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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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1.  バクマン。 《ネタバレ》 
一言で言うと巧いです。大場つぐみと小畑健の組み合わせと言えは『DEATH NOTE』と『バクマン。』で、原作でも描かれている作中作と同じ点がまた面白いのですが、早い話「王道」ではないと言うことです。とても「友情・努力・勝利」にピッタシ一致するような作品ではありません。つまり映画にして、一般客が楽しめるのか?と思ったのですが、映画化に際して「友情・努力・勝利」というストーリーラインに嵌め込んでいて、とても巧い脚本だと思いました。 また漫画的な演出も良く効いています。原作に近い奇抜な見た目のキャラクターを描くにあたっては、漫画的表現にするしか無かったのでしょうが、上手くいっていたと思います。サカナクションのビートを効かせた音楽も、物語の(それこそ漫画を読んでいる様な)スピーディーな展開に非常に合っていました。 物語を産み出す事の尊さ、漫画という作品が出来るまでの難しさ、等は劇中でしっかりと描けていたのではないかと思います。結局読者アンケートでは一位を取ったものの、その後は失速して、また一からストーリーを作り出そうとして終わる点も、ご都合主義ではなく、また爽快感のあるラストで良かったです。 あとOPとEDは昔から週刊少年ジャンプに親しんでいる身としては堪らないサービスでした。
[映画館(邦画)] 8点(2015-10-08 18:09:10)(良:1票)
2.  野火(2014) 《ネタバレ》 
塚本晋也監督の資質が非常に素晴らしい形で発揮された奇跡とも言える傑作だったと思います。塚本晋也監督はこれまで主人公が異常な世界に紛れ込んでしまい、その不条理な状況を彷徨っている内に、どんどん異質なものに変貌していくというホラー作品が多いですが、このフォーマットをレイテ島で彷徨い続ける第二次大戦末期の日本兵に当て嵌めたそのセンスがまず素晴らしいです。 ゲリラと仲間内の裏切り等によって疲弊していき、最終的に人肉を求めてしまう様な人間に変貌していってしまう、その戦争の恐ろしさ。何より恐ろしいのが、これは映画でありますが、実際のレイテ島で起きていた事実とは全く同じであるということです。レイテ島の戦闘に参加した日本兵の多くが戦闘ではなく、餓死で死んだというのは有名な話、しかしその事実を映像で見せられると「戦場で死んでもこんな目に会いたくない」という気持ちになりました。 大抵の人がそうであると思いますが、子どもの頃に観たショッキングな映画というのは、脳裏にこびり付いて消えないことがあります。戦争映画なら私は子どもの頃に観た『プライベート・ライアン』の戦闘シーンは未だにトラウマとして記憶に強く残っています。逆に大人になると、どんなに感動的だったり、ショッキングな映画を観ても、いつの間にやら記憶から薄れてしまうものですが、本作は現在鑑賞から日数が経っても未だに消えてくれません。そのくらいのパワーを持つトラウマ映画になりました。特に映像として消えてくれないのが、日本兵たちが夜のうちに行軍をするも、敵兵から集中的に射撃されてハチの巣にされる場面で、一人の兵隊の脳味噌が零れ落ちて、その脳味噌を逃げようとする兵隊が踏みつけるというシーンです。これ程、人間の尊厳とか色々がゴミの様に扱われるシーンを私は知らない。しかし当時は普通に起こっていたことでしょう。戦争の恐ろしさ、人間を人間とも思わない行為の恐ろしさを伝える作品としては、生涯ナンバー1の作品でした。
[映画館(邦画)] 9点(2015-09-17 07:25:59)
3.  天空の蜂 《ネタバレ》 
