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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  首都消失 《ネタバレ》 
原作は未読ですが小松左京のSFはシミュレーション的な手法で書かれているのに、ほとんどお涙頂戴といった家族愛メロドラマになってしまってもう観るに堪えない。まず、首都圏が異常な雲のようなバリアに覆われて通信途絶、中に閉じ込められた2000万人余りの安否さえ全く不明なのに、大阪ではサラリーマンが昼休みにバレーボールに興じ浜名湖ではウインドサーフィンで遊んでいる、そんな緊張感がないなんてあり得る?となりますよ。雲の壁の端では宗教団体や群衆が集まって大騒ぎ、屋台まで出てまるでお祭り状態。センスのない歌謡曲みたいな曲をがなっている盲目ロックシンガーまで登場してくると、もう観るの止めようかと真剣に考えましたよ。一介の電機メーカーが造った超音波なんだか知らないがメーサー光線砲みたいな装置をふそうトラックに乗せて突っ込むクライマックス、もうこの脚本はどういうセンスなんだよ!と殺意すら覚えてしまいました。あと関西TVがスポンサーだからとうぜん忖度があったはずなのにこれでもかと見せつけてくれるTV局のマスゴミぶり、この当時のマスコミはマジでこれがカッコいいと思ってたんでしょう。 あとこれは小松左京自身の認識の問題でもあるけど、東西冷戦中の日本国の立ち位置に関しての被害妄想的な捉え方は困ったものです。雲の中に閉じ込められて国家機能がマヒしたからと言って国連常任理事会で日本の主権を停止して信託委任するなんて、いくら何でもそんなバカなと言いたい。仮に大震災が襲って東京が壊滅して政府首脳が全滅したとしても、統治機構は別の地域で臨時にしてもすぐに立ち上がることでしょう。小松左京の世代は敗戦トラウマが根っこにあるので、深層心理としては日本はアメリカの自治領に堕ちてしまったという意識があるんでしょうね。21世紀の現在となって振り返れば、日本は決して傍観者ではなく東西冷戦のプレイヤーの一員だったと解釈できるのにね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-12-05 22:55:05)
22.  大殺陣 雄呂血 《ネタバレ》 
伝説の坂東妻三郎版のオリジナルは未見ですが(何でも現在視聴できるのはオリジナルの30%程度らしい)、調べるとこのリメイク版は登場人物たちの設定自体はけっこう変更されているみたいです。いわば『切腹』のような武家社会の不条理が主人公の背景に織り込まれており、一介の武士である小布施拓馬=市川雷蔵が謹厳なサムライから武家社会の掟に翻弄されて剣鬼に堕ちてゆく壮絶なストーリーです。本作の雷蔵は同時期の『眠狂四郎』シリーズと被ってしまいがちですが、狂四郎よりもはるかに深みのあるキャラだったと思います。密かに思いを寄せられていた志乃=藤村志保が自分の追手に手籠めにされそうになって自害するのを見過ごしてしまうところなんて、わが身を守るためとは言っても狂四郎なら絶対にほっとかないだろうな。もちろん激しく後悔はするけど、そうやってどんどん自暴自棄になった挙句の無残な境遇になっている波江=八千草薫との再会、そしてラスト20分の壮絶極まりない闘いになだれ込むわけです。 オリジナル版ではどれくらいの人数だったのかは不明ですが(ジョセフ・フォン・スタンバーグはオリジナル公開当時に上映館に通い詰めて何人斬られたか数えたそうです)、どう考えても本作で雷蔵が相手にした人数は邦画史上空前絶後、ギネス記録に認定してほしいぐらいです。梯子や大八車もよく捕物帳ものなんかで見かけますが、なるほどこうやって使うのか、と納得した次第です。雷蔵は本来殺陣が上手くなかったそうですが、その息を切らして必死に太刀を振りまわすところにはかえってリアルが感じられました。終いには地面に横たわって刀を振り回す、なるほど多人数に囲まれた場合はこうやって足を薙ぎ払うというのは理にかなっているかもしれません、でもこんな殺陣は今まで観たことないです。 一応は敵を全滅させて八千草薫と向き合いストップモーションで終わるというオリジナルとは異なるエンディングですが、勝ったという高揚感にはほど遠いカタルシスなき無常観に満ちた幕の閉め方でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-11-30 23:50:55)
23.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮映画には日米合作として製作されたものがあるが、本作はその最後の作品。合作と言っても独立系プロダクションが相手の場合が多くていろいろと難儀させられることもあり、本作なんて製作中に相手方が倒産して撮影中断、その為に複雑な権利関係になってしまい長い間ソフト化されませんでした。またこの映画が円谷英二と本多猪四郎の最後のコンビでもあります。 ストーリーは言ってみれば『海底二万哩』と『ドクターモローの島』を足して二で割ったような感じ。日米合作東宝特撮では欠かせないハリウッド俳優の出演も、ニック・アダムス、ラス・タンブリンに続いてリーチャド・ジェッケル、シーザー・ロメロ、そしてついに名優ジョセフ・コットンの出演と相成りました。ロメロの愛人役のパトリシア・メディナに至ってはコットンの当時の妻ですからね。アメリカ側プロの倒産で東宝が出演料を肩代わりさせられ、製作費のかなりの部分がこれらのハリウッド俳優のギャラに消えてしまい東宝はもう踏んだり蹴ったり、そりゃ合作を今後やらないとなるのも当然かも。特撮は円谷英二の最晩年ですからレベルとしてはほぼ頂点、冒頭の海底火山の噴火なんてこれがCGじゃないなんて信じられないぐらいです。緯度0という秘密世界の設定も荒唐無稽さが東宝特撮の中でもほとんど頂点、19世紀初頭の人間が200歳近くになっても普通に生きているというところなんかも謎めいていてグッド。当初の脚本では「緯度0の1日は地上の50年に相当する」という説明があったそうですが、それじゃいくら何でも計算が合わない、1年だと地上の18,250年になっちゃいますからね(笑)。でも登場する改造動物の造形はちょっとセンスが悪すぎ、まああんまり意味がないキャラ達だったとしか言いようがない。 やはり物議をかもしそうなのがあのラスト、リチャード・ジェッケルのラリッたあげくの妄想もしくは夢オチかなとも解釈できるような不思議な幕の閉め方です。でも私はこういう遊び心に満ちたような脚本は好きです、これぞ関沢新一の脚本らしさが出ていたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-11-27 23:24:05)
24.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
“怪獣vs超人バトル”というコンセプトだった元祖ウルトラマンの、“宇宙人であるウルトラマンと異星人の係わり”という隠れテーマに注目した映画化は良い着目点だなと思います。登場するザラブやメフィラスには“外星人”という呼称が使われていますが、ここは個人的には興味深かったところです。ザラブやメフィラスは人類というか日本政府に武力か知力かの違いはあっても特殊権益を求めていますが、これはロシア・英国・米国などが江戸幕府に開国を求めてきた幕末の情勢に似ているところがありませんか。つまり令和の時代に開国と言うか降伏を要求してきたのは、外人ならぬ外(星)人だった!なんてちょっと捻くれた観方かもしれませんがね(笑)。 樋口真嗣が監督なので正直期待感は低かったんですが、どうしてどうして、けっこう見応えがありましたね、庵野秀明が総監督なだけはあります。まさかのウルトラQの怪獣たちから物語が始まり、禍威獣ネロンガと禍威獣ガボラと元祖登場の怪獣の進化形が登場。びっくりしたのはガボラの造形で、頭部が完全にドリルなんだけどなんとそこがパックリ開いて元祖と同じようなひまわりの様な襟が開くところ、こんなこと良う考えつくわ!笑っちゃうのは「パゴス・ネロンガ・ガボラ、どれも頭部や背中の形状が違うだけで首から下の部位はどれも酷似している、まるでアタッチメントしているみたい」というセリフがあったことで、実はオリジナルではこの三体はバラゴンのスーツを順番に改造して撮影されていたというのは有名な話し、マニアは思わずニヤリとさせられる楽屋オチでした。禍威獣の登場はここまでであとはザラブやメフィラスそして偽ウルトラマンとの対決となるけど、やはり強烈だったのは巨大女・長澤まさみに尽きるでしょう。この巨大女のフィギュアを海洋堂あたりが販売すれば、けっこうヒットするんじゃないかな。やっぱこの映画では長澤まさみの存在感が光っていましたね。人間の姿形をしているとはいえ、ウルトラマンとメフィラスが居酒屋で一杯やりながら地球征服の密談をするなんてこれも爆笑、しかも割り勘とはね(笑)。あとメフィラス、お前好きなフレーズが多すぎだ、どんだけ日本語に詳しいんだよ! ザラブやメフィラスは中途半端に退場して地球とだけでなく太陽系自体を宇宙の秩序を守るために消滅させようとするのが、ウルトラマンの同僚であるゾフィーというかウルトラマンの故郷である光の星の意思であるというところは斬新な脚本かと思います。オリジナルでもウルトラマンを倒したゼットンが登場しますが、ゼットンが生命体ではなくマシーンだという設定も良かったな。 ウルトラマンの造形は、カラータイマーが無かったが、エネルギーの消費量は赤い縞の色変によって判るという設定、やはりCGの効用でオリジナル版のスーツの弛みが無い姿は見惚れてしまいますね。飛翔するところもカッコいいけど、飛び立つときの「シュワッチ」がなかったのはちょっと寂しかったかな。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-11-21 23:26:56)
25.  舞妓はレディ 《ネタバレ》 
舞台となる下八軒は京都五花街の一つである上七軒のもじりですね。つまり架空の花街なんですが、ファンタジーを基調としたミュージカルですからセットで撮影されるミュージカルとしては完全に人工的な夢世界の設定でもあるわけです。周防正行の今までの作品には、劇中でのバック・ミュージックの使い方のセンスにはミュージカル風味が感じられていたので、ついにミュージカル映画を手掛けたということには驚きはあまりなかったが、タイトルが『マイ・フェア・レデイ』のダジャレとはびっくり。内容もまさにイライザとヒギンズ教授のストーリーを京都の花街の舞妓に兌換するというアイデアはなかなか奇抜ですな。「京都の雨はたいがい盆地に降る」なんて『マイ・フェア・レデイ』の“スペインの雨”をパロったような歌もありましたが、だんだんと独自の世界線が展開されていたと思います。やはりこの映画は800人の中からオーデイションを突破した上白石萌音の存在無くして成立しないでしょう。その後に紅白歌合戦にも出場したぐらい歌手としても活躍していますけど、その歌唱力は半端ありません。あのテーマソングは、初めて聞いた時から頭から離れない中毒性があります。長谷川博己を始め他の出演者の皆さんもほんとお上手、もっとも高嶋政宏だけはほとんど怪演でしたけどね(笑)。まだ芸能界デビューして間がない頃の上白石は仕込み時代の春子の野暮ったさが似合っていたけど、舞妓になってからの可憐さは思わず瞠目してしまいました、まさしくアイドル誕生です。こういう観る者を愉しませてくれるミュージカル映画がもっと日本映画には必要なんじゃないでしょうか。 YouTubeにアップされている京都花街の動画を観ると、「ここは本当に日本なのか?」と絶句するぐらい外国人観光客であふれかえっています。みんな舞妓や芸妓が現れると群がって写真を撮りまくり、でも彼女らは誰も視界に入っていないかの様に凛とした歩みでお茶屋に入ってゆきます。今や彼女らはファッションモデルで、京都の小路はランナウェイなんだなと感じた次第です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-11-15 23:42:14)
26.  清作の妻(1965) 《ネタバレ》 
模範兵として兵役を終えて帰郷した清作(田村高廣)が持ち帰った鐘の音は、因習が渦巻きドロドロした人間関係の村人たちには怠惰な生活に浸っていた自らを顧みる機会を与えたようにも感じられる。しかしただ一人その鐘の音にも無反応だった隣家の妾崩れのお兼(若尾文子)の境遇に、清作は惹かれて愛情を抱くようになってゆく… やはりこの映画は、数多い増村保造&若尾文子コンビの中でも、最高傑作として評価されるべきなんじゃないかな。それぐらい本作の若尾の演技には打ちのめされてしまいます、彼女自身が「自分が出た中でいちばん好きな映画」と言うのも納得です。彼女が演じるお兼は、お妾ながらも精一杯愛情を注ぐ隠居の爺さん(殿山泰司)にも冷たく、それこそ村人たちの陰口通りのすれっからしの女でしかない。不幸な家庭環境だったのは間違いないけど、観ている方としては全然感情移入できない。それが清作に出会ってからはどんどん変わってゆき凄まじい情念が迸る女になってゆく、これは若尾文子でなきゃ出来ない凄い演技です。彼女が清作を愛するあまりにとった極端な行動は、あの阿部定を彷彿させるところがあります。また二人を取り巻く家族や村人たちの俗悪というか民度が低いこと、これは20世紀初頭の日本人の平均的な姿なのかもしれません。盲人となった清作が鐘を打ち捨てるところは、「実は自分もつまらない俗物だった」と覚った内心の顕われになっていて、劇中でも重要なシーンです。 徴兵されて戦死する庶民の悲哀もテーマの一つになっていて、恋愛映画だけど反戦映画でもあるわけです。本作は同一原作で戦前に製作された映画のリメイクになるそうです。戦前にこれほど赤裸々な反戦的なテーマの映画が撮られていたとは到底思えないので、これこそ新藤兼人脚本の真骨頂があるのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2023-10-30 22:28:25)
27.  太平洋の鷲 《ネタバレ》 
この作品は1953年公開、つまりあの『ゴジラ』が世に出る前年の映画なんです。つい2年前まで日本はGHQの占領下、もちろんそんな時には時代劇すらダメで大作戦争映画なんて製作させてもらえるわけもなく、やっと太平洋戦争の海戦ををテーマにした映画が撮れるようになったころです。ちなみに新東宝の『戦艦大和』も同年の公開。 この映画は山本五十六が主役で戦死するまでを描いたストーリーで、いわばこの作品をリメイクしたのが68年の『連合艦隊司令長官 山本五十六』だったという感じでしょうか。大河内傅次郎が山本五十六を演じているのですが、三船敏郎なんかよりも雰囲気自体は出ていたような気がします。しかし時代劇の大スターですから演技自体は時代劇風で、おまけにセリフが滑舌が悪くて聞き取りにくい、もっともミッドウェイ海戦以後のシークエンスではセリフすらほぼなかったですけどね。また戦闘シーンは戦前の東宝戦争映画からそのまんま流用、冒頭の山本五十六が新型艦上戦闘機を視察しているシーン、『翼の凱歌』の一式戦闘機・隼が飛行するところをそのまま使っているのでどっちらけです。その他にも『加藤隼戦闘隊』や『雷撃隊出動』の戦闘シーンも使われて、真珠湾攻撃はほとんど『ハワイ・マレー沖海戦』の映像でした。要は新規に製作したのはミッドウェイでの空母被爆シーンだけのようなものです。あとは記録フィルムも使われていますがこれまた繋ぎがデタラメで、大戦後期の艦上機がバンバン出てくるので、これではあの底抜け超大作『ミッドウェイ(76)』を笑えませんな。まあこれには『戦艦大和』の大ヒットに東宝が慌てて便乗した事情もありまして、本格的な東宝の太平洋戦争海戦映画は60年の『太平洋の嵐』ということになります。ドラマとしてもただ時局の推移をなぞっただけのような薄い脚本で、観るべきところもなかったです。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-24 23:14:39)
28.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》 
タイムループものは好物なんだけど、このカテゴリーの邦画は初めて鑑賞。劇中でも言及があるように『ハッピー・デス・デイ』や『オール・ニード・ユー・キル』そして『恋はデジャヴ』なんかが有名作だけど、これらが恋や死をテーマにしているのに対して本作では仕事がテーマになっているのがいかにも日本らしいところです。謂わば“社畜たちの最悪の一週間”がテーマでループしてゆくわけだけど、ラストで“個人の夢をかなえる”と“仕事はチームワーク”というオチで閉めるところは、いかにも日本人らしいが自分としては少し薄っぺらい様な気がしないでもない。私が今まで観てきたタイムループものはループの幅が一日程度が多かったが、一週間というループ幅は最長かもしれない。そりゃあ人間誰しも仕事や生活で失敗した時、「嗚呼、もし時間を戻れたら…」と臍をかんだことが一度はあるでしょう、でも一週間を何度も繰り返すならそりゃどんな仕事や作業でも完璧にこなせるのは間違いない。もしループしていることに気が付いたなら、その間に社会で起こる出来事を参考にしてとんでもない金儲けや、それこそ犯罪だって平気で犯せる、まあ一週間たてばもとに戻るんだから意味ないか(笑)。最初は徹夜続きの社畜たちを尻目にさっさと帰宅しちゃう部長・マキタスポーツはとんでもない奴だと思わせておいて、実はストーリーに感動要素を与えてくれるキーマンだったというのは、ちょっとあざといかなと思うけどまあアリかなと思います。 なんか腑に落ちないところはあるけど、誰もが憂鬱になる月曜日と毎日同じことの繰り返しのようなサラリーマン生活をタイムループのストーリーに落とし込んだ発想は、けっこう上手くいっていると感じます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-10-21 22:49:59)
29.  カモとねぎ 《ネタバレ》 
森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)
30.  空気の無くなる日 《ネタバレ》 
1910年(明治43年)に20世紀最初のハレー彗星接近がありましたが、日本では明治維新後初のハレー彗星との出会いだったわけです。約75年周期で地球に接近するわけですから現代人の感覚では生涯で一回もしくは二回は出会うことがあるイベントですけど、昔の日本人の平均寿命はまだ短かかったので、一度もハレー彗星を見ることなく墓に入る人が多かったと思います。当時は半端に科学知識が広まっていた時代にはなっていましたので、あやふやな情報が元になったパニックが日本でも一部の地方であったそうです。そんな史実をもとにした児童文学を映画化したのが本作です。 舞台は山奥の集落、平和に農業や牧畜を営む地区にハレー彗星接近の知らせとともにある情報が伝わります。彗星がもっとも地球に接近する七日後の4月20日正午、地球の大気が5分間消失するという驚天動地の新聞記事。なんでも彗星の長い尾が地球を包むのがその5分間なんだそうで、大気がその間彗星に吸い取られちゃうという説明だが、なんでまた大気が元に戻るのかはさっぱり謎。つまり5分間呼吸を止めていれば助かるという理屈なんだけど、校長先生や児童たちは一生懸命に洗面器の水に顔を突っ込んで挑戦するけど、そんなことできるはずがない。すると空気がつまった自転車のチューブを使えば5分間を耐えられるというアイデアが広まるが、チューブや浮袋みたいなものは全て地主が買い占めてしまう。かくして地主一族以外の村民は、地球最後の日を粛々と迎えることになります。 プロレタリア作家である岩倉政治が書いた原作は子供向け寓話の形をとっていますが、痛烈な資本主義批判が込められています。貧しい生活だが清らかに生きる農家の一家と対照されるのが、チューブを買い占めて一族だけで独占して生き残ろうとする冷酷な地主階級というわけです。この原作は戯曲化され、昭和の日教組全盛時代には各地の小中学校で児童生徒を使って上演されていました。実は小学校高学年のときに小生のクラスでも学芸会の演目にされ、校長先生の役で生涯ただ一度(今のところ)の舞台に立ったのは懐かしい思い出です。ウン十年ぶり映像作品として再会を果たしたわけですが、小品ながら映画としても結構良く撮れています。冒頭でハレー彗星の接近が特撮アニメーションで解説されるわけですが、東宝のスタッフやまだ駆け出しのうしおそうじが関わっているのも興味深い。左翼臭もそれほど露骨ではなく、地球最後の日を迎えるように死を受け入れて彗星接近の瞬間を待つ村人たちの様子もしっとりと描かれていましたね。フィクションとはいえ、海外の映画ではこういう人類滅亡の危機では暴動や略奪が起こる(まあ現実でもそうなるでしょうね)のが定番ですけど、死に向かって悟りきったように対処するところも日本人的なリアルさかもしれません。もちろん結末はハッピーエンドですけどね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-03 22:20:22)
31.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 
しょうじきイマイチ意味が判らんストーリーでしたが、ラストまで観てやっとこれは“お前はすでに死んでいる”パターンの『恐怖の足跡』、というか“死ぬまでに観てしまう走馬灯”パターンの『ふくろうの河』的なお話しだったと理解できました。この監督の映画は『大怪獣のあとしまつ』しか観たことがなく小ネタを挟み込んだストーリーテリングが芸風の人なんだなと理解していましたが、ホラーテイストの本作ではその小ネタがどう考えても有機的に繋がってないところが残念かな、と言うのが自分の感想です。それでも一つ一つのシーンでの非現実的なイメージはとても印象的で、とくに空一面を鳥が埋め尽くすように飛び回るカットにはひきつけられました。明らかに異界の者である恵子が服を脱いで加藤を誘惑するところ、「けっ、出し惜しみしやがって!」と心中で悪態をつきたくなりましたけど、よく見れば演じているのは元AKB48の前田敦子じゃありませんか、そりゃヌードになるわけなかったです(笑)。あと演技に難があるわけではないけどほとんどの会話が聞き取りにくいこと!これはイライラさせられました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-17 22:36:21)
32.  座頭市物語 《ネタバレ》 
寅さんシリーズには負けるけど、日本映画史上屈指の長寿シリーズの記念すべき第一作です。いい歳して座頭市ものをじっくり観るのは初めての自分、市がヤクザだという事すら認識していませんでした。タイトルロールを観て伊福部昭が音楽担当と知ってちょっとびっくり、でも確認すると全作とは言わずとも座頭市シリーズではかなりの作品に参加していたんですね。時代劇での伊福部昭サウンドは、東宝特撮とはまた違った重厚さがあります。 26作も製作されたので後期のまるで超能力者みたいな市のイメージしかなかったんですけど、本作での勝新太郎はもう惚れ惚れするぐらい深みのある人物像で、その演技には圧倒されます。盲者である市が周囲の事物を感知できるのは鋭い聴覚と嗅覚が成せる業という描写にもけっこう説得力があり、現代的に言ううと市は絶対音感の持ち主というわけですね。意外と居合の技を見せるシーンは少なく、初めて抜くのは開幕三十分は過ぎてから。そして“座頭市と言えば仕込み杖”というイメージがあるけど、本作ではドスを杖代わりにしていて、終いにはそのドスも「平手御酒の供養に埋めてくれ」と言って小坊主に渡して捨ててしまう。こういうところはラストでバッジを投げ捨てる『ダーティハリー』と一緒で、まさかこれが大ヒットしてシリーズ化されるとは予想してない撮り方みたいな感じがします。平手御酒=天知茂の哀愁が込められた演技もまた素晴らしく、自分が今までに観た時代劇での天知茂のベストアクトです。 26本も製作されているのでとても生きているうちに全作観れる気がしませんが、機会がありましたら他の作品も観てみたいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-09-14 22:23:08)(良:1票)
33.  兵隊やくざ 強奪 《ネタバレ》 
