だとおもった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-02 18:23:26)
12.  ローマ帝国の滅亡 《ネタバレ》 
ヤリが宙を飛んで来て、人間の胸にブスッと刺さるシーンがけっこう何度か出てきて、オマー・シャリフもジェームズ・メイソンも、さいごにはクリストファー・プラマーもこれで死んじゃう。いつも同じなので、演出こそが投げヤリなんじゃないかと思ってしまう。つまり、よっぽどこの特撮が自慢だったんだろう。たしかに観ていて「どうやって撮ってるんだろう」と思わせられるんだけど、さすがにこれだけ何度もやってしまうと、そりゃあヤリすぎではないだろうか。 
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-04-22 15:28:53)
13.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
●コーエン兄弟の作品なんだけれども、「こういうストレートな作品も撮るんだ」という、これはほんとうに正統な西部劇ではないかという印象と、やっぱりどこか「ファーゴ」みたいな、奇妙にずれてねじれた感覚もあるか、という印象とがわたしのなかでせめぎあう感じ。演出のはじはじにただよう微妙なユーモア感覚はやはりコーエン兄弟の持ち味だろうし、とつぜん、あたまからすっぽりとクマの(おかしら付きの)毛皮をかぶった男が馬に乗って登場するところなんか、びっくりしてしまった。そのクマの歯がなんだか気になって観ていると、この作品、やたらと歯の話が出てくる。悪役のひとりを下からあおって撮影している場面でも、その悪党の歯並びが気になってしかたがないし、観ていても知らずに歯のことばかり考えていたりする。やっぱり、そんな変なことを考えてしまうのも、コーエン兄弟の作品だからこそのことかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-11 08:21:49)(良:1票)
14.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
●二時間半があっという間だった。面白いのは先行するスウェーデン版の、美術やセッティングを意識的に踏襲しているあたりで、「ミレニアム社」の編集室や、犯人の「処刑室」など、「そこまで同じにしなくっても」と思ってしまうぐらいに、その部屋の間取り、美術、照明など、まるでおんなじ、なのである。脚本もおそらくは原作からそんなにいじっていないんだろうけれども、やはりスウェーデン版とまるでおんなじ、というところが多い。 ●スウェーデン版とちがうところ。それはまさに、主人公のリスベットという女性の解釈である。まずはもちろん役者がちがうわけで、ある意味でスーパーウーマン的な、強烈な個性をにじませた、食肉系の猛禽類をも思わせるスウェーデン版のノオミ・ラパスと対比すると、ここでのルーニー・マーラという役者はあまりに弱々しく植物的な印象で、「これではたしてリスベットを演じられるのか」と心配になるわけだけれども、つまりはこの演出において、フィンチャー版はスウェーデン版とは対称的な差異をみせている。また、この差異をきわだたせるためにこそ、あえて背景をスウェーデン版とおなじにしている、とみることもできる。 ●背なか一面に、大きなドラゴンのタトゥーを入れたノオミ・ラパス版のリスベットが、それこそアウトサイダーな生き方にどっぷりという空気だったのに対して、ちょっと遠慮がちに、背なかの左半分にドラゴンを彫ったルーニー・マーラのリスベットには、どこか「こうしたくてやっているわけではない」というような空気もあり、「まわりから追いやられてこうなってしまった」という哀しさのようなものも感じてしまう。彼女の設定は二十三歳とかそのくらいだったと記憶しているけれど、なんかフッ切れてしまっている感のあるノオミ・ラパス版にくらべると、このルーニー・マーラには、たしかに二十三歳らしい、そして女性らしい、愛し愛されたいという願望をもっていることもわかる。これがまさにラストでの、スウェーデン版とこのフィンチャー版との「違い」というものに如実にあらわれているのだろう。 ●もちろんわたしにはノオミ・ラパスの強烈な個性を否定するなどということはできないし、あちらはあちらですばらしい作品だったと思うのだけれども、わたしもやはり男だからか、こちらのルーニー・マーラの「愛おしさ」みたいなものも、やはり大好きなのである。
[映画館(字幕)] 7点(2012-04-11 08:17:39)(良:3票)
15.  ツーリスト 《ネタバレ》 
