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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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1.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
JACの俳優さん、いったい何回まわっただろうか、宙返り。でも尾道でよかったね、坂も階段もそこらじゅうにあるから。たんたんたぬきのキン○○にスカートめくりは、笑うべきなのだろうか。 こうして前半は、根が真面目な大林監督らしいお笑いコント、しかしハッキリ言ってしまえば、笑えない寒いギャグが延々と続きます。(スミマセン!) でも昭和のあの頃、よく自作のお好みカセットテープを作ったでしょう? 本作も同じで、たぶんA面とB面の二部構成なんです。前半 (A面) はノリのよい曲を並べて、後半 (B面) は泣きのバラード集。前半は失笑でもいい、笑っていてください。その代わり、後半は存分に (独りで) 泣いてください。 ショパンの「別れの曲」を聴きながら、懐かしい尾道の風景とともに、大林監督の世界を堪能してください。 「さびしんぼう」たる素晴らしさ、それはスクリーンの二人は完全にヒロキと百合子 (とさびしんぼう) であり、尾美としのりと富田靖子を感じさせないこと。 そのヒロキが自転車を押して百合子さんを送る場面、二人を照らす夕陽の何という美しさ。私にとって、ここが大林監督映画のベストショットです。ここに大林監督という作家と、ヒロキと百合子さんと、尾道という場所と、昭和という時代と、まるで時間が止まったまま、収まってる。もちろん、この瞬間がヒロキにとって幸福の絶頂ということもあるのだけれど (笑) 実は数年前、尾道を訪れて本作のロケ地を巡りました。舞台である西願寺は、忘れ去られたように映画の面影はもうなくて、何だかさびしそうでした。  最後に、大切なことを一つ。「さびしんぼう」は、男が感傷的であることを、それは大丈夫だからとやさしく肯定してくれました。だから本作を初めて観てから、私は変わりました。自分はこれでいいんだ、と安心できるようになりました。 だから言わせてください。 大林宣彦という偉大な "映画作家" であり、私のこころを救ってくれた恩人に感謝をこめて、ありがとう。
[ビデオ(邦画)] 10点(2020-04-12 23:04:12)(良:2票)
2.  二十四の瞳(1954) 《ネタバレ》 
小豆島という懐かしい日本の風景。素朴な子どもたち。仰げば尊し。高峰秀子や笠智衆といった、日本映画の良心のような役者たち。その全てが、画面から溢れんばかりの優しさで、僕の涙腺を刺激します。本作の舞台は小豆島。実は少し前に一度訪れたことがあります。島にある「二十四の瞳映画村」には、撮影で使用された学校が今も残っていて、そこには確かに大石先生が教鞭をふるった教室があり、窓からは今も変わらず海のにおいを感じます。すっくと教壇に立つと、あの時先生が見据えた12人の生徒たち、その純粋無垢な瞳が心に蘇るのです。思えば、本作はまるで12人の生徒全員が主役であるように、その表情(瞳)のクローズアップがとても印象的でした。原作の"瀬戸内海べりの村"という曖昧な舞台を、木下監督があえて"小豆島"という小さな島に選んだのは、さて一体なぜだろう?と考えました。きっと監督の思いでは、この国の子供たち全員が日本の宝であり、全員が本作の主役なのでしょう。でも数万の瞳を描くことが無理ならば、それができないならばせめて、せめて二十四の瞳で。監督の心には、小豆島という舞台は、"日本という島国の縮図"として存在したように思えてなりません。最近の"この世界の片隅に"でも強く感じたことなのだが、日本人は戦争を題材にしながらも、どうもアメリカを悪く描かない。それどころか、戦争という怪物ですら、もう起きてしまったことだからと誰のせいにするでもなく受け止めて、ただただ未来に向けてひたむきに生きようとしています。これは語り継がれるべき反戦映画、でも伝えようとする人たちなくしては、それは到底伝えていくことはできません。二十四の瞳の奥に、何を感じたのか。終戦後、もう70年以上が経ちます。8月のこの時期を迎えるたびに、今という時代があることを、あの時代の人たちに感謝します。そしてこの平和がいつまでも続くことを心から願います。
[DVD(邦画)] 10点(2017-08-15 00:05:33)(良:1票)
3.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 
本作は決して宮崎ジブリのような高い完成度ではない。でも作り手の映画に懸ける熱意や郷土愛が映画の雰囲気からよく伝わってきて、私はとても好きな作品です。本作の物語、魔法やファンタジーがあるわけでもない、奇跡も何も起きないただの若い日々、これは宮崎ジブリに慣れていた私にとっては逆に新鮮に映りました。でも若いときは気づかなかったけど、若さと平凡な日々はもうそれだけで奇跡ですよね。私自身、青春時代を海も山もない都心近郊で過ごしたこともあって、はるか遠い街、海がきこえる故郷は昔から憧れでした。この同窓会の場面を観る度に昔を思い出す。親友、好きだった女の子、受験。みんな元気でやっているだろうか。実はこの映画を最初に観た時はピンとこなかった。気になってたまに観返すようになり、いつの間にか自分にとって大切な映画になった。まるで映画の二人のような関係。この映画、すごく好きです。
[DVD(邦画)] 10点(2016-03-15 23:16:42)(良:1票)
4.  まく子 《ネタバレ》 
冒頭、サトシ (山崎光) が走り出すと目の前に牧歌的な風景が広がりを見せ、その後に一転してまるで坂と階段の迷路に迷い込むように、彼は温泉街へと駆け抜けていく、、。 あっという間に、引き込まれてしまった。この導入部の時点で既に、これは大好きな映画だ、と確信した。 そしてうれしいことに、「笑い」のセンスが私の感性に近い。照れ隠しするように、あたふたと先を急ぐサトシと、そのすぐ後ろをヒタヒタとつけ回す無表情なコズエ (新音) の姿。のどかな田園風景の中に、これが実にシュールな光景で、可笑しくて仕方がなかった。 この映画の面白いのは、彼女は「宇宙人」という大胆な設定でありながら、少年と少女による、根は実にシンプルな青春映画であろうとするところ。だから本作の「SF」とは "青春ファンタジー" と考えた方がいいかもしれない。そして、坂と階段の街、転校生、花火、、その設定の多くは、かつての大林宣彦監督を思い出さずにいられない映画でした。 もう一つ、学校の描写について言うなら、生徒たちの顔立ちはみな平均的で、秀才もいなければ劣等生もなく、いじめっ子もいじめられっ子もいない、という、いわゆる「ヒエラルキー」を生まない、学校という名の理想郷のようなところがあり、そういう描き方もまさに大林監督が好んでいたものでした。(あ、コズエは美人だけど例外ね、だって宇宙人だから笑) その、コズエとの別れは、やはりサトシにとっての一つの青春の終わりであり、大人になるための通過儀礼であったと思う。 君は、大人なんかキライだ、「大人は判ってくれない」だったと思うけど、君もいつしか、「子どもは判ってくれない」になる日が必ず来る。 その時こそ、本当に君という「青春」にサヨウナラだ。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-02-07 22:20:03)(良:1票)
5.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
そもそも、フランスパンで女を殴る女からすでに可笑しくて、この監督面白いなと。始まって数分にして、この映画当たり、と早くも確信しました。総じて、人物たちに対する視線は優しいのですが、主演のふみが少しだけピントがずれている、というのが本作最大の肝で、彼女を軸にクスッと笑える場面がワンシーンに一つ、必ずあるんですね。彼女の一挙一動にハラハラドキドキ、、でも大丈夫、そんな彼女も不思議と目薬のピントは外しません。 (言っちゃった) 次のシーンが楽しみだ早く観たいぞ、その心境のまま始めから最後まで楽しく観させていただきました。たもつはこの歳でバツイチ子持ち、車持ち。だから当然、洋服に散財できるはずもなく、毎度の上等じゃない服は納得で。ふみにいたっては、何度もナイキの同じスニーカーを履いて登場しましたね。