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1.  ゴールデンカムイ 《ネタバレ》 
原作の大ファンです。実写化と聞いて不安しかありませんでした。 でも驚くほど原作に忠実で、なおかつ映画らしい見せ場も大胆に演出されており、楽しませてもらいました。 もともとこの漫画は映画っぽさを意識した作風ではあるものの、これを実際に映像化するのは相当大変。作者は背景から小物、動物の描写まで細部にものすごくこだわる人なので。  ただ原作をなぞっているだけでなく、主人公である杉元の生きざまとアイヌの思想がとても丁寧に描かれており、純粋なエンターテインメント作品でありつつ作品の根幹のテーマをはっきり浮き上がらせるつくりになっているところがファンとして嬉しかった。映画の最初と最後に杉元の全く同じカットがあるのですが、その眼差しが全く違うのが印象的でした。 本作は『導入編』でしかないので続編を強く望みます。
[映画館(邦画)] 8点(2024-01-27 19:19:40)(良:2票)
2.  鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 《ネタバレ》 
目玉おやじはイケメンだった。って言いたかった映画なのかな?  タバコの描写に代表されるように、昭和の雰囲気を醸そうとしているのはわかる。時折差し挟まれる作者自身の戦争体験にも胸がひりつく。 が、やはりこれは令和の作品なんだなあ。 なかなかにエグイ設定や残酷描写の割に、重さも深みも今一つ感じられない人物造形やストーリー展開。スタッフはテレビシリーズの1期2期や墓場鬼太郎を観てないわけないと思うんだけど、まとう空気感がなんとなく軽いのはなんでだろう。 それでも単体の作品としてはテンポも良く、アクションシーンもかっこよくて楽しんで観られました。  なのに、最後の最後で『墓場鬼太郎』との繋がり方に一気に冷めた。ちょっと雑じゃないですか? ネタバレになるが墓場鬼太郎に出てくる水木氏は現在の目玉おやじが感傷に浸るような扱いはされない。そこに本作の大きな「嘘」がある。 いわゆるアナザーストーリーのつもりで観ていたのに、そこに繋げたことでせっかくの作品が急に安っぽく感じられてしまった。
[映画館(邦画)] 6点(2023-11-30 20:48:41)
3.  ミステリと言う勿れ 《ネタバレ》 
原作が好きなのでストーリーは知っており、TVドラマのテイストも知った上での鑑賞ですが、やはり人が動き喋ると楽しいです。 『犬神家の一族』つながりの役者さんで遊んでいたところが個人的にはツボ。 でもやっぱりこのシリーズは単発じゃなくTVドラマで時間かけて物語をじっくり追いたいなと思います。
[映画館(邦画)] 7点(2023-10-19 20:40:01)
4.  怪物(2023) 《ネタバレ》 
この内容に『怪物』というタイトルを充てた凄み。 人は同じものを見聞きしても受け取る側によって見え方聞こえ方がまるで違う。 結論を言えば、登場人物に怪物はいない。敢えて言えば教師たちか、同級生たちか、父親か。だが作中で彼らの視点描写がないだけで、彼らには彼らなりの道理があるのだろう。 みんな自分の価値観や正義感や今まで生きてきた経験値によってものを見ている。だが自分の見ているものが全て正しいとは限らない。これは現在のネットにおける歪んだ正義感を可視化した作品ではないだろうか。 少年たちは最後にどこへ行ったのだろう。作中最も美しい場面なのに、直前の場面とはつながっていないのだ。美しくとてつもなく悲しい場面だった。
[映画館(邦画)] 8点(2023-06-15 20:40:30)
5.  岸辺露伴 ルーヴルへ行く 《ネタバレ》 
原作もドラマも知らなくて、ただ劇場の予告編で面白そうだったので鑑賞しました。 ルーヴルが舞台のミステリーってダ・ヴィンチコードみたいなものを期待したんだけど、別にルーヴルの必要性は感じなかった。 安藤政信目当てで観た部分もあるんだけど、もったいぶって登場した割にラスボスでもなかった。 ルーヴルの地下迷路なんて絶対迷って大パニックだ!とワクワクしたのにそんなこともなかった。 問題の絵もどんなどす黒い謎が隠されてるんだろうと思ったら、結局血筋の話だった。 導入の世界観は良かったのに、なんか無難な結末にまとまってしまって「日本映画だなあ」という印象でした。
[映画館(邦画)] 6点(2023-06-15 20:12:36)
6.  THE FIRST SLAM DUNK 《ネタバレ》 
