2. 竜とそばかすの姫
《ネタバレ》 まずはじめにハテナ?と思ったこと。 スマフォのアプリゲームであそこまで出来るか?仮想空間としてもあそこまでリアルに動いたり感情をダイレクトに伝達できるか?それと登録者数50億って約世界の半数じゃん!ありえないって。まあじゃあそれを容認したとしてもだ、その50億の中で才能ある人物なんてそれこそ沢山いるわけで、その中でたった一人主人公のすずが注目浴びるってなんかもう狭い世界にしか感じられない。で、そのすず=ベルと運命的な出会いをする竜。その竜の正体が同じ日本人って...どんだけの確率だよ!でその竜にしてもだ!虐待からのストレスの権化なのかもしれないが、いやいや待って、50億でしょ!50億の中で同じような目に遭ってる人たちどんだけよ!ストレスに押しつぶされそうな人たちどんだけよ!なんで竜だけなのって話。だからさ、50億て数字がこの作品にあまりにも負荷を掛けすぎちゃってると思うんですよ。もっと他にやりようなかったのかな。 とここまではハテナ?ツッコミを入れるところをあげましたが、ここからはめっちゃ良かった点をあげたいと思います。 圧倒的に絵が綺麗!その美しい色彩の世界にただただ酔いしれた。主人公すずを演じた中村佳穂さん。シンガーソングライターである彼女にとって今回が声優初挑戦。決して上手いというわけではないけれど、29という年齢なのに思春期の少女らしさが醸し出されていて、なかなか味わいがあって良かった。歌声も透き通っていてこの作品にピッタリはまってた。登場するキャラのキャラ作りがほどほどなのがよい。必要以上に細かな設定付を押し付けられないから、脇役のキャラとメインキャラとの住み分けがくっきりしていてとても見やすい。飼い犬の足のことや、欠けたマグカップもセリなどで説明しないのも良かった。 総評すると随分と大風呂敷を広げたもんだと思うけれど、それを踏まえた上でもこの一人の少女の成長物語は、なかなかどうして、十二分に共感できる物語だった。問題提示に対する明確な答えはなかったけれど、あれはあれで良いと思う。例えばだけれど、虐待を受けてたけいくんの一家がその後もっと悲劇な方向にいってしまったとしたら。もしもすずがその後ネット上で叩かれまくったら。リアルに考えるとその方がありかもしれない。でもそれを見たいかって。すずやけいくんは今回の件で強く生きると決めたんだから、その後の彼らについての物語は、描かなくて正解だと。それとすずが竜のことを気になったのも、なんとなく、これしかないでしょ。人が人を気になるのってなんとなくじゃん。 6点はちょっと甘めに付けましたが、自分に酔いしれる芸術作品でもなく、かといって媚を売るような大衆娯楽でもない、細田監督なりの挑戦とアニメ映画に対する愛情を感じ取れたのでこの点数にしました。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2022-04-20 07:57:27)(良:1票) |