こういったさり気ない気配り、重要ですね。付き合っていても、結婚していても、別れの予感はついてきます。だからその一歩手前の、これからそれを迎える期待感で胸いっぱいであること、ハツコイの心境であり続けること、それが何より幸せかも知れませんね。主演女優、ストーリー、音楽、ロケーション、そしてパン、バス、絵や洋服といった小道具 (美術) に至るまで、その全てが奇跡的に相性良くて、映画らしくない不思議な現実感 (空気感かな) がありました。(↓3737さまの) 全然大したお話じゃない、についても全くの同感です。ちなみに、わが行きつけの立川シネマシティ前の散策路が登場しましたね。(たぶん) よってプラス1点。
[DVD(邦画)] 9点(2019-02-18 23:27:34)(良:2票)
6.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
原作でもある横溝正史氏の金田一探偵シリーズは、学生時代に本作を含めて数冊読んだことがあります。思い出せば、怪奇・陰惨・情念といったイメージがすぐに浮かぶのですが、映画版は少し違いました。物語は原作そのままですが、キャラの描き方はまるで喜劇調のように軽妙にアレンジされていて、驚くほどに爽やかな終わり方となっています。石坂浩二さんの金田一はシリーズの枠を越えて、邦画史に残るキャラクターだと思うし、加藤武 (よーしわかった!笑)・坂口良子 (可愛らしい!) といった脇役たちも愛すべき人物ばかり。でも実は悪役たちにこそ、市川崑監督の "人間愛" が行き届いています。戦争・財産・情念は人間を狂わすもの。彼らはその境遇が生んだ悲しき犯罪者であり、その描き方には「罪を憎んで人を憎まず」の心がありました。名曲「愛のバラード」。スケキヨマスクのビジュアルインパクト。金色の屏風や屋内の光と影を変幻自在に映し出す映像美。その他どこを切っても、まさに名作と呼ぶに相応しい。余談ですが、昨年の「角川映画祭」で幸運にも映画館で観る機会に恵まれました。念願の大スクリーンで彼らに再会できたことは、まさに映画ファン冥利に尽きるよろこびでした。
[映画館(邦画)] 9点(2017-09-29 21:16:45)(良:2票)
7.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
戦争を題材にしたよくあるアニメーション映画だろう、と軽い気持ちで鑑賞に臨んだことを後悔するほど、心に強い衝撃を受けました。この映画、"戦争"を題材にしながらも人間の狂気は見えません。あくまで物語の中心はその時代の人々の生活、戦争はあくまでそこに存在した一つのできごと。まるで"日常"のように、近くで軍が大砲の演習をして、夕焼け小焼けではなく空襲警報が鳴り響く。悲しいことに、人々は誰もが悲劇が"悲劇"である感覚を失っていた。でもそれが戦争の本当の恐ろしさでもあると思います。アニメならではの見どころも多く、特に防空壕の中で感じる空襲の生々しさなどは、想像をより掻き立てる分、ある意味で実写よりよほど恐怖をそそるかもしれません。草木や花や海の繊細な優しさ、戦艦の雄々しいたくましさ、終戦後に部屋に灯る希望の明り。絵から一貫して伝わってくるのはあの時代を強く生きた、先人たちの"心"です。そして、人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金。先人たちは生活の中にそれを心得ていた。この映画は日本人の心の歴史そのもの、どうか後世に伝えていきたい。
[映画館(邦画)] 9点(2016-11-24 23:11:44)(良:2票)
8.  ぼくたちの家族 《ネタバレ》 
