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プロフィール
コメント数 109
性別 男性
自己紹介 2008 7/22みんなのシネマレビュー登録

ぼちぼち復活。

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1.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 
まずキャスティングからして素晴らしい。寺島進や大杉蓮らこれまでの北野組は出てないものの、ラーメン屋での笑顔が恐い椎名桔平や、恐そうなんだけれどいかにも幸薄そう(殺されそう)な國村準や石橋蓮司の顔。地味で目立ちすぎない故に危うさも備えた中野英雄、たけしの昔気質で落ち目のヤクザ感等々・・・。それぞれが見事な具合で描き分けられ(出演時間もほぼ一緒!)、これといった主人公はもちろんのこと、狂言回し的存在すらない。それでいてこの物語の推進力。ほとんど俳優たちの表情、所作だけでも十分に魅せてくれます。 これまでの北野作品と違い台詞を排した心象描写は一切無く、ひたすら続く怒号の応酬。口汚い罵り合いに反して映画のテンポはとても心地良く、そんな中に不意打ちのように飛び込んでくるバイオレンスシーンがまた素晴らしい(語弊があるか!?)。顔を切り裂かれ、口をドリルでぐちゃぐちゃにされ、箸で耳をぶっ刺される・・・工夫を凝らした痛い痛いシーンの数々がバイオレンス映画としての価値も多いに高めています。 北野作品としての分かり易い特徴は殆ど見られないものの、『ソナチネ』や『キッズ・リターン』に並ぶ完成度だし、僕の好みで言えば北野映画一番と言ってもいいくらい。極めてタイトにビシッと整った楽しい楽しい一級のバイオレンス映画に仕上がっています。
[映画館(字幕)] 9点(2010-06-16 02:12:17)(良:1票)
2.  人間失格 《ネタバレ》 
原作は未読。太宰治作品は1冊も読んだことはありませんが、ちょっとこれから読んでみますわ。というくらい結構楽しめた。観る前は全く期待していなかったのだが、いやいやこれは結構良かった。まず出演陣。葉蔵を演じる生田斗真のくっきりと整った目鼻立ち、かつ主張し過ぎない佇まい、存在感。演技力どうこうよりもパッと見の姿が良い。体育着姿はさすがに笑ってしまったが。 そして生田斗真を取り囲む演技達者の俳優たち。葉蔵本人よりも周囲の人々によって葉蔵という人物を浮かび上がらせていく。特に伊勢谷と石原さとみ。伊勢谷の悪友らしい甘味と苦み、格好良さといやらしさ、葉蔵を振り回しているようで実際は振り回されてる堀木の立ち位置。 短い出番ながらも純真さ、ふとした瞬間の虚無的な表情を見せてくれる石原さとみ。正直なめてました。ごめんなさい。 また葉蔵のみならず、映画そのものも寡黙で語りすぎない姿勢が非常に好感を持てる。 中原中也絡みのエピソードはあまり必要性を感じなかったが、トンネルのシーンなど、映像的に印象深いものが多かったのも確かなので、これはこれでアリか。 死ぬことすら叶わないこの世は葉蔵にとって地獄のようだったのかもしれない。しかしラストに映し出される写真は葉蔵が辿ってきた地獄、この世を肯定し、かすかな希望を見いだしているかのようだった。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-19 00:15:54)
3.  20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗 《ネタバレ》 
ようやく終わった。映画の出来がどうだったとか言うよりまず激しい徒労感を覚えました。相変わらず堤幸彦の演出はどうしようもなく最低で、前2作に続いてとても見られたもんじゃありません。どうしたらここまで酷くできるのだろうか。音楽のかけかたは安っぽく、役者の演技は全員テレビサイズで、宮迫とか石橋蓮司とか小池栄子とかギャグにしか見えなくてもうホントに可哀想。この映画に出てる俳優さんは好きな人ばっかりなんですがね。劇中でもかなり酷かったのが巨大ロボットのシーン。CGの出来なんて気にしないからさ、ジープで突っ込んだら爆薬積んでたわけでもないのに爆発するとか、それであの巨大なロボットが倒れちゃうとか勘弁してくれ。