 ‥‥これって、むかしはハリウッドによくあった「ロマンチック・サスペンス・コメディー」ってヤツですね。「シャレード」とか、ああいうヤツ。まあこの作品ではコメディー度はちょっと抑えられているけれども、だいたい観ていれば「真相」は予測がつくようなつくりになっているわけで、そうすると観ているものがその「予測」にもとづいて役者の演技とか注視してみると、かなり楽しい作品になるという感じ。思わぬところに主人公のピンチがあったり(捜査官、あとひと押し、だったのにね)、「ほら、やっぱりね」とか、「え!そうなるの?」とか、ニコニコしながら観てられる。やっぱティモシー・ダルトンはいいところに出てくるし、ラストの「税金払ったから無罪放免」っていうのもまさに「ロマンチック・サスペンス・コメディー」。そうやってみれば、「だささ」を喜々として演じているようなジョニー・デップの(二重の)演技ぶりを楽しんで観るのがいいのかも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-26 10:06:43)(良:1票)
16.  ジャーロ
まるでその現場に観客も立ち会っているみたいな、ゆらぐ手持ちカメラによる映像(カメラがとめられた車に近づいて行くとき、「ほら、ここで車の窓におそわれた女性の手がはりつくぞ」と期待すると、その通りの展開になる)。いつものどこかメランコリックな音楽。極彩色の画面。画面を赤く染める血。「鮮血の美学」である。もう、ストーリーなんかどうだっていいではないか。エイドリアン・ブロディ(犯人役との二役を楽しんだだろう)も、エマニュエル・セニエも、ちょっと期待したほどでもなかったけれど、「羊たちの沈黙」以降のサイコメトリストものの影響をたっぷり受けながら、「それがどうした」みたいな演出になっているあたりが、さすがダリオ・アルジェント、である。ある意味で、「捜査」と「人命」とどちらが大切なのかという、「サイコメトリスト」否定という文脈で観られなければならないのかもしれない。唐突なエンディングには「えっ!」と、思わず笑ってしまったけれども、みごとなエンディングだと思った。やはりダリオ・アルジェント、偉大なり。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-15 09:57:06)
17.  昼下りの情事
いくら映画でダイレクトな描写がないといっても、このふたりがセックスレスな交際とは考えられないわけで、じっさいにオードリーが「終わったわん」とばかりにゲーリー・クーパーの部屋で髪にブラシしてるシーンもあるんだけど、つまり、いくらなんでも百戦錬磨のプレイボーイが床入りして、オードリーが処女だったと気がつかないはずがないのであって、ここで、「性的な描写はオミット」というアメリカ映画のコードが、その脚本にまで影響しちゃってまんがな、という感じである。まさにそういう規制があるからこそ成り立っている作品という感じで、「スクリーンのなかの世界は別モノ」という絶好の見本だろう、と思う。まあこれも50年代だからこそ成立した映画で、今ならぜったいに、リメイクも不可能だろう。古き良き時代の、古き良き映画ということである。「スクリーンのなかの世界は別モノ」なんて、なんてすてきな世界がこの世には存在したことか。そこで、脱いだりしなくってもベッドシーンを演じたりしなくっても輝くことができたオードリー・ヘップバーンって、なんて幸せな女優さん、だったことだろう。  ヘップバーンとモーリス・シュヴァリエの家の、倉庫みたいな仕切りのドアとか、その家の間取り、ゲーリー・クーパーの滞在するホテル・リッツの間取りとか、こころ憎いほどにうまく演出するビリー・ワイルダー節も絶好調。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-12 18:35:33)
18.  リバティ・バランスを射った男 《ネタバレ》 
●町の女性に恋して、彼女(ヴェラ・マイルズ)とのしあわせな生活を夢見ているジョン・ウェイン。しかし、東部から弁護士志望のヤサ男(ジェームズ・スチュアート)がやって来て、ジョン・ウェインは彼をなにかと助けているうちに、彼女のこころはそのジェームズ・スチュアートの方に行ってしまうんだね。●ジョン・ウェインがそのままヴェラ・マイルズと結ばれるならば、それは同じジョン・フォード監督の「静かなる男」になるんだろうけれど、つまり、この「リバティ・バランスを射った男」では、つまりは「静かなる男」の主人公ショーンがジョン・ウェインとジェームズ・スチュアートのふたりに分裂してしまっている。というか、ジョン・ウェインはまさしくジェームズ・スチュアートの陰の存在という立場になってしまう。そういう運命なのである。肝心のところで表面には出ず、陰からジェームズ・スチュアートを助けるべく定められている。運命を受け入れられないジョンはみずからを消滅させようとさえするけれど、つまりは運命を受け入れる。そういう物語が、いわゆる西部のガンマンの時代の終焉とかさねられて描かれるから泣けるわけである。●無法者のリバティ・バランスを演じるのがリー・マーヴィンで、この無法者は西部の自立を押さえ込もうとする北部の牧畜家らに雇われているらしい。そういう背景も、もう「西部劇」の時代ではないのだということになるのだろう。リー・マーヴィンの手下のひとりをリー・ヴァン・クリーフが演じていて、これがいつもリー・マーヴィンのやりすぎにブレーキをかけるあたりがおもしろい。なさけないちゅう房のエプロン姿で決闘に向かうジェームズ・スチュアートも、もちろんいい。  
