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【製作国 : 香港 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  アゲイン/明日への誓い
サイゴンが主たる舞台だが、どこかで中国返還時の香港を重ねているような気がする。あるいはそう見てしまうのは、天安門事件後のあちらの映画にそう構えてしまうこちらのせいでもある。冒頭の学生デモシーンに異様に熱が入って感じられた。話の中身は男2・女1の友情と愛情の絡みにドンパチが重なるという、いつもの感じ。スローモーションはちょっと使い過ぎたが、窓から飛び出して看板を滑り落ちる、なんてのをもっとやってほしい。主人公たちと、悪の組織・軍・戦争などがうまくつながってないので「ドンパチごっこ」の感じがしちゃう。波瀾万丈のようでいて、印象は淡泊。穴を通した光があちこちに散る。最後、民衆を振り切ってヘリコプターに乗り込むところは凄味。
[映画館(字幕)] 6点(2014-03-14 09:53:09)
2.  チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2
みっちり上映時間中は見せ場で埋め切っていく姿勢。サービス精神。バケモンも主人公も、みな呪文で動けなくなってしまうなんてのもあった。手の印字が流れで解けるの。剣捌きとロープを使っての回収。止まってしまった馬を撫でる隊員たち。動くことと止まっていることとの違いに敏感。ワイヤーアクションが見どころなんだけど、そうなるとかえって「行列」が迫力があったりする。大僧正。あれが歩いてくるとこなんて、なんかフェリーニに通じるものを感じた。女官たちがふわっと裾を赤く光らせて飛んでいくのもきれいだった。大臣たちの抜け殻が並んでいるとこも壮観。東洋ならではの怖さがあればもっと良かったんだけど、モンスターはほとんどゾンビだったのが残念。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-19 09:29:47)
3.  ミュータント・タートルズ(1990)
アメリカにおけるオリエンタルなものとは、ってなことを考える。正義の側も悪の側も東洋なの。そしてラストでは白人のカップルが生まれる。あんまりこだわるのも被害妄想みたいだけど、白人の側が巻き込まれる、いう雰囲気はありますな。この四匹の亀の個性がも一つハッキリしてなかった。一応色分けしてたんだけど。彼らの言葉が一昔前のスラングだそうで、そのおかしみは分からない。表情なんかはうまく出来てたし、口もただパクパクじゃなく微妙な動きを見せていた。当時でも目新しくはなかったが。一応言っとくと、これアニメじゃなくて実写映画ね。はぐれものたちは最後には家庭に帰れ、ってところが引っ掛かる。
[映画館(字幕)] 4点(2013-11-07 09:43:27)
4.  無言歌 《ネタバレ》 
仲間が吐いたゲロを摘まんで食べるシーンで、ヤバイと思った。ドキュメンタリー出身の監督なら絶対に撮らないクソリアリズム映画なのか、と心配になった。でもそこらへんは、まだ劇映画に慣れてなくて試行錯誤していたときに撮った部分だったのかもしれない。次第に立ち直り、ドンさんの妻が来てからは、ドキュメンタリーの手法が生きた劇映画になった。いつも隙間から外光が漏れている室内(というより坑内)、そういう光は映画ではだいたい「外への希望」を象徴させるものだった。だけど、この坑内に入ってくる光はそうではない。夫の死を知らされて悩乱した妻が外の光に導かれるように出て行く。しかし外に広がっているのは風吹きすさぶ荒野なのだ。希望さえ吹き飛ばされてしまうような黄砂の世界。このだだっ広い閉塞感こそ、中国反右派闘争時代の犠牲者が味わった絶望の映像化だろう。「これからは百家争鳴だ」と言われて発言したところ反動分子と決められ、「思想改良」のために荒野に送られた人々の絶望。もうこれからは絶対喋るまいと決めた人々の、無言の歌が吹き荒れている。ここに埋められたくない、という最期の願いも無視され、柔らかい尻の肉を食われたあと荒野の塚になっている人々。圧迫してくる広さの力が圧倒的で、ドキュメンタリーでつちかわれた腕が十分に発揮されていた。王兵ワンビン監督。