あと倒れる時に少年時代の映像や、佐々木蔵之介が倒れるのを重ねるのもメチャクチャかっこ悪いのでやめて下さい(しかも超スローモーションでしつこく)。特に蔵之介の倒れ方なんてスクワットしてるみたいで笑っちゃうよ。この映画で使われてるスローモーションは全部無意味でダサイ。 原作と違う(と制作者たちが言っている)展開も、物語に新たな解釈も加えず、原作そのままじゃイケナイ、でもあんまり変えても結末が思いつかないから結末までの道のりをちょっと変えてみました、という程度。蔵之介の顔が現れた瞬間の劇場の空気はなかなか面白かったが(あれ~?というおかしな空気)。ケンヂの描き方もやたらヒロイックで安い。「“ともだち”は死んだ!もう人類は滅亡しない!」って「“ともだち”は俺が生み出した」なんて言ってた人間の言葉じゃないだろ。“2人のともだち”も堤のインタビューによると「あれは、僕の適当な思いつきで、画面上にマスクかぶった人が2人いたらかわいくない?って思って撮ったら、キラーカットになってしまった(笑)」・・・冗談のつもりなのかもしれないが、舐めてるとしか思えない。こんな舐めきったやる気の無い人間が撮ったら、まぁこんな出来になるわな。許せませんな堤幸彦。しばらく映画作りは自粛して下さい。他にも色々ありますがとても書ききれません。大変な映画です、ホント疲れました。
[映画館(字幕)] 1点(2009-08-29 21:30:13)(良:3票)
4.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
細田守監督の作品って前作の『時をかける少女』でもそんな気がしたんだけど、主人公たちが向かい合う問題、立ち向かう敵が外部からのものになっていない。 身から出たサビ、というか自分との戦いみたいなのが核になってる。 『時かけ』ではほとんど真琴の行動が原因で色々事件が発生するし、今作でも事件の原因は(主人公は健二というより陣内家全体なので)主人公=陣内一家の影の部分である侘助。 明確な問題、敵はあるけれど、それが微妙に“勧善懲悪”にはなっていない。 こういう所がかなり良心的でもあるし、細田監督の(良くも悪くも地味だけど)上手い所なんだなぁと思った。 それに加えて、今作は“進んだネット社会と田舎の大家族”っていういくらでも説教臭くなる題材を扱っている・・・のに、そうはならない。細田監督は「顔も見えず、匿名性の高いネットとかじゃなくて、やっぱり実際に人と人とが向かい合ってこそ“真のつながり”だ」なんてことは言わない。ネットも田舎のやかましいまでの大家族も、どっちも肯定して描く。この辺りネット絡み、家族絡みで嫌な事件が多いからこその細田監督の思いが強く出てるんじゃないだろうか。 ただ、あくまでこう言ったテーマはオマケみたいなもので、『サマーウォーズ』の一番の楽しみは『時かけ』からも通ずる登場人物たちへの愛着であり、OZの世界観(これ一番!)、そして大家族がそれぞれのスペシャリストとして活躍し、色んな人々が一丸となって試合に勝つ、何かを成し遂げる気持ち良さ。ただ、健二と夏希の関係や学校での立場についての描写はもっと欲しかったかな。あの2人は物語の軸にしては弱い。このキャラの薄さは結構大きな欠点だったりする。 物語自体の完成度や面白さとか衝撃度は『時かけ』の方がだいぶ上なんですが、『時かけ』以上にまたあの世界観に浸りたいという思いが強いのでちょっと甘めに9点とします。 ・・・うーん、今作も『時かけ』ももう一回観直してみたんですが、やっぱりすごく惜しいんだけど8点にします。『時かけ』と比較しての点数になってしまって良くはないのですが・・・。
[試写会(邦画)] 8点(2009-08-02 00:21:42)(良:5票)
5.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