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-12 12:43:05)(良:1票)
19.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
●いささか少女漫画っぽいバレリーナ物語なのだけれども、とにかく過剰サーヴィスというか、たたみかけるような演出で、観ていてもドーパミンだかアドレナリンだかが脳内噴出するようであった。終わってみると「あれ?」というところもあるのだけれども、とにかく観ているときには夢中にさせられたのである。 ●しかしこれはどう観てもポランスキーの世界で、ヴィジュアル的にも「ローズマリーの赤ちゃん」から多くを負っている感じだし、コンセプトの「妄想」は、やはりポランスキーの「反撥」に通じるところが大きいと思う。 ●主人公のニナ(ナタリー・ポートマン)の母親(バーバラ・ハーシー)のメイクなど、どうみても「ローズマリーの赤ちゃん」のうさんくさい隣人のおばさん(ルース・ゴードン)にそっくりであるし、そのニナが鏡に自分の背なかの傷を映してみるシーンなど、そのまま「ローズマリーの赤ちゃん」にあったショットの再現であったりする。  ●ついに「白鳥の湖」舞台初日を迎える前夜から、初日舞台終了まで(つまり、映画の終わりまで)のハイテンションぶりは異様なほどで、もうほとんどこれは笑ってしまう次元である。バレエのシーンはできるだけナタリー・ポートマンの全身を映さないように(つまりはやはり、それはムリだよということだろう)、たいていは上半身だけのショットで、そういう制約もあってのことか、全体に映像の美しさを堪能するような種類の作品ではない。それでも、「ブラック・スワン」を踊るニナの舞台シーン、「これはすごいんだ」ということを納得させるためというか、CGが最大限に活用されるわけだけれども、これは素材がダンスだとかバレエだからこそ、という特殊効果シーンなんだけれども、作品全体が「妄想」という非現実のフィルターがかけられているなかで、もうひとつ、観客の「妄想」をも巻き込んだようなこころにくい演出で、ここで映画としてのクオリティがいちだん上昇したような感覚である。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-12 18:54:36)
20.  パブリック・エネミーズ 《ネタバレ》 
●デリンジャーにはあまり似ていないジョニー・デップが主演。マリオン・コティヤールが演じるビリー・フレシェットという女性とデリンジャーとの関係を縦軸に、かれを追うFBI捜査官のメルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベール)らの追跡ぶりを織り込んでいく。いわゆる「ドラマティック」な展開というのではなく、ナラティヴな話法にしたがわずに、映像的にポイントポイントを重点的に描いていく感じ。だからデリンジャーの脱獄にしても、史実である木製の銃に似せたものを使ってのくだりの描写なんか、「木製銃だった」とチラリとセリフで語られるだけで、へえ、そこに重点は置かないわけだ、などと思わせられる。いくつかのシーンの白昼夢のような光景が印象に残り、たとえばそれは冒頭の刑務所からの集団脱走のシーンの、刑務所の壁や周辺の風景、そして銀行強盗シーンの異様に高い銀行の天井だとか、ほとんど人影のない銀行の外の風景とかになる。それらのシーンではいっしゅの沈黙が画面を支配しているようなのだけれども、ただ銃声だけは鳴り響いている。ずっと、そういう画面のちからのようなものに魅せられて観ていて、こういうのも新しいタイプの映画のあり方だな、などと思う。好きな映画である。 ●マイケル・マンという監督の作品はほとんど記憶になく、監督の名を記憶にとどめようともしていなかったのだけれども、こういう作品をつくるひとなのであれば、ほかの作品もちゃんと観てみたい。ただ、このひとの作品というのはそりゃあ「男と男の映画」だろう、ぐらいの思い込みは持っていて、そうするとここでデリンジャーのジョニー・デップに相対するのはメルヴィン・パーヴィスのクリスチャン・ベールかよ、と思って観ていくわけだけれども、どうもこのメルヴィン・パーヴィスというのは好きになれない男で、まあそういうふうに描かれているわけだ。そう思っているとラストも近くなってから、そのメルヴィン・パーヴィスの部下の捜査官が「デリンジャーはシャーリー・テンプルの映画なんか見ない」などとイイこというわけで、そうするとその捜査官こそが選ばれた人物で、ラストにとっても重要な役割を果たすことになるのだった。いやあラストはまたないてしまったではないですか。この捜査官を演じていたのはスティーヴン・ラングというひとで、「アバター」でマッチョなかたき役を演じて大暴れするひとだった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-01 14:50:49)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS