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361.  日本侠客伝 白刃の盃
シリーズ第6作。今回はこれまでこのシリーズの脚本を手掛けていた笠原和夫や野上龍雄が関わっておらず、中島貞夫監督と鈴木則文監督が脚本を手掛けているが、舞台が運送屋で高倉健の役柄がトラック運転手であったりするのはこの間まで何本か見ていたためか思わず鈴木監督の「トラック野郎」シリーズを思い浮べてしまいそうになるのだが、もちろん「トラック野郎」のような話にはなっておらず、マキノ雅弘監督らしい任侠映画になっていて、先週見た「雷門の決斗」より面白かった。高倉健ももちろんカッコイイが、やはりマキノ監督の映画は脇役陣がイキイキとしていて、長門裕之、大木実はもちろん、砂塚秀夫も印象に残るし、東映任侠映画には珍しい気がする伴淳も良い味を出している。今回も悪役は天津敏だが、その演技は見ていて本当に憎たらしくなってくるし、高倉健演じる主人公がいかにしてこの悪役を倒すかというのがこのシリーズの見どころなのだが、マキノ監督はそのあたりの見せ方がうまく、ここがしっかりしているからラストの殴り込みシーンに大いに盛り上がることができるのだと思う。ドラマとしてはやや湿っぽく感じる部分も多く、少し気になるものの、それでもマキノ監督の演出は安定感があり、安心して見ていられるのが良い。高倉健の妻役を藤純子が演じている(出番がそれほど多くないのがちょっと残念。)が、このシリーズで主人公が妻帯者なのは初めて見たような気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2018-09-05 23:18:50)
362.  コント55号とミーコの絶体絶命 《ネタバレ》 
今回は55号のふたりが同じ市役所の同じ課に勤める兄弟という設定で、欽ちゃんが弟、二郎さんが兄なのだが、筋金入りのケチな兄に小言を言われまくっていた弟が係長になった途端に兄に上司風を吹かせて仕返しをする最初の展開がいかにもコント的な感じで、二人も兄弟という設定上か先週見た「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもさらに息の合ったコンビぶりを見せている。ストーリーは胃の痛い兄の自分はガンではないかという勘違いから膨らんでいき、それをきっかけに起こるすったもんだが描かれているが、それがありがちながらも笑えるし、弟がひょんなことから知り合った女性(太地喜和子)が県議の娘で、見初められた弟が彼女と婚約するエピソードはちょっとした風刺もあって良い。(太地喜和子のワガママぶりがなんかカワイイ。)旅行に出かけた兄が旅先で知り合った朱美(倍賞美津子)の旦那(田中邦衛)が寅さんのような風貌で笑えるのだが、この倍賞美津子というキャスティングもおそらく寅さんのパロディーを意識してのことでそれを思うとよけいに笑える。(そういえば田中邦衛、この年に公開された「男はつらいよ」の一本に出てたな。)海に飛び込んだ兄を助けたのが弟が恋をしている女性 秀子(由美かおる)だったというのはちょっと強引に感じるものの、兄を死んだことにして香典を集める後半の展開はなかなかの見もので、ここがいちばん笑えた。全体的に「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもペーソスのある作風だが、ラストは市役所を辞めた二人が屋台のラーメン屋になっている姿が描かれていて、そこで秀子にも振られてしまうのだが、それでも前を向いて生きていこうとする姿に思わず勇気づけられた。ほかの出演者では病院で兄に話しかける患者役に三木のり平が出ているのが嬉しい。薬局の店員を演じている和田アキ子が若いながら今とほとんど印象が変わらない感じなのはすごかった。医者役はあんまり見たことがない人だなと思っていたら俳優が本業ではないなかにし礼だったのもビックリ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-29 16:25:46)
363.  コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ 三百六十五歩のマーチ 《ネタバレ》 
野村芳太郎監督によるコント55号映画、見るのはこれが2本目なんだが、以前に見た「びっくり武士道」が原作のあるものだったため、オリジナル脚本ののコント55号映画を見たのはこれが初めて。亡くなった母の残した大金を持って上京した二郎と、彼と出会って意気投合した板前の欽ちゃんのコンビを描いているが、55号世代ではない自分が見てもこの二人のやりとりは見ていて楽しいし、二人とも若く(特に欽ちゃん)実にイキイキとしていて、実際の二人もこんな感じだったのではと容易に想像できる。マドンナを演じる水前寺清子が二役で演じる落語家を語り部にしている点や、冒頭、二郎が新幹線でスリに遭うシーンが野村監督の「白昼堂々」の冒頭部のセルフパロディになっているところも面白い。(ひょっとしたら本作は「白昼堂々」の冒頭で出会った55号二人の物語ともとれるのかな?)ストーリーのメインとしては欽ちゃんが母親と住んでいるアパートの立ち退き問題があって、それに欽ちゃんと二郎の新しい店を出すために奮闘する姿や、マドンナ清子に惚れた二郎といったエピソードが並行して描かれているが、まとめ方がうまく、安心して見ることができるし、野村監督の職人監督としての安定感も感じることができる。脇役も豪華で、花沢徳衛が悪役を演じているほか、清子の父を演じるのが西村晃(欽ちゃんの母親を演じる桜むつ子とのいがみ合いが楽しい。)、喜劇俳優としては財津一郎と谷幹一、当時人気だったボクサーの沢村忠まで出演している。終盤に前田武彦が登場するが、その使い方がなかなか利いていて面白い。しかしいちばん驚くのは清子の恋人を演じているのが「仮面ライダー」に抜擢される前の藤岡弘で、このころからすでに藤岡弘という感じは出ているものの、まだどこか青臭い感じがして、若いなあと思った。ちなみに「仮面ライダー」の開始は本作の2年後のこと。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-22 17:51:50)
364.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
邦画のホラーものというと基本的に霊を題材にしたものというイメージが強く、まして本作のようなゾンビを題材にしたものは邦画ではちょっと無理があるのではと思っていたが、本作はその邦画ではなじみにくいゾンビという題材を扱いながらもかなり完成度の高いものになっていて、途中飽きることなく最後まで退屈することなく面白く見ることができた。とにかく開始20分過ぎたあたりの主人公 鈴木英雄(大泉洋)の恋人であるてっこ(片瀬那奈)がゾンビ化して英雄を襲いはじめるシーンからかなり気合いの入った怖さで目が離せなくなった。この手の大作系邦画にありがちな安っぽさやハリウッドかぶれのような感じも無く、ゾキュン発生の経緯や、よけいなドラマを一切排除した脚本も潔い。とくにゾキュン発生の経緯が一切描かれないことによって、見ていて登場人物たちと同じ目線になることができるし、またリアリティーも感じることができる。(街がパニック状態になってテレビが報道特番に切り替わる中、一局だけアニメを放送しているところが細かくて笑える。このシーンを見ていて「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」を思い出した。)確かに後半アウトレットモールが舞台になってからは少し失速した感があるが、それもそれほど気にはならなかった。趣味でクレー射撃用のライフルを所持している英雄がこんな状態になっても銃刀法違反をずっと気にしているというのが思わずそこかよと突っ込みたくなるのだが、本作はこの英雄(えいゆう)と書いてひでおと読む冴えない主人公がいかに本当にヒーローとして覚醒するかも見どころで、それを最後まで溜めているので、クライマックスの英雄とゾキュンの戦いが半端なくカタルシスのあるものになっているのが最高だった。ラストシーンで藪・小田つぐみ(長澤まさみ)から名前を尋ねられた英雄がそれまでと違い、「ただの英雄です」と答えるのは彼の成長とこれからゾキュンから彼女たちを守って行くという決意が感じられてすごく印象に残る。原作漫画未完の頃に作られているので終わり方としてはやや中途半端な感じがするのだが、個人的にはこの終わり方で良かったと思う。もしも続編が作られたら見たいと思うのだが、ちょっと出来が怖い気も。
[DVD(邦画)] 7点(2018-07-21 18:56:23)(良:1票)
365.  21エモン 宇宙へいらっしゃい! 《ネタバレ》 
「21エモン」は小学生の頃に放送されていたテレビアニメをよく見ていた。本作はその10年前に作られた初アニメ化となる劇場版で、テレビアニメ化を経ずにいきなり映画化してるのが珍しい。それをテレビアニメを見ていたころから四半世紀以上経ってから初めて見た。「ドラえもん」以外の藤子アニメ劇場版は短編か中編というのがお決まりなのだが、本作は一時間半の長編で、前半がエモンやつづれ屋の日常、後半がエモン、モンガー、ゴンスケの三人の宇宙旅行という構成でメリハリが利いているし、なかなか面白かった。エモンやモンガーのデザインものちのテレビアニメ版とは違うのだが、今になって見るとこのデザインのほうがしっくりくる気がする。(でも、テレビアニメを見ていたころに本作を見ていたらきっと違和感を感じていたはず。)