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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
最初はトカゲゴジラかと思ったら後でちゃんとゴジラ型ゴジラになっていたが、振りや表情がクサすぎて演技過剰に見える。映像面では重巡洋艦の主砲射撃と敢闘精神、また大正時代の峯風型から戦争末期の丁型まで揃えた駆逐艦が見どころで、震電も本物っぽい感じで飛んでいた。ちなみにゴジラが2万トンというのは高雄の倍くらいということだ。  ドラマとしては安手だが一定のメッセージ性はある。「この国」(身内や知人その他自分のいる社会を構成する人々)を守るための戦いは誰かがしなければならないことであり、自己都合で去るのは止めないが、自ら志をもって行くのを止めることもできない。ただし死ぬと決まった出撃ではなく、必ず生きて帰る前提だ、といったこと自体は理解できる。 ただしタイミングとして今それを言うかという感じではある。映画の設定としては戦争直後でも、いま製作するからにはいまに通じるテーマがあるだろうと思うわけだが、公開時点の国際環境のもとでは、極東有事の際は「米軍も当てにできない」から日本人が率先して戦おう!というような、勇ましいが不穏な空気を醸している。アカデミー賞の受賞は、そうなったら頑張って戦ってね笑というアメリカからの激励ではないか(どうせ武器だけ買わされる)。時事性の面では最悪だったというしかない。 なお時代を遡ることで反核色を消すつもりかと思っていたが、核兵器との関連付けは一応残してある。ただしそれは初代ゴジラの先行映画「原子怪獣現わる」(1953米)からのことであってアメリカでも常識の範囲内である。放射線量を測って首を振る場面は旧作にもあったが、この映画のは形ばかりで心がない。  ほかに「日本政府も…当てにできない」から民間主導というのは意味不明である。何か意図があったにしても最低限、金の出所がわからなければ納得できない(実はアメリカにやらされていたとか)。また「情報統制はこの国のお家芸だ」と言っていたのは別に「この国」(日本国家)限定のことではないだろうが、昔の人は視野が狭いということなら仕方ない。 最後にゴジラが生き返りそうになっていたのは、50周年で一度終わった邦画ゴジラに関し、今回の延長上でまたシリーズを始めるための仕切り直しだったという意味か。最後の病室で、浜辺美波さんの首筋をこれ見よがしに映していたのは意図があったようだが、そういうことまで好意的に受け取るのは完全に無理である(浜辺美波さん=沢口靖子か)。 全体として、視覚効果は現代風だがマイナス要因が多いのであまりいい点はつけられない。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-05-25 21:12:00)(良:1票)
2.  ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 《ネタバレ》 
あまり真剣に見るものではないが、どうせ昭和の怪獣映画だと思えばそれなりに見ていられる。 エビとガの登場にはあまり必然性が感じられないが、劇場パンフレットに書かれた「陸海空の三大怪獣」というコンセプトで数を揃えた形らしい。新顔のエビラはハサミに大小があるが、小さい方で人間を串刺しにして食っていたので使い分けがあるようだ。終盤モスラが飛来した場面では、ゴジラとの間で何らかのコミュニケーションがあったように見えたが、劇場予告ではここでモスラが「来ちゃダメッ」と言っていたことになっていて女性的なイメージが持たれている。 場所が南洋の島なので当時の日本各地の風景を見られるわけではなく(ロケ地の海岸は別として)そういう面白がり方はできない。しかし最後に島が崩壊して沈下する場面は迫力があって、この辺はさすが日本特撮だと思った。  政治的な主張としては、大学生の反戦・反核は当時の定番として、悪の秘密結社のような敵はどういう団体だったのか不明瞭だが、呼称に「赤」が入ることから当時の東側陣営に連なる組織と思うしかない。「革命」という言葉を特別視していたようだったが、本来の革命というのは民衆が圧政に耐えかねて、または外部勢力の扇動で起こすものであって、劇中でやっていた核開発の延長上にあるものではないだろうと言いたくなる。しかし当初は革命の美名のもとに発足しながら、この頃には核兵器で世界平和を脅かす存在になっていた東側勢力を皮肉ったとも取れなくはなく、戦後の東西対立の中でゴジラを「中立」の立場に置こうという考え方だったかも知れない。 登場人物としては、水野久美さんはこの時期になってまたこんな村娘役かと思うがそこはプロである。露出の多い服装で藪や岩場を動いて傷だらけにならなかったかと思うが余計なお世話か。小美人は前と違う双子が出演して同じ声質でのハーモニーを聴かせている。外見は「謎の円盤UFO」(1970~英)のエリス中尉風だった(どことなく未来的)。
[DVD(邦画)] 5点(2024-02-24 20:13:05)
3.  コタンの口笛 《ネタバレ》 
