141. トカレフ(1994)
ラストの乾いた銃声が妙に印象に残る映画でした。<ラストシーン自体もすごいけどね>佐藤浩市演じる男は実に現代的な殺人者だと思うけど、立ち向かう側の主人公もかなり奇妙です。それはそれである種のリアリティがある。でも最も乾いていたのはヒロインかな。 9点(2002-03-17 01:46:45) |
142. クイック&デッド
面白いと思うけどね。ディカプリオが良かったよ。キザでちょっとまぬけはキッド。個人的には「ギルバートグレープ」や「タイタニック」なんかよりこっちの方がしっくりきた。西部劇も昔と違ってゲーム感覚でマンガちっくなところが現代的ですね。 8点(2002-03-17 01:26:56) |
143. インディアン・ランナー
正義漢の兄と落ちこぼれの弟のお話。兄弟は、話の展開にしたがって徐々に心が離れていくようにみえる。理解しあえるようでいて、それはどんどん遠くに離れてしまうのである。そのことの理由は語られない。最終的に警察官の兄が犯罪者となった弟を追跡するシーンにまで至り、父親は兄弟の確執とは関係のないところで意味もなく自殺する。図式はありふれているし、話としても結構単純だ。しかしそのモチーフは僕にとって切実に思えた。兄は弟を追いながらそのことの意味を理解できない。弟は兄に追われながらその理由を失っている。自分の心さえ掴めない寂莫感にお互いが自覚的ではあるけれど、最後に兄が弟を見逃すシーンに言葉はなく、ただ「アイ・シャル・ビー・リリースト」(byザ・バンド)が流れるのみ。「いつかきっと僕は解放されるだろう」 あー、なんてリアリティのないフレーズだろうか。そのことの空虚さが心を締め付ける。「インディアンランナー」はたぶん時代遅れな映画だ。すべてに自覚的でありすぎる分、それはもう時代遅れなのだ。僕らはその時代遅れの気分でしか、もう心を震わすことができないかもしれない。それはとても切ないことだけど…。 <ちなみに冒頭で、狼の力を盗んで鹿狩りをするインディアンの逸話が出てくる。弟の中で幻影のように現れるインディアンとは、自分自身に潜む凶々しさとその神々しさが一体となったスピリチュアル・イメージであり、その「らしさ」に理由がない絶対的な存在としての強迫観念でもあるのだ。> 10点(2002-01-17 02:36:29)(良:2票) |
144. 東京夜曲
とても静かでいい映画です。静かだけど、揺れのある、振幅は狭いけれど、たえず微かに揺れている、そんな映画です。出ている人達は何故か皆な照れていて?!、とても微妙な表情をしている。(僕には生き生きして見えるんだなぁ。これが。) そんな微妙さの中に様々な情動が見え隠れして、それがなんとも言えないリアルな色気を感じさせるのです。結構ぐっときます。桃井かおりに長塚京三、そして倍賞美津子、キャスティングも秀逸。「東京兄妹」もよかったけど、こっちもかなりいいですね。 10点(2002-01-17 02:22:48) |
145. Love Letter(1995)
岩井俊二の中では一番の映画。中山美穂のちょっと違和感のある二役ぶりも酒井美紀との似てなさぶりも、すべて計算ずくなんだと思いたくなるくらいピタっとはまっている。この映画は実は奥が深い。単に甘酸っぱい青春のノスタルジーをうたった映画ではない。それ以上にビビっと心にくるものがありませんでしたか?<僕はありました> 恋という感情の本質にサラっと触れたような微妙にヒリヒリするようなそんな感触です。 10点(2002-01-11 23:54:04) |