シリーズもついに大団円を迎えるわけだが、ここに来て大宮=勝新太郎と有田=田村高廣に子供が出来るという展開。これは二人が廃墟に捨てられていた乳児を見つけて脱出行を共にするという事だが、当時はまだ日本では認識がなかった中国残留孤児の先駆けとなるでしょう、もちろん大宮と有田が愛し合って子宝を授かったというわけではありません(笑)。今回の悪役は特務機関の大尉=夏八木勲で彼が隠した軍資金10万ドルを巡っての争奪戦となるわけですが、大映出演は珍しい夏八木勲、なんか髪形といい雰囲気といいまるで美川憲一みたいでした(笑)。大宮と有田は中盤以降は離ればなれになってラストまで絡まなくなる展開だけど、この映画の脚本はなんかとっ散らかしたような構成でそれぞれのエピソードの繋がりが悪いんです。だいたい気に喰わないのは1945年8月9日以降に満洲に攻め込んで関東軍を追い散らかしたのはソ連軍なのに、それがすっかり解放軍(中共軍)に置き換わっていてまるでソ連軍の侵攻なんてなかったかのような撮り方、ここまで来ると歴史改変といったレベルです。『眠狂四郎』シリーズと違い、本作でシリーズは打ち上げという意図で撮られたんだから、もっと印象に残るようなストーリーにして欲しかったところです。帰国最終便のトラックに乗り遅れた二人だけどそれでも楽しそうに子供をあやしながら去ってゆく、きっと困難を乗り越えて帰国しちゃうんだろうなとほっこりさせられるラストカットでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-08-03 22:02:27)
34.  怒号する巨弾 《ネタバレ》 
『怒号する巨弾』なんとも凄まじいタイトルですけど、これはっきり言ってストーリーとは何の関係もないんです。なんでもサイレント映画時代にこの題名の海外映画があり、当時は活動弁士として活躍していた新東宝社長の大倉貢の印象に残っていて、内容とは関係なく「これを使え!」となったそうです。まあ新東宝のタイトル詐欺にはもう慣れっこですけどね(笑)。 戦時中にスパイ容疑をかけられて獄死した父親の復讐のために、息子の天知茂が戦後15年たって冤罪をでっちあげて父の会社を乗っ獲った政財界の大物を抹殺してゆくというのが大まかなストーリーです。冒頭とラストには轟音を響かせて飛ぶ米軍戦闘機、そしてタイトルバックには街角で慈悲を乞う傷痍軍人(現代の人間に異様な風景に見えるでしょうけど、昭和生まれのわたくしには幼い頃こういう人たちを見た記憶がたしかにあります、歳がばれますね)を映すと、妙に太平洋戦争敗戦を観る者に意識させる撮り方です。主人公の警視庁警部・宇津井健も戦争で自分以外の家族が全滅したという設定で、この映画の独特の暗い雰囲気に貢献しています。天知茂は戦後に名前を変えて美術商になり三ツ矢歌子とは恋人関係になりますが、彼女の父親こそ天知親子を拷問した特高警察の幹部で現・警視総監、天知の最後の標的というわけです。 この映画の天知こそが“ザ・天知茂”という典型的なキャラで、その暗い影を引きづった立ち振る舞いには、惚れ惚れとさせられます。対する宇津井健は融通の利かない超真面目人間で、根本的に大根である彼の演技力には最適のキャラでした。脚本は末期の新東宝としてはマシな方です。天知が美術商のはずなのにいかつい手下どもに君臨するギャングのボスみたいなのは、どう見てもヘンテコですけどね。そしてラストで天知と宇津井がライフルVS拳銃の決闘を繰り広げるのは新東宝映画に不慣れな人には?でしょうが、これは新東宝アクション映画では有りがちな展開でしょうじき「ああ、またか」という感じでしたね。でも撮影は新東宝にしては凝っていて、下から煽るように映すショットの多用や深作実録ヤクザ映画のような街頭での無許可ロケやそこをビルの屋上からの鳥瞰視点で撮っているなど、当時としてはけっこう斬新です。もっと印象深いのは、新東宝唯一の巨匠・渡辺宙明の音楽で、時には即興ジャズ風のキレのある演奏もあり、そしてそのメロディが耳に残る“天知茂のテーマ”(これは私の勝手な命名です)は名曲です。この映画の劇伴は、新東宝映画群の中でもトップクラス、いや間違いなくトップでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-07-25 23:26:09)
35.  肉体の野獣 《ネタバレ》 
大蔵貢時代の新東宝映画は、実は倒産後に東映やTVで活躍した俳優や監督が多く撮影や音楽などのスタッフも技量は高かったが、如何せん脚本だけはどうしようもないレベルだったと言えるでしょう。時代劇以外はほとんどが原作となる小説がなくつまりオリジナル脚本、まあこれは原作料をかけないコストカット策でもあったでしょうが、そこに社長自ら脚本というかプロットに口を出しまくりだったのも原因だったと思います。そういうハチャメチャな作品群の中では本作はまあまともな方ですけど、よく考えるとこのストーリーは寛一お宮で有名な『金色夜叉』の翻案みたいです。監督の土屋敬之介は倒産間際になってようやく監督に昇格した苦労人で、新東宝では本作を含めて二本しか監督作はありません。ところが倒産後はTV業界で活躍し、『マグマ大使』や『宇宙猿人ゴリ』などのピープロ制作の特撮シリーズや、円谷プロからも声がかかり『戦え!