撮影場所は主に千歳市内(支笏湖を含む)とのことで、ほかごく一部を札幌と白老で撮っている。劇中で「今じゃもうありもしないアイヌの風習を見せて」観光団体を呼んでいたという白老には、現在では立派な民族文化の拠点施設ができて多くの来場者を集めているらしい。 現代の出来事として、2021.3.12に日本テレビの番組でアイヌに対する侮蔑的発言があって問題になったが、この映画ではその言葉がそのまま台詞になっており、実際にそういう言い方はあったということがわかる。劇中発言によると当時の社会は前よりましになったとのことだが、それでもなお差別があることの背景には、差別者の個人的問題(劣等感の裏返し、ただし中学生レベル)以外に、世代の違いのせいで前時代の差別感情から逃れられない場合があることが示されていた。ほか民族差別とは直接関係なく、古い世代の権威主義に対する若い世代の反発が表現された場面もあった。 一方で社会制度については特に問題視されていたようでもなく、当然ながら義務教育は万人に対して普通に行われ、また失業保険といった社会保障も全国民に共通になっている。鮭を獲るのが密漁扱いだったことに関しては、先住民の権利を国家が奪ったと解釈されるのが普通??だろうが、これも社会の構成員が等しく共通ルールに従うことの表現とも取れる。まだ人々の間に差別意識は残っていても、社会制度はフラットなものができているとの認識だったようで、個人的感覚としても先日たまたま見た中米グアテマラの先住民の映画に比べれば、日本は極めてまともだと思わされた。 物語上のポイントになっていたのは、登場人物の中で最も強圧的で横暴な人間が何と主人公姉弟の親戚だったことである。集団の全体が善または悪なのではなく、集団内にも善や悪の個人がいて、さらにいえば個人の内部にも善悪が混在して時代により変化もしていく。そのような認識のもとで、殊更に集団間の憎悪を煽り分断を拡大するようなことをせず、次第に改善されつつある社会において「一人ひとりが強く生きる」ことの方が大事だ、というのが結論だったらしい。そういう考え方が現代においてどのように評価されるのかわからないが、個人的には普通に共感できる話ができていた。 なお監督としては、戦後の時代において「広い世界の中の日本の立場におきかえる事の出来る」テーマがこの物語にはあるとの考えだったそうだが、これは現代でも基本的に変わらないと思われる。終わることのない圧迫に耐えながら、劇中姉弟のように諦めない姿勢を貫くことが大事ということで、劇中の美術教員の言葉を日本全体として受け止めるべきだということになる。  その他個人的な見解としては台詞がほとんど東京言葉のため、特に若年層などはアイヌか和人かという以前にそもそも地方民とは思えない。その中で主人公姉弟はまだしも純粋で真直ぐな人物像ができていたが、この二人を迫害する同級生の底意地の悪い発言や口調はまるで地方民を侮蔑する都会人のようで極めて不快に感じられ、本来のテーマとは別に地方民としての共感を誘う映画になっていた。ちなみに主人公姉弟の母は秋田県由利郡本荘町(当時)の出身だったとのことで、その良き地方民の資質が姉弟にも受け継がれていたものと想像される。
[DVD(邦画)] 6点(2023-08-26 10:52:10)
4.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
全体的に大阪と北海道の二部構成のようなのは少し変な印象がある。それ自体はいいとしても、最初に怪獣がいた場所は空撮映像からすると伊豆諸島の利島近くの鵜渡根島に見えたが(設定上は紀伊半島沖などか)、そこからわざわざ主人公の会社のある大阪に怪獣が来て、さらに支社のある北海道にまで来たのは、登場人物を怪獣が追いかけているようでかなり変だった。 また細かいことだが、料亭「弥生」での宴会の場面は必然性が弱い気がする。元同僚と主人公の顔合わせのためだとしても、主人公の婚約者が所在なさげにしているのは気の毒だと思ったが、同時開催の会社の宴会も酌婦がいたりして女性には居心地が悪そうだった。そこへ漁船沈没の急報が来ていたが、酒を飲んでしまっては飛行機を飛ばせないではないか…と思ったら結局は翌朝から出ていた。 なお大阪の警察が府警でなく市警だったのは、自衛隊を防衛隊というような架空の組織の意味かと思ったが、実際に昭和30年までは市の警察というのがあったらしい。制服に大阪市のみおつくしマークがついていた。  怪獣の出る場面では、せっかくのゴジラも前回のような得体の知れない恐ろしさが感じられず、やはり今回は怪獣バトルの方で見せる趣向だったと思うしかない。怪獣の動きが素早いのは撮影速度を間違えたからだとの話が伝わっているが、劇中の説明で「甚だ敏捷」と言っていたのとは整合しており、かえって新鮮な印象だった。日本では10年ぶりくらいの灯火管制で大都会が息をひそめたところで、夜空に照明弾が浮く映像は少し印象的だった。 怪獣映画としてはあまり取り柄もないようだが、人情ドラマの方を少し見てやるかという気にはなる。水産会社の社長が、缶詰工場を失って打ちひしがれるでもなく「必ず立ち直ってみせる」と言っていたのは頼もしい。戦後復興を担ってきた企業人はさすがと思わせる。また「花婿さん」に関してベタに泣かせようとする展開は今どきちょっとまともに受け取る気にはならなかったが、この男がプレゼントの相談をした時に、主人公の婚約者が見せた表情は非常に印象的だった。「金持ちのお嬢さん」にしても嫌味のない人物で、これから主人公とともに会社を盛り立てていってもらいたいと素直に思った。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-05-22 09:25:17)(良:1票)
5.  この世界の(さらにいくつもの)片隅に 《ネタバレ》 
原作との関係ではいわば完全版ということになる。主に、前作でほとんど捨象されていたリンさんのエピソードを全面的に加え、夫婦それぞれの過去を見せることで対称性のある物語を再現している。今回はリンドウの青が色彩的に目について、すずさんのタンポポのイメージ(黄色)と対照的に感じられた。またすずさんも今回はより大人の女性としての姿を見せている(こんなにエロいとは思わなかった)。ちなみに、これだけ長尺でもまだ省略されているエピソードがある(ミヨセンセーノハゲアタマなど) 前作を含む映画版の特徴として、原作で読者の読み込みに任せていたところをわかりやすく示すということをしているが、ただこの新作版で伯父夫婦の語った周作の過去などは、適当に想像しておけば済むことなのでやりすぎだ。また原作に出た事物を別のところで出している例もあるが、「愛はいずこにも宿る」(「どこにでも宿る愛」)という言葉に関しては、個人的感覚では結果的に得られた感慨として扱うべきものであり、途中で安手の格言のように語らせたのは残念だ。 