最悪な事態にならずに、まずはよかった。そしてこの家族に俊平くん (池松壮亮) がいて本当によかった。彼がいなかったら、ちょっとヤバかったかもね。彼の軽いキャラが、重苦しくて沈没しそうな家族を救っておりました。しかし軽いばかりではなかった、執刀医を探し出した超ファインプレー。 それにしても、家族の連携のよさとは対象的に病院同士の風通しの悪さ、これ何とかならんかね。重病患者の家族にこれほど走り回らせたらあかんだろう、本来なら最初の病院から電話一本かければ済む話だろう、でもこの映画って、これを医療現場の問題提起として伝えようとしている気がする。 映画としては、回想で説明することをせず全て現在進行形で進んでいき、起承転結もわかりやすい。時や人や状況を変えて、映し出される自宅の最寄り駅の光景。とりあえず、前に向かって走り出すお父さん。兄弟が階段を上って見下ろすこの街の風景。母の手術後に、三人が病棟で組んだ涙の円陣。久しぶりに、「家族」を題材にしたよい映画を観た気がする。 なお、家族の難病を機に疎遠だった家族が一致団結して前に進む、これは必ずしも映画に限った話しではない。なぜなら、数年前に私の父が脳梗塞で倒れた時、ほとんど疎遠だった私の家族たちですら集結したからだ。兄とは久しぶりにまともに口をきいた。いつもはおとなしい弟がこんなに頼りになるとは! そんなわけで、本作はとても他人事ではなく感情移入しやすい映画でありました。 ・・あれから父は何とか持ち直し、体は不自由にはなったけど、家族みんなで協力して見つけたバリアフリーの家で、今は何だか嬉しそうだ。
[DVD(邦画)] 9点(2016-08-17 00:04:42)
9.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
まず、舞台である五島列島の美しさに、否応なしに惹き込まれました。海に港に坂道に教会・・。どこもかしこも、実に映画映えするロケーションばかりでございました。 そして、女王様のようにお高くとまってるガッキーには、むしろいつもよりドキドキしたし (笑) 、道徳の教科書のように正しく、カルピスのCMにでも出てきそうな爽やかな生徒たちも、皆よかった。 もちろん、本作のテーマでもある、彼らの歌も素晴らしかった。序盤の「マイバラード」からして、すでに心をつかまれたというか、、それがまた最後に待ち構えていて、その大合唱の圧巻に私も心燃えました、、。 柏木先生の言葉、「ここにソプラノがいるね。アルトもいて。例のやつ、するしかないね」←これ、なんか好きでした。 「冷蔵庫にジャガイモがいるね。たまねぎもいて。にんじんもいて。カレーライス、するしかないね」←私はいつもこう (笑) ラストは見ての通り、「船出」ですね。それは生徒一人一人、そして柏木ユリにとっての、新たな人生の旅立ちも意味します。 もちろん、新たな旅立ちを戸惑うあなたの背中を力強く押してくれる映画でもある。 3月~4月あたりの、別れと出会いの季節にまた観たくなる映画です。
[映画館(邦画)] 9点(2015-03-14 19:08:28)(良:1票)
10.  シムソンズ 《ネタバレ》 
素晴らしい、、数ある青春系スポーツ映画の中でも、これほどの作品にはなかなかお目にかかれません。この映画はなんかこう、、キラキラとまぶしいのです (笑) その象徴がもちろん加藤ローサではありますが、およそ全ての登場人物たちが本当に魅力的でありました。 まず、和子 (加藤ローサ) にとってカーリングの目標であり、恋敵でもある美希 (藤井美菜) 。孤高の天才少女であり、例によって扱いづらい敵対キャラでしたが、彼女がチームメイトになるまでの心境の変化を確りと描写できているため、素人軍団のシムソンズ合流に不自然さがありません。 チームメイトのもう二人にも (もれなく) スポットを当てています。その二人が大ゲンカした後、菜摘 (高橋真唯) が家の外から大声で「ありがとう」と叫ぶあたりから、私はちょっと泣けてきて、その直後の場面、いつかの海辺でみんな結集して仲直りして、やっとこさシムソンズ結成、、ここの展開があまりにも完璧。「(五円玉の) 表? 裏? どっち!?」「・・・表!!」ここでついに涙腺が、うぅ、、(泣) また本作を語る上で、絶対にかかせないのが大泉洋さん。その存在感たるや、主演級、ですね。私はこの映画によって彼の存在自体を初めて知ったので、癖ありまくりの顔と声とキャラにかなり大きなインパクトを受けまして、以降、彼の出演作で本作の衝撃を超えるものはいまだに出会っておりません。(彼自身にとっても、意外と本作の平太がベストアクトな気がしてます) イケメン枠として田中圭、オジサン枠の松重さん、重鎮枠の夏八木勲さん、彼らも全て見事にナイスキャスティングであり、とてもカッコイイ。 あと全編に渡ってジュディマリの歌がよかったのですが、ここはBGMばかりではなくて、彼女たちが (鼻歌交じりに) 歌う、あるいはラジカセ (ラジオ) からながれてくる、、そういった映画的な試みがあってもよかったかもしれません。(実話ベースなだけに時代が合わないかな?) 周知のとおり、実在のカーリングチームをモデルとしていますが、これはこれで間違いなく映画として (彼女たちの) 一つの世界を構築していたので、オリジナルの傑作青春スポーツ映画としても評価したい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-04 21:12:43)