結構期待していたのだが・・・こりゃいかん。描きたい事はよく分かる。そのメッセージも間違っていないと思う。でも描き方が下手だ。まず尚香の潜入シーンがやたらと長いのに全く効果がない。尚香が周囲の人間と楽しそうに喋った後、気の毒そうな表情を浮かべるだけで彼女が敵に同情心みたいなものを持ちはじめたって事はすぐに分かるはずだ。わざわざ人物を作って恥ずかしい友情劇を繰り広げる必要はない。ここで10分くらい削れたんじゃないだろうか。 それから劉備の撤退に説得力が無さ過ぎてただの嫌な奴にしか見えないし、そもそもあんなに人を騙す必要もなかっただろう。 Part Iの時にもちょっと感じた事だが、曹操の描き方がよく分からない。悪役なら絶対悪として描ききってしまっても別に構わないと思う。しかしなぜ曹操が瀕死の病人をも動かす人望の持ち主という描き方をしながら、水軍指揮の事を忘れて部下を斬ったり、挙げ句の果てに小喬の美しさに目を奪われて攻撃の機会を見逃すなんていう間抜けとして描いたのだろう。これでは部下はついてこない。 ようやく始まった決戦も前半のドラマの弱さのせいでPart Iほど盛り上がれなかった。 それからジョン・ウーも意識した所もあるのだと思うが、決戦シーンではオマージュともパクリともとれそうなシーンがあった。まず上陸戦。ん?『プライベート・ライアン』?曹操の頭を矢がかすめる。あれ?『300』?そして周瑜の台詞「勝者はいない」え?『七人の侍』? しかもその台詞が映画の流れと全く合っていない。『七人の侍』は大切な仲間が死んでしまった衝撃、菊千代の語りがあるからこそあの台詞が効いてくるが、この作品は派手なシーンでひたすら武将の格好良さを見せつけてきたうえ、一応史実を基にしているため主要人物で死ぬのはオリジナルキャラの甘興一人。下っ端の兵士たちが無惨に死んでいく描写が強調されているわけでもなく、敵兵を殺しまくり完全勝利を収めて「勝者はいない」・・・。戦争反対のメッセージを入れたい気持ちは分かるが、それなら曹操軍を退けて喜ぶ連合軍・周瑜たち、一方で敵兵の死体の中を悲しげに歩く尚香をさらっと映せば済むことじゃないか。 言ってる事とやってる事がずれてしまうぐらいなら痛快な戦争アクションとしてだけ撮ればいいのに。
[映画館(字幕)] 5点(2009-04-11 22:27:31)
6.  誰も守ってくれない 《ネタバレ》 
佐藤浩市、松田龍平は大好きな俳優さんだし今回の演技も良かった。予告編やCMでも使われていたリベラの曲なんかも大好きだ。扱っている題材も世間的にあまり注目されていないもので好感が持てた。観ている間退屈することはなかった。 でもダメだった。やはり『踊る大捜査線』組はどこへ行ってもやることが中途半端。「社会派とエンタテインメントを両立させたかった」という君塚監督の欲張りのせいで序盤から到底あり得そうにないカーチェイス。あれだけでも一つ事件になりそうだ。 そしてマスコミの執拗さ。これはこの作品全体言えることだが、本気でマスコミや、ネット社会が抱える問題について提起する気ならば良いことも悪いことも含めて、何故そのような問題が生じてしまうのかをきちんと描かなければいけないのに、君塚監督は嫌な部分だけを見せようとする。観客に嫌なものを見せて嫌だね~、なんて感想を抱かせても根本的な問題は解決しないどころか、偏見が増えてしまうんじゃないかとすら思った。 まだマスコミについては僕も知らないことが多いし、見えない所で問題が起こっているのかもしれないからあまり多くは言えた立場ではないけれど、許せないのは終盤のネットおよびネット住人の描き方。ネットの掲示板を見て野次馬が集まってきた!なんて言っていたが、加害者の妹を見るためだけにあんなに人は集まりやしない。そんな暇人ばかりじゃないよ。暇でも警察に目つけられたら嫌だからちょっかい出さないよ。そもそも志田未来の兄が起こした事件だって日本全国を揺るがすような大事件でもないのだし。 志田未来の姿をネットに流していたネット住人、オタクの描写もおかしい。眼鏡にバンダナに紙袋といういかにもオタクです!という格好で、あろうことか刑事相手に殴り込みをかけるなんて大胆な行動までとる。ネットの怖い所は匿名性で、そのおかげで誰でも何でも言える所にあるのだから、警察に面と向かって喧嘩売るような人ばかりだったらネットなんて問題にならない。 ラストは希望のようなものを提示して終わらせているが、雰囲気だけで具体的な希望は見当たらないし、マスコミとかネットとか若い世代に一番希望を感じていないのは監督なのではないか。
[映画館(字幕)] 4点(2009-03-26 15:44:06)
7.  おくりびと 《ネタバレ》 