その他前作になかった点として、広島に救援活動に行った人々(伯父や知多さん)のその後の健康状態に触れた場面もあった。また「狸御殿」の様子(顔)をいかにもそれらしく描いていたのは笑った。  なお前作と共通だが、原作で終盤にあった「記憶の器」という言葉を、映画では「笑顔の容れ物」に変えていたのに今回気づいた。真意は多分同じと思うが、原作段階では亡くなった人々の記憶を背負って生きる義務を自ら課すという悲壮感のようなものも感じたのに対し、これを変えることで、亡き人々を暗い記憶の中に封じ込めるのでなく、あえてこの世に祝福されていた存在として記憶にとどめようとする意志が明瞭になっていた気がする。残った人々もこれからできる限りの笑顔で生きていこうとするのだろうし、エンディングで水玉模様の服を作る絵からもそのように信じることができた。 現実問題として、みんなが笑って暮らせるわけではないのは当然のことである。しかし時代や場所や境遇の差はあるにせよ、人というのは誰しも常に笑いを求めているのではないかという気もする。日常的な暮らしの中の笑いというのは、いわゆる普通の幸せの実体をなすものではないかという気もして、自分としてもそういうところをないがしろにしてはいないか、と反省されられた(態度を少し改めることにした)。今回は戦争と無関係に個人レベルのことだけ考えてしまったが、そこがこの物語の持つ力ということだ。 完全版とはいえ全面肯定でもないので満点にはしないが、ちなみにコミックレビューの方は10点にしてあるので、それが本来の点数である。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2021-01-02 10:26:08)(良:1票)
6.  コワイ女 《ネタバレ》 
題名を全体テーマにした3話オムニバスのホラーである。以下個別に書く。  【カタカタ】 バケモノの顔を見て最初はコメディかと思ったが、その後は特に笑えない。ラストは意外だったが別に驚くようなものでもない。かなり前に一度見た時のメモには「女子高生には全く見えない」と書いてあったが、そんなことを記録して何の役に立つかと今回思った。 なお個人的には中越典子さんを見ているのが好きなのでその点はよかった。色っぽい場面は特にないが脚はきれいに見えた。 【鋼】 かなり独創的。上の口と下の口という言い方があるが、下だけで上も兼ねているようなものか、または下だけあれば上など飾りですということか。中身はドロドロだとか針を飛ばして来るなど、荒唐無稽に見えても意外に現実に基づいた戯画化を意図したようでもある。 女優の菜葉菜という人の公式プロフィールでは出演作で『「鋼」ヒロイン』と紹介されているが、ヒロインであるのに最後まで顔を見せないのはひどい。と思ったら写真の顔が本人だったらしい(かわいく写っている)。下半身だけでのキャスティングでもないだろうが、かなり適役の体型であることはわかる。特に序盤で動きがかなりハードなので、こんな所から転げ落ちて本当に怪我をしたのではと心配になった。エンディングでは涼やかな衣装で踊りながら何度も回転していたが、目が回って倒れる直前でカットされているのは笑った。 【うけつぐもの】 「監修 清水崇」と出る。真面目な話なのはわかるが意味はわからない。 愛する者が自分を裏切って去ることを主人公が恐れていたのだとすれば、直前の離婚が影響していた可能性はある。また娘は対象外だった(2代続けて)ことからも、息子に対する近親愛とか小児性愛的な感情はあったかも知れない。しかしそれにしても今この段階でこういう行動に出ることに説得力がないわけだが、それを要は呪いのせいだということで正当化しているのか。オムニバスの1エピソードとして甘く見ていたので見落としがあるかも知れないが、ちょっと納得しかねる話ではあった。 なおホラーの作り方として、出来事の顛末を全部見せずに切り上げるのは嫌いでない。また主演の目黒真希という人はなかなか魅力的な女優さんだった。  以上、全体的にはそれほどでもなかったが、顔の見えない菜葉菜さんのためにもそれなりの点をつけておく。ちなみにこの人がちゃんと顔出ししている映画も見たことはある。
[DVD(邦画)] 5点(2020-12-26 15:29:53)
7.  コープスパーティー Book of Shadows 《ネタバレ》 
前回の時点で続編は見ないと宣言しておいてから結局見るのは阿呆というしかない。 内容的には前回の延長戦のようで、仲間を助けに行く話なら少しは人道的になるかと思ったが、死ぬ人間は死ぬと早々に宣告されてしまうのでは来た意味もない。新登場の猟奇殺人者は前回の用務員に相当するものとして、ほかにいわゆるピノコとか魔導書のようなのを動員して無理に話を盛ったようだが、それにしても最後の締めがありきたりで意外性も何も感じない。ちなみにエンドロールの後にも何もない。 友情とか愛情とか「強くなりたい」とか一応の人間ドラマを作ったようでもあるが、どうせ惨殺されて観客を喜ばすためのキャラクターが何をやっても茶番でしかなく、逆にそういう人の心をせせら笑って踏みにじるのが目的に見える。中学生向け映画にまともに物言うのも大人気ないが、もし騒乱や災害などで社会秩序が失われる事態になった場合、劇中の猟奇殺人者のような連中(中高生)がそこら中に湧いて出るだろうから、何より治安維持が最重要だという社会的メッセージを勝手に読み取った。 なお今回もS県A市が撮影協力しているが、この手の俗悪映画で名前を売って観光推進とは恐れ入る(※個人の感想)。「みんな!エスパーだよ!」(2015)くらいならまだしも笑って済ませられたが。  ほかキャストに関して、前田希美さんは引き続きこの人ならではの役を務めているが、その姉役で出た石森虹花(欅坂46)という人が、妹役よりも年下で童顔というのはどういうキャスティングなのか。演者の年齢では前田希美(93)>生駒里奈(95)>石森虹花(97)のはずで、今回最も変だと思ったのはここだった。