私にとって井上雄彦という漫画家は、才能溢れているけれどこだわりが強すぎてうまいこと物語を完結させる勇気がない人、という認識です。 この漫画家が自ら映画監督ということで、期待しすぎずに公開を楽しみにしていました。  アニメというより動く漫画を見ている気分でした。 ドラマティックだけど静か。音楽やセリフや解説で語るのではなく、人物の細かい動きや息づかいで感情を表し、クルクル変わるカメラワークで試合のスピード感を表現しており、目まぐるしく動き続ける試合の合間に静かな過去の場面を挟み込んでいく手法も実写映画みたいです。 そういう意味では子ども向けのアニメではないです。 また、原作に執着しすぎている人にも不満があるかもしれませんが、じゃあ原作未読の方が楽しめるかというと、総じて余計な説明がないため作品を語る上での大前提があってこその感動は薄いかもしれません。 私は、井上雄彦らしい芸術性の高い良作だと感じました。
[映画館(邦画)] 8点(2023-01-03 11:54:25)
7.  ぼくらの7日間戦争(2019) 《ネタバレ》 
頑張って創った作品に対して失礼ではあるが・・・薄っぺらい。中高生が書いた脚本なのかと思うほど薄い青春群像劇である。 そもそも原作もそれに沿った実写映画もあの時代だから光っていたわけで、現代っぽくSNSやLGBTっぽい問題を取り入れても、現実と結びつかない設定や展開が延々続くので説得力が無い。 舞台が北海道である意義も全く無いし、なぜ今これをリメイクしようと思ったのか本当に謎。 オリジナルを読んだり観たりした層が今さらこの映画にときめく訳ないし(たとえ最後のあからさまなサービスシーンがあったとしても)、何より本作のターゲットであろう中高生がこんな歯の浮くような青春アニメに感情を乗せられるのか? あのキラキラした宮沢りえちゃんに憧れた元男子学生が懐古して創ったように見えるが、もうちょっと現代の高校生について勉強した方が良かったね。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-08-17 21:58:16)
8.  コンフィデンスマンJP 英雄編 《ネタバレ》 
今までのシリーズを一切見たことがなければ楽しめるんでしょうか。 1時間で完結するTVドラマならわかる。 どうせ全部嘘なんでしょって疑う前提で観る長編映画って…おもしろいの?
[映画館(邦画)] 4点(2022-01-24 21:49:01)
9.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 
かつての寅さんは若々しく、歴代マドンナ達は美しいままだが、今を生きるとらやの面々は確実に人生の年輪を重ねている。 これは寅さん映画であるとともに、残された人々の「老い」が隠れたテーマだと思いました。  山田洋次という監督は、女優をこの上なく美しく撮るというイメージがありました。 ところが本作においては、紛れもない「おばあちゃん」になったさくらを筆頭に、相変わらず綺麗だけれど浅黒い肌を隠しもしない泉、別れた夫と娘の狭間で無様に酒に溺れる泉の母、オシッコが近くなっちゃったリリーとなかなかシビアな女性像を捉えています。 翻って過去の彼女達が輝いて見えるのですが、過去があるからこそ現在まで生きてきた人々の人生が味わい深いものとなるわけです。 ラストの場面で満男はともかく泉の方は問題あるのでは?と鑑賞直後モヤッとしましたが、そういう危うい立場も含めて泉の人生なんだなと思い至りました。  ただ、台詞回しが古めかしすぎるのはどうにも気になった。 今どきの女子高生はもちろん30〜40代の女性でも「パパ、◯◯だわよ」なんて言わないわよ監督。  それと広河隆一の写真を使ったのは悪手としか思えない。この人の問題点が暴露されたの、つい1年前なんですけど。
[映画館(邦画)] 7点(2019-12-31 15:31:14)
10.  万引き家族 《ネタバレ》 
万引きしながらもほのぼの家族的なホームドラマかと思ったらホラー映画だった。 冒頭から、どこか違和感のある家族。会話やお互いの距離感から、どうやら疑似家族ではないかと思わせる巧みさ。 また、作品内では描かれない家族たちの過去や未来も透けて見える。 この家族は、今に至るまで修正できる機会はたくさんあったはずなのに、結局きっかけは少年が万引き常習店の店主から情けをかけられたことという愚かさ。 ここまで極端ではなくとも、自分たちがまともではないことに気付かず生きている家族が少なからず実在することを私は知っている。そして私は、現実を懸命に生きるその人たちを馬鹿にすることはできない。  非日常を描いているように見せかけたこの映画は、実は現代日本の日常に潜む病んだ現実を鋭く削り出しているのだ。 傑作だと思う。 だが好きか嫌いかと聞かれたら、好きな作品ではない。私は映画に非日常を求めてるから。