宇宙飛行士を夢見ているエモンが実家のホテルつづれ屋の将来のこともちゃんと考えているというのは、だだの夢見がちな主人公というふうになっていなくていいし、その両方を両立させるようなラストのエモンの提案もいかにも藤子F不二雄作品らしい発想。つづれ屋を買収するためにエモンの宇宙飛行士という夢を後押しするというホテルギャラクシー社長のしたたかさがなんとも言えないし、その社長が自分の策略によって宇宙旅行に出たエモンに命を救われるという展開はちょっと皮肉めいて感じた。このクライマックスの伏線になっているウキキの木が朝日を見るシーンが印象に残る。このウキキの木のエピソード中にドラえもんがカメオ出演的に登場しているが、同時上映は「ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ」だったとのことで、このシーンは双方に同じカットが使われているとのこと。こういうお遊びは楽しくて好きだ。音楽を藤子アニメではおなじみの菊池俊輔が担当していて、一部で「ドラえもん」のBGMも使われていて久々にアニメでこの人の音楽を聴けたのが懐かしかった。エモンの声を演じる井上和彦が歌うエンディングテーマがあまり藤子アニメっぽくない気がするのだが、それが逆に良かった。企画当初は本作の後にすぐテレビアニメ化の話もあったようだが、今になって実際本作を見た後に考えると、それが流れてしまったのがちょっと残念に思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-07-14 18:46:52)
366.  トラック野郎 天下御免 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。二人マドンナ(由美かおる、松原智恵子)が登場したり、主題歌(良い歌だよなあ。)がかかるオープニングのタイトルバックに一番星号のおもちゃで遊ぶ子供が出てきたりして、シリーズがだんだん人気が出てきたのが分かる。始めたころには想定していなかっただろう子供層にも人気が出たようで、それ故にか、これまでの3作に比べると作風はソフトな印象で、桃さん(菅原文太)のスケベさやハチャメチャさも控えめ。ライバルのコリーダ(杉浦直樹)も今一つインパクトに欠けているのだが、話自体は面白く、相変わらず桃さんの優しさや男らしさは同じ男でも見ていて憧れるものがあるし、それだけでなく今回は松下家、ジョナサン(愛川欽也)と家族のエピソードにも焦点があてられていて、旅先で桃さんだけでなくジョナサンも由美かおる扮する巡礼のマドンナに惚れた結果、帰宅後にそれが妻(春川ますみ)にバレてしまい、家族に逃げられたジョナサンが自棄になり、自分のトラックの装飾を破壊するシーンはその前にジョナサンの子供を一人ドライブインの夫婦(京唄子、鳳啓助)に養子に出すくだりがあるのでこのシーンはよけいに切なさが印象に残る。その家族が桃さんの嘘によってジョナサンのところに帰ってくる展開はベタなんだけど、養子に出した子供も戻ってくることになって、「やっぱりうちは全員揃わないと松下家って感じがしない。」というセリフにはなにか妙に感動してしまった。そのほか、手違いで渡ってしまったラブレターから自分が桃さんに惚れられていると勘違いした松原智恵子扮する元女性トラッカーが真実を知ったときの切なさもよく伝わってきて印象に残る。(やっぱ自分だったら由美かおるよりも松原智恵子だな。って何を書いてるんだ。)今回、音楽が木下忠司に戻っているが、由美かおるがゲストのためか、見ていて映像的にそれを思わせる部分がないにも関わらず、つい音楽がそれっぽく聞こえるような気がして「水戸黄門」を思い浮かべてしまった。(まだこのころ「水戸黄門」にお銀は出てなかったっぽいのに。)あと出演者で気になったのは倉敷のドライブインのシーンで鶴光と一緒に出ているアフロの鶴瓶の異様な若さにビックリ。(当時20代)マドンナ(由美かおる)の恋人役で誠直也(アカレンジャー)が出ているが、オープニングのクレジットには誠直也と並んで宮内洋(アオレンジャー)の名前も出ていて共演を一瞬期待してしまったのだが、宮内洋の出番はカットされてしまったのか、登場することはなかったのは少し残念。松原智恵子の出産シーンに産婆役で出ている浦辺粂子。同時期に公開された「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」にも出演している。そういえばあの映画もダブルマドンナだった。やっぱりこのシリーズ、寅さんをかなり意識してるんだなぁ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-06-02 23:05:17)
367.  仁義の墓場 《ネタバレ》 