この作品の長所としてモックンを初めとする俳優陣、そして納棺の際の所作、ロケーションや撮影の美しさが挙げられる。特に納棺の儀式の息を飲みそうな緊張感、美しさには感心するばかりだが、それがこの作品の最大の短所でもある。どのシーンを取ってもきれい過ぎるのだ。一番初めの仕事でかなり日が経った遺体の処置があるが、それ以降は全く汚れも損傷もないきれいな遺体ばかりがでてくる。僕は納棺師の仕事をしたこともないし、そもそもまだ納棺師を見たことすらないので実際の現場がどのようなものかは全く分からないが、この作品の描き方はきれい過ぎる。これは監督らがそういった見たくないものを避けている、もしくは現場を知らない、という気がしてならなかった。物語の展開も引っかかる。死の間際、またその直後に関わる話なのだから、家族間の争いや汚さを垣間みてしまうようなこともあるはずなのだが、故人への悲しみや愛情しか描かれていない。感動、または泣ける展開ばかり集めて作っているから褒めやすいし、監督の真の力量も問われにくい得な作品だなぁ、と感じてしまった。 ただ、こういった短所を全てカバーしているのがモックンと山崎努の静かな演技力と序盤によく見られる温かい笑いだ。山崎努が全員食ってしまいそうな存在感を放ちながら、モックンも全く負けず、かといって力むことも無く主人公としての際立ち方がちょうどいい具合になっている。この二人の演技なら2時間ぐらい平気で見ていられる。 二人の会話も心地いい。序盤のユーモアは作品を重苦しくさせない要素としても、この作品で最も評価したい点。その分、終盤のそういった余裕が無くなってしまったかのような、感動要素だけの展開がかなり残念だった。
[映画館(字幕)] 7点(2009-03-19 17:05:48)(良:1票)
8.  ポチの告白 《ネタバレ》 
邦画では殆ど扱われない題材、徹底的な警察批判を題材とした映画化であり尚且つ日本が誇れる力作。195分もの長尺でも緊張感が全く途切れない。全編に渡ってあの汚い上司に見られるような、もの凄く居心地の悪い、嫌な、生々しい感覚がずっと続く。この映画全編に漂う空気は本当に素晴らしいし、俳優の演技力も半端じゃない。刑事課に入ってから5年の時を経たタケハチの凶暴さ、山崎の冷たさ、1カットで彼らが変貌してしまったことが見て取れる。 彼らの後輩として駐在所に赴任した時はガチガチに緊張していた六法くん、彼でさえもあんな風になってしまうのだから本当に恐い。あの警察という組織では手を汚さずには上手く生きていけないのかもしれない。 劇中ではあまり血は流れないし、殴ったり蹴ったりはするものの洋画で観るようなバイオレンスはない。けれども作品全体の空気は常に“痛い”というよりも“恐ろしい”暴力に満ちていて、会話のシーンでさえも気が滅入りそう。 今作では、ジャーナリストに転身した草間による会見と、実直だったはずのタケハチのラストの語りかけ、「ポチの告白」でずっしりとした告発がされる。日本最大の暴力団とは警察であり、国家。そしてそのイヌであるジャーナリスト・・・今作で描かれていること全てが本当だということは無いのだろうし、僕の乏しい知識ではまだまだよく分かっていない部分もあるのでしょうが、これがとても勇気があり、とても価値のある告発を含んだまさに「力作」だということは強く感じられた。
[映画館(字幕)] 7点(2009-03-11 21:02:13)
9.  20世紀少年 -第2章- 最後の希望 《ネタバレ》 
苦痛以外の何ものでもない140分。原作は1章を観たあと全巻読破しました。後半はモヤモヤ感が残る展開でしたが、今作は何十倍も酷い。 まず異様なまでに間延びしている割に、誰が何のために何処で何をどうしたいのかさっぱり分からない。誰かを中心に物語を進めるわけでもなく、皆まんべんなく存在感が薄い。監督ももはや物語を語る気はないのだろう。中途半端に原作のまねっこをさせた俳優で中途半端に原作に似た画を撮っているだけ。小泉響子役の木南晴夏はなかなかいいと思うが、それ以外の俳優は軒並み酷くて目も当てられない。中には他作品で素晴らしい演技を披露している人もいるので、この責任はやはり監督にあると思う。演出力はもちろん、そもそも演出する気すらないようなので、この支離滅裂な物語の中でもこれはいい!と思えるようなシーンが一つもない。その為どのようなスタンスで観てもちっとも面白くない。 あと一作・・・一応観ます。どうか面白いシーンを一つでも作って下さい。
[映画館(邦画)] 2点(2009-02-08 18:04:29)(良:1票)