原作既読。一部の映画ファンには悪名高き堤幸彦監督ですが、本作については基本的に原作の筋通りにキチンと作れていて「中々やるじゃないの!」という感じでした。この作品の原作が伝えているテーマは主に「何事にも無関心で無責任な一般市民への警鐘」と思っていますが、その点はそれなりに映画でも描けていたのではないでしょうか。堤幸彦にありがちな、意味不明なファンタジー展開や、下らない即物的なギャグもかなり控え目になっています。 但し、観た後の感想を率直に言うなれば「下手くそだったなぁ」という感じでした。何か危機的な状況が起きれば兎に角スローモーションばかり、何か深刻な事態が起きている(若しくは起きつつある)時は重低音のマーチを飽きるほど流す、観客にキャラクターの心情を知らせたいときは取り敢えずキャラに叫ばせる、画面に動きを出したいときは別にただ歩いているシーンでもカメラをブンブン振り回す。まあ簡単に言ってしまうと“過多”なのだと思います。私は非常に大味なだけで無駄が多い映画な様な気がしました。 江口洋介、本木雅弘、柄本明、石橋蓮司、等々素晴らしい演技力をお持ちの俳優が、喚き散らす様な演技を強いられる中で、中塚所長を演じる國村隼だけは上から責任を押し付けられて苦悩するプロフェッショナルを上手く表現されていたと思いました。
[映画館(邦画)] 2点(2015-09-14 21:18:50)
4.  映画 みんな!エスパーだよ! 《ネタバレ》 
こんなに良い意味で馬鹿な映画は中々観たことがありません。園子温監督はこれまでの作品で色っぽいおねーちゃん達を必要以上に色っぽく撮っていた監督でしたが、本作は正にその集大成。全編に渡って、不要に体をムチムチさせた女性が映るサービスショットだらけ。名づけるなら、これはそう、エロのインフレ。そういう意味では非常に見る人を選ぶ映画でしょう。私が観た上映回では複数の女性が、途中で退席されていました。 ストーリーはあってないようなもの(何せ童貞がエロのパワーで世界を救うって深刻になり様がない)ですが、まあ完全にふざけ切った映画だったので、個人的にはストーリーの薄さは気にならなかったです。
[映画館(邦画)] 8点(2015-09-06 17:59:11)
5.  STAND BY ME ドラえもん 《ネタバレ》 
方法論が間違っているとは思いません。『ドラえもん』の原作エピソードを使って感動的な長編映画を作れ!を言われれば、確かにこうせざるを得ない、若しくはこうするのが正攻法だろうと納得できる程度には脚本は丁寧に作っているのだと思います。しかし、それは言ってしまえば感動エピソードの幕の内弁当。昔あれだけホロッと(「さよなら、ドラえもん」だけはテレビ放映時に大泣きした記憶があるので別格ですが)感動させられた名エピソードが、それぞれたった十数分で消化されてしまう。人を感動させることが至上目的だったであろう本作の意義としては正しいのかもしれませんが、個人的には納得し辛い内容でした。 何より、『ドラえもん』というストーリー自体、藤子・F・不二雄大先生の持ち味であるシニカルさがあるから成り立っている話であると思います。何せ、不細工な女の子との結婚を辞めたいがために、未来を改変しようとする話ですから。それを“感動”という衣で隠して、「さあ、泣け!」と言われても困ってしまう。 あとはCGの質がとにかく観ていて辛かった。ドラえもんの世界を3DCGにしようと、あらゆる努力が為されたのは何となく分かります。しかし、2時間観ていて感じたことは「キャラクターの質感が気持ち悪い」という感覚でした。これは多分慣れればそんなに気にならない部分なのだとは思います。最初にあれだけ違和感を感じた、水田わさび等の声も、劇場版を毎年観に行く度に違和感は薄れ、今となっては、大山のぶ代の声も水田わさびの声も私の中ではちゃんとドラえもんの声に違和感なく聞こえている。だから今後もずっとこの3DCG版ドラえもんが続いていくのであれば違和感は無くなるだろうと思いますが、如何せん2時間の上映時間では最後まで違和感は消えてはくれなかった。
[映画館(邦画)] 4点(2015-09-02 21:31:59)(良:2票)
6.  進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 《ネタバレ》 