[DVD(邦画)] 2点(2020-01-04 09:29:37)
8.  獄門島(2016)<TVM> 《ネタバレ》 
NHK BSプレミアムで放送されたドラマである。冒頭の場面で、これは今までと違う金田一耕助だといきなり宣言したように見える。 ただしその後は意外にも、復員放送とか靴の傷といった原作の要素を細かく拾いながら、ミステリー部分を中心に手際よくまとめたドラマになっている。映像面で美的に感じられる場面も多く、これはこれで悪くないのではと思っていた。 しかし終盤に至るとまた意外にも、それまでおとなしくしていた制作側が態度を一変させたかのように見える。金田一と和尚の対決場面では、原作にある要素をちゃんと使いながら、刺激を何倍にも増幅させて痛快感と説得力を出しており、ここは正直圧倒された。金田一本人が気○がいのように笑うのにつられてこっちも爆笑してしまった。 またここで見せた金田一の隠れた側面が、ラストで出た戦争についての述懐にもつながっていたように思われる。全てを掴み切れた気はしないが、人命の空しさに関わる虚無感のようなものがあったようで、戦争体験が金田一の人物像に大きく影を落としていたらしいのは前の映画にもない独自の趣向に見えた。 原作自体があまり面白い話と思っていなかったので事前の期待との差が著しい。旧作映画のファンには受け入れられない面もあるかも知れないが、何のこだわりもない立場としては、これが原作付きドラマの鑑だと断言してやる。 ちなみに早苗さんへの思いを込めた場面もちゃんとあって切ない。  以下は個別事項として、登場人物では警部が有能そうで威厳のある立派な人で、この人物との関係性が金田一の真価を際立たせている。また鵜飼という男が、最後には金田一の戦友のように見えていたのは意外で面白い。ほか完全に捨象されていたのが「勝野」の存在で、1977年版で都合よく使われたのであえて外したとも取れるが、逆にいえばいなくてもいい人物だったということである(ネコは出ていた)。 キャストについて、仲里依紗嬢は個性的過ぎるので早苗さん役としてはどうかと思ったが、実際見れば可憐で健気な姿を見せており、この人の少女時代を少し思い出した。ほか熟女系の人々は今回あまり目立っておらず、代わりに三人娘が見どころともいえるが出演時間が短い。吉田まどかさん(花子)はまだしも最初の場面でものすごく可愛い顔を見せていたが(死に顔も結構かわいい)、秋月成美さん(雪枝)などどこがこの人なのか全くわからない有様だった。 最後に撮影場所に関しては、どうも瀬戸内海にしては海が広く、また山がちな小島にしては網元屋敷など広々として平たい場所に見える。祈祷師の言った「山が割れ…」の表現ということなのか「道遊の割戸」も映っていたが、見たことのある者からすれば原作と全然違う場所なのが明白であり(佐渡市相川銀山町)、要はエンドクレジットに出ていた佐渡と柏崎で撮影していたわけである。最初と最後で島のように見えていたのは小佐渡山地の北端あたりかと想像しておく。
[DVD(邦画)] 8点(2019-11-23 13:58:39)
9.  獄門島(1977) 《ネタバレ》 
ミステリーとしていいか悪いかは評価できないが、物語としては原作段階から納得できないものがあった。殺人の動機付けもそうだが、特にわざわざ見立ての手間をかけることの意義が感じられない。原作では楽屋ネタのようなことを書いて開き直っていたようだったが。 そういう原作由来の点は仕方ないとして、この映画では一部改変により動機の面で説得力を増しているといえなくはないが、四国八十八ヶ所など取ってつけた感もあり、時間的にも141分もあって最後まで見るのが正直つらくなる。最後に投身した人物が、見えない大きな力に動かされていた、と語っていたのが言い訳じみた感じに聞こえ、かえってこれは適当な翻案だと制作側も認めていたのではと思わされた。 ただ唯一、雀の五七五は極めて強引だがユニークな趣向で笑わされた。  出演者に関しては、男は見なくていいとして女優陣は多彩なようだが、個人的好みの関係もあってあまり心に残るものはない。重要人物の早苗さんという人は、原作ではあからさまに「かわいかった」と書いてあるので可愛くなければ困るわけだが、この頃の大原麗子という人は、可愛くないとは言わないがそれほどイメージ通りでもない。 また浅野ゆう子嬢は、当時の若手としては人気があったはずだが、この映画ではとんでもない役どころでかつあまり印象に残らない。この頃の姿なら同年の「惑星大戦争」(1977)、少し年増状態なら同じ監督の「八つ墓村」(1996)を見た方がいい(見なくてもいい)。ほかに坂口良子という人も出ているが、自分とは世代が違うので特に愛着を感じていないのと、劇中人物としては昭和(戦後)っぽいのであまり好きにはなれなかった。 結局、いい印象として最後に残ったのは雀の五七五だけだった。
[DVD(邦画)] 4点(2019-11-23 13:58:36)
10.  恋骨 KOIBONE 劇場版 《ネタバレ》 