[映画館(邦画)] 8点(2018-07-11 22:56:26)
11.  探偵はBARにいる3 《ネタバレ》 
こういう寅さん的様式美の映画はもう少しコンスタントにつくらなきゃ。間が空きすぎ。 寅さんなのでストーリーに野暮なツッコミはしない。 北川景子は前2作のマドンナよりずっと綺麗。なんだけど、演技がずさんじゃないか?振り幅が大きすぎてどっちが本当の彼女なのかという幹の部分がはっきりしなくなっている気がする。2面性のある女という役どころは前の二人の方が凄みがあった。まぁ若いから仕方ないのか。 松田龍平くんは相変わらずかっこいい。一番の見どころは札幌市長と栗山監督かな。次回は北海道知事でも出してくるのか。
[映画館(邦画)] 6点(2018-01-19 09:51:13)
12.  GONIN サーガ 《ネタバレ》 
人が死にすぎだったり死ななさすぎだったりリアリズムに欠ける辺りは脚本が弱いのか、張り詰めた緊張感は前作に及ばない。 前作とリンクするところ、しないところのさじ加減は好みが分かれるのではないだろうか。 例えば明神については、まさか荻原のゾンビ!?とか思わせるような演出は微妙に感じたし、麻美の出自に至っては禁じ手だよ。私は胸が締め付けられた。まあ、前作のファンにそう感じさせるのが監督の狙いなのかもしれないけれど。 一方で、前作で彼が骨壺を持っているのが謎だったんだけど、20年ぶりにさりげなくその説明がされていたのはうまいなと思いました。あの人が映り込んだ瞬間には思わず声を上げちゃったよ。エンドロールも感慨深い。  前作と比べてしまえば残念な部分も多かったけれど、単体でみればこんなに痛く美しく切ない日本映画はそう多くない。 やっぱりすごいですよ、この監督は。役者さんもみんなすばらしかったです。 映画館で極上のエンターテイメントを楽しませてもらえました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-10-18 13:27:33)
13.  学校の怪談 《ネタバレ》 
オトナ目線から見た、コドモ向けホラー映画の傑作だと思っている。あれ?点数低いな?  好き好んでホラー観ない私でも、ジャパニーズホラーの定石は「何かいるけど見えない」演出なのは理解している。本作は小学生が観ても泣き出さない程度に、その怖さを良い塩梅に演出している。 例えば、いちばん怖いシーンは実は冒頭なのだが、「今、あなたのうしろにいるの」と言われて振り返って終わっていたら大人でもトラウマである。それを一瞬笑ってしまうアイテムを登場させることで恐怖感を緩和させている。 次に怖いシーン、一人目の子が旧校舎に誘われるのもごくありふれたサッカーボールを追いかけていくので、子どもとしては惹きつけられるであろう。他にも、「学校にあるあれが動いたら怖いだろうな」という妄想を実現しており、その表現方法もバラエテイに富んでいて楽しい。 登場する子ども達も魅力的だ。4人(実質4人だよね)それぞれの恐怖の感度の違いがうまく表現されている。  オトナからみればB級のファンタジーだが、これを観た子どもがホラー映画の魅力に気付いたのであれば、本作は大成功だろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-13 14:04:29)
14.  ドラゴンボールZ 復活の「F」
まあね、古いDBのファンならキャラが出るだけで嬉しいですよね、えぇ。私も子どもがいなければ今さら絶対に観ない映画ですが、懐かしさはありましたから。 そもそも私がDBから離れたのは、もともとはドラゴンボールを集めるための冒険物語だったのがいつの間にかバトルが目的になり、ドラゴンボールが死んだ仲間を生き返らせるツールになり下がったから。命とか強さとか、よくこんなにも軽く扱えるなと。鳥山明は本当にこんな漫画が描きたかったのか?いえこれは本作というよりDBシリーズ全般に言えることなので、これが本作のレビューになってしまうのは少し申し訳ないと思うものの、本作だって1時間くらいで終わるんじゃないかという内容なのに、説明的なセリフと単調な殴り合いで時間を費やしているのはTVシリーズとまったく同じなんだもの。しかも悟空とベジータ以外はほとんど空気っていう・・・ピッコロファンとしては悲しい限りですよ。 昨今の子どもっていうのはこういう映画が好きなんでしょうかね?ヒーローがかっこよく動いてくれればそれでいいの?作り手からの子どもたちへのメッセージが何ら伝わらない薄っぺらい映画でしたよ。