特撮の部分は凄かったです。冒頭の巨人の人間踊り喰いの連続から、終盤のエレンが変身した巨人の大暴れまで、あの阿鼻叫喚の場面を映画館で観れた満足感は大きかったです。特に後者に関しては、今まで人間たちが成す術もなく食い散らかさせる場面を繰り返し見せられたせいもあり、その巨人たちを圧倒的な質量で殴り殺すシーンにはカタルシスを覚えました。 しかし残念ながら、個人的に良かったなと思えたのもその部分だけで、後はかなり歪な部分が目立つ作品になってしまっていたと言わざるを得ません。先ず、脚本については不味い点が散見されます。あれだけ壁外に行く前に、「巨人は音に反応するから、大声を出すな」と言われているのに、やれ戦場で喧嘩をするわ、やれピアノを弾くわ、普通にエンジン音がでかい車に乗るわ、etc……。好意的に「まあ周りの索敵を終わらせた上での行動なのだろうなぁ」と勝手に解釈していたら、後半で「実は巨人を確り呼び寄せちゃってました」ってされてもなぁ。人類の未来を背負っているにしては余りにも無能と呆れるしかないです。中でも赤ちゃんの声が聞こえたと言って、巨人をむざむざ呼び寄せてしまったという中盤の展開は、ひどすぎる。謂わば、巨人に隊が襲われるという結果のために、無理矢理に原因を作りましたと言う感じ。あと原作の序盤の胆が「自由を求めなければ人間は家畜と同様である」「世界は言うまでもなく残酷である。強者が弱者を食い殺す実に単純明快な世界である」というメッセージは分かりますし、それぞれ私が原作で最も好きな部分ではありますが、実写化したときにキャラクターにそれをそのまま喋らすのは余りにも下策です。漫画で成り立つセリフを映画にそのまま持ち込んでも説明臭くって堪らないんですよね。色々と脚本が残念な映画でした。
[映画館(邦画)] 5点(2015-08-04 07:20:43)
7.  リアル鬼ごっこ(2015) 《ネタバレ》 
正直言うと映画を観ていて「面白いな!」と思えたのは人がバサバサと殺されていくシーンのみで、他の園子温の人生哲学を女子高生に延々と語らせるシーンなんかは逆に凄くつまらない。その人が次々と死んでいくシーンもやっぱり手を変え品を変え見せてくれるものの段々とマンネリ化してしまっているなと強く思いました。私が劇場で観た回は結構女子高生が多かったのですが、上映終了後に口々と「わけわからない」「つまらん」と声が上がっていたのが全てかなと思います。
[映画館(邦画)] 5点(2015-07-28 23:13:24)
8.  バケモノの子 《ネタバレ》 
なんでしょうか、細田守監督の映画を観るときに気になってしまう違和感は。鑑賞後に考えてみたのですが、リアリティを追及した画作りをしているのにも関わらず、後半(と言いますかクライマックス)になるに従って、「細かいことはどうでもいいんだよ!」というばかりに物語の推進力だけで、強引に収束させてしまうからなんだなと言う結論に一応は至りました。 本作では前半の九太と熊徹が師弟関係を築いていく過程はとても良かったです。互いに互いを刺激し合うという理想の師弟関係だし、キャラクターの造形や世界観の構成にはリアリティを持たせるために努力したであろう箇所が山ほどあるし、そういう画を観ているだけで楽しかった。 これが後半からクライマックスにかけて崩壊していく。一郎彦が闇に囚われてしまって追いかけてくるのですが、急にクジラの形となって追いかけてくる。クジラになる意味は分かるけど(メルヴィルの『白鯨』、モヴィ・ディックはもう一人の自分の象徴という訳。私は『白鯨』はそういう作品じゃないと思いますが。)、物語上それは九太が図書館で『白鯨』を読んでいたのですから、九太側の話であって、一郎彦がクジラの形となるストーリー上の必要性は何もない。あるのは脚本家(細田守監督が兼任)の「まあそういうことだから観客も勝手に補完してね」という単なる甘えだけだ。熊徹が自身を付喪神に転生させることで九太の助けに駆けつける展開自体は別にいいのですが、そこでまた心の剣とかいう非常に抽象的な武器として出てくる。ここも同じく物語上の意味は分かる。ひとりでも生きていけると考えていた九太の心に、師匠である熊徹が親として彼を支えるという感動的なシーンだ。でもその心の剣が一郎彦に刺さるから何故物語がすべて解決するかという理由づけはまたもや放り出されている。 その様な勝手な脚本の都合に反して、説明口調な部分もとても多い。特にヒロインが終盤で演説口調で話し始めたのにはゲッソリしました。どちらにしても観客を少々舐めて映画を作っているのはないかと思えてしまう隙が多い作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-07-27 20:43:41)(良:1票)
9.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
素晴らしかったです。個人的には人生ベスト級の音楽&青春映画でした。 まず脚本と演出について細部まで手が行き届いていて、とても丁寧な印象でした。例えば、臨時教師として柏木ユリが赴任してくる場面、ユリとその前任者で身重のからだであるハルコを並んで立たせることによって、ユリの大人としての未熟さ、成長する必要のある人物であると第一印象で観客に伝えている。またハルコに「(コンクールを見に行けるかは)この(お腹の)子、次第ね」という台詞で、コンクール当日まで長くて2,3ヶ月しか余裕が無いことを示している。こういう色々な情報を省略的に伝えている場面がとても多いです。並みの脚本ならダラダラ台詞で説明しているでしょう。 音楽をずっと10年以上演っている身としては、とても感慨深いというか、何故自分は演奏するのだろうという意味に気付かせてくれ、また共感させてくれた映画でした。それはこの映画ではハッキリと描かれている通りです。誰かを幸せにする音楽を奏でるために、私たちは演奏する。ユリの文集に書かれていた台詞ですが、その台詞をバックに、ナズナの心を癒すために、過去の恋人の死と決別するために、ベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』を奏でるシーンの感動は言葉では言い表せないものでした。尚、ベートーヴェンも実らなかった恋をした孤独な男です。また、そこで画面に映り込む、部訓でしょうか、「勇気を失うな。 くちびるに歌を持て。 心に太陽を持て。」という言葉もとても素敵だと思います。 そして人々を幸せにするために、また前に進むために、演奏するなら笑って歌おうという音楽に対する姿勢。それまで仏頂面を続けていたユリが「笑って」と言ってコンクールの舞台を始める。その時の彼女には序盤で見せていた未熟な面影など一切ありません。それを踏まえたコンクール曲「手紙 拝啓 十五の君へ~」の歌詞の素晴らしいこと! ユリ以外にも、ナズナやサトルの個別のドラマも見応えがあります。両者共に自分が生まれた意味に対し苦悩しています。特にサトルについては、兄が自閉症を患っているという設定が出て来ます。以前に自閉症の方の著書を読んでどういう癖や傾向が出てしまうのかを浅く知ったのですが、映画で描かれる症状の描写はとても的確だったように思われました。
[映画館(邦画)] 10点(2015-03-09 22:50:41)(良:1票)
10.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》 
何でしょう……、普通の映画に無いものを感じたのは確かですし、そういう意味では凄く評価したいのだけども、何故か積極的に評価する気にはなれない。そんなちょっと個人的には困った映画でした。 青春の一部分を切り取ったような自然な雰囲気はとても良いと思いました。但し、それに伴い物語も特に大きな起伏もなくコピーバンドの演奏が順調に終わってジ・エンドなので、何だか物足りない気がしてしまいました。恐らく、米国のキッチリした起承転結の物語構成に馴れているせいで、何らかの山場を期待してしまっているのだと思います。 唯、邪推ですが、バンドの女の子たちのビジュアル(特に留学生を演じるペ・ドゥナ)があれ程自然体で可愛くなければ、みんな真剣に観ただろうかと思ったりもしました。
[映画館(邦画)] 5点(2015-03-04 20:21:00)(良:1票)
11.  マエストロ! 《ネタバレ》 