2006-03-30に作品登録されていながらレビュー数0だったので興味本位で見た。「エグゼクティブ・プロデューサー 堀江貴文」とのことだが、今となってはだから何だという感じである(帯広のロケットに期待する)。 もとは1話5分×全7話の連続ドラマで、TVではなく東京都内の街頭大型ビジョンで2004年に公開したとのことだが、その後に未公開部分を含めて拡大編集したのがこの劇場版である。公開日は2005年3月19日だが、その1か月前に主演女優がTV番組で万引きの話をしたことが問題になり、公開時点では主役が活動停止中だったらしい。 なおドラマ版は「to be continued…」で終わっており、この劇場版まで見ないと題名の意味はわからない。女子高生が制服を脱がされて強姦されるなどという場面(演者は当時AV女優)を街頭で見せていいのかと思ったが、それは劇場版にしかなかったようである。  内容に関しては、どうも別のところで見たような要素が多い。自分が知っている範囲でいうと(狭いが)、転落死後の状態と怪しい男の白い顔(能面だが)、「しまったあ!」という台詞が「犬神家の一族」を思わせる。またラストで主人公が「八つ墓村」(1977)の寺田辰弥の役回りだったことを明かしておき、さらに劇場版で追加した部分で「八つ墓明神の祟り」に相当する呪いの存在を示唆して終わっている。 呪いのほかに心霊現象もなくはないが、ときどき死者が姿を見せて何か言いたそうな顔をするだけで、主人公が霊感少女だったために見えたというだけのことらしい。見てもいちいち慌てることはなく(嫌な顔はしたりする)、警察には亡霊のことを話さないというのもこういうのに慣れた人物であることを感じさせ、この辺は現代のリアルといえなくはない。  問題点として、全般的に安っぽいのは仕方ないとしても、謎解きの部分がかなりいい加減なのと、実在の著名な人物(明治の人)が現代人に呪いをかけたなどという話を作っていいのかどうかとは思う。参考文献の名前が出ているので根拠はあるということだろうが、子孫もいるだろうし、歴史上の人物ならどう扱ってもいいというものではない。 あまりうまくできた話とも思えないが、死者数が限定的だったのは一応良心的ということになるか。金田一シリーズらしきものを現代の女子高生で再現しようとした映画であるから、どんな出来なのか見てみる意味はあるかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2019-09-06 22:55:31)
11.  黒蝶の秘密 《ネタバレ》 
低予算映画と思われる。題名に「黒蝶」とあるのは昆虫ではなく花のダリアの品種名だそうで、英題のBlack Dahliaと同じ意味らしい。 映画紹介では「ミステリーホラー」とされているがミステリーというほどのものとは思えない。序盤20分くらいのところでもう真相を匂わされるので、本当にそうだとすればかなり陳腐で俗悪な話だと思っていると実際その通りに終わってしまう。またホラーとして見た場合、よくあるヒトコワ系オムニバスの一編を87分に拡張しただけに見えるが、その手のものによくあるように、悲惨な結末にすることだけ考えて現実味や説得力や細部の作り込みを軽視しているのは観客に甘えた印象がある。ちなみに終盤、主人公が錯乱して荒い息の状態が延々と続くのは同じ監督の「デスブログ 劇場版」(2014)にもあり、特に褒める気にはならないが役者の関係で前回よりましになっている。 登場人物としては、主演俳優も見たことがあるがそれはそれとして、実質的には黒ヒロインと白ヒロインの2人が注目のしどころと思われる。個人的には白ヒロインの同僚女子が普通に可愛く見えていたあたりが好きだったので、主人公がいつの間にか黒ヒロインの方に惚れてしまった理由が不明で阿呆に見えたが、しかしここは設定上、「黒蝶」のせいで黒い女の虜になってしまったと理解すべきことらしい。あまり緻密な感じのしない映画でも、その程度の理屈は一応つけていたということである。 それにしても、実際どのくらいの本気度で作ったのかよくわからずに困惑させられる映画ではあった。個人的な相対評価としては、同じく永尾まりや嬢(まりやぎ、元AKB48)の出ている「リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム」(2014)と同程度ということにしておく。実際は2.5点くらいだが四捨五入ということで。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-03 08:29:22)
12.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 
前の2つを見たので一応最後も見たが、延々と宗教談義を聞かされるのであくびが出た。ちなみに劇中の鱗粉少女は人間でいえば中高生くらいに見えるが、客人(まれびと)から子種を採取するなどという風習に何歳頃から従事させられていたのかと呆れる。また生物学者の実況中継は昭和29年のアナウンサーのようでもある。  自分としては主人公の立場がどうなるのかを主に見ていたが、かろうじて終盤の吐露(「獣と一緒だ」)を聞いて、この人物の悲痛な思いを感じ取らなければならない気にはさせられた。カルトの英雄として祀り上げられるのは拒否したが、結局は地球の現実に裏切られて自滅した英雄未満の男の末路ということか。 少なくとも第1部の時点では、「人間としての最低限の誇り」を訴えて人類の存続を図ろうとするのが主人公の意図だったはずだが、最終的には単に個人的なプライドと私怨で勝ち負けを争っただけに見えている。実際そういう面もなくはなかっただろうが、失敗したことでマイナス面ばかりが際立ってしまう理不尽な状態の表現に見えなくはない。この主人公の物語として見た場合、他の例でいえばチャイコフスキーの交響曲第6番の終楽章に似た印象といえなくはないが、それにしても三部作の最初が頂点でその後は低落するばかりという構成には疑問を感じる。  またその一方、この映画から専ら感じられるのは<滅びたくなければ原始時代に返るしかない><人間は余計なプライドを持たずひたすら生殖に励むのが分相応で幸せだ>といった時代がかった悲観主義である。人類の未来がどうなるかなど実際なってみなければわからないものを、自分だけ高次元から見下ろしたように手前勝手に決めつける態度は気に食わない。人類も生物であるから生存が基盤になるのは言うまでもないことだが、それだけではないから人間なのだという主人公の思いをあえて踏みにじるのが制作側の方針なのか。 昭和29年の第1作は人類の存続を願うからこその警鐘であり、また邦画最後の「シン・ゴジラ」は、不安が絶えず先行きの見えない現代でも「まだやれる」との励ましが込められていたと思うが、人類全体の未来を個人的趣味で封じていい気になっているこの映画を、そのような先行作と同列に扱う気には全くならない。壮大なスケールの三部作の割に社会に向けてまともなメッセージを発するでもなく、作り手の一方的な自己表現にしかなっていない独りよがりで傲慢なアニメだった。期待して損した。
[ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-06-29 12:57:18)
13.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
ゴジラ映画に個人的なこだわりはないので多少羽目を外していても気にならないが、世評の通りアクション場面が長すぎて何の映画かわからなくなる。これでは今回独自の趣向というより異物に半分乗っ取られたようなものである。 「宇宙怪獣ガメラ」(1980)よりマシだといえば確かにそうだが、向こうでゴジラ映画を揶揄するような場面があったのに対し、この映画でもカメを貶める場面を入れていたのは同レベルに落ちた印象がある。邦画ゴジラがこれで終わりにならないで本当によかった。 以下に個別事項を列記。 【場所】 怪獣に壊される世界的名所として、アジア・太平洋地域からシドニー・オペラハウスと「東方明珠電視塔」が加わっていたのは世界観の広がりを感じさせる。パリでもゴロザウルスに壊された凱旋門ではなくデファンス地区の新凱旋門が出ていた。 【女優】 ○水野久美さんは別格。 ○水野真紀・菊川怜姉妹の美脚を披露する場面が多い。なくてはならないものとも思わないが一応のサービスとして受け取った。 ○小美人(長澤まさみ・大塚ちひろ)の顔をよく見たかったが小さいのであまり見えない。そういう目的ならこの一つ前の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)を見なければならないらしい。 ○「女を殴るの?」と言った女は顔つきからして中国人かと思っていたが普通に日本語だった(魚谷佳苗という女優)。 【怪獣】 ○キングシーサーが沖縄を破壊していたのは悲惨だ。本来は沖縄の守り神ではなかったのか。 ○カマキラスがハエのように速い。森の木々に隠れているのも虫っぽいが、串刺しにされて死んだなど所詮は虫だと思わせる。 ○エビラをフライにするというのはジョークとしてわかりやすいが、場所が「東海コンビナート」だったことからすれば、ここは本来「エビフリャー」のつもりだったが登場人物が名古屋出身でなかったのでそうは言わなかっただけと取れる。ちなみにWikipediaの「エビフリャー」の記事は充実している(2019年6月29日閲覧)。
[DVD(邦画)] 4点(2019-06-29 12:57:12)
14.  ごっこ 《ネタバレ》 
出演者のせいでお蔵入りになりかけたのを何とか公開にこぎつけた映画とのことで見たが、宣伝で「最高に泣ける」などと書いてあると要はそれが目的なわけかとかえって印象が悪くなる。ちなみに場所設定としては大阪ということになっているが(大阪市平野区と枚方市)、撮影は群馬県前橋市(千代田町の弁天通商店街)が中心だったのは制作上の事情だろうが少し意外感がある。  主人公の境遇について、孤立的で引きこもり体質というところまでは自分も同じだが、それだけで全面的に共感できるわけでもない。 自分を犠牲にして子どもを助けようとしたのは結構だが、その根底には犯罪で捕まれば自活不要という発想があったはずで、同時に育児放棄という面もあるのでそれほど褒められるものではない。またカレー屋の母親はいいとして(よくはないが)その娘までを結果的に捨て石にしたのはどうなのかということもあるが、これはそれほどまでに自分のところの子をかけがえのない存在と思っていたことの表現か。自分はどうせ駄目だがこの子だけはというつもりで、可能な限りの方法で最も大事なものを守り通したということではあるらしい。 最後の場面は、自分など他人にとっては無に等しい人間だと思っていたところ、実は誰かにとって大きな存在だったことを知らされた時の驚きと困惑と感激ということならわからなくはない。結果として「万引き家族」(2018)などよりは素直に心に響く映画だった。  出演者の関係では、主役の顔と子役の顔がとにかく心に残る。主役についてはラストの強烈に変な顔が目立つが、ほか個人的には普段の顔と、保育園で子役に笑いかけた顔のギャップが印象的だった。また子役の平尾菜々花という人は、別のところで見たときは躁状態でやかましくしゃべる女児だったが(“ここさけ”とNHKの土曜ドラマ)、今回は全くイメージの違う役をきっちりこなしている(目力あり、演技力あり)。優香はミニスカでないポリス役で今回少し色気を抑えていた。 そのほか商店街のおばさん役で鴨鈴女(かも すずめ)という役者が出ており、端役ではあるが顔を知っているのでどうしても目についてしまう。この人も本物の大阪人である。  追記:見たあと原作を読むと、かなりまともにきっちり万人向け映画としてまとめたことがわかる。主人公の人物像がかなり違うが、結末まで含めて現実寄りの映画にするなら最初からこれで正解と思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:35)