マイティジャック』も監督しています。因みに父は長唄家元で、実兄はなんと人間国宝だったそうです。 まあ元ネタが『金色夜叉』ですからいくら時代を現代にしても古臭いお話しになるのは当然の帰結、主人公の医師が恋人・三原葉子に裏切られて「女は信用できない、復讐だ!」女あさりに精を出すようになるところは全く理解不能。看護婦や堕胎を執刀したTVタレントや同じアパートの未亡人にまで手を付けるけど、まあどんな時代にもいる女癖の悪いモテ男でしかないんです(ちょっと羨ましいけど)。この映画のおかしいところは、説明もなく話が進展したり登場人物が増えたりするところで、編集段階でけっこうカットされたシークエンスがあるように感じられました。 新東宝お得意の題名詐欺ですけど、その詐欺映画群の中でもインパクトの薄い一編でした。でも三原葉子を始め女優陣は綺麗どころを揃えていて、新東宝の女優陣は他社に比べても遜色がなかったと納得させてくれました。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-07-16 22:29:35)
36.  兵隊やくざ 殴り込み 《ネタバレ》 
毎回毎回脱走したり大暴れしたりしてるのに、次作ではシレっとどこかの部隊に潜り込んでいる大宮と有田。今回は准尉の策謀で有田が暗号兵研修で連隊本部に派遣されて、大宮と有田は泣き別れ。ところが有田は成績優秀で一カ月余りで終了して、帰隊して「昭和20年7月7日、有田上等兵復帰しました!」と申告します。えっ、たしか四作目の『脱獄』のラストはソ連が満洲に侵攻してきた8月9日だったはずなのに、つまり5作目以降はいわば軽くタイムスリップしていたわけですね、どうりでのんびりした隊内生活だったわけです(笑)。本作での大宮=勝新太郎は、有田=田村高廣がいない間は“上官をぶん殴る→営倉行き”の繰り返しみたいなもの。さすがにここまでやれば旧陸軍なら軍法会議で銃殺ものでしょうが、有田と大宮が上官の悪事を把握しているという流れなので重営倉で済むということで辻褄を合わせている感じ。その上官には小松方正や阿部徹といったいかにも悪そうな面々を揃えています。軍旗護衛隊を巡る戦闘シークエンスはシリーズ中でもっとも大規模だった感じがしますが、攻めているのが八路軍というのはやっぱおかしい。この頃の日本は八路軍(共産党軍)無双という中国共産党のプロパガンダにすっかり騙されていたころで、実際に共産党軍は基本ゲリラ的な戦闘しかせずに隠れていたのが真相で、だいいち満洲にはいなかったはずですよ。まあソ連軍にするには軍服や白人系のエキストラを揃えるのにはコストがかかるし、平服で間に合う八路軍の方が安上がりですけどね(笑)。 これほど悲壮感のない終戦は邦画では珍しいと言えるし、「これからはお前が上官だ」という有田の言葉に嬉しそうにリアクションする大宮の姿は実に微笑ましいラストでした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-01 23:04:32)
37.  死霊の罠 《ネタバレ》 
ヒロインの名前が“名美”なので?だったけど、よく見れば脚本は石井隆だったので納得。監督も例の『人魚伝説』の池田敏春、つまりディレクターズ・カンパニー御一行様の製作というわけです。今から観ればバブル時代のカリカチュアライズみたいなメイクとファッションで決めた小野みゆきがTVディレクター、スタッフには小林ひとみと中川えり子という当時のスターAV女優を配し、ワンシーンだけの出演だけどプロデューサーは島田紳助!というちょっと突っ込んだキャスティング。 なんですけど、ちょっと予算をかけたVシネマという程度の出来、いやもっと面白いVシネマはゴロゴロあります。送られてきた謎のスプラッター・ビデオの真相を探りに行ったTV取材陣がいわば“ミイラ取りがミイラになる”というお話しなんだけど、もう脚本がムチャクチャ、ツッコミ入れる気力さえ失せてしまいました。一から十まで説明しちゃうストーリーテリングは問題外だけど、いくら何でもこれは語らなすぎです、おまけにその舌足らずのストーリーの裏を考えようという興味も持てない。“日本初のスプラッター映画”ということらしいですけど、私の観たヴァージョンでは大したことはなく(上映時間が数分短かったので、CS放映用にカットがあったのかも)、でも起用した二大AV女優はいちおうはそれらしき仕事はこなしていました。中盤で謎の男・本間雄二が登場したところで予想した結末通りだったというのも、この脚本の薄っぺらさが偲ばれます。まあそれ以前に、主要キャラたちの演技も学芸会レベルだったしね。貴重な私の人生時間の100分をムダに使ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2023-06-12 21:53:00)
38.  兵隊やくざ 俺にまかせろ 《ネタバレ》 