まずクラシックという一般的には敷居が高いであろう題材を描くにあたっての大変な努力の跡は伝わってきました。実際に劇中で鳴っている音はちゃんとしたオケの音ですし、主演を務めた松坂桃李さんも1年間ヴァイオリンを練習しただけあって一応ちゃんと音は出ています(ヴァイオリンはフレットレス楽器なので初心者には大変難しい)。但し、この音楽についても、劇中で流れるベートーヴェンの『運命』は所謂私たち一般人が思い浮かべる『運命』であり、本来破天荒な指揮者という設定の天道が振った音にしては「あれだけ奏者に文句言っててコレでいいの?」と思いました。実際に指揮をした佐渡裕さんは恐らくですが無難な感じで振ったのではないでしょうか。 また脚本がスカスカでいたる所に綻びが生じてしまっています。しかも数々の綻びを一切処理せずに終わるので、観終わった後の感想としては只々不細工な印象を受けました。例を挙げますと、最低の指揮者として登場する天道(演奏者を平気で罵倒する&オーボエのリードを踏みつける)が成長するシーンがありません。よって本来なら演奏者との関係は最後まで悪いままの筈ですが、いつの間にか解散から再び集結するシーンで解決してしまっている。そもそも主人公に設定されている問題が何かがハッキリしていない。コンマスとしての苦労を描きたいのか、父親の様な音が出せないから悩んでいるのか、一流のオケで演奏出来ないから不満なのか、おそらくはそれら全てか。それが天道の過去が描かれるシーンで何となく“イメージ”だけで解決した様に見えてしまう。これは観客を誤魔化しているだけだと私は思います。 あと今時、自転車二人乗りで急いで病院に行くって描写は前時代的過ぎますね。ストーリー上仕方が無いとはいえ、病院でヴァイオリンを弾く主人公も如何かと思います。変なコメディ演出(ヤクザ撃退)とシリアスな演出(震災風景)をごちゃまぜにするのも作品のノイズになっていると思いました。
[映画館(邦画)] 4点(2015-02-02 22:26:40)(良:1票)
12.  福福荘の福ちゃん 《ネタバレ》 
女芸人トリオ・森三中のメンバーである大島美幸さんが、モテない中年男を演じるっていうことだけ聞くと、あまり面白そうじゃないと思っていたのですが……大変面白かったです。 水川あさみさん演じる美女に、オッサンが惚れられるという、現実には「ありえねーだろ」と言わざるを得ないストーリーなのですが、大島美幸さんの笑顔が本当に魅力的に映るので、その有り得ない展開にも説得力がある。また、ヒロインも最初は一貫して恋愛感情など抱いていないので、そこも無理なくストーリーが進んでくれる。 一部の役者さんがちょっと棒読みだったり、少し気になる点もありますが、最初から最後まで多幸感に溢れた作品でした。
[映画館(邦画)] 8点(2015-01-25 22:46:08)
13.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
素晴らしい。任侠映画の極北だと思います。母親の死に目に立ち会いたいと願う主人公。しかし一匹狼故にトラブルを周りから起こされてしまい、中々その機会に恵まれない。自分を良くしてくれるお偉いさんはいて、恩を感じているものの、自分のせいではないとはいえ、その奥さんを傷つけてしまう。さて、こんな絶望の主人公はどうなってしまうのか!?と思わせておいて、最後は人情の極を味あわせてくれる。繰り返しますが素晴らしいです。 ヤクザ映画では定番となっている田中邦衛の阿呆さや、錠を鉄道で切ろうとする時の一悶着等々、笑えるシーンが多々あり、刑務所ものでありながら清涼感があるのも面白いです。あと実は鬼寅だったおじいさんの迫力が凄いですね。演技の凄い説得力。
[映画館(邦画)] 8点(2015-01-11 21:50:40)
14.  寄生獣 《ネタバレ》 
それなりの原作ファンと自負しておりますが、原作の必要不可欠な要素を2時間弱に収めるその構成力・脚本力の手腕の高さは大変素晴らしかったと思います。新一の家族構成から父親を排し、シングルマザーの家庭とすることで、主人公にとっての母親の喪失感をより強く出すことに成功している。寄生生物の一匹であるAが母親の脳を奪う個体と変更されている点も、新一とAとの対決とリンクさせることで、物語の展開がスムーズになり、タイトに仕上がる要素となっていたと思います。 またミギーが序盤で剣道部や弓道部の練習風景を何気なく眺めることで、他の寄生生物との戦いにおける斬り合いや、終盤の弓に変形する展開に、説得力を持たせることに成功している点など、実にクレバーに思えます。 個人的には山崎貴監督は大仰な演出が多く、好きになれない監督の筆頭だったのですが、本作では何度も心動かされるシーンがありました。特に新一が母親を失って「夢じゃなかったのか……」とひとりごちる場面は、唯一の肉親を失ってしまった悲しい人生の幕開けにも関わらず、外からは明るい朝焼けか夕焼けの光が差し込んでいて、彼の悲劇性をより引き立てていると感じました。