15.  ココダケノハナシ ~短篇.jpルーキーズ第3弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと(第1、2弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。第1弾からこの第3弾までが製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。  【ポイズンラジオ】 現実味も意外感もなく面白味もない。高山侑子という人は、この少し前の「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」(2008)では23歳の3等空尉役だったが、今回は険悪な顔つきの女子高生をやっている。まだ若いのだから(当時16歳くらい)もっと普通に可愛い役をやればいいだろうと思ったがもう10年も前の話だ。 【春のシオンで】 オチが一瞬わからなかったので何十秒か考えたが、要は夢見る女子の話だったらしい。高山侑子さんは夢の中で遊ぶ天使。 【架空の恋人】 初期設定がよくわからなかったが、最終的にオチも破局感もなく混乱状態で打ち切りになったのは悪くない。主人公(演・山田キヌヲ)の哀れっぽい顔は可愛らしい。また男の彼女(黒沢美香という人らしいが舞踊家とは別人)は、顔も見えるが脚の方が印象に残る。 【美味しいコーヒー】 最後の人物がよくわからなかったが本当の住人か同類が来ただけか。勝手に話を作る男は面白かったが、このテーマを語る上での必然性があったのかはわからない。 【キッスがしたい】 高校生がバカっぽいので呆れていたら最後は切ない青春物語。というかいきなり青春期の終わり(浦島太郎か)。役者の高校生演技は良好。元女子高生はお姉さんすぎるが、これはそもそも役者の段階で年齢差がある。 【ゴメンナサイが言えなくて】 男女の考え方/感じ方の違いということだろうがあまり深みはない。こんなのに執着する男の方が感情を理性で制御できていない。  以上、よくわからないところが多いが全体的にはそれほど悪くない。がそれほど感動的でもない。一番心を動かされたのはバカ高校生の話だった。また夢見る女子にはしあわせになってもらいたい。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 11:27:12)
16.  恋とオンチの方程式 《ネタバレ》 
香川県さぬき市のご当地映画である。2002年に5町が合併してできた比較的新しい市だが、その中でも旧津田町の海辺にある「津田の松原」が重要ポイント扱いになっている。また「讃岐うどんバーガー」というのも最寄りのサービスエリアで提供されているものらしい。それ以外の場所としては「志度音楽ホール」(旧志度町)というのも使っていた。 監督は香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、この映画は監督第2作ということになると思うが、今回は本広克行氏(香川県丸亀市出身)が関わっているせいか、第1作よりキャストに名の知れた人が多くなっている。また前回は「脚本と監督と撮影と編集」を一人でやっていたが、今回は撮影を別人が担当している。  内容的には「コミカルでキュートなほんわかラブコメ」だそうで、少女マンガ的というかドジな主人公と男2人の三角関係の構図の中に、主人公が生来のオンチ(の前にリズムンチ)を克服する成長ドラマを加えている。男女の物理的なからみが全くない清純派ラブコメなので子どもに見せても全く支障ない。またコメディ色も強いがアホすぎて大笑いというより失笑レベルだが、失笑続きだったので全体的には結構笑ったかも知れない(音響会社の高橋という男が目立っている)。 最終的にどうなるかはほとんど想像がつくわけだが、それまでの途中経過は尋常でない。バスガイドの話かと思うと突然ご当地アイドルの話に移行するので世界観が覆ったような印象があり、また登場人物に関係するサプライズ要素が2つもあって、それで素直に驚かされるというより呆れてしまう。特に終盤は何か食い違ったような展開で、ここは大物歌手の登場をうまく取り込めていないのではという気もしたが、そのせいで最後まで予断を許さない映画だったとはいえる。ただラストの締め方だけは正直呆れた(この顔を見せて終わりなのか)。個人的には「中学三年生」(1973)というのを聞きたかったが。  そういうことで変な映画を見てしまったという思いは残ったが、娯楽と割り切ればそれほど問題ない。見どころかが何かは何とも言えないが、「キュートな」部分といえば40代(1)、30代(1)、20代(2)の女子4人によるアイドルステージということになる。吉田羊さんかわいい!とか言ってみたくなるが、本心では大塚千弘という人が一番可愛いと思った。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-11 11:16:16)
17.  GODZILLA 決戦機動増殖都市 《ネタバレ》 
新作が公開されている時点でやっと前作を見ているのは毎度のことだが、どうせそういう周回遅れの人生だと思って納得するしかない。 前回は主人公の心意気に感じたわけだが、今回は序盤からしていきなり意気消沈させられる。2万年経って、それなりのものが出来上がっているところへ来てみなぶち壊しにするのは本当に正しいのかなどと本人が問うのでは見ている側も困ってしまう。また個人的に期待を寄せていたユウコさんについては、「教えてもらった」というところで少しキュンとして、それから夜景デートで胸をアピール(大きすぎだ)していたあたりまではいいとして、その後は私怨ならぬ嫉妬で心が揺れていたのか、ごつい宇宙人に味方した上に最後はあんな感じになってしまったのは大変遺憾である。主人公が最後まで人の情を失わなかったのはいいにしても、もう次は宗教に頼るしかないのかという敗北感が残る。 怪獣映画としてもわりと単調で、前回とのスケール差がわからないので似たようなことをやっているとしか見えず、せっかくのメカゴジラも新作の人型兵器も大して役に立っていなかった。映像面でも、終わってからもう一度見直したくなる場面がなかったのは残念だ。 まだ2作目なので次を待てということだろうが、ここまで気分が落ち込んでしまっては期待感を維持するのも難しい。期待しなければ落胆もないというのが正しいだろうが、とりあえず今回は昭和ゴジラ並みの点数まで落としておく。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2018-11-20 19:37:49)