[DVD(字幕)] 7点(2013-05-07 09:59:02)
5.  客途秋恨 《ネタバレ》 
香港中国返還のころって、いい映画が多かった。故郷というものに敏感になってたんだろう。家族が離れ離れになったり、神経が研がれていた。まして監督は母が日本人で、さらに複雑になる。ふしだらでわがままで奔放な母と娘の物語、っていうジャンルがあるな。たとえば日本なら『香華』とか。やや黄色みを帯びたマカオ時代の回想が美しい。おじいちゃんのおなかでの昼寝。ゆっくりと後退していくカメラ。まるで子どもを起こしてしまわないように。そして南由布への旅。街全体が記憶の中に沈んでいるような美しさ。イギリスの大学院を卒業して、を会う人ごとに繰り返す母。鬱陶しい母であるが、母の別の面も次第に見えてくる。山口百恵のポスターのあるビリヤードでの和解。そしてハンコを作るのが泣ける。小さな楕円形の故郷、墓のようでもある。で香港に残り、テレビ局に勤めることになり、これで終わるかと思っていると、とっておきのラストシーンが待っていた。病気のおじいちゃんのとこへ行くの。青っぽい色調。詰めた息をゆっくり吐き出すようなフェイドアウトが繰り返される。もうおじいちゃんのおなかの上には乗れない。失われた良きものが凝縮している。しかしそれは失われねばならないものでもあるという認識があって、脚本が孝候賢チームの呉念真なんだ。ラストは橋、どこかとどこかをつないでいる一本の橋。マカオ、香港、台湾、日本と東アジア全体をつなぐように。
[映画館(字幕)] 8点(2013-05-05 09:38:42)
6.  プロジェクトA
酒場の喧嘩、訓練でのいびり、ホテルでの活劇、貯木場、女を連れての逃走から自転車、とリズムがいい。とにかく常にエネルギーが満ちている。手錠のままのポールのぼり、時計台での乱闘から落下と、見せ場を連ねていく。自転車の使い方に感心した。乗り物と同時に武器にもなる。「もの」を徹底して使いこなすこのあたりにアクション映画の魅力があるんじゃないか。英軍のえらいさんが誘拐され、裏取引をしようとする総督を非難し改心させる。ここらへんに英国に対する香港人の心の屈折を感じるところなんだろうか。合言葉をめぐるギャグも楽しい。戦友的なヒロイズムがあり、金持ちと一般人でもあって。顔に拳があたるとホコリが出る仕掛け。
[映画館(字幕)] 8点(2013-04-18 10:04:06)
7.  ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌 《ネタバレ》 
アンソニー・ウォンの若いときって関根勤に似てる。現在はまったく類似点が認められなく、おそらく男の型としては対極的な存在だと思うんだけど、なんか似てるんだ。つぶらな瞳で。ってことは関根勤も歳を重ねると、ああ渋くなっていくのか、いや関根のほうが年上かも、などとあらぬことに気をひかれていたが、それはさておき。前半のドンパチはお祭りみたいに楽しく眺めていたが、後半の病院に移ってからは、いささか食傷気味。そりゃそういう映画と承知して見てるんだから、「命を粗末にしてけしからん」と感想抱くのはお門違いだろうが、なんか死体が「一山いくら」で処理されてるようで、あんまりウルワシクない。あなたたち観客の要望で死体の山を築いてるんです、って向こうに言い分あるのがこっちの弱みだが、そうでもないんだな。そりゃ緊迫した闘争目当てでアクション映画を見てるんだけど、最初っから殺されるために用意されてるような人たちが殺されていくのは、殺伐としてて気持ちいいもんじゃない。釣り合いを取るためか、赤ん坊の救出を絡めているのも鬱陶しく、もっと粋に出来ないか。このコッテリ感が香港の味であるのは分かるんだけど。トニーが、悪役側である警備員の服装をして病院の中を走り回れば、乱戦状態の中でイイモンとワルモンの違いを争っている人々が瞬時に確認するのは大変だな、と思っているとやっぱり誤射が起こった(トニーが仲間を撃っちゃうんだけど)。ここらへん潜伏捜査官という存在の曖昧さを、アクションの中にも筋を通した姿勢はうかがえる。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-02 10:09:11)(良:1票)