このシーンは主演の染谷将太君の慟哭する演技の凄まじさも相まって、胸に迫るものがありました。 人体破壊描写をPG12作品と言う枠の中で出来るだけ限界に挑戦しているであろう気概も良いです。ヌルイとそれは最早『寄生獣』では無くなってしまうと思うので。 大傑作漫画の実写映画化ということで、高いハードルだったと思いますが、監督からはそのハードルを乗り越えようとする意志を感じますし、前編を観た時点でなら十分にその力はあると思います。問題は完結編で全ての要素を綺麗に回収することが出来るのか。田宮良子の結末、広川剛志の結末、後藤との戦い、どれも普通の映画であればクライマックスに出来るだけの素材のため、完結編で変に間延びした(クライマックスが何度もある)作品にならないことを期待しています。
[映画館(邦画)] 8点(2014-12-01 00:44:18)(良:1票)
15.  紙の月 《ネタバレ》 
ぶっちゃけ単なる「ヒモ男に入れ込んだバカな中年人妻の不倫話」です。でもこれがお金や欲望、そして善意にまつわる奥深い話になっており、吉田大八監督の演出力に舌を巻きます。 この映画には主人公が本質的に二人いる。一人は勿論、宮沢りえ演じる営業マンの梅澤。そしてもう一人は小林聡美演じるベテラン社員の隅さんです。この二人は恐らく観客の持つ二面性をそれぞれ片面ずつ表しているキャラクターだと思います。それぞれが頭の中の天使と悪魔だと考えれば実に分かり易い。「横領しちゃえばいいじゃない。お金なんて所詮は価値のない偽物よ。唯の札束よ。自由になりましょう」と囁くのが梅澤、「お金じゃ結局自由になれないわよ。人間落ち着く所に落ち着くようになってんの」と囁くのが隅さん。私は観ながら「梅澤みたいには行動できんなぁ……」と思っていましたが(大多数の人はそうでしょう)、梅澤が隅さんに「もっと怒ればいいのに」と言うのも尤もな様に思える。本来唯の紙切れに過ぎないお金に縛られている私達はどうしてもモラルの壁を乗り越えてしまった梅澤にどこか憧憬を禁じ得ない。しかし最後にそんな夢は醒めます。この瞬間の描き方が実に皮肉となっていて素晴らしかった。ヒモ男は若い女を作っていて破局。いやらしいと思っていたお客には枕営業を仕掛けようとしたら「今まで通り真面目にやればいいんじゃないかな」と逆に諭された。隅さんには「お金で買える自由はここが限界」と気付かされる。それでも彼女は窓から飛び出して偽りの自由で生きることを選んだ。ラストシーン、タイで自分が募金した相手の男の子は、別に募金があろうがなかろうが立派に大人に成長していた。彼女の善意はまるっきり無意味なものだった。自由でもなければ、善意にもならず、単に無意味な人生。それが彼女が選んだ偽りの自由の結果なのでしょう。リンゴを無言でほおばる彼女の眼からはそんな人生に対する呪詛すら感じる。 まあ流石にあんな突発的な逃亡の末に、タイまで逃げられるのは無理有り過ぎるとも思ったのですが。もうちょっと上手い見せ方は無かったのかな。
[映画館(邦画)] 8点(2014-11-24 23:15:21)
16.  小野寺の弟・小野寺の姉 《ネタバレ》 
予告編を見た時点では、片桐はいりさんの見た目で笑わす感じのコメディなのかなと思っていたので、そういう役者の容姿が悪いことで笑わせるコメディは嫌いなので、良い意味で裏切られました。普通に真っ当なコメディになっていて、特に兄弟同士ののんびりとした会話にはついつい笑ってしまいました。私も姉弟の家族構成なので面白かったです。 数ある伏線がキチンと最後の二人の結末に向かって回収されていくのも良い所。 ちょっと良くないなーと思ったのは山本美月の演技プラン。余りに他人行儀でしゃべっているので、「この娘は多分小野寺・弟のことは特に恋愛感情は抱いてないんだろうなー」と思っていると、普通に惚れてて驚きました。もうちょっとくだけて話す方が自然な気がするのですが、好きなら親密になろうと頑張ってる筈ですし。 それからセクハラ・パワハラが問題になっている昨今で、眼鏡店のおじさんとおばさんが小野寺・姉に男事情のことを何度も聞くのは気になりました。もうちょっと自然な感じで、言葉には直接出ないけど、相手にプレッシャーが伝わるような方法が良かったんではないでしょうか。