18.  恋につきもの 《ネタバレ》 
東京芸大大学院映像研究科の卒業制作とのことで、監督3人が同じ作家のマンガを原作にしたオムニバスになっている。以下[ ]内は点数。  「いばらのばら」 もう少しまともに作ってもらいたい。石はもっとキラキラしていなければならないだろうし紙袋も唐突で、映像に出しておきながら意味不明のまま放置というのは最悪だ。見ている間じゅう原作はどうなっているのか気になって仕方なかった。最後に出たのはサボテンの花か(題名からすると違うだろうが)。[2] 「豆腐の家」 中盤まではかなり怖かったが種明かししてから少し気が抜けた。しかし最後まで少し心に痛みが残る(やはりちゃんと食べた方がいい)。勤め先の対応が良心的なので安心したが、これで本人も若干前に進むことができたと思っていいのかどうか。なお主演女優(谷口蘭)はモデルが本業だそうだがかなりいい雰囲気で、特に泣き声が印象的だった。[6] 「恋につきもの」 心霊ラブストーリー。主演女優(趣里)は水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘とのことで個性的な風貌に目を引かれる。この人をずっと見ていたかったが途中であまり顔が出なくなるのは残念だ(男の役者が代わる)。話としては最もストレートで娯楽性が高いが、最後の一言はわざわざ言うほどのことかという感じだった。[6]  以上、最初のだけは呆れたがほかは見られるものになっており、映画独自の雰囲気も出している。(性的な)マイノリティというところが共通のようで、その点で共感できるところはあまりないが、共感できなければ見られないということもない。なお「絶叫学級」(2013)で印象に残る松本花奈という人が出ているが、この映画ではどちらかというと普通に(普通でない)美少女に見える。そのほか最近有名な伊藤沙莉という人も出ているが役として面白くない(前記)。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-11 17:12:38)
19.  恋谷橋 《ネタバレ》 
鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。  物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。
[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)
20.  GODZILLA 怪獣惑星 《ネタバレ》 
最初に出たのが(よりによって)カマキラスで、次がドゴラだったのは大笑いかつ大感動だった。これはオールドファンを笑い泣きさせるための映画なのか。ちなみに熱核攻撃の場所がアメリカだったのは「シン・ゴジラ」(2016)の被虐嗜好と一線を画している。  内容的にはかなりSFっぽい話で個人的には結構好きだ。序盤は明らかに説明不足だが、恐らく細かい設定ができているのだろうと推定の上でまあいいかと自主的に納得した。それより主人公の提案した作戦が「論外だ」と言われた直後、何の説明もなく提案通りに動き始めていたあたりは迅速で小気味いい展開である。後半に入っても話が聞き取れずに理解度がいま一つだったが、とりあえずこんな感じのことをやっている、という程度の認識で見ても最終的に問題なかった。 映像面でも特に不満はなく、個人的には主人公の両親の乗った車列の動きといった細かいところに感心する。乗り物の噴射がみなピンクだったのは地味な色調の背景に映えていた。また音響面でも結構な迫力を出しており、序盤で発進途中の揚陸艇が攻撃された場面では、腹に響く大音響でビビってしまって見ていた側も絶望感に襲われたが、こういうのも絶望的に強大な破壊者としてのゴジラの表現につながっている。最後に現れた本家ゴジラの咆哮が、まぎれもなく本家のものだったのは慄然とした。 そのほか何より自分が感じ入ったのは、主人公が戦う動機が「人としての尊厳を取り戻すため」だったことである。これは長年続いた惨めな状況に加え、年長の人々が空しく死んでいった事件が強く影響していたと取れる。攻撃前の演説で「かつてこの星に栄えた先人たちのように」という言葉があったが、この主人公ほど誇り高い人類は現代日本などにいるはずもなく、ここは「買いかぶられたもんだな」という台詞を返してやりたくなった。 ちなみに演説で「挨拶は抜き」と言っていたのは、階級が上の人々を差し置いて自分が指揮するなどまことに僭越ではあるがご指名なので務めさせていただく、といった感じのことを省略したのだと思われる。  以上、評判が悪いようなので実は期待していなかったが、結果としてはかつて粗製濫造された怪獣特撮などとは比較にならない出来に思われた。次回にそれほど期待するわけでもないがとりあえず少しいい点を付けておく…すでに二作目が公開中なわけだが見られないのが情けない。 なお今後ともユウコさんの活躍には期待したい(終盤で、先輩!と言って抱きついたのかと思ったが見せなかった)。  [2019/6/29変更] 最初は8点だったが、第3部まで全部見た結果として少し減点する(三部作の平均を5点にする)。 なおこの第1部で主人公が「人間としての最低限の誇り」と言っていたのは、人間関係や病気など、何らかの理由でそれが失われた場合は自死を選ぶしかなくなるという、人間の生存にとって不可欠なものを指しており、その考え方を個人から種全体に拡大適用することで人類の存続を訴えたのだと理解した。プライドという言葉が嫌われる現代日本で、その存在をあえて指摘してみせたのは感動的だとこの時点では思っていた。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-06-24 12:56:26)
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