8.  紅夢
普通シンメトリーの構図ってのは、ここぞというところでバンと置くと効くので、あんまり使いすぎちゃいけないものなんだけど、この作品はそれがテーマだからね。シンメトリーの安定した重苦しさ、人を発狂させるほどの、整然とした堅苦しさ。シンメトリーの息苦しさをここまで徹底して追求した映画も珍しい。あとは音の響き。作者によって選択された音しか響かない。それも幽界に響くような雰囲気で、嫉妬によって残響を与えられ心にエコーを掛けられているというか、灯篭を消す竹吹きのブボッという音も腹に響く。遠くから聞こえる第三夫人の歌声、若主人の笛。きっちりした画面に選ばれた音のみがキラッキラッと閃く感じが実にスリリング。昔の中国映画だったら、もっと目覚めたヒロインが反抗する設定になったんだろうが、もうそうはならない、プロレタリアートの部屋にまでレッドランタンは侵入してしまっているのだ。画面に現われているのは「八方ふさがり」の嫉妬渦巻く世界なのだけど、ネチネチという感じはあまりなく、荒涼の風が「八方吹き抜け」ていたのではないか。白・黒・赤の物狂いの世界が魅力的。
[映画館(字幕)] 8点(2012-10-13 09:56:42)
9.  チョウ・ユンファ/ゴールデン・ガイ
そういうジャンルがあるのかどうか知らないけど「大富豪の息子もの」。トントン会社の原色のセットなんか面白い。笑いとしては、即製のテーブルの下に「ここにいるべきではない人たち」がどんどん隠れていくあたり(マルクス兄弟?)。チョコマカ歩く金持ちのわがまま娘が、忘れたころにまた出てくるのも嬉しい。金持ちってのは、庶民になって安物の指輪を買わないと愛を表わせないらしい、面倒ね。うろちょろするジイヤってのも、大事な味付けだった。なんか「富豪の息子もの」ジャンルの基本が揃っていた。ユンファの笑顔ってのは、ほんと馬鹿と紙一重の人のよさが出ていて貴重。これ、監督はジョニー・トーだったのか。そういう眼でもう一度見直してみたい作品ではあるな。
[映画館(字幕)] 6点(2012-09-22 09:54:18)
10.  チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3
このシリーズけっこう好きなんですよね。香港映画の臭みが青い夜で薄められてるせいか。今回の青年僧は『非情城市』のトニー・レオン。アンデルセン的な異界の恋の哀感もある。赤い櫛が落ちて、坊さんの想いをジョイ・ウォンが知るあたりとか。ワイヤー・アクションてのは、本来舞台でやってたものだったんでしょ。映画の世界では特殊撮影でいくらでも飛行が出来ていた。そういうなかでワイヤーで本当に飛ばすところをカメラで追う面白さを、香港映画は発見したんだ。言ってみればドキュメンタリーの精神。これ大事だと思うんです。このナマの発見。低空飛行する老僧なんかいい。男の声と女の声と入れ替わり続ける妖怪ロウロウ。キメのシーンは勢いである。なんとなく前衛舞踏集団みたいのが出てくるのも同じ。衣装なんかぜんぜん時代考証してないのもサワヤカ。そもそも何の時代か設定してあったのか。最後の妖怪はちょっと弱かったな。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-05 12:14:09)
11.  ツイン・ドラゴン
映画は双子が好き。いや映画だけじゃないな、「物語」一般が双子好きなんだ。現実にも双子はあるのに、なんか物語性(非現実感)が漂う。双子が並んで立ってる図だけで、妖しさがある(たとえば『シャイニング』)。というわけでこれ、ジャッキー・チェンが双子なの。おとなしい指揮者とチンピラ的のと。ウェイターのおしりでカットを変えて、背中の衝立越しに座っている二人を交互に撮るとこなんかに、特撮よりも映画の楽しさがあった。波止場でのアクション、BGMがニセの指揮者が演奏会で演奏している曲をそのまま使ってるのがおかしい。ラストのミツビシの車の試験場でのアクションが見どころ。このころはまだ40前か。窓から車中に飛び込み、上を駆け抜け、衝突寸前で跳び上がったりと、いつもながらとは言えキビキビしている。シートベルトを着用しようという教訓つき。