例えば、願いが叶うと言われている花じゃなく、恋愛成就の花に換えて、小野寺・姉が後で自分で調べてみてそれを初めて知るとか。 あとこれは私の個人的な感情なので、人によっては「そこがいいんじゃない!」という意見もあると思うのですが、頼むからちゃんとピントを合わせて撮ってほしい。ソフトフォーカスも良いけどずっとそれだと単に見辛い。それから逆光で撮るのも止めてほしい。眩しいです。カメラをグラグラグラグラ揺らすのも止めてほしい。主人公二人の心理状態と呼応しているのは分かるけど、ちゃんとフィックスで撮るべき所は撮ってほしい。不自然な照明を当てないでほしい。夜に一人で部屋で泣いているシーンで、バッチリ光が入ってるとおかいいでしょ。街灯でも部屋の真横に立ってるんでしょうか?ちょっとお洒落な画作りに拘り過ぎている気がしました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-21 20:42:13)
17.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
チャップリンの傑作『ライムライト』を基に、斜陽となった時代劇の衰退と微かに見える未来への希望を描いた作品。「5万回斬られた男」とも言われる斬られ役者の福本清三さんが、ご本人の分身ともいえる主人公を演じます。 確かに時代劇は衰退の一途を辿っていることは間違いないでしょう。近年でも時代劇は度々映画でも公開されているものの、それは若い美形俳優を主役に据えた(本作の中で描かれる『ODANOBU』の様な)アクロバティックな殺陣の作品だったり、ラブストーリーを主軸に置いた作品だったり、コメディに特化した作品だったりする。松方弘樹や近衛十四郎らスター時代劇俳優は既に若者への求心力はないし、ましてや福本清三さんの様な謂わば裏方の時代劇俳優は辛酸を舐める思いで仕事をしているのでしょう。 しかしながらこの映画を観ていると本当に時代劇俳優の、松方弘樹らの殺陣の美しさに惚れ惚れする。終盤の桜が舞い散る中での松方弘樹と敵役を演じる福本清三さんの立ち回りは大変格好良かった。心底この文化が斜陽になり消えかかっている事実に悲しさを感じました。そう思わせるだけでこの映画は勝ちだと思います。まだまだ若い者に時代劇を受け継いで復興させられる筈だ!という時代劇役者たちの矜持を感じました。 私も最近の時代劇は余り足を運ばなくなってしまいましたが、これからは積極的に観に行って時代劇業界を支えてみたくなりました。但し、出来ればやっぱり本作で描かれる様な美しく、また血沸き肉躍る殺陣の作品が観たい所です。 でも手放しで喜べる出来かと言うと断言できない所もありました。一番は悪役が何となく改心してしまうこと。いや、いつ改心したかも明示されないので、本当に脚本の都合で良い奴になったようにしか見えない。せめて主人公の限界を超えた奇跡の立ち回りを見たことで、つい感極まってしまい考えを改める位の理由づけは欲しかった。また根本的な問題ですが、主演の福本清三さんは主演俳優としての演技に慣れてないためなのか、滑舌の問題で聞き取り難い箇所がいくらかあった。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-05 21:26:24)(良:1票)
18.  るろうに剣心 伝説の最期編 《ネタバレ》 
ビックリするほど詰まらなかったです。とにかく脚本に粗が多く、真面目に観ようと努めていても如何しても気になってきてしまう。明治政府が剣心を殺そうとする件が狂言であることを観客に予めばらしてしまう展開には眩暈がします。それでその後の剣心の打ち首シーンが盛り上がるわけないでしょーに。斉藤一が「こんな茶番はおわりだ」って言いますけど、この映画こそ茶番です。ビジュアルは相変わらず良かっただけに、この出来は本当に残念です。 あとこれは前作から気にはなっていたのですが、音楽が酷い。延々と感傷的な音楽が流れるのでいい加減にしてくれないかなとずっと思って観てました。音楽を担当した佐藤直紀さんは山崎貴監督や羽住英一郎監督のお気に入り。どんな音楽でこの映画が占められているのかは自ずと知れるというもの。
[映画館(邦画)] 3点(2014-10-21 00:07:47)(良:1票)