前作とは全く繋がらないで物語は開幕。またもや大宮と有田が紛れ込んだ部隊は敵襲を受けて全滅、お約束通りに二人だけ生き残る。この二人を抱え込んだ部隊は必ず全滅するのが定石、まるで死神みたいな二人です(笑)。拾われた部隊を指揮する参謀=渡辺文雄は、三作目で登場した中谷一郎と同じように今回は有田の小学校の同級生という設定、どんだけ世間が狭いんだよ(笑)。演じるのが渡辺文雄ですから当然のごとくに悪役、シリーズ中で最悪のキャラかもしれません。大宮と言えばビンタを喰らってもびくともせずにやった方がダメージを喰らうという石頭が得意技(?)だったのに、本作の格闘シーンでは鋼鉄の肉体の大宮の方がけっこうダメージを喰らっている、キャラ変したんかい?この回はシリーズ屈指の戦闘シークエンスがあるんだけど、ドンパチは単調で大宮と有田が撃つ弾は百発百中で敵の弾丸は決して二人に中らないスーパーマン状態。全般に本作は脚本の方向性が定まっていない感じで、自分にはシリーズ中でもっとも印象が悪かったです。 中盤以降のこのシリーズの弱点は、第四作目でソ連が参戦して来ているのに大宮たちが所属する部隊にあまりに緊迫感が無いという事、まるで平時のような隊内生活だというところでしょう。史実の関東軍は、ごく一部の部隊を除いて逃げるのに大忙しという体たらくだったのにねえ…
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-06-03 22:53:02)
39.  ガメラ対宇宙怪獣バイラス 《ネタバレ》 
製作時は大映の終焉カウントダウンが完全に始まっていた68年で、バジェットも前作の三分の一まで削られちゃあ、そりゃスタッフもテンションが下がりますよね。それにしても、まるで子供が書いたのをそのまま採用したんじゃないかと思えるほどの酷い脚本には呆れます。東宝もゴジラにシェーをさせたぐらいに日和っていた怪獣映画業界でしたが、ここまでお子様路線に舵を切った大映のヤケクソぶりはなんか痛々しい。怪獣映画界隈の長男が円谷特撮だとすると、後発で変な縛りやしがらみのないガメラシリーズは、やんちゃな次男坊ということなのかな。そうは言ってもあまりにツッコミどころが多くて、この歳で観返してみるとかえって愉しくなっちゃうぐらいです。ボウリングの球を四つくっつけたような宇宙船、テレパシーで操作できるというのにいちいち言葉にして命令しなくちゃいけないって、どうなってるの?どう見てもイカが元ネタのバイラスに腹からブスッと串刺しにされたガメラ、いくら何でもふつう死ぬでしょ。正夫たちが宇宙船の中を移動するシーンで「でもこの円盤の中、何もないなあ」というセリフがあるけど、これは低予算でまともなセットが組めなかったことへの自虐が込められてるんじゃないかな。でもいちばん唖然としたのは、80分の上映時間のうち15分以上が過去作の特撮シーンの引用というところでしょう。最初はバイラス星人がガメラを研究するためにガメラの記憶を再現するというのは上手いへ理屈を考えついたなと思いましたが(それでも過去三作のシーンを10分ぐらいただ流すだけ)、バイラスに操られたガメラがダムや東京を破壊するという見せ場ですら過去作を流用している。つまり本作で組まれたセットは、海辺のただ砂浜があるだけのものだったみたいです、嗚呼、低予算の悲しさよ… 実は渥美マリはこの作品がデビュー作、翌年にはオッパイ丸出し路線に猛進することになろうとは、本人も予想してなかったでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-05-28 23:09:03)
40.  すくってごらん 《ネタバレ》 
奈良の大和郡山や橿原でロケしたそうですが、こんな風情のある街並みが残っているとはさすが奈良県です。また主要キャストの名字が奈良の地名になっているところにも、原作者の奈良県愛が感じられます。ダンスがないのでハーフミュージカルというそうですが、それを補って余りある出演者たちの歌唱力の高さよ!ももクロの百田夏菜子が上手いのは周知の事実ですけど主演の尾上松也の歌唱力の高さよ、この人は歌舞伎役者だと遅まきながら知りましたが並みのポップスシンガーを凌駕するスキルの持ち主、やっぱ歌舞伎役者は技量が半端ないですね。セリフがラップ調になったり心情を二字単語でオーヴァーラップさせたりといった演出も、洒落ていて良かったです。彼はエリート銀行員という設定ですけど、栄転と銀行員生活を捨ててこのハートフルで不思議な町に残る選択をするというありふれた結末にしなかったところも、夢の世界と現実世界との境界をきっちりと線引きしているところがイイ感じでした。百田夏菜子はももクロメンバーで唯一NHKオーディションに合格した演技力の持ち主、これからもっと映画出演が増えるといいですね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-05-25 22:05:57)(良:1票)
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