[映画館(字幕)] 6点(2012-05-20 09:08:50)
12.  孫文の義士団 《ネタバレ》 
前半義士団がそろってくる『七人の侍』的な部分で状況の雰囲気を描き、作品の革命百年記念的な義理を果たし、後半グイグイと香港アクションで見せましょう、という二段構成。だから前半は歴史上の香港の街かも知れないが、後半はアクション映画の街となる。襲撃が起きても人々はパニックにならず(パニック映画ではなくアクション映画なので)、露店はアクションに奉仕するために適宜配置されている。細かいとこはヘンでも、一気に駆け抜ける勢いを大事にする。このハッキリとした割りきりが気持ちいい。人物造形は類型的、でも暗殺団側もそれなりの憂国の情を持っており、青っちょろいインテリの革命では白人に国を奪われる、と危惧してるあたりに膨らみがある。師に対して最後まで尊敬の気持ちを忘れない儒教精神の持ち主でもある。アクションがつるべ打ちされていくと、有り難味が薄くなるのは仕方がない。それでも香港アクション映画だなあ、と思わされ、前半の「歴史」を忘れ見入っていると、“オデッサの階段”シーンがくる。オデッサの階段を真似た場面なんて、今までいくつもの映画で登場し、たいていは「ちょっと映画史に敬意を払ってます」ってことを言いたいだけのサインみたいなものだったが、本作の場合は、ここで前半の歴史が蘇ってきた。『ポチョムキン』ではその後にロシア革命が導かれた階段だった、本作は辛亥革命に至る階段だ。後半ですっかり「映画の街」になっていた香港が、人力車がカタンカタンと落ちていくことで、映画史を通してまた前半の「革命を準備している歴史の街」へと戻っていき、うまく全体がまとまった。
[DVD(字幕)] 6点(2012-04-03 09:39:14)(良:1票)
13.  カンフーサイボーグ 《ネタバレ》 
いちおう未来の話になってて、主人公がロボットと最初から分かってて、SFとしての設定は整ってるんだけど、前半は「田舎のドタバタ警察もの」の牧歌的な世界。香港映画お得意の泥臭いコメディが綴られていく。と中盤に至って突如『トランスフォーマー』が乗り移り、巨大なロボットがヌンチャク振り回したりする(後段ではキョンシーロボも出てきた)。笑いとアクションが香港映画の二大柱。あと「泣き」があれば三本柱が揃うな、と思っていると、心を持ったために泡になって崩れていくアンデルセンの人魚姫ばりの涙のラストが控えていた。う~ん、「香港映画」でしかないものを観てしまったという濃い後味が残った。つまりこれ映画としても『トランスフォーマー』やってるようなもんで、ぜんぜん溶け合わない部品を横に強引に連ねて合体させ、一本の映画にしてしまっている。スープを作るというより、それぞれの具材がそのまま残ってるゴッタ煮の中華寄せ鍋の楽しみ。よろしいんじゃないでしょうか(後半は二回見ちゃった)。「欲情ウィルス」を出そうとして間違って武侠ものの連中がワイワイ出てくるあたりが、個人的には一番うけた。この主人公のメイクは『A.I.』のジュード・ロウを参考にしてたのかな。
[DVD(字幕)] 6点(2012-03-05 09:57:46)
14.  MAD探偵 7人の容疑者 《ネタバレ》 