[映画館(邦画)] 3点(2015-05-05 19:00:56)
15.  バンクーバーの朝日
「こんな歴史がありました」っていうお話。NHKの朝ドラとか好きな人なら好きかも。  ていうかこれ1800円も払う価値あるのかしらね?映画らしい華やかさとか情熱とか、作り手の意欲が全く伝わってこないんだけど。セットだけはがんばってたけど、所詮「セット」だし。 比較対象がおかしいかもしれないけれど、10年くらい前に見た反町隆史が杉原千畝をやってた2時間ドラマの方がよっぽど印象深かった。
[映画館(邦画)] 5点(2015-01-03 02:39:56)
16.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
子ども向けの映画かと思っていましたが、割と高年齢向けな仕上がりでした。 小学生くらいの子には意味が分からないでしょうね。かといって大人が観たらミステリーとしては凡庸です。  主人公が心を閉ざしている理由が現実とファンタジーをうまく結び付けており、未熟な思春期の少女らしい苦悩がリアルで説得力があります。 やっぱり主人公くらいの年齢の女の子向けの映画かと思いますが、主人公の心の内面がきちんと描かれているので大人の鑑賞にも十分耐えられますね。   気になったのが、立派な日本家屋のお宅が出てくるのですが、おそらくマーニーの洋館と対比させたのでしょうが、北海道のしかも道東にあんな家あるの?東京にニンジャが出てくるくらい違和感があったんだけど、いやまあ、私が知らないだけか。 さらに言うなら根釧台地の湿地帯のほとりにわざわざあんな屋敷を建てるのも・・・  いやいやいやいや、こういう細かいところが気になってしまうのもジブリというハードルがあるからか? うーんでも仮にも釧路地方が舞台なら、やっぱりもう少しあの地域のことを調査してほしかったなと思います。真夏の湿地帯は霧が出やすくてどんよりジメっとしてるんだよ。湿地だってもっとドロっとしてて虫やらなんやらたくさん湧いてるんだよ。 釧路地方が舞台というのを最初に電車を乗り継ぐシーンだけで終わるでなく、漂う空気感までリアルに再現してほしかったです。 背景が綺麗なだけに、残念。
[映画館(邦画)] 7点(2014-07-20 18:26:56)
17.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
これは才色兼備だけどちょっと病んでる女の子と、娘の危うい性格を理解できずに期待しすぎた父親の物語です・・・って、違う?  批判しているわけではないです。このタケノコ(こっちの名前の方が好き)という少女は、数あるジブリのヒロインの中で一番魅力的な子じゃないかな。 笑い、泣き、憤り、怯える。息苦しい都の暮らしの中で、幼少時代を過ごした里へ思いを馳せる姿は、まるでアルプスの少女ハイジです。 本作の魅力は、一人の少女の内面を描ききったところでしょう。 激しく変わるタケノコの心情にうんざりなのに、最後の翁媼との別れは涙なくして見られません。 捨丸との愛も切なすぎる。どうしても比べてしまう『風立ちぬ』の2人よりもずっと悲しいのです。 あの場面は余分なセリフがなくても映像だけで十分だったなぁ。  演出やストーリー構成に特段の魅力があるとも思えないのですが、何に置いても圧倒的な映像美。 日本のアニメーションの限界を超えましたね。 『風立ちぬ』は宮崎駿の最高傑作だと思いましたが、本作は世界のアニメーションの歴史に残る作品ではないでしょうか。
[映画館(邦画)] 10点(2013-11-24 10:44:54)
18.  清須会議 《ネタバレ》 
つまりは、NHK大河ドラマの1話分かせいぜい2話分を三谷っぽくしただけの映画なわけですが・・・ えっと、役所広司と佐藤浩市が時代劇に出てるっていう理由で観に行く客って、私だけなんですかね?この2人が出てて殺陣が浅野忠信だけって、役者の体力の問題(だったら残念だが仕方ない)でなければ、私からしたら映画代返せレベルなのですが。  演技合戦なら他にも題材があるんじゃないかと思います。今作の点数は役者さんのためだけに献上です。 何やってんだフジテレビ。くどいですが、少しでも役所×佐藤のアクションを期待したのは私だけですかね?