11.  晩春 《ネタバレ》 
結婚が本作の大きなテーマでありましたが、紀子に対するこの若さで既に嫁に行き遅れたような扱い方等々、公開から半世紀以上が経ち、世情の変化とともに結婚に対する考え方も大きく変わったのだなと感じました。父と娘の物語でもありましたが、周吉が再婚すると聞いた後の般若のような紀子の表情、紀子の周吉に対する執着心から察するに、彼女は無意識のうちに周吉を男性として意識していたような気がします。父と娘の間に垣間見える男と女の意識。それを小津監督が描きたかったかどうかは、私には判りません。話のテンポは小気味よく、おばさん杉村春子のがま口の嘘には笑わされました。周吉が紀子に仕掛けた一世一代の優しい嘘には泣かされました。自分がいつか親になったら、また観直してみたいと思います。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-04 19:14:52)(良:1票)
12.  狼少女
2005年の暮れに、本作は「ALWAYS 三丁目の夕日」の大ヒットに隠れるようにして、テアトル新宿でひっそりと公開しておりました。 どちらも「昭和」という時代設定、という共通点がありますが、その再現度で言うなら、「狼少女」の勝ち。(圧勝) しかも本作は、ああいうVFXやCGに頼らずに、人と洋服と小道具 (ランドセル) 、学校 (教室) や団地といったロケーション、そして「夕焼け」だけで、ここまで昭和感を出すという優れモノ。やたらと、東京タワーを映せばいいってもんじゃない。ちなみに私は昭和50年代に小学生だった者ですが、当時の人や学校や街の風景 (空気) 、夕焼けの色、本当にこんな感じでした。 ストーリーとしては、この年代特有の「仲間はずれ」と、嘘と引っ越しと狼少女、のお話。なんじゃそれ? っていう感じですが、とにかくそんな感じ。冬の景色、そしてテーマ曲もよかった。 私が小学生のころ、気になっていた女の子が引っ越しをしたことがあり、そういう、大切な懐かしい思い出を私の記憶の中から少しだけ映像化してくれました。最後の上履きに書かれたメッセージ、私はいつも涙でにじんでまともに読めないんだ。 本作の深川監督は私と同世代で同郷ということでした。 いつまでも心に残る映画をありがとう。
[映画館(邦画)] 9点(2013-11-10 21:13:07)
13.  ひゃくはち 《ネタバレ》 
まず、出演者たちが確りと野球をこなしており、全く芝居に見えないことが驚愕ですが、本当に秀逸なのは、彼らのノリとか、彼らが醸し出す雰囲気そのもの。実を言いますと、私が高校在学中に、わが校の野球部が甲子園に出場しておりまして、当時のヤツらったら、まさに本作のようなヤツらだった (笑) こういう、わざとらしくない雰囲気を (正確に) 作り出せるのは、監督の手腕によるところが大きいと思います、はい。たまに合コンとかあってもさ、365日も野球漬けだからファッションなんぞ知らん、だから服装はダサいんだ、それでいい。 ところで本作、甲子園を目指す高校野球の強豪校、そのベンチ入りのはざまを彷徨う球児が二人、彼らは親友であり、いつしか最後の一枠を争うライバルへとなる・・。何だか、書いてるだけで胸が熱くなるお話でしたが、なぜか私は、弁護士を志して退部した彼のエピソードに心を (カキーン!と) 打たれました。なぜって、本作は夢見る補欠の物語ですが、「退部者」の描き方にも愛を感じたから。野球から逃げたのではなく、別の夢を追うことにした、、という、彼を敗残者にしないところに優しさを見ました。 ちなみに、「ひゃくはち」って、硬式球の縫い目と人間の煩悩と除夜の鐘、の数。 "甲子園" が持つ狂信的な求心力と、頭を丸めて来る日も来る日も (野球という) 修行に励む高校球児たちの姿。その関係はどこか宗教じみたところがあるので、なかなか奥深い題名なのかと。 最後にどうでもいいことだけど、野球少年が神社にいらっしゃると「耳をすませば」のカントリーロード、聴こえてきそうでした (笑)