実在したヤクザである石川力夫の壮絶な生き様を描いた深作欣二監督の映画。とにかくこの主人公 石川力夫(仮名ではなく実名で登場するというのがすごい。)がとんでもない男で、終始何を考えているのか分からない凶暴さを前面にむき出しにしていて、薬や女に手を出す、親分(ハナ肇)やいつも気にかけてくれている兄弟分(梅宮辰夫)にまで牙を向くというまさに仁義なきヤクザという感じでその異様さがめちゃくちゃ際立っている。それを演じるのがそういうのとは程遠いイメージの渡哲也(深作監督の実録ものということもあって先入観からつい主演は菅原文太と思い込んでしまっていたのだけど。)というギャップが面白いし、他社出身の俳優が主演だとイマイチ持ち味が生かせない監督も多くいる中、見事に全編通して「仁義なき戦い」のような熱気にあふれたこの時期の深作監督らしい映画になっていて、力夫には感情移入や同情といったものが全くできず、むしろ嫌悪感さえあるのについ見続けてしまう。渡哲也は最初は梅宮辰夫と一緒にいるシーンとか違和感を感じていたのだが、見ているうちに気にならなくなったし、イメージを覆すほどの怪演を見せていて、存在感も圧倒的。病み上がりで力夫を演じていたらしいのだが、その影響と撮影の疲れからか、とくに後半の力夫が麻薬におぼれてからは、役としての演技ではなく、渡哲也自身が体調不良なのではと思えてきて、役柄と役者の区別がつきづらくなってしまったが、それが却ってリアリティを感じさせるものになっている。力夫がうつろの表情で妻(多岐川裕美)の遺骨を食べるシーンが目に焼き付くのだが、とくにこのシーンの撮影時などは相当体調が悪かったのではと思えてしまう。中毒性の強い映画で、深作監督の映画の中でもカルト映画と呼ばれているのもわかる映画だが、中毒性だけでなく、渡哲也のそういう状況下での演技にもカルト映画と呼ばれる要因があるのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-19 18:46:33)
368.  白昼の死角 《ネタバレ》 
角川春樹が「悪魔が来りて笛を吹く」に続いて自社作品以外でプロデュースを手掛けた犯罪映画。戦後を舞台に手形詐欺を繰り返す男の生きざまを描いた大作であるが、多少の雑さはあるものの、詐欺の手口の爽快感に加え、出演している俳優陣も豪華で、中でもやはり主人公・鶴岡七郎を演じる夏八木勲の存在感、あまり主演作を見たことなく、どちらかといえば脇役の印象のほうが強いのだが、鶴岡の冷徹な悪人という部分をうまく出していて主役として見事なはまり役。事件を追う検事役の天知茂もそれ以上の存在感があり、緊張感のあるこの二人の対決もみどころの一つとなっていて、2時間40分近い長尺(村川透監督の映画でここまで長いのは珍しい。)ながら最後まで飽きずに見ることができた。最初のニセ会社を使った詐欺の部分における藤岡琢也演じるニセ社長が鶴岡に演技指導を受けるシーン(この藤岡琢也や西田敏行の使い方がさりげなく良い。)や、原作者の高木彬光がカメオ出演したそのニセ会社の社員を募るオーディションのシーンは思わず笑ってしまう。カメオ出演といえば初期の角川映画では角川春樹がほぼ必ずカメオ出演しているのが常だが、本作では鶴岡に金をだまし取られた専務(佐藤慶)の会社の社長役で、出番やセリフもいつもよりも多い気がする。冒頭は隅田(岸田森)の焼身自殺というショッキングなシーンだが、それに対してラストは鶴岡が替え玉を使って焼身自殺を装って国外逃亡というのが見事にリンクしていてそういうところも良かった。(ちゃんと伏線となるセリフも劇中にあり。)ただ、鶴岡の詐欺をひとつひとつもう少しじっくりと見たかったという思いもあって、そういう意味では映画よりも連ドラ向けの物語なのかなと思った。渡瀬恒彦の連ドラ版も機会があればいつか見てみたい。とはいえ、今まで見た村川監督の映画の中ではいちばん面白かったことは確か。ダウンタウンブギウギバンドの主題歌も映画によく合っていたと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-03 19:29:30)
369.  安城家の舞踏会 《ネタバレ》 
階級の消滅によって没落した華族 安城家の最後の一夜を描いた吉村公三郎監督の映画。実際に新憲法が公布され、華族制度が廃止された年の映画で、当時としてはかなりタイムリーな内容。それを今見るのはいくらなんでもいかにも古い映画に感じてしまうのではと見る前は思っていたのだが、実際に見てみると歴史の1ページを垣間見ているような感じで、最後まで興味深く退屈することなく見ることができた。今までの立場がなくなることへの安城家の人々のそれぞれの思いも繊細に描かれていて群像劇としても見ごたえのあるものになっているが、中でも父 忠彦(滝沢修)や長女 昭子(逢初夢子)が動揺しきっている中、一人物おじせずにしっかりしている次女 敦子(原節子)と達観しきったような長男 正彦(森雅之)。