19.  ふしぎな岬の物語 《ネタバレ》 
~突然、阿部寛は叫んだ。「小百合様、かまわないでくれ。まだ誘惑して私を苦しめるのか。」小百合様が、「行け。」と言われると、阿部寛と竹内結子が良い関係になだれ込み、なんとなく終わった。~ まあ冗談はこの位にしても、余りにも吉永小百合の万能感が前面に出ている作品である印象は拭えない。この映画ではあらゆる事態を吉永小百合演じる悦子(通称:悦ちゃん)が唐突に解決してしまう。それはイエスが相手に触れるだけで病を治したり、モーセが海を割るのと同じことだ。つまり奇跡。カフェに訪れ、彼女に触れた人々は別段大した理由もなく、悔い改め、自己解決して、彼女に感謝を述べて、去っていく。感動できるドラマが生まれる訳もない。中盤では本気で徳さんの胃癌さえ魔法のコーヒーの力で消すのではないかと思った程だ。エンディングで島中の人々が彼女を想って見舞いに行列を成すシーンは、最早「小百合様を教祖とする信徒たち!」としか思えなかった。 終盤に彼女は彼女なりの苦悩を抱えていたことが判明するのだが、それも別段ドラマとして優れているものではないと感じました。 ある関係が崩れ、再構築し、立ち直る。そういう作品は多々ありますが、吉永小百合演じる悦子を前半であまりに万能感たっぷりに描いているため、終盤に彼女が弱さを見せ、崩れ、再出発する様が非常に唐突に見えました。 まあ、そんなに優れた映画には迚思えなかったのですが、モントリオール映画祭はこの映画の一体どこをどれだけ評価したのかは気になる所です。同映画祭の日本映画贔屓は有名ですが、それにしても賞やる程の映画とは一ミリも思えませんでした。
[映画館(邦画)] 4点(2014-10-15 21:52:56)
20.  舞妓はレディ 《ネタバレ》 
この映画には二つの大きな軸があります。一つは京都の芸者、舞妓のジャンル映画としての側面。もう一つは方言ギャップコメディとしての側面。それにミュージカルを加えて、かつ違和感なくどちらの要素も充分に描いている、これは大変凄いことだと思います。丁寧な脚本じゃなきゃ絶対にどちらかがお座なりになるか、どちらも半端な出来になることでしょう。 私は濱田岳演じる大学院生と同じく舞妓さんも所詮は水商売の一つと思っていて、キャバクラや接待など、仕事が介在する酒の席は正直気苦労しか感じたことがないので、所謂芸妓さんの世界には興味も憧れも無かったのですが、舞妓さんのお稽古の大変さ、男衆という芸妓・舞妓の身の回りの世話・着付けをする専門の職業があること、なぜ一見さんは断られるのか、舞妓さんのアルバイトを雇わないといけない状況、等舞妓さんにまつわる薀蓄は初めて知って面白かったです。 またミュージカルでありながら、着物でお遊びをする芸妓さん・舞妓さんの美しさはキチンと描いている点が非常に好印象でした。着物で現代的なダンスをする舞妓さんも面白かったけど、要所要所で入る舞妓さんの舞踊の美しさも忘れていない。特に富司純子さんは素晴らしい立ち回りで、その舞踊の一挙一動の艶やかな動きには惚れ惚れしました。まるで上村松園の美人画を見ている様で眼福でした。歌舞伎もそうですけど、ああいった舞踊ってキメがあって見栄を切るから、独特の美しさがありますよね。現代的なミュージカルシーンに安直に混ぜず大正解。 ちょっと残念だったのは主演に抜擢された上白石萌音さんが大変歌が上手であるのに、その歌の尺がやや物足りないこと。特に長谷川博己演じる言語学者への恋を自覚した時に、花街の真ん中で歌うシーン(照明が実に良かった!ただの街がいきなり舞台に変貌する感じ!)は物語上でも重要な筈で、そのスコアも良かったのに結構あっさり終わってしまう。もう少しじっくり歌を聴かせてほしかった。 後はややストーリーが予定調和に進み過ぎる感もありますが、真っ当な青春映画としてはこれくらいが丁度良いかも知れません。芸に厳しい人はたくさんいるけど、真の悪人が一人もいないというのも良かったですね。舞妓さんの魅力を今に伝える良作だったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2014-09-14 22:48:21)(良:1票)
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