[インターネット(邦画)] 8点(2024-02-06 22:31:34)
14.  由宇子の天秤 《ネタバレ》 
インタビュイーを見つめる由宇子 (瀧内公美) の、まるで実験動物を観察する学者のような (冷たい) 眼差しが印象的。 まず、視聴者によって、映画のテーマ自体の受取り方が分かれそうな内容だ。 「罪」の重さについて。 報道することの是非や倫理観について。 正義と悪、その境界線の脆弱さ。 かいつまんで、犯した罪を後悔して苦悩する父 (光石研) 、悪意を以てそれを隠蔽しようとする由宇子。果たしてどちらの罪が重いのか、、それは天秤に乗せて量ることはできないけど、むしろこの映画は、インタビューや報道、そのどこにも映らないところにこそ「真実」は存在する、、至極当たり前のことを逆説的に語っているような気がします。 ちなみにですが、由宇子の「宇」の字が天秤 (の形) に見えませんか? はい、見えませんね (笑) でも、目に映ったこと、そこから感じたこと、それもまた人それぞれ。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-01-25 12:25:27)(良:1票)
15.  そばかす 《ネタバレ》 
まず、テーマである「アセクシャル」について私見です。 例えば、他に趣味がたくさんあるから、一人でいる方が気楽だから、、要するに恋愛志向はあるわけですが、優先順位で並べると「恋愛は (今は) いいかな」という考えで、何年もそのまま独りって人も大勢いると思います。これって、アセクシャルに限りなく近いけど、別にそうでもない。でも、このまま周りに (アセクシャルと) 誤認される人も多そうだし、そもそも当の本人ですら自分自身がそうであるのか、考えたこともないケースが多いのではないだろうか? 個人的には、人それぞれ、色々な恋愛思考を無理やり「型」にはめて名前をつけるの、そろそろ止めにしませんか? って思うけど。 ちょっと脱線しましたが、、本作はまさにその核心を突いたような内容となっていて、いわゆるLGBTとはまた違う曖昧で複雑な感情に戸惑う、蘇畑佳純 (そばかす) を三浦透子さんが好演してます。 恋愛に興味が湧かない、、つまり余裕があるから本人の意に反して意外とモテてしまうわけで、冒頭の合コンからお見合いまで、グリグリすり寄ってくる男たちを、そばかすさんが素っ気なくもヒラヒラと身をかわしていく様子に笑えます。全体的に、冷めた彼女を取り巻くてんやわんやが面白可笑しくて、特に真帆の存在は、そばかすが「レズでもない」ことを強調する意味で、それだけでも必要なエピソードと思えました。 この映画は着地点をどうするんだろう? って観ていたけど、私は良い終わり方であったと思えます。 アセクシャル、それはとても曖昧、時に恋愛もする、それでいいじゃん。 北村匠海クンは最後に登場して、おいしいところ全部持っていきましたね (笑) それでは、、玉田真也監督、また次作を心待ちにいたします。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-01-24 12:35:15)(良:1票)
16.  朝が来る 《ネタバレ》 
これは運命的と言うべきだろう、特別養子縁組という "縁" によって結びついた二人の女たち、、佐都子とひかりの物語。 まず、佐都子 (とその家族たち) が住むところ。都心にあるタワーマンションの高層階であり、たくさんの観葉植物に光が降り注ぐ光景は、まるで天空の一室のようだ。かたや、ひかりが住む (ことになった) のは、広島の似島にあるベビーバトン。その風景こそ美しいが、はるか船でたどり着いた最果て、眼前間近に海が迫るロケーションは、彼女にはもう逃げ場がないことを否応なしに連想させられた。 ・・・ここまで、やはり二人の境遇を比較せざるを得ない。裕福で愛する夫と子がいる、、それだけが幸せの全てとは限らないが、人生の残酷さをまざまざと見せつけられた気がした。 ひかりが彼と抱き合う場面は、奇跡的に美しかった。