この二人がとくに印象的で、この二人の存在がこの映画を引っ張っている。話がほぼ安城家の敷地内のみで展開し、出演者も舞台出身者が多く、全体的に舞台劇臭さもあるのだが、吉村監督の演出は冒頭から冴えていて、いかにも映画的で、このおかげで冒頭から引き込まれた。信じていた新川が実は自分の肩書だけを信用していたと知り、落胆する忠彦など、人間関係の気薄さや、人間の弱さなどもしっかりと描かれているのもよかった。戦後2年ほどのころの映画なのだが、どこかヨーロッパあたりのおしゃれな外国映画のような雰囲気が漂っているのも新鮮でちょっと驚く部分でもあるのだが、華族という世界のエレガントさを表現するにはこの日本映画離れしたような雰囲気が最適で、これが見事に成功している。舞踏会を背景に描かれるそれぞれの人間模様も見どころなのだが、やはり舞踏会が終わった後のラストシーンの忠彦と敦子のダンス。舞踏会でのドロドロした人間模様が描かれたあとのこの二人のダンスシーンはそれまでの人間模様のドロドロさがウソのような一切の汚れもない美しさがなんとも印象に残る名シーンで、ここに作り手である吉村監督や脚本を担当した新藤兼人監督のメッセージが集約されているような気がする。カーテンから差し込む朝日はこれから始まる安城家の人々の新しい人生の希望の光なのだ。(このときカーテンがダンスをするように風に舞っているのがなんともニクイ。)最初に書いたように見る前は不安のほうが大きかったのだが、じゅうぶんに面白かったし、見終わったあとの余韻もたまらなく、本当に見てよかった。ところで、原節子はこの映画の2年後に同じ新藤兼人脚本の「お嬢さん乾杯」(木下恵介監督)でも主人公の没落華族の令嬢を演じているが、それもなかなか興味深い。小津作品や成瀬作品で市井の人を演じていてもハマる人なのだが、こういうお嬢様役もやっぱり良いなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-04-08 00:30:03)
370.  クレージーだよ 天下無敵 《ネタバレ》 
植木等と谷啓がいがみ合ってばかりいる二人の男(役名が猿飛と犬丸というのが既に笑える。)を演じてダブル主演をしている東宝クレージーキャッツ映画の一本。ライバル同士の隣どうしの会社のサラリーマンである二人が互いにスパイになり、それぞれの会社の新製品についての情報を得ようとするのだが、もうこの二人のバカなやりとりを見ているだけで楽しいし、とくに植木等の豪快で明るいキャラクターを見ていると自然と疲れや悩みなんかぶっ飛んでしまって元気が出てくる。やはり無責任シリーズやその他のクレージー映画での植木等のポジティブな演技は大好きだと感じられたのが嬉しい。植木等の会社の新製品であるモデルハウスの近未来的な感じが今から見るとすごくレトロに感じた。国際的産業スパイが登場する終盤の展開も無茶苦茶だが、この無茶苦茶さがクレージー映画、田波靖男脚本作品の良いところである。後半は立体テレビをめぐる話になるが、今から見ればこの時代に立体テレビというのはかなり時代を先取りしている印象を持ってしまうのは仕方がないか。(当時はもちろんギャグでやってると思うけど。)二人がクビになり会社を去っていくラスト近くのシーンは坪島孝監督らしく少しペーソスも感じさせるものになっているのが良い。かなり久しぶりに見たクレージー映画だったのだが、やっぱり面白かったし楽しかった。こういう映画は肩の力を抜いて気楽に見るのがいいね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-26 01:06:05)
371.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》 
山田洋次監督が「東京家族」のメインキャスト全員を起用して手掛けた喜劇映画シリーズの2作目。前回が単純明快な喜劇だったのと比べると無縁社会がテーマの今回はちょっと湿っぽくなってしまったような気がするが、それでも(前作までとはいかないまでも。)けっこう楽しめた。家族から運転免許の返納を薦められた周造(橋爪功)のその後の態度など今回も前回同様に「男はつらいよ」シリーズを思わせる部分もあるのだが、今回はそれ以上に寅さん以前のハナ肇が主役をつとめていたころの山田監督の映画のようなブラックな笑いが多く、まだ山田監督にそういう部分が残っていたのかとちょっと驚いた。とくに周造が家に泊めた友人(小林稔待)が翌朝突然死していたあたりからの展開が死体を使ったギャグなど「運が良けりゃ」や「喜劇 一発勝負」を思わせるブラックな笑いが中心になっていて、個人的には山田監督の寅さん以前のこういうブラックな面も好きなので、この部分も面白かったし、ちょっと嬉しい面もある。