ちょっと盛り込みすぎ。事件と主人公の幻覚とがうまく噛みあってくれれば面白いものが出来たかもしれないが、それは難しく、理屈でいく事件解明と主体を信じられなくさせる幻覚とは互いを相殺し合ってしまう。幻覚のほうも妻やら少年やらも登場させて、ややこしくし過ぎてしまった。さらに対象に憑依する捜査手法ってことなのか、土に埋まってみたり、犯行を指ピストルで再現してみたり、このMAD探偵、見てるほうを混乱させ過ぎる。でもなんか新しいアイデアを試みようとしたその姿勢は認めます。ラストの鏡の迷宮は、新鮮味はあまりないけど、やっぱり楽しい。鏡の中に忍び足の七人が映ってくるあたり。一番買うのは、七人が初めて登場するシーン。町中で主人公が容疑者を追う。容疑者は小粋に口笛を吹いて歩いている(ラドレミドラミド…ってな感じのメロディ)。眼で追う主人公。と次のカットで女性を含む七人が同じメロディを口笛吹きながらさっそうと歩いていく。この段階ではまだ彼らが何者か分かってないが、なにかドラマとして重要なものが提示されているのは分かる粋なカットであった。そのあと料理店のシーンで、観客はさらになにが進行してるんだか途方に暮れることになる。観客を戸惑わせるギリギリのとこで(もう少し続いたら思考放棄してしまった可能性あり)、でも私は許せた。とは言えこの監督は、本筋は単純なほうがいいみたい。
[DVD(字幕)] 6点(2012-03-01 09:59:24)
15.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明
悪役がイギリスではなくアメリカになっているのが、このころの香港映画のややこしさか。中国語版ではなく英語版で観たので、あの甲高い声が制限され物足りなかった。香港映画はときに画面の陰影が美しいのもあるが、アクションものははっきり見せるのが大事なので、照明はいたってザッパク。好敵手との争いが見せどころになる。二人だけでは、やることが限られてしまうので、ときに丸太・ときに梯子を絡めて頑張っていた。梯子絡みのシーンはかなり長かったよ。アクションの連続いうのも、サービスのようでいて退屈を呼んでしまうこともあり、難しいのだな。人のシルの残りを飲んでいる名人インが、悪に引きずられていく過程。悪人どもの間で一生懸命武術を見せてるあたりの哀しさに味わい。
[映画館(字幕)] 6点(2012-01-18 09:56:50)
16.  乳泉村の子
日本と中国は文化史的にはずいぶん違う道を歩んできたと思うんだけど、大衆文化的な感性の面になると、東アジア的というのか、ほとんど同じだなあ。「肉親の情愛」でくすぐられると弱いあたり。日本だったらもう気恥ずかしくて作れないぐらいのメロドラマに、東アジア文化圏の本家・中国ではまだ出来ます。キーワードは「けなげ」でしょうね。耐えて耐えて母の愛に保護されて感謝する。姉的な愛もね。靴をいっぱい作ってお嫁にいっちゃう、とか。いじめられた子に母がけんかを教える、とかも。少年はりりしくマッスグ。日本の部分はいらない。異文化圏だと背景を描き込めないんだろう。和服から僧服に着替えるスローモーションが、かろうじて映画らしかった。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-13 11:21:19)
17.  秋菊の物語
今まで家に閉じこもっていた田舎の普通の主婦が、訴訟を起こしたことで世界の手応えを知って生き生きする話。村落共同体のなかでナアナアで済ませていたことから、自己の確立を打ち立てる、という前向きなストーリー、とまずとれる。でも別に、互いの顔を識別し合っていられた村の中に、国家の法の論理が侵入してきて共同体内の「いい感じ」が次第に壊れていく物語、ともとれる。裁判中毒になった主婦によって村が破壊されていく。おそらくこの映画の面白さは、その二面が描かれていることにあるわけで、近代が入り込んできた村社会の問題は、現代にまで続いているんだろう(高速鉄道の事故でも、もう中国人はナアナアでは黙っていなくなった)。村の共同体の拘束からの自由と、その外側に広がって待ち構えているもっと大きなものの気配。最初は「一言謝ってほしい」だったものが、だんだんと拡大していく展開に、どことなく民話の味わいがある。巡査が自分で買った土産を持って収めようとするのがおかしい。
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-24 10:01:26)
18.  冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 《ネタバレ》 