それは、二人の愛をキレイに撮し取っただけではなく、今、その瞬間が彼女の人生で最も幸福な一瞬であることを刹那的に予感させるからだ。 映画は彼女の元から去った者たちを追うことはなく、その人生から徹底的に排除したかのようだ。 思えば、ひかりがたどった道は「八日目の蝉」に登場した、ある女 (永作博美) の人生とよく似ている。そして、ある女は、本作では全く違った人生を送って幸せになっていた、、。これは、偶然じゃない。 八日目の蝉 → 朝が来る。 きっと、この二作の関係も「ベビーバトン」と同じなんだ。 本作のラストは、大切な人と一緒にいることだけが幸せではない、という (ひかりと朝斗君にとっての) ハッピーエンドである、と信じたい。でも、ひかり (蒔田彩珠) には他の映画でもいいから、次こそ本当に幸せをつかんで欲しい、、と切に願う。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-01-17 22:32:54)
17.  もみの家
まず「登校拒否」について私見です。本人が学校に馴染めない、、もちろんそれが大きな理由ではありますが、ケースによっては、登校拒否して親を少し困らせてやろう、という、年頃反抗期特有の性悪なところも、全くないとは言えません。本作は、そのケースに近いと思っていて、もみの家に彩花 (南沙良) を預けるのは、建前上は、「あなたに合う学校に通いましょう」、しかし、母親 (渡辺真起子) の本音としては、一度親の元から離してみようか、、そのようにも見えました。 ちょっと脱線しましたが、、映画の内容としては、テーマこそ重たいですが、これは道徳の授業で上映したいほどの、清廉潔白であり誠実な映画であったと思えます。 野良仕事。 自給自足の食材を使った手料理。 富山県の春夏秋冬、大自然。 ここに集った仲間たち (←運命共同体) 。その全てが心が洗われるものであり、すでに心が「まっくろくろすけ」の私ですが、今では灰色くらいには戻った気がしています。 特に良かったのは、彩花の成長はもちろんですが、やはり彼女のご両親も真剣に悩んで考えて、結局は家族全員が共に成長していること。これは決して個人の問題ではなく、家族全体の問題、そう描いているところが秀逸だったと思えます。 その、ご両親役の渡辺真起子さん二階堂智さん、とてもよかったですね。そうそう、このお二人、「チチを撮りに」という映画でも夫婦役でご共演されてます。 チチを撮りに → もみの家。 この順番で鑑賞されたら、きっと幸せな気分になれることでしょう。 いいですか、チチもみ、チチもみ、この順番お忘れなく。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-10-10 17:02:41)(良:1票)
18.  ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。 《ネタバレ》 
この映画は、主題のクジラをとても愛情込めて撮影しているので、そこは安心して観れますが、「人」の撮り方もうまくて、最後まで飽きることなく観れました。 まず、クジラおたくの鯨井クンに「さかなクン」そっくりな矢野聖人クンと、唯ちゃん役はウェットスーツと海がよく似合う武田梨奈 (代表作は "海すずめ" ) ということで、テーマに絶妙なキャスティングが素晴らしい。 そして面白いのは、人の撮り方に一つのこだわりがあって、それは、「クジラ」に愛情がある人ほど、美しく、そして、カッコ良く撮っている、ということ。 最もわかりやすいのが、唯ちゃん。登場した当初、彼女は自分が成功することしか考えていません。彼女にとって、私の為のクジラ、だから、映画もそういう撮り方 (扱い) をしてる。それがやがて、「クジラの為の私」に変わった、、だから、最後のサーフィンと、クジラに乗る彼女の姿は美しい、、。これは、彼女 (の心境の変化) に対する、この映画の回答に他なりません。 始めにリーダー降格したあの人などは、まぁ出世志向で、私の為のクジラ、のままではスポットは当たりませんし、鯨井クンは言わずもがな、ですね。最後のクジラショーのカッコ良さ、、この映画は彼を単なるクジラおたく (のまま) で終わらせるはずがありません。 さて最後に。さんざん、何食わぬ顔してコメントを書かせていただいたが、私はと言えば、昔から、行きつけの居酒屋でクジラベーコンをわんさか食べてきた、根っからの「私の為のクジラ」人間です (笑) しかし、そこは本作のテーマとしては無関係であり、多くを語られなかった捕鯨反対派の問題と同様に、"別問題" なんだろう。 クジラを題材にしたこの映画は面白かった、感動した、そして勉強になった、、ただそれでよいのだと思えます。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-08-08 23:02:06)(良:1票)
19.  知らない、ふたり 《ネタバレ》 
今泉監督の佳作、いや、秀作。 監督は毎回、人を好きになることの肯定、をテーマに数多くの傑作恋愛映画を撮られていますが、ストーリーと見せ方のアイデアが豊富であり、どれもが全く違った色合いの映画になるところがすごい。そして、パンとか、お花とか、古着とか、本作の靴とか、、映画を彩る小道具も毎回楽しみにしてます。監督 (の日常生活) はきっとおシャレだろうな、お会いしなくとも私には手に取るようにわかります。 そうそう、監督の映画には、よくストーカーがご登場されます (笑) でも当事者たちは、いつも威風堂々としていて、決してその行為を (第三者に) 隠そうとしない、、そこが笑えるし、なぜか清々しいところ。誰にも隠したらヘンタイ (ストーカー) 、そうでなければ純愛。そこ、重要な境界線。本作の彼らは一見「ストーカー」ではありますが、もしかしたら、それはまだ呼び名のない、全く新しい恋のカタチなのかもしれません。 一人が二人を同時に好きになること。どちらにも隠したら二股 (浮気) 、隠さなければ (どちらも) 純愛。そこ、重要な境界線。それもまだ呼び名のない、全く新しい恋のカタチなのかもしれません。(また言っちゃった) 監督はいつも、恋する人たちの「内面」を優しく描いています。だから、私たちが意識するほど、この映画にとって、日本人とか、韓国人とか、あまり関係ないのかもしれない。大切なのは、国籍や言葉ではなくて、その人、その心の内面なのだから。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-12-27 23:09:19)(良:1票)
20.  馬の骨
「イカ天」がテレビでやっていた頃の1989年~1990頃、私はと言えば、青春真っ盛りの15~16歳で、時代はまさに空前のバンドブームでありました。番組詳細については、前段にて記載済のため割愛。(かっぱ堰さん、ありがとうございます) そして本作、「馬の骨」。まず、フロントマンの熊田 (桐生コウジ) の出で立ちが、明らかに忌野清志郎を意識しまくりで笑えます。ユカ (小島藤子) はかわいかった、そして、しれっと彼女と同居しているストーカーな彼、ちょっと危ないヤツだが、悪びれることなく、熊田さんをストーカー呼ばわりするところがまた笑えます。(おまえが言うか、って 笑) 全体的に、音楽で成功を夢見る人たち、インディーズの舞台裏やライブハウスの描き方は、成功するばかりが成功ではない、、そういう、音楽を (真剣に) すること、、それそのものへの愛が感じられてよかったです。 イカ、、じゃなくて、以下は余談。(忙しい方は読まなくていいです) あの頃 (1988~90年頃) は爆発的にCDが普及したこともあり、友人同士でCDを貸し借りするのがコミュニケーションの一つの手段となっていた。ちなみに、私が生まれて初めて買った記念碑的なアルバムは、光GENJIの「Hey!Say!」という、何ともトホホ・・な感じでして。 ← 時代が平成に変わったばかりの1989年2月発売、だから HeySay (平成) ね。(どうでもいいけど笑) その当時、おままごと程度にお付き合いしていた彼女が彼らの大ファンで、絶対いいから!! と、ゴリ押しで買わされたんです(T T) なんだかこっぱずかしいので、知り合い筋には、ブルーハーツの「TRAIN-TRAIN」てことにしてある。 以上、、ガラスの四十代、タケノコの告白でした。 ・・・内緒だよ。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-12-16 22:09:13)
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