だが、反面、やっぱり今更そこまで戻るのかという気がしないでもないし、そのブラックな笑いが独居老人の孤独や、交通事故につながる高齢者ドライバーの問題という「死」を意識したどちらかといえばシリアスなテーマとはどうしても相容れない気がしてしまうのも正直なところではあった。(シリアスなテーマを喜劇で描くこと自体には抵抗はない。)前回で登場しなかった次男(妻夫木聡)の妻(蒼井優)の家族(母親と祖母)が登場しているが、この妻の実家の家庭環境が平田家とまったく逆なのはいかにも対比的な感じがした。(無いと思うけど、このシリーズをずっと続けていくなら、次男夫婦が主人公になるんだろうなあ。)前回はキレイに終わっていたのだが、今回は終わり方が唐突で、とくに前半の主題だった周造の運転免許返納の話が解決されないままだったのがちょっと不満だったりもするのだが、まあいいか。それにしても「男はつらいよ」シリーズで満男役でレギュラーだった純(=吉岡秀隆)に続いて蛍(=中嶋朋子)も山田監督の喜劇映画のシリーズのレギュラーになるとは思ってもみなかったなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-02-03 19:34:59)
372.  網走番外地 大雪原の対決 《ネタバレ》 
シリーズ第7作。沖縄が舞台だった前作の反動からか今回はこのシリーズらしく雪の北海道が舞台。それも前半の大半が刑務所を舞台にしている。そこでのエピソードがけっこうしっかりと描かれていて、登場する囚人たち(田中邦衛、由利徹などシリーズおなじみの面々。)もそれぞれ個性的で、ここだけでも面白い。後半の出所した真一(高倉健)の行動理由も刑務所の中で起こった集団脱走事件の濡れ衣を着せられて死んでしまった刑務所仲間の汚名を晴らすためという前半の刑務所でのエピソードを活かした構成になっていてかなり原点回帰を意識した作風になっている。このおかげで見てて久しぶりにこのシリーズに刑務所映画らしさを感じることができた。今回の悪役の親玉(上田吉二郎)が鬼寅(嵐寛寿郎)の名を騙って悪事を働いているというのもシリーズものでは定番の偽物登場編で、見ていて楽しいし、真一の指摘からそれが露見し、その場にいた本物がニセ鬼寅を吊るし上げるという展開もこの手のパターンだと定番で、そこにやっぱりカタルシスを感じずにはいられない。(鬼寅にこんなカタルシスを感じるのはたぶん初めて。)クライマックスの対決シーンも真一の目的はあくまで脱走の真の首謀者である白熊(内田良平)にあるというのもブレがなく、徹底していて、この親分には直接手を下さないというのも、異例だとは思うがあまり気になることはなかった。でも、敵役は白熊だけでも良かったような気もしないでもない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-01-27 17:22:47)
373.  大空港2013<TVM> 《ネタバレ》 
三谷幸喜監督が「shortcut」に続いて手掛けたWOWOWの単発ドラマ。今回も一度もカットを割らずにすべてワンカットで撮影しているが、山の中が舞台で基本的に二人芝居だった前作に対し、今回は空港が舞台で10人以上の人物が登場する。これだけで前作以上の撮影の大変さが伝わってくるのだが、同時に前作同様に舞台人である三谷監督ならではの作品とも思う。ストーリーは天候不順のため松本空港に緊急着陸した羽田便の乗客たちを出発までの間、竹内結子扮するグランドスタッフが対応するというもので、「THE 有頂天ホテル」のような群像劇にしようと思えばできたところを、主人公が対応する乗客を一組の家族に限定したことで、逆にシンプルになっているのが良かった。(ワンカット撮影で本格的に群像劇をやろうとしたら撮影はもっと大変かも。)その家族はそれぞれ事情を抱えているのだが、ひとりひとりの描き方が強烈で個性的なのも三谷監督らしく、安心して見ていられるし、楽しい。そんな家族に振り回される主人公を演じる竹内結子もハマリ役で、とくにラストのヘリを見送るシーンの笑顔がなんとも言えず、印象的だった。それともう一つ、本作はワンカット撮影に加えて、劇中の時間を実際の時間と一致させているみたいなのだが、それもなかなか効果的だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-03 17:28:52)
374.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 