10.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
映画の一番最初のカットからやられた。樹木希林とYOUの何気ない会話。彼女らの背景については一切説明がないのに確かな存在感がある。阿部寛や原田芳雄がぼそっと放つ小言、仕草など、俳優陣の演技力も超一流ながら是枝監督の演出力は半端じゃない。日本映画の良さを感じられる素晴らしいホームドラマ。 家族だからこそお互いに嫌な所を知り尽くしているし、長い付き合いでうんざりしてくる。そう簡単には断ち切れない縁だからこそ鬱陶しい。だからこそ親族との関係は希薄にもなるし、争いごとも絶えない。 みんながみんな嫌な所を持っていてさらりと嫌みを言うし、喋ることが無くなってしまった時の場の空気といったら辛いの一言。ほとんどサスペンス。大したことでもないのに家族の前だと何故か突っ張ってしまって、でもやっぱりあとで反省してこっそりと破いた紙を貼り直す。このあたりのシーンを見ていると何とも言えず居た堪れない思いになり、キリキリと心が痛む。見ているのが辛い程に。 この登場人物の異様なまでにリアルな存在感の中、老いた母親が見せる心の闇には痛ましさとともにぞっとする程恐くなる。普通にしていれば気付かない所で人はその脆い心に闇を抱えているのかもしれない。 月日を経るほどに家族という存在はお互い面倒くさくなってくる。一緒にいても辛いことばかり。 しかし、まるで他人の家に来たようだった次男の息子も、この何気ない2日間で父親に心を開くきっかけになった。最後に母親から聞いたどうと言うことのない話を次男は娘に語った。 この時に感じた優しさ、温かさはやはり家族だからこその物だと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 00:07:29)(良:2票)
11.  K-20 怪人二十面相・伝 《ネタバレ》 
原作未読。恥ずかしながら原作は存在すら知らなかった程。二十面相のデザインは気に入っていたし、アクションもパルクールやロープアクションで構成し、マントが翻る姿はなかなか決まっていたとは思います。 トレーニングシーンは一番楽しめました。しかし帝都の世界観の作り込みがまだまだ甘く、「極端な格差社会」という設定にしたいが為のものであって、変わった機械は登場しても、ちょっと使いたいから出しましたって感じで魅力が感じられませんでした。映像はそれなりに凝っていても中身が伴っていません。 そしてラストのどんでん返しも難あり。しょっちゅう会ってるわけでもない人の手を見分けらるかなぁ~とも思うし、平吉の計画もかなり無茶なものです。しかしまだこの辺りは目をつぶってもいいかな。 何より一番頂けないのは全編に漂う胡散臭さ。全てが明らかに作られたセットであり、生活感が漂っていない。セリフも口調も笑い方も無駄に芝居がかっていたし(特に金城武)、松たか子は完全にミスキャスト。それに無駄に思わせぶりな行動をとるのも気に入らなかった。助手小林くんが兵器を想像して恍惚そうな表情を浮かべたり、バベルの塔の絵画を見つめていたり、何の葛藤もなかった國村隼さんが兵器を前にしてもったいないと言い出したり・・・。とにかく会話シーンの胡散臭さ、緊張感、締まりのなさが辛かった。全て半分にカットしたい程だるくて鬱陶しい。
[映画館(邦画)] 4点(2009-01-10 14:29:23)
12.  その日のまえに 《ネタバレ》 
私は重松清さんの大ファンでして、この映画の原作も発売後すぐに読みました。好ましい題材ではないのですが、そこは重松さんの力でカバーしきれていたように思います。重松清さん原作の映画を観るのは今回が初めてだったのですが、私は若造ゆえ大林監督作も初めての観賞なのです。噂には聞いておりましたが、演出が派手、というか若い、若々しい!音楽はほとんど鳴りっぱなし、時間軸もちょくちょく戻り、幻想・回想シーンも連発。その映像からは危惧していた妙な辛気くささなど微塵もなく、爽やかな心地よさが感じられます。 俳優陣も良し。今井雅之、筧利夫、南原清隆、そして永作博美。彼女のカラッと元気なキャラが上手いこと作品の爽やかさにマッチしています。ホント永作さんで大正解のキャスティングです。 峰岸徹さんはこれが遺作になってしまったようで、ご冥福をお祈りいたします。 大林監督は、本人よりも作品を観てどれくらい元気があるかよーく分かったんで、他の作品観たことないのにこんな事言うのもナンですが、これからも元気に撮り続けてもらいたいものです。