東洋人と西洋人が映画の中で絡むと不協和音が生まれがちなので心配していたが、ラテン系だとそうでもない。というか、本作では異邦人ということが、記憶が薄れていくことと重なってイキている。すべての人間社会にとっても異邦人になっていきつつあるということ。ラストシーンがテーブルでニコニコしている主人公なのにはちょっと肩透かし感があったが、あれはつまり孫の記憶が完全に消え去って、その代わりに孫のような子どもたちと団欒をしている映像が入り込んできた、って感じなのだろう。ジョニー・トーらしい丁寧さが出たのは、銃撃戦よりもスパゲッティ食べながらの銃を巡るやりとりのとこ。しだいに男がただものではないと分かってくるあたり。サッと投げられる皿の気合い。その皿の行方にただのシェフでない証明があり、その皿は後のシーンのリング状のフリスビーにつながっていく。そしてゴミ捨て場での銃の試し撃ち、自転車がカラカラと動いていくとこ。記憶が消えていく男との約束をボスとの契約より優先するって「男の美学」は分かるんだけど、ちょっと命を粗末にしすぎてないか。ゴミの野での銃撃戦にもう一工夫ほしかった。ボスの卑劣さを観客に得心させる描写にも。
[DVD(字幕)] 7点(2011-06-20 10:25:50)(良:1票)
19.  北京好日 《ネタバレ》 
前半ネオレアレズモ、後半落語の「笠碁」。いい映画だ。愛すべき気難し屋が活写されていく。所在無さを綴っていく前半から楽しいが、本題は京劇趣味の老人たちに公園で出くわしてから。最初からしゃしゃり出はしない。一歩離れてて、しかしアドバイスを乞われると嬉々として、いちいちコワイロやったりする。で劇団結成。遅刻したら歌わせない、などの規律を定め、愛すべきファシストとして君臨する。みんなはただ歌うのが楽しみなのだが、「芸術家」として統制したがる。風刺や皮肉があるのではない。ただオカシミとして捉えている。老人だと我を張ってもどこか社会に通じてないせいか深刻にならず、遊戯の気分で喧嘩が出来る。お祭りの公演。審査の発表を省略してシュンとした帰り道につながる妙。メイクのまま夜道を歩かせている。ここらへんのブツブツが絡んでいくあたり、混乱の盛り上げ方がとてもうまい。あっちでもこっちでも湧き返ってくるおかしみ。歌うのが楽しいのと世話するのが楽しいのと、なんかこの喧嘩のほうがお祭りみたいで、テーマは「老人の生きがい」なんていうと大袈裟になってしまうな、「人生の手ごたえ」と言ったらいいか、人生ってのはこういうふうにいいもんだ、と思わされた。苦みも陰りもない。中国映画には珍しい澄明感がある。死んだ奥さんの写真は若かった。長い一人暮らしだったんだな。
[映画館(字幕)] 8点(2011-05-03 12:21:01)
20.  殺人犯 《ネタバレ》 
あの手のモチーフはオカルト映画ではあるけど、そういう霊じゃない、って当人が念を押しているとこが不気味か。過去の恥の証人がそのままそこに・身近に存在している気味悪さ、というか。主人公の狂気というサイコ・スリラーの可能性も残していて、そこらへんスッキリしない作りになっている。こういうの多いね、最近。声が変わるって趣向は、コメディとこういうスリラーでよく使われる。単純だけど、けっこう効果がある。そうでない声が聞こえてくると、笑いか恐怖が生まれるんだ(山本嘉次郎の『孫悟空』では、姿は美女で声はエノケンてのがあった)。ここらへん、笑いと恐怖がけっこう接近したものだってことが確認できて面白かった。映画の後半も、半分笑いに傾くような場面で気味悪がらせている。主人公と悪の張本人が対決している場面は、どれもそう。だいたい○○が腕を組むと、笑いの場面なものだ。ホノボノとした笑いで。そこに気味悪さを出しているのが本作の趣向。でも全体、もう少しスマートに作れたんじゃないかな。映画としての動きが香港ものにしては若干重たるい。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-22 09:46:00)
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