この砕けたタイトルと、ポスターやDVDパッケージの印象からはっちゃけたコメディー映画を想像してしまうのだが、これが実話がベースのけっこうシリアスな話。でも、語り口は先週見た同じ中村義洋監督、阿部サダヲ主演コンビの「奇跡のリンゴ」とは対照的にそこまで深刻ぶることなく軽妙で明るい雰囲気で描いていて、それだけで個人的には「奇跡のリンゴ」より好み。それにこのタイトルは非常に映画の雰囲気とマッチしていて、それでいて話としてもなかなか面白く、そのバランス感覚も絶妙。磯田道史原作で「武士の家計簿」同様にお金がテーマになっているが、そこは千両を三億円など現代の円でナレーター(濱田岳)や劇中テロップで随時解説しているので見ているほうとしては実感がわきやすく、分かりやすかった。ドラマとしては親子や兄弟の確執という人情ものではありがちなストーリーが展開するが、このドラマも丁寧に描かれていて、また、映画の軽妙な雰囲気を壊すようなものではないのがうまく、思わずほろりとさせられた。それに「どこを見て仕事をしているのか」という劇中のセリフも考えさせられるものがあり印象に残り、前向きな気持ちにさせてくれたのは嬉しい。ちょい役でラスト近くに登場する殿様役をフィギアスケート選手の羽生結弦が演じているのがかなりのサプライズだったが、俳優としての演技にとくに違和感はなく、むしろ堂々としていてなかなか良かったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-24 15:04:56)(良:1票)
375.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-09 23:58:54)(良:1票)
376.  懲役十八年 《ネタバレ》 
加藤泰監督作で脚本が笠原和夫というのがまず珍しい。終戦直後に遺族を救うために仲間とともに非合法行為に手を出し、その仲間に後を託して服役した男 川田(安藤昇)と、彼が服役している間に考えが変わってしまったその仲間 塚田(小池朝雄)という構図はいかにも笠原和夫らしいプロットで、ドラマとしても骨太で、加藤監督の演出もリアリズムにあふれていて良く、見ごたえがあるものになっていてなかなか面白かった。「懲役十八年」というタイトルの割りには刑務所の中でのエピソードが本筋にあまり関係ないのだが、そこがやたら濃く、ここに登場する人物たちがみんなイキイキとしていて、加藤監督の演出もここにいちばん力が入っていて、刑務所映画としての面白さも損なっていないあたりはさすがといったところ。(ひょっとしたら本筋の二人の男の話よりもこの刑務所の中の話のほうが面白かったかも。)安藤昇の主演映画を見たのはこれが初めてのような気がするが、演技力はちょっと微妙かもと思うものの、主役としての存在感は抜群で、一方の小池朝雄も前半の主人公の仲間としての姿と、後半の豹変した悪役ぶりがうまく、やはり小池朝雄はこういう役をやっているとうまくハマる人だと改めて思う。本作の川田と塚田を見ているとこういう話は当時実際にあったのではと思えてくるようなリアリティーを感じることができ、そのあたりも笠原和夫や加藤監督らしく、またこの頃の東映作品としては任侠映画とは違った印象があるアクション映画でもあり、そんなところも本作の見どころの一つだ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-03 00:33:14)
377.  ルドルフとイッパイアッテナ 《ネタバレ》 
原作は20年以上前の小学生の頃に学校の図書室かなにかで読んでいたし、NHKで放送されたテレビ絵本も見ていたので、本作はそのストーリーを丁寧に映像化していてこんな話だったなあと懐かしさがありながら、うる覚えの部分がかなり多かったので新鮮な気持ちで見ることができた。間違って岐阜から東京にやってきたルドルフがイッパイアッテナやブッチーと出会うことによって広い世界を知っていく過程がよく描かれていて、ルドルフの成長物語としてはもちろんのこと、イッパイアッテナとの師弟関係も見ごたえのあるものになっていて、原作の良さは出ていると思う。イッパイアッテナがルドルフにかける言葉はどれも重みがあって深く、考えさせられるものがあるし、ルドルフとイッパイアッテナのそれぞれの飼い主への思いもしっかりと描かれ、それがきちんとドラマになっているのも良かった。ルドルフがたった一人(一匹)で岐阜を目指し、飼い主の家にたどり着いてからの展開は予想がついてしまうものの、やはり切なくついルドルフに感情移入してしまった。でも、そこから一人(一匹)で生きていくことを決意して東京に戻るルドルフの姿には勇気づけられた気がした。欲を言えばルドルフが東京から岐阜に帰るヒッチハイクの部分をもう少し見たかった気がしたくらい(この部分をロードムービー的に描いても面白いかもしれない。)であとは特に大きな不満はなく、最後まで楽しく見ることができたので、見て良かったと思う。そうそう、ヒッチハイク中のルドルフを乗せるトラック運転手の声をNHKのテレビ絵本で語りを担当していた毒蝮三太夫が演じていたのがなんだか嬉しかった。また機会があれば原作を読んでみたいなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-08-24 01:11:48)