[映画館(邦画)] 7点(2008-12-06 18:38:51)(良:2票)
13.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
僕はPS2ソフト『真・三國無双2』→簡単な小説→吉川英治『三国志』→その他諸々の資料を読みあさる、と言った感じで三国志の大ファンになりました(正史とか多々ありますが一番好きなのはやはり三国志演義)。そんな三国志が、しかもあの赤壁の戦いが、それにジョン・ウー監督で映画化となれば期待値は否応なく上がってしまいます。 まずオープニングで一気にやられました。張飛の豪傑っぷり、趙雲の格好良さ、そして関羽の登場シーンが完璧。盾の間から出てきてあのスローモーションで見栄を切り、バッサバッサと敵を切り倒す姿には本当にシビレる。ジョン・ウーも『真・三國無双』やってたのか?ってぐらいよく分かってるなぁと思えるカッコイイ演出。オーピニングは文句なしに満点。張飛が長坂橋で吠えるシーン描いてくれたらもっと良かった。 ドラマパートは馬が生まれるシーンをはじめ、その他のエピソードも話自体は上手いのですが、それぞれ半分くらいにまとめてくれるとテンポが良かったかな。しかし世界観の作り込みはしっかりしているので、ドラマも良。 そしてラストの八卦の陣(袋叩き?)での戦闘もすばらしく良。張飛は素手で敵を殴り馬を突き飛ばし、趙雲は二刀流でも戦い、周瑜は回転ジャンプで矢を突き立てる。あまりの格好良さに笑みがこぼれっぱなしです。これら有名将軍の活躍で戦局が大きく変わるような描き方はせず、せっかくアクションシーンがあるのだからかっこ良く見せよう、という監督のサービス精神(いや個人的趣味か)や、『七人の侍』を見習った甲斐あってか集団戦闘を混じり気なしで描いてくれたにも好感が持てます。 急遽二部作になったせいか、孔明の影がまだ随分と薄く、天才軍師っぷりを描ききれなかったのが残念。PartIIでの活躍に期待します。これからって時にバッサリ終わってしまい、おまけに全体的に冗長なので7点ですが、PartIIを観たらおそらく評価は上がるでしょう。  追記: ・・・と思っていたが、PartIIを観て評価はがた落ち。PartIも2度目の鑑賞に耐えうるものではないことが判明。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-02 00:16:25)(良:1票)
14.  パコと魔法の絵本 《ネタバレ》 
『下妻物語』は好きな作品なんだけどなぁ・・・。これは映像面に偏り過ぎた気がします。阿部サダヲとか笑えるシーンもあり、アヤカ・ウィルソンはホントに可愛いとは思うのですが、あの始終カメラ目線のギャグがしつこく、寒いとも思ってしまいました。ラストの絵本のシーンだけならまだしも、全てのシーンでキラキラな加工しているものだから画面がうるさくてしょうがない。そのせいで全く奥行きが感じられません。 プロットを疎かにして、CGとコントだけで乗り切ろうとしているように見えて仕方がないのです。 さすがにラストの絵本は綺麗で迫力もありましたが、その後の展開は全く必然性がありません。あそこでパコを死なせるのは、大貫が死んでなかった!のギャグをやってしまった為にオチが付けられない・・・じゃあパコを死なせてお涙頂戴で終わらせよう!・・・ごめんなさい、ちょっと過剰な言い方ではありますがとにかく作為的な意図しか感じられなかったのです。
[映画館(字幕)] 5点(2008-10-25 23:49:59)
15.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