[映画館(邦画)] 5点(2013-11-23 18:48:56)
19.  少年H 《ネタバレ》 
きわめて模範的な戦争映画だと思います。戦争によるたくさんの理不尽さが少年Hの目を通して描かれます。 画もきれい。よくあの街並みを再現できたものです。  残念なのは、Hの周囲の人々が「まともな」人間ばかりというところ。両親も友人も彼を助けてくれた教官も。あれだけ声高に叫んでいたら、少年といえども凄まじい迫害や暴力を受けた時代なのではないか。 子供向けの戦争映画という印象を受けましたが、スクールカーストとやらにさらされている現代の子どもたちに、「この程度」のいじめでこの時代の不条理さが伝わるのか、若干疑問です。
[映画館(邦画)] 7点(2013-08-25 14:42:35)
20.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
本作を2回観たことで印象も変わったので、レビューを大幅更新して点数も上げました。  何度観ても関東大震災のテンションは素晴らしい。妙に臨場感のある地鳴り、画面一面にうごめく人波。 当時の街並みや乗り物も、アニメでこそ表現できるリアリティですね。美術を堪能するだけでも、劇場まで足を運ぶ価値があります。  印象が変わったのは恋愛部分。 最初の鑑賞では、古風なヒロインの描写があまりにも不快で、まるっと必要ないと思いました。再度観てもやはり菜穂子の純愛にはさぁーっと引いてしまうのですが、堀越二郎という天賦の才能を持った男の物語として、男に寄り添う「どこまでも都合の良い女」は必要だったのだと思い至りました。 宮崎作品の過去のヒロインたちは皆、過酷な使命を背負い、立ち向かっていますが、それらは例えば世界全体だったり家族だったり自分自身だったり、とにかく観客から見ればけなげな姿を応援したくなる人物像でした。 今回の菜穂子というヒロインが背負うのは「不治の病」と「美しいものにしか関心の無い男」。だいたい二郎という人物が理解されなければ、菜穂子の愛も共感を得られにくいだろう。二郎はつまり宮崎駿本人であり、菜穂子という女性は宮崎監督の究極の女性の理想像なのだから。  今まで数々の宮崎作品を愛してきましたが、結局のところ女性をこういうふうに捉えていたことが残念でもあり、「まぁ、らしいや」と納得する部分もあり、本作が宮崎監督の集大成と考えるならばこのヒロインであることは必然だったのでしょう。 定食屋でサバの味噌煮を食べて、骨の曲線を「美しい」と言う主人公の感覚、言わせちゃう監督のセンス。このセリフにニヤリとなるかどうかが、本作に共感できるかどうかの境界線じゃないかと思うのですがどうでしょう。  ・・・ということで、鑑賞後にあれこれと考えを巡らせると実に細かいところまで創りこんであることに気付かされたので、10点つけるしか仕方ないです。本作が監督の最後の作品になるのかどうかわかりませんが、これ以上のものは創れないでしょうね。
[映画館(邦画)] 10点(2013-08-10 15:16:12)(良:1票)
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