378.  アシュラ(2012) 《ネタバレ》 
東映アニメーションが原点回帰を掲げて製作した作品で、社会的に物議を醸し、発禁本となった漫画が原作となっている。こう書くと話題性だけの映画かと思ってしまいそうなのだが、まったくそうではなくきちんとしたメッセージ性のある社会派映画になっていてとても見ごたえがあった。けだもの同然の主人公 アシュラが生きるために人を食う描写はかなりリアルなのだが、同時にアシュラの悲しさもうまく表現されていて、ここに手抜きがないからこそ本作の重いテーマがぐいぐいとこちらに伝わってきて、東映アニメーションといえば子供向けの企画ものアニメというイメージを覆すにじゅうぶん。切ないシーンも多いが、アシュラが初めて心を許した存在である若狭の恋人を傷つけたことで彼女から遠ざけられるシーンは思わずアシュラに感情移入して見ていた。若狭たちに飢餓がきてアシュラと立場が逆になるという展開もうまく、普通の人間であってもひとたび極限状態に陥ればアシュラと同じようなけだものになるという人間の本質をリアルに描いている。アシュラが馬の肉だから食べてと差し出した肉を人肉と疑い、食べようとしない若狭に対してアシュラが必死に説得するシーンは胸が痛くなるほどの切なさで、このシーンが本作の中でいちばん重く感じた。アシュラの声を担当する野沢雅子はまさに名演技で、どうしても自分の世代だと悟空のイメージが強いのだが、あらためて名優の一人だと思うし、また本作は彼女の晩年の代表作になると言っていいほどだ。75分と短い(ところどころ端折られている感があったのでもう少し長くても良かった気はするのだが。)映画だが、見る価値はじゅうぶんにある映画だと感じた。
[DVD(邦画)] 7点(2017-08-04 00:06:11)
379.  暗黒街大通り 《ネタバレ》 
井上梅次監督の東映暗黒街シリーズ最後の作品で、これまでの2作で主演していた鶴田浩二が出演しておらず、高倉健、梅宮辰夫、待田京介の三人が演じる三兄弟を主人公にヤクザの息子に生まれた彼らの考え方に徐々に亀裂が生じていく様子を描いている。最初は仲の良かった兄弟が考え方の違いによってやがて対立し、破滅していくという悲劇的なドラマが丁寧に描かれていてとても見ごたえがあり、待田京介演じる次男が父の敵(安部徹)の娘(中原早苗)と恋愛関係になるという「ロミオとジュリエット」的要素もあってシリーズ3本の中ではドラマとしていちばん面白かったと思う。ただ、長男役の高倉健はほかの二人と比べると若干地味な印象で少し浮いて見えるのはちょっと残念だったかも。それよりも今回は悪役陣が豪華で、前2作にも出演していた安部徹に加え、金子信雄に菅貫太郎まで出ていて、主演の三人がこれに霞んでしまいそうな雰囲気がすごかった。とくに金子信雄のこういうずる賢い悪役はやはりすごくハマっていて見ていて楽しい。冒頭、男が射殺されるシーンから始まるのだが、それが誰なのかいちばん最後になって明かされるのも映画としてはありがちといえばありがちなのだが、やはりうまい構成で印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2017-07-15 22:06:44)
380.  暗黒街最後の日 《ネタバレ》 
東映のヤクザ映画というと明治や大正が舞台で着流しにドスというのを思い浮かべるが、本作はまだ任侠路線が確立する前の映画で、製作当時の現代が舞台で、鶴田浩二演じる主人公ら登場人物たちがスーツにピストルといういで立ちなのが新鮮だし、悪役である安部徹を殺すのが主人公ではないというのも意外に感じる。この後、鶴田浩二とともに任侠映画を引っ張っていく高倉健が二番クレジットで出演しているが、話の中心は鶴田浩二と三國連太郎であり、後年の高倉健と鶴田浩二が共演する任侠映画を見慣れていると少し物足りない気がしないでもないのだが、鶴田浩二と三國連太郎という珍しいこの二人の共演がなかなか見ものだった。高倉健はまだ本格的に売れる前で、思いっきり若手のぺーぺーという感じ(「宮本武蔵」シリーズで佐々木小次郎を演じるよりも前。)なのだが、それもまた新鮮に感じた。井上梅次監督の初の東映作品だそうだが、アクション映画としてもけっこううまい作りになっているのは、さすが日活からフリーになった監督という気がする。クライマックスの入り乱れての銃撃戦はジョン・ウー監督がリメイクしてもおかしくないような壮絶さで、かなり見ごたえがあり、印象にも残る。このシーンに1点プラスの7点。虚しさの残るラストシーンも良かった。
[DVD(邦画)] 7点(2017-06-29 23:31:08)
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