テレビドラマの映画化と言うよりは小説「容疑者Xの献身」の映画化なので、予想より真面目に作られてる印象。原作も読みたくなるようなレベルには仕上げています。 しかしまだまだ脚本、演出は力不足。まず、ドラマからの流れとは言え内海薫が全く必要がなく、湯川と石神の登山シーンも、映画なんだからスケール大きくしなきゃ、ぐらいの意図しか感じられずこちらも不要。ストーリーもミステリーとしての魅力が少々欠けています。 そしてこの映画最大の見せ場である石神の号泣シーン。あれは石神一人だけで泣かせるべきです。靖子まで一緒になって泣き叫んでしまうと絵的にちょっと滑稽に見えてしまうというか、石神が感情を爆発させた衝撃、感動が薄れてしまったように思うのです。それから、これは本編に大きく関わる事ではありませんが、工藤という男がうさん臭く見えて仕方がなかったのも気になりました。 ・・・が、及第点ではあります。何よりも俳優陣。原作通り石神は醜男で、もっと冴えない俳優の方が良かったとは思いますが、やはり堤真一は上手い。ラストの衝撃度は薄れたかもしれませんが、全体を通して石神というキャラクターに魅力を持たせています。花岡親子もいい味出してます。 ストーリーも原作に忠実なので、演出に問題はあっても流れは非常にいいです。 テレビ局などの制約がある中では中々頑張った作品ではないでしょうか。
[映画館(邦画)] 6点(2008-10-19 21:37:25)
16.  20世紀少年 《ネタバレ》 
原作未読での観賞でした。原作の評判も高く、キャストも唐沢寿明や佐々木蔵之介など好きな役者ばかりなのに、監督が堤幸彦ってどういう事でしょうか。彼を選んだ理由が全く理解できません。 作品全体が安っぽい出来で奥行きが感じられず、素人のような稚拙な演出ばかり。堤監督がテレビで「完コピを目指した」と連呼していたので、え?それって・・・と既に嫌な予感はしていたのですが、見事に当たってしまいました。 堤監督よ、これではただの手抜きだ。絵面だけ同じようにしたって何の意味もないから。仮にも名前だけは売れてる監督がそんな馬鹿な真似をするな。 それにしても三部作総制作費60億円は何処へ?キャストと宣伝費?邦画ではハリウッド並みの映像は難しいけれど、工夫すればそれなりの見せ方が出来るはず。今作には演出の工夫は見られず、工夫しようという意気込みすら微塵も感じられませんでした。 やる気が無いのか技術が無いのか、どっちなんでしょう?この調子でいけば第2章、第3章は崩壊の一路を辿りますよ。 原作を読むきっかけにはなったし、観てしまったからには一応最後まで観ます。だからちゃんと作って下さい。お願いします。
[映画館(邦画)] 3点(2008-10-04 17:13:01)
17.  百万円と苦虫女 《ネタバレ》 
のーんびりほのぼのとした、日本には珍しいロードムービー。なのですが、自分も蒼井優目当てで観賞しました。やっぱり蒼井優は演技が巧くて雰囲気も凄くいい。冒頭の「シャバダバシャバダバ~」とかああいった独り言も凄く自然に、可愛らしく、かつコミカルな感じも出せる。本当に巧いです。彼女だけでも十分なくらいでしたが、監督の演出もあるのでしょうか、道中出会う人々も魅力がありました。中でもピエール瀧さんのキャラは結構お気に入りです。日常的な風景の中にある美しさ、人々の醜さの撮り方もかなり巧い。ラストの中島と鈴子の展開がラストシーンに持っていくために少々強引で、説明的なセリフまで入ってしまったのが残念ではあります。しかしそれでもあのラストも印象深く、いいシーンです。現実的でありながらもコミカルで気の利いたセリフや、会話中のいい具合の間など、俳優全員、何よりも蒼井優の魅力を十分に引き出した作品です。
[映画館(邦画)] 7点(2008-08-08 20:54:27)(良:1票)
18.  ハートブルー 《ネタバレ》 
オープニングのキアヌの訓練シーンには、おっこれは良さそう、と期待を感じさせるものがあったのですが・・・。キアヌがほぼ初対面の上司ゲイリー・ビューシィに叱り飛ばすような事を言った時から何か強引さを感じはじめました。キアヌは捜査にだって平気で遅刻するようなチャラけた刑事で、強盗団を買い物してて見逃しかけたり、元カノを誘拐、監禁する人でなしスウェイジにはめられて銀行強盗にまで参加。結局バカやって上司も殺されたキアヌは怒りのスカイダイビング・・・。このあまりに適当な演出には心底あきれた。ラストは何のけじめも付けずに勘違いな男の友情でスウェイジを逃がしちゃう(死にましたが)。キアヌがカッコつけても全て空回りしてしまった作品でした。
[DVD(字幕)] 3点(2008-07-27 01:24:06)
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