2. ブエノスアイレス
同性愛の役は出来ないと断ったトニー・レオンを偽の台本で騙し、現地に連れて行ったらやっぱりゲイの役のままで、当然脚本は無し、即興の演技を要求されるという。おまけに相手役のレスリーチャンは本物のゲイだわ、ツアーを組んでたからしょっちゅう香港に帰っちゃうわで、撮影期間が延びる延びる。もはや収拾が付かなくなってチャン・チェンとシャーリー・クワンを呼んで新たなキャラクターとして登場させたが、シャーリークワンの出演シーンは全部カットされるわ、ストーリー的にも主役だったレスリー・チャンが途中でやむなくフェードアウトするわ、監督とトニーの関係は悪化するわ、レスリーは監督の作品には二度と出ないと言うわ、それでも撮影したフィルムだけはどんどん貯まっていって膨大な量になるわ、と非常に難産だった本作。役者泣かせにも程があるだろう。 ゲイのおっさん2人のブエノスアイレス逃避行なんて誰が観たいかと思うかもしれないが、やはりトニーとレスリーなので絵になるし、演技合戦も見応えあって面白い。 ゲイ同士のラブシーンはちょっと・・・と言う方でも、激しいのは冒頭のワンシーンくらいなのでそこさえ我慢すればあとは大丈夫。 とにかく注目して欲しいのはその映像と、音楽の心地良さ。 現地で発見してCDを買い込み、即起用したというフランク・ザッパの選曲チョイスが素晴らしい。 映像も「天使の涙」で香港の路地裏が迷宮と化した人工的な照明もさらに進化してるので注目。 また、ロードムービーとしても面白く、南米を旅してる気分になれるのでいい。 特にイグアスの滝の広大な空撮は迫力満点で、全てを飲み込んでしまう力がある。 [ビデオ(字幕)] 